金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2014年12月29日

第VIII因子製剤の種類と第VIII因子インヒビター(英国)

論文紹介です。

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第VIII因子製剤の種類と第VIII因子インヒビターの発症(英国における未治療の小児重症血友病A :2000-2011の検討)」

著者名:Collins PW, et al. 
雑誌名:Blood 124: 3389-3397, 2014.

<論文の要旨>

2000.1.1〜2011.12.31.に英国で誕生した未治療の重症血友病A407症例において、遺伝子組換え第VIII因子製剤(rFVIII)の種類とインヒビターの発症の関連について検討しました。

88症例(22%)はRODIN試験に組込まれていました。


インヒビターは118症例(29%)に発症しており、60例は高力価、58例は低力価でした。

最初の暴露からの中央値は7.8ヶ月(3.3〜13.5:25〜75 percentile)、暴露日は16日(9〜30)でした。

コージネイト(Bayer/Helixate NexGen)で治療された128症例のうち45症例(35.2%)でインヒビターを発症したのに対して、アトベイトでの治療者172症例のうち42症例(24.4%)でインヒビターを発症しました(P=0.04)。

アドベイトに対するコージネイトの調整危険率(HR)は、高力価インヒビターでは2.14(P=0.02)、全インヒビターでは1.75(P=0.02)でした。

UK-RODIN登録症例を除外すると、高力価での調整危険率は2.00(P=0.08)でした。

ReFacto AFは、アドベイトと比較して全インヒビター発症は高率でした(高力価インヒビターでは高率でなかったが)。

以上、第VIII因子製剤の相対的な免疫原性を議論したり、どのrFVIII製剤を使用するか決定する上で有用な結果がえられました。


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参考:血栓止血の臨床日本血栓止血学会HPへ)
 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:03| 出血性疾患