血友病AとBドメイン欠損PEG化遺伝子組換え第VIII因子製剤
論文紹介です。
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「血友病Aに対するBドメイン欠損PEG化遺伝子組換え第VIII因子製剤(BAY94-9027)の第1相臨床試験」
著者名: Coyle TE, et al.
雑誌名:J Thromb Haemost 12: 488-496, 2014.
<論文の要旨>
BAY94-9027(BAY)は、Bドメイン欠損の遺伝子組換え第VIII因子製剤であり、ポリエチレングリコールでペグ化することで血友病動物モデルでの半減期を延長させています。
著者らは、重症血友病Aに対してBAYを1回またはくり返して投与し、薬効動態と安全性を評価しました(第1相臨床試験)。
対象は重症血友病A症例(21〜58才)であり、第VIII因子活性<1%、第VIII因子製剤に暴露後150日以上経過し、インヒビター出現の既往がない症例です。
3日以上の休薬期間後、sucrose-formulated rFVIII(rFVIII-FS)(1群, 25IU/kg, n=7; 2群, 50IU/kg, n=7)が1回投与され、48時間の薬物動態の検討が行われました。
別途、3日間の休薬後に、1群は、BAY25IU/kgが週に2回投与され、2群はBAY60IU/kgが週に1回投与されました。
BAYの初回&最終投与後に168時間の薬効動態が検討されました。
その結果、BAYはrFVIII-FSと比較してすぐれた薬物動態を示し半減期は約19時間でした(rFVIII-FSは薬13時間)。
BAYは免疫原性も示しませんでした。
BAYは半減期の延長に成功しており血友病治療に用いた場合に製剤の投与回数を少なくすることが期待でます。
次段階の臨床試験への進展が期待されます。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:00| 出血性疾患