金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2014年07月21日

血液内科学系統講義試験:播種性血管内凝固症候群(DIC)

平成26年度血液内科学系統講義試験:細胞移植学(血液内科)

平成26年7月22日 (火)試験時間 16時30分〜17時30分(60分間)


問15.
播種性血管内凝固症候群(DIC)の記載として正しいものはどれか。1つ選べ。

a.    敗血症に合併したDICでは、血中D-ダイマーが著増する。
b.    動脈瘤に合併したDICでは、フィブリノゲンの低下は軽度である。
c.    固形癌に合併したDICでは、血中可溶性フィブリン(SF)は上昇しない。
d.    急性前骨髄球性白血病(APL)に合併したDICでは、フィブリノゲンが著減する。
e.    常位胎盤早期剥離に合併したDICでは、血中α2プラスミンインヒビター(α2PI)が著増する。

(解説)

a.    敗血症に合併したDICでは線溶抑制型DICになるため、血栓が溶解されにくく、Dー-ダイマーの上昇は軽度にとどまります。

b.    動脈瘤に合併したDICでは線溶亢進型DICになるため、フィブリノゲンの低下は高度です。過剰に産生されたプラスミンが、フィブリンのみならずフィブリノゲンも分解します。フィブリノゲンは消費性凝固障害の要素のみでなく、一時線溶の要素によっても著明に低下します。

c.    播種性血管内凝固症候群(DIC)であれば、血中可溶性フィブリン(SF)は必ず上昇します。TAT、F1+2も必ず上昇します。

d.    急性前骨髄球性白血病(APL)は線溶亢進型DICを併発します。フィブリノゲンが著減します。

e.    常位胎盤早期剥離では線溶亢進型DICを発症します。血中α2プラスミンインヒビター(α2PI)は著減します。PICは著増します。


(正答)
d

 

<リンク>
推薦書籍「臨床に直結する血栓止血学
血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
金沢大学血液内科・呼吸器内科HP
金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ
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参考:血栓止血の臨床日本血栓止血学会HPへ)
 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:49| 医師国家試験・専門医試験対策