金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2015年07月20日

ALアミロイドーシスと出血症状

平成27年度 血液内科学系統講義試験
細胞移植学(血液内科)
平成27年7月14日 火曜日

問題紹介です。この問題は簡単すぎましたでしょうか。サービス問題です。

病歴を読み、以下の問いに答えよ。


40歳代の男性。
【主訴】下肢の著明な浮腫と右膝関節内血腫。

【現病歴】生来健康で、出血傾向を認めない。下肢のむくみと右膝関節痛・腫脹を認めたため近医を受診し、ネフローゼ症候群および膝関節内血腫と診断された。腎生検の結果、ALアミロイドーシスと診断された。

【検査所見】
PT 28.3秒、APTT 54.7秒、へパプラスチンテスト(HPT) 30%、フィブリノゲン 268 mg/dl、FDP 11.8μg/ml、D-ダイマー 2.8μg/ml、アンチトロンビン(AT)活性 106%、プラスミノゲン活性 29%、α2プラスミンインヒビター(α2PI) 活性 41%、トロンビン-アンチトロンビン複合体(TAT) 7.6μg/L。

出血の原因を究明するために行うべき検査として誤っているのはどれか。1つ選べ。


a.    出血時間
b.    PIVKA-II
c.    血液凝固第X因子
d.    プロトロンビンフラグメント1+2(F1+2)
e.    血中プラスミン-α2プラスミンインヒビター複合体(PIC)




(解説)
a. 出血時j間は血小板機能をチェックするためのスクリーニング検査です。出血性疾患ではかならず検査します。

b. PTの著しい延長、HPTの低下があり、ビタミンK欠乏症の可能性があります。PIVKA-IIは検査すべきです。

c. ALアミロイドーシスでは、アミロイド繊維に血液凝固第X因子が吸着されて、第X因子活性が低下することがあります。

d. プロトロンビンフラグメント1+2(F1+2)は、TATや可溶性フィブリン(SF)同様に、凝固活性化マーカーです。出血の原因を究明するために行うべき検査ではないです。

e. 
ALアミロイドーシスでは、線溶活性化が原因となって出血症状を来すことがあります。血中プラスミン-α2プラスミンインヒビター複合体(PIC)やα2PIは検査すべきです。


 (正答) d
 

 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:58| 医師国家試験・専門医試験対策