金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2015年01月01日

遺伝子組換え第IX因子・Fc融合蛋白による予防治療

論文紹介です。

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クロスミキシングテスト


「遺伝子組換え第IX因子・Fc融合蛋白による予防治療への切り換えで輸注回数、製剤消費量、出血頻度が低下する

著者名:Powell J, et al. 
雑誌名:Br J Haematol 168: 113-123, 2014.

<論文の要旨>

臨床第3相B-LONG試験(血友病Bに対する遺伝子組換え第IX因子・Fc融合蛋白<rFIXFc>)において、rFIXFcを1〜2週間毎に投与する治療は、治療歴のある血友病B患者に対して安全かつ有効でした。

現在まで、従来の治療から半減期の長いFIX製剤による予防治療に変更することの評価は行われていません。

著者らはB-LONG試験の事後解析により、rFIXFcと他のIX因子製剤の両予防治療を比較しました。

評価項目は、製剤の投与日数、週間製剤に消費量、年間出血率(ABRs)です。

対象は予防治療歴のある39症例です。


この試験前に、ほとんどの症例(69.2%)は、週2回の輸注を受けていました。

臨床試験に伴いrFIXFcを1〜2週間毎に輸注された症例では週間製剤消費量が約30〜50%低下しました。

また試験期間中のABRsは、試験前のABRsよりも低値でした。

rFIXFc50IU/kg/週および100IU/kg/10日は、第IX因子トラフ値(≧1IU/dL)をそれぞれ95.4%、89.2%の症例で達成していました。

以上、rFIXFcによる予防治療は、従来の製剤による予防治療と比較して、輸注回数と製剤消費量を大幅に低下させ、第IX因子活性>1IU/dLを維持しやすくして、出血回数も減らすものと考えられました。


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参考:血栓止血の臨床日本血栓止血学会HPへ)
 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:38| 出血性疾患