遺伝子組換え第VIII因子製剤とインヒビター発症
論文紹介です。
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「遺伝子組換え第VIII因子製剤とインヒビター発症(未治療の重症血友病A男児での検討)」
著者名:Calvez T, et al.
雑誌名:Blood 124: 3398-3408, 2014.
<論文の要旨>
遺伝子組換え第VIII因子製剤(rFVIII)は、全部で8種類が世界的に販売されています。
2013年に、Reserch of Determinants of inhibitor Development (RODIN)試験グループは、未治療(PUPs)の重症血友病A患者において、第2世代の完全長rFVIII(D製剤)でのインヒビター発症率が高いことを報告しました。
1994年、フランス公衆衛生局は血友病治療の安全性をモニターするために、前方視的コホート研究を確立しました。
PUPサブグループについては、インヒビター危険因子を検討するように設定されました。
著者らはRODIN知見の観点からこのサブコホートを解析しました。
RODIN試験に参加した50症例を除外したのちに、まず1種類のrFVIIIで治療された重症血友病Aの303男児に焦点をあてることを主要解析としました。
臨床的意義を有したインヒビターは114男児(37.6%)に検出されました。
D製剤におけるインヒビター発症は、最も世界的に使用されているrFVIII製剤よりも高率でした(調整ハザード1.55)。
高力価のインヒビターに関しても同じ結果でした。
RODIN試験と著者らの検討結果の間には、差異はみられませんでした。
合体させた調整バザード比は、全インヒビター1.58、高力価インヒビターで1.70でした。
以上、PUPsの重症血友病AにおいてはD製剤は他の製剤よりも免疫原性が高いものと考えられました。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:57| 出血性疾患