金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2014年07月03日

抗リン脂質抗体症候群の第II因子インヒビターへのリツキシマブ

論文紹介です。

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「抗リン脂質抗体症候群に合併した第II因子インヒビターに対するリツキシマブ治療」

著者名: Guddati AK, et al.
雑誌名:Blood Coagul Fibrinolysis 25: 289-291, 2014.


<論文の要旨>

抗リン脂質抗体症候群において、第II因子インヒビターが出現して第II因子活性が著減した場合には、出血傾向がみられます。

第II因子インヒビターの治療は今までに報告がありません。


著者らは、第II因子インヒビターのために出血傾向をきたし手術が不可能状態となった女性症例を報告しています。

リツキシマブによる治療を行ったところ良好な反応がみられました。

第II因子活性は12%から61%に上昇し、PTは20.0秒から14.7秒に短縮し、PTTは148秒から38.8秒に短縮しました。

その結果、何の出血の合併症もきたすことなく腹部外科手術を施行できました。


本症例は、第II因子インヒビターにおいてリツキシマブ治療が有効である可能性を示しています。


<リンク>
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:57| 出血性疾患