2014年10月14日
がん患者と抗血栓療法(抗凝固/血小板療法):血栓症の分類
がん患者と抗血栓療法(抗凝固/血小板療法)(1)
<血栓症の分類>
血栓症の分類は、治療法を考える上でも重要です。
血栓症発症を阻止する治療を「抗血栓療法」と言いますが、そのうち、血小板を抑制する治療を「抗血小板療法」、凝固を抑制する治療を「抗凝固療法」と言います。
形成された血栓を溶解する治療が、線溶療法(血栓溶解療法)です。
抗血小板療法と、抗凝固療法の使い分けは重要です。
使い分けを間違えますと、出血の副作用のみが前面に出て効果はないという最悪の事態になります。
動脈血栓症では、血流が速い環境下で活性化された血小板が血栓形成に関与するため、抗血小板療法が有効です。
一方、静脈血栓症では、血流が遅い環境下で凝固が活性化されるため、血栓形成には凝固因子の関与が大きいです。
このため、抗凝固療法が有効です。
心房細動は脳塞栓の重要な危険因子です。
脳動脈を血栓が閉塞しますが、血栓形成部位は心臓内です。
心房細動があると心臓が規則正しく収縮しないため、心内に血液滞留を生じます。
そのため、血栓の性格は、血流が遅い環境下の静脈血栓(凝固血栓)と類似しています。
有効な治療法は、抗血小板療法ではなく抗凝固療法です。
がんは、究極の血栓症とも言える播種性血管内凝固症候群(DIC)の基礎疾患としても重要です。
DICの病型分類にまで踏み込むことで適切な治療が可能です。
特に、線溶亢進型DICは原疾患が悪化していても高度な出血症状をコントロール可能です。
<リンク>推薦書籍「臨床に直結する血栓止血学」
血液凝固検査入門(図解シリーズ)へ
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)へ
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参考:血栓止血の臨床(日本血栓止血学会HPへ)
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:12| 抗凝固療法