VWF値が境界レベルにある場合のVWD診断/VWF:RCo
論文紹介です。
「VWF値が境界レベルにある場合のVWD診断の予測因子」
著者名:Bucciarelli P, et al.
雑誌名:J Thromb Haemost 13: 228-236, 2015.
<論文の要旨>
von Willebrand因子(VWF)値が境界レベルにある場合には、von Willebrand病(VWD)の確認または除外のための次の検査が必要となりますが、この目的のための検査は時間と費用を要します。
著者らは、VWF値が境界レベル(30〜60 IU/dL)にある場合に、VWD診断目的にどのパラメーターを用いるのがよいか検討しました。
出血エピソードあるいは凝固検査異常を有する950症例が第1段階の検査(血算、PT、APTT、第VIII因子、VWFリストセチンコファクター活性<VWF:RCo>、VWF抗原量)が行われ、93症例(女性62例、男性31例;中央値28歳)においてVWF:RCo値が境界レベルでした。
全例で、VWDを確認または除外するための第2段階の検査が行われました。
性別、年齢、出血スコア、家族歴、VWF:RCo、ABO血液型を用いて、VWD診断を予測するための多変量ロジステック回帰分析が行われました。
その結果、45/93症例(48%)はVWDでした(type 1が84%)。
VWF:RCo値とVWD診断率との間には直線的な負の相関がみられました。
とくに血液型が非O型の症例で明らかでした。
VWD診断との関連が強いその他の因子としては、女性であることが挙げられました。
以上、VWF値が境界レベルにある場合には、VWD診断の最も強い予測因子は、:が低値であることと、女性であることでした。
この2因子はVWDが疑われた患者の診断を行う上で有用と考えられました。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:36| 出血性疾患