金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2015年03月10日

血友病とアテローム血栓症(虚血性脳卒中、冠動脈疾患など)

論文紹介です。

「血友病1054症例におけるアテローム血栓性イベントの頻度と危険因子」

著者名:Wang JD, et al.
雑誌名:Thromb Res 135: 502-507, 2015.

<論文の要旨>


血友病患者(persons with hemophilia : PWH)におけるアレローム血栓性イベント(AEs)の頻度と危険因子に関する報告は種々です。

著者らは、台湾National Health Insurance Researchデータベース(1997〜2010)の情報を用いて、男性血友病1,054例におけるAEsの頻度と危険因子を、疾患の無い年齢と性別を一致させた一般人10,540人と比較検討しました。


PWHのAEsは、虚血性脳卒中26例、冠動脈疾患29例、末梢動脈疾患5例であり、一般人における頻度と同等でした。

PWHのAE診断年齢は平均49歳であり、一般人の55.8歳よりも若年でした。


PWHのうちCOPD、高血圧症、高脂血症を有している場合はAEsの発症率は高くなり、ハザート比はそれぞれ3.42、4.15、2.84でした。

PWHのなかで補充療法を必要とした症例では、必要としなかった症例と比較してAEsは低頻度でした(ハザート比:0.41)。


以上、PWHでのAEs発症率は一般人と同等であり、AEsはより若年でみられました。

COPD、高血圧症、高脂血症はAEsの危険因子でした。

補充療法を必要とするPWHではAEsのリスクは低いと考えられました。



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参考:血栓止血の臨床日本血栓止血学会HPへ)
 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:16| 出血性疾患