金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2014年10月05日

トロンボポエチン受容体作動薬と寛解期間の延長

論文紹介です。

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「成人ITPに対するトロンボポエチン受容体作動薬の一時的な使用と寛解期間の延長」

著者名:Mahavas M, et al.
雑誌名:Br J Haematol 165: 865-869, 2014.

<論文の要旨>

トロンボポエチン受動態作動薬(TPO-RAs)は、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)の優れた治療薬です。

最近、成人ITPにおいてTPO-RAsを中止した後も寛解が維持される症例が報告されています。

著者らは、TPO-RAを一時的に用いることで永続的な寛解を維持できるかどうか検討しました。


TPO-RAによる治療が少なくとも1日以上行われた成人ITP症例(n=54)を対象としました。

完全寛解となった28例中20例においてTPO-RAsは中止されました。

TPO-RA治療開始時点において前治療の影響があると考えられた6例は除外しました。


全体としては、慢性ITPの8例においては持続した反応がみられました(経過観察の中央値13.5M(5〜27M)。

反応が維持した場合の予知因子は発見することができませんでした。


以上、TPO-RAsによる治療をうけたITP症例のうち大部分の症例で、治療中止後も反応が継続されると考えられた。

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参考:血栓止血の臨床日本血栓止血学会HPへ)
 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:31| 出血性疾患