金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2015年02月08日

新規経口抗凝固薬(NOAC):効果と副作用のモニタリング

スライド36

抗凝固療法のモニタリングは、効果と副作用(出血)の両面から考える必要があります。
一つのマーカーで効果も副作用もチェックできれば良いのですが、抗凝固療法の場合はそうはいきません。

ワルファリンのモニタリング法は、既に記事にさせていただきました。
効果の判断はD-ダイマーやF1+2が良いでしょう。出血の副作用のチェックPT-INRになるでしょう。
トロンボテスト(TT)はある意味ではPT-INR以上に優れたマーカーですが、最近はあまりモニタリングに使用されなくなってきているかも知れません。

新規経口抗凝固薬(NOAC)は、効果判定にはD-ダイマーは候補にあげたいところです。
D-ダイマーは、大変に安定感のあるマーカーです。
ただし、心房細動でのD-ダイマーの変動は鈍感なところもあります。
より鋭敏なマーカーである、可溶性フィブリン(SF)などのマーカーにも期待したいところです。
出血の副作用チェックには、PT、APTTを候補にあげたいと思います。

心房細動が動脈硬化を基盤にしている場合があるとしますと、同じく動脈硬化を基盤に動脈瘤を合併していることもあるかもしれません。動脈瘤は慢性DICの原因になりえます。

抗凝固療法を開始する前には、DICの合併の有無をチェックするために、一度はフィブリノゲンやFDP(D-ダイマー)をみておきたいところです。
DICの合併があれば、出血に対する注意がさらに大切になってきます。


いずれのマーカーも1回のみの測定ではなく、定期的にチェックしたいところです。

新規経口抗凝固薬のモニタリングでは、測定周期をどうするかはいろんな意見があると思いますが、3〜4ヶ月くらいの周期でしょうか(ワルファリンのように毎回は必要ないと思います)。

 

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播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
金沢大学血液内科・呼吸器内科HP
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参考:血栓止血の臨床日本血栓止血学会HPへ)

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:52| 抗凝固療法