金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2014年07月26日

血液内科学系統講義試験:トラネキサム酸(トランサミン)

平成26年度血液内科学系統講義試験:細胞移植学(血液内科)

平成26年7月22日 (火)試験時間 16時30分〜17時30分(60分間)


問20.以下はトラネキサム酸に関する記載である。文中で(   )に入るものはどれか。1つ選べ。

まず、播種性血管内凝固症候群(DIC)に対する抗線溶薬の投与は原則禁忌である。

DICにおける線溶活性化は、血栓を溶解しようとする生体の防御反応の側面もあり、これを抑制することは生体にとって不利益である。

実際、DICに対して抗線溶療法を行った場合に、全身性血栓症の発症に伴う死亡例の報告が複数みられる。

特に、敗血症などの重症感染症に合併したDICにおいては、プラスミノゲンアクチベータインヒビター(plasminogen activator inhibitor:PAI)が著増し線溶抑制状態にあるため、多発した微小血栓が残存しやすい病態である。

このような病態に対して、抗線溶療法を行うことは理論的にも問題があり、絶対禁忌である。

一方、重症の出血症状をきたした線溶亢進型DICに対して、(      )の併用下にトラネキサム酸を投与すると、出血症状が劇的に改善することがあるのも事実である。

a.    ヘパリン類
b.    ビタミンK
c.    濃厚血小板
d.    新鮮凍結血漿
e.    組織プラスミノゲンアクチベーター

 

(解説)

この問題もサービス問題です。線溶の意義について、試験時間内に勉強していただければとの思いで問題作成しました。

教科書的には、DICに対してトラネキサム酸(トランサミン)は禁忌ですが、線溶亢進型DICに対して、ヘパリン類(標準へパリン、低分子へパリン、ダナパロイド)とともにトラネキサム酸を投与しますと重症の出血症状であっても、劇的に軽快します。


(正答)
a

 
<リンク>推薦書籍「臨床に直結する血栓止血学
血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
金沢大学血液内科・呼吸器内科HP
金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ
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参考:血栓止血の臨床日本血栓止血学会HPへ)
 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:36| 医師国家試験・専門医試験対策