金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2015年03月12日

免疫性血小板減少症(ITP)と頭蓋内出血(ICH)、重症出血

論文紹介です。

「免疫性血小板減少症(ITP)の成人および子供における重症出血」

著者名:Neunert C, et al.
雑誌名:J Thromb Haemost 13: 457-464, 2015.

<論文の要旨>


免疫性血小板減少症(ITP)の成人および子供における重症出血に伴う患者負担については明らかになっていません。


著者らは、ITP患者における出血イベントの頻度と重症度を検討しました。

20症例以上が登録されたITPに関する全ての前方視的臨床試験について、システマティック・レビューを行いました。


その結果、出血についての報告がされている118臨床試験(n=10,908)が発見されました。

頭蓋内出血(ICH)は成人では1.4%にみられ、小児では0.4%にみられ、ほとんどの症例は慢性ITPでした。

重症出血(ICHを除く)は成人では9.6%にみられ、小児では20.2%にみられ、新規に診断されたITPまたは慢性ITPでした。


以上、ITP患者におけるICHは成人でよりみられやすく、慢性ITPの経過中に発症する傾向にありました。

ICH以外の重症出血は小児で多く、すべての病期でみられました。

ICH以外の出血の報告は臨床試験間で多様性がみられました。

ITPに特徴的な出血の評価法に注意を払うことは、ITP患者の転帰の標準化を改善する上で重要です。


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参考:血栓止血の臨床日本血栓止血学会HPへ)
 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:29| 出血性疾患