金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2015年07月17日

TTPとHUSの共通病態

平成27年度 血液内科学系統講義試験
細胞移植学(血液内科)
平成27年7月14日 火曜日

問題紹介です。

血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)および溶血性尿毒症症候群(HUS)の両者に共通した所見の記載として誤っているのはどれか。1つ選べ。


a.    赤血球破砕像
b.    網状赤血球の上昇
c.    抗ADAMTS13活性低下
d.    血清ハプトグロビンの低下
e.    超巨大von Willebrand因子マルチマーの出現


(解説)
TTPとHUSは類似した病態を有していますが、最も大きな違いは、ADAMTS13に対する自己抗体が出現して、ADAMTS13活性が低下するかどうかです。

TTPでは、ADAMTS13に対する自己抗体が出現してADAMTS13活性が低下しますが、HUSではこの機序はありません。

a,b,d,eは、TTPとHUSに共通した病態です。

TTPに対しては、血漿交換が有効です。
1)超巨大von Willebrand因子マルチマーの除去、2)抗ADAMTS13抗体の除去、3)ADAMTS13の提供、という、言わば一石三鳥の意義を有しています。


 (正答) c
 

 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:32| 医師国家試験・専門医試験対策