がん患者と抗血栓療法(抗凝固/血小板療法):治療の考え方
がん患者と抗血栓療法(抗凝固/血小板療法)(2)
<血栓症の分類と治療の考え方>
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1. 動脈血栓症
・ 血流が速い環境下の血栓症。
・ 血小板活性化が主病態。
・ 血小板血栓。
・ 病理:白色血栓(血小板が白い)。血小板含有量の多い血栓。
・ 脳梗塞(心房細動を除く)(※1)、心筋梗塞、末梢動脈血栓症、腸間膜動脈血栓症など。
・ 抗血小板薬が有効(※2)。
2. 静脈血栓症
・ 血流が遅い環境下の血栓症。
・ 凝固活性化が主病態。
・ 凝固血栓。
・ 病理:赤色血栓(赤血球が赤い)。血流が遅い環境下で赤血球を巻き込んだフィブリン含有量の多い血栓。
・ 深部静脈血栓症、肺塞栓、門脈血栓症、腸間膜静脈血栓症、心房細動に起因する脳梗塞(心原性脳塞栓)(※1)など。
・ 抗凝固薬が有効(※3)。
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(※1)心房細動に起因する脳梗塞は血栓で閉塞する部位は脳動脈ですが、血栓形成機序は心内血液滞留であり、血流が遅い環境下の凝固血栓の性格です。
(※2)抗血小板薬:アスピリン、チクロピジン、クロピドグレル、シロスタゾール、ベラプロストナトリウム、サルポグレラートなど(シロスタゾール、ベラプロストナトリウム、サルポグレラートには血管拡張作用を合わせ持つ)。
(※3)抗凝固薬:ワルファリン、新規経口抗凝固薬(ダビガトラン、リバーロキサバン、エドキサバン、アピキサバン)、へパリン類(未分画へパリン、低分子へパリン、ダナパロイド、アリクストラ)★、アルガトロバン★、トロンボモジュリン★など(★は、注射薬、他は経口薬)。
(続く)がん患者と抗血栓療法のインデックス
<リンク>推薦書籍「臨床に直結する血栓止血学」
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)へ
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参考:血栓止血の臨床(日本血栓止血学会HPへ)
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:28| 抗凝固療法