PT 正常・APTT 延長・出血時間延長:CBT
CBT(コアカリ)の復元問題と解説です。
PT 正常,APTT 延長,出血時間延長.
この挙動を示す疾患はどれか.
a 血友病
b von Willebrand病
c 特発性血小板減少性紫斑病
d 血栓性血小板減少性紫斑病
e 溶血性尿毒症症候群
(問題傾向)
血栓止血関連検査に関する、最も基本的な設問です。
PT、APTT、出血時間はどのような場合に延長するか、逆にどのような場合には正常なのか熟知している必要があります。
(解説)
a:血友病A(第VIII因子の先天性欠損症)、血友病B(第IX因子の先天性欠損症)ともに、APTTは延長しますが、PTや出血時間は正常です。血友病は関節内出血や筋肉内出血が有名です。
b:von Willebrand病(vWD)は、von Willebrand因子(vWF)が低下する先天性出血性素因です。vWFは血小板粘着に重要な役割を演じているため、vWDでは血小板機能が低下して出血時間は延長します。
vWFは、第VIII因子のキャリア蛋白です。vWDでは第VIII因子も低下するため(第VIII因子が産生はされますが安定して血中に存在できません)、APTTは延長します。
c:特発性血小板減少性紫斑病(ITP)では血小板数が低下するために出血時間は延長しますが、APTTは正常です。
d:血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)では血小板数が低下するために出血時間は延長しますが、APTTは正常です。TTPでは、抗ADAMTS13抗体が出現して、ADAMTS13活性は低下します。
e:溶血性尿毒症症候群(HUS)では血小板数が低下するために出血時間は延長しますが、APTTは正常です。抗ADAMTS13抗体は出現しません。
(確認事項)
疾 患
出血時間
PT
APTT
FDP/D-ダイマー
血友病A or B
N
N
↑
N
von Willebrand病
↑
N
↑
N
Bernard-Soulier症候群
↑
N
N
N
血小板無力症
↑
N
N
N
ビタミンK欠乏症
N
↑
↑(※1)
N
先天性第VII因子欠損症
N
↑
N
N
後天性血友病A
N
N
↑
N
DIC
↑
↑
↑(※2)
↑
単純性(or 老人性)紫斑
N
N
N
N
第XIII(13)因子欠損症
N
N
N
N
(※1)
軽症例では、PTは延長しても、APTTの延長は目立たないことが多いです。
ビタミンK依存性凝固因子は、半減期の短い順番に、VII、IX、X、II因子です。
半減期の短いVII因子から低下します(PTが延長しやすいです)。
(※2)
DICの初期では、APTTの延長がみられにくいです(むしろ短縮することもあります)。
ただし、国家試験やCBTの設問では、DICではPT、APTTともに延長することを前提で回答する方が無難です。
(正答)b
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