金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2014年10月13日

血友病A:インヒビター治療としてのリツキシマブ

論文紹介です。

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クロスミキシングテスト


「血友病A患者におけるインヒビター治療としてのリツキシマブ(臨床第2相試験)」

著者名:Leissinger C, et al.
雑誌名:Thromb Haemost 112: 445-458, 2014.

<論文の要旨>

血友病A患者に第VIII因子製剤を投与することによる第VIII因子抗体の出現は、出血症状を悪化させるために重大な合併症です。

免疫寛容療法に失敗した症例や免疫寛容療法の適応のない症例においては、抗体を消失させる治療はありませんでした。


インヒビター保有先天性血友病A症例に対するリツキシマブ臨床試験(The Rituximab for the Treatment of Inhibitor in Congenital Hemophilia A: RICH)は、第VIII因子インヒビター力価を低下させることができるかどうかを評価するための第2相臨床試験です。


対象は、重症血友病Aでインヒビター力価5BU以上を有する症例であり、リツキシマブ375mg/m2が毎週(1〜4Wまで)投与されました。

リツキシマブ投与後に、6〜22Wまでインヒビター力価が測定されました。


少なくともリツキシマブ1回以上が投与された16症例のうち3例(18.8%)ではmajor responseが得られました(major response : インヒビターが5BU未満となり、第VIII因子製剤を再投与しても力価の上昇がみられない場合)。

1例ではminor responseでした(minor response :インヒビター力価5BU未満となったが、第VIII因子製剤再投与後に5〜10BUまで再上昇。ただし、治療前力価の50%未満に留まる場合)。


以上、リツキシマブは、インヒビター保有先天性血友病A症例インヒビター力価を低下させるのに有用と考えられましたが、単剤治療としての効果は弱いと考えられました。

リツキシマブは、免疫寛容療法に対する補助的治療としての意義を今後検討すべきと考えられました。


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参考:血栓止血の臨床日本血栓止血学会HPへ)
 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:16| 出血性疾患