インヒビター保有血友病Aに対するリツキシマブ
論文紹介です。
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「インヒビター保有の成人非重症血友病Aに対する第一選択薬としてのリツキシマブ」
著者名: Lim MY, et al.
雑誌名:J Thromb Haemost 12: 897-901, 2014.
<論文の要旨>
先天性血友病にインヒビターを発症した場合の免疫抑制療法の意義は不明です。
リツキシマブの使用は症例報告に限定されており、多くは免疫寛容療法に失敗した後の第2、3選択薬として、しかも小児例の報告が多いです。
著者らはインヒビター保有成人非重症血友病Aに対して、リツキシマブを第1選択薬として用いた場合の有用性について後方視的に検討しました。
リツキシマブは375mg/m2を週に1回、計4回投与されました。
検討症例は、成人血友病A9例(中等症5例、軽症4例)(2000〜2013年)であり、インヒビター診断時の年齢中央値54歳(24〜77歳)でした。
免疫寛容療法が行われた症例は含まれていません。
その結果、リツキシマブにより全9症例でインヒビターは消失しました。
リツキシマブの初回投与から臨床反応がみられるまでの期間の中央値は95日(12〜278日)でした。
経過観察の中央値は56ヶ月(13〜139ヶ月)でした。
インヒビター消失後、8症例では第VIII因子製剤が再投与されましたが、2症例では手術施行に伴いインヒビターが再出現しました。
以上、成人非重症血友病Aのインヒビターに対してリツキシマブでは第1選択薬としても有効と考えられました。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:13| 出血性疾患