2014年07月05日
リツキシマブと血友病インヒビター
論文紹介です。
関連記事:APTT、血友病、後天性血友病、第V因子インヒビター、第VIII因子インヒビター、PT-INR
「リツキシマブによる血友病におけるインヒビターの除去」
著者名: Franchini M, et al.
雑誌名:Br J Haematol 165: 600-608, 2014.
<論文の要旨>
リツキシマブは抗CD20モノクローナル抗体であり、当初はいくつかの造血器悪性腫瘍の治療目的に開発されました。
リツキシマブでは、B細胞を速やかにかつ特異的に消失させることができるために、多くの自己免疫性疾患に用いられます。
この10年程度で、リツキシマブは単独または他の免疫抑制療法治療薬と併用して、治療抵抗性の後天性血友病に対しても用いられるようになり、治療成功例が報告されています。
さらに、先天性血友病AまたはBにおいてインヒビターを発症した場合においても、第一選択薬が無効であった場合に、リツキシマブが使用されるようになってきました。
先天性血友病に関しては、リツキシマブ投与下に免疫寛容療法を行うことで、特に軽症〜中等症において成功率が上昇します。
リツキシマブ治療は安全のようですが、特に小児患者に対して投与する場合には感染症のリスクに注意する必要があります。
リツキシマブ治療は高価ですが、インヒビターが消失しないとバイパス製剤や免疫寛容療法といったやはり高価な治療が必要になるために、相殺されるものと考えられます。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:14| 出血性疾患