高齢血友病患者と心疾患(心房細動)
論文紹介です。
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「高齢血友病患者の治療(心疾患の観点から)」
著者名:Zimmermann R, et al.
雑誌名:Thromb Res 134S1: S48-52, 2014.
<論文の要旨>
重症血友病A患者の平均余命は、70年前は17才未満でした。
今日では、安全で有効な凝固因子製剤を使用できるようになったため、少なくともウイルス感染症のない患者での平均年齢はほとんど健常人と変わりません。
多くの血友病患者が70歳台、80歳台まで生存可能となり、高齢者に見られやすい疾患を発症するようになりました。
特に、心血管合併症に対する治療は議論となります。
血友病患者(少なくとも重症例)では心筋梗塞、脳卒中、静脈血栓塞栓症を発症しにくいというエビデンスにありますが、凝固因子欠損症であっても心血管疾患の危険因子は有しています。
血友病患者(とくにHAART治療中の患者)は、より肥満、高血圧、糖尿病、脂質異常症になりやすいという報告もあります。
心血管疾患を有した高齢血友病患者の治療はエビデンスに基づいたガイドラインがないのが現状です。
しかし、血友病社会においては心血管治療の経験が増加しており、いくつかの個人レベルでの治療指針は発刊されています。
最も重要なことは心血管疾患の危険因子の治療ですが、凝固因子補充療法も適切に行う必要があります。
<血友病での心房細動>
・ CHADS2スコア2点以上で第VIII因子≧30IU/dl:少量アスピリン(100mg/日)またはVitK拮抗薬。
・ 脳卒中リスクよりも出血リスクの方が大きい時は抗凝固療法は行わない。
・ 脳卒中リスクが高い場合はVitK拮抗薬。凝固因子のトラフ値が低い場合は、脳卒中リスクが高くてもアスピリンを考慮。
<リンク>推薦書籍「臨床に直結する血栓止血学」
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)へ
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参考:血栓止血の臨床(日本血栓止血学会HPへ)
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:15| 出血性疾患