金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2015年02月01日

ワルファリンとNOACの相違点

スライド31


新規経口抗凝固薬(NOAC)は、心房細動に起因する心原性脳梗塞の予防目的に使用することが可能になりました。

エドキサバン(リクシアナ)は、静脈血栓塞栓症(VTE)にも使用可能です(平成27年1月現在)。今後その他のNOACもVTEに使用可能となるものが出てくるでしょう。

従来は、経口抗凝固薬と言えば、ワルファリンのみでしたが、NOACの登場によって、経口抗凝固療法の選択肢が一気に増加しました。

NOACは、抗トロンビン作用を有したものと、抗Xa作用を有したものがありますが、いずれにしても活性型凝固因子を阻止します。

ワルファリンは、活性型凝固因子を阻止する作用は全くありませんが、基質としての凝固因子(半減期の短い順番に、VII、IX、X、II)を低下させます。

NOACは活性型凝固因子を抑制するのに対して、ワルファリンは基質としての凝固因子を抑制します。この点がNMOACとワルファリンの決定的な違いです。


究極の血栓症ともいえる播種性血管内凝固症候群(DIC)に対してワルファリンを投与しますと大出血をきたします。DICに対してワルファリンは禁忌です。

DICをコントロールするためには基質としての凝固因子を抑制しても全く無効どころか大出血を誘発するのみです。凝固因子の枯渇した劇症肝炎でもDICを発症することからも理解できます。


DICをコントロールするためには、ヘパリンのように活性型凝固因子を抑制する必要があります(このことで初めて凝固活性化にブレーキをかけることができます)。この点、NOACはDICに対して有効である可能性があります。

DICに対する効果が、ワルファリンとNOACではまるで正反対と考えられます。
このように、ワルファリンとNOACは異質の薬剤と言うことができるでしょう。

 

<リンク>推薦書籍「臨床に直結する血栓止血学
血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
金沢大学血液内科・呼吸器内科HP
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参考:血栓止血の臨床日本血栓止血学会HPへ)

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:39| 抗凝固療法