血小板数減少の治療:副腎皮質ステロイド、脾臓摘出術
平成27年度 血液内科学系統講義試験
細胞移植学(血液内科)
平成27年7月14日 火曜日
問題紹介です。この問題も簡単すぎましたでしょうか。サービス問題です。
病歴を読み、空欄( B )に当てはまるのはどれか。1つ選べ。
72歳代の女性。
主訴:血小板数減少
現病歴:約10年前に( A )を発症した。ヘリコバクター・ピ:ロリ感染は陰性で、5年前に行った脾臓摘出術は無効であった。前医では副腎皮質ステロイド(プレドニゾロン)15mgにより血小板数2万/μL前後でコントロールされていた。下肢の紫斑に加えて、時折鼻出血を合併していた。ステロイド性糖尿病があり、インスリン療法を受けている。転居に伴い、当院に紹介受診となった。
経過:受診時は副腎皮質ステロイドの副作用として、満月様顔貌、肥満、糖尿病、高脂血症の合併を認めた。副腎皮質ステロイドの中止と血小板数の増加を目標に( B )の投与を開始した。4週間後には血小板数が5万/μL以上に増加したため、副腎皮質ステロイドを約2ヶ月間かけて中止することに成功した。副腎皮質ステロイド中止により糖尿病は軽快し、インスリン療法も中止することに成功した。
a. DDAVP
b. ビタミンK
c. トラネキサム酸
d. プロトンポンプインヒビター
e. トロンボポエチン受容体作動薬
(解説)
a. DDAVPは血管内皮からvon Willebrand因子をたたき出す作用があります。von Willebrand病の止血治療目的に使用されることがあります。
b. ビタミンKは、ビタミンK欠乏症に対して用いられます。
c. トラネキサム酸(トランサミン)は、線溶活性化に起因した出血症状に対して最も有効です。
d. プロトンポンプインヒビターは、除菌療法に用いられる薬剤の一つです。
e. 原則として副腎皮質ステロイドや脾臓摘出術が無効だったITP症例に用いられています。有効率は極めて高いです。副腎皮質ステロイドの減量を期待することもできます。
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:10| 医師国家試験・専門医試験対策