2014年12月30日
ACE910は後天性血友病Aモデルの関節内出血を予防する
論文紹介です。
関連記事:APTT、血友病、後天性血友病、第V因子インヒビター、第VIII因子インヒビター、PT-INR
「ACE910は後天性血友病Aモデルの関節内出血を予防する」
著者名:Muto A, et al.
雑誌名:Blood 124: 3165-3171, 2014.
<論文の要旨>
ACE910(血液凝固第IXa/X因子に対するバイスぺシフィック抗体)は、第VIII因子と類似の機能を有しています。
著者らは、血友病モデルにおいてACE910の1回静注は人工的に誘発された筋肉内出血と皮下出血に対して止血効果を有することを示し、ACE910の皮下注は3週間の半減期があるために血友病Aの出血予防治療として有用かつ利便性が高いであろうとこを報告しました。
しかし、このようなACE910皮下注は日常生活における自然出血を阻止するかどうかは直接的エビデンスはありませんでした。
今回は、第VIII因子中和抗体を多数回静注することで、長期間持続する後天性血友病Aモデルを作成しました。
このモデルのコントロール群のサルにおいては、種々の自然出血がみられAPTTは持続的に延長していました。
とくに、血友病の特徴的出血とも言える関節内出血は全例でみられました。
これに対してACE910を毎週皮下注(初期量は3.9mg/kgで、その後1mg/kg)することで、この出血を有意に抑制しました。
とくに、関節内出血は全くみられなくなりました。
以上、ACE910は毎週皮下注する方法であったとしても血友病A患者における自然出血や関節内出血を予防するものと期待されました。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:10| 出血性疾患