金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2015年07月22日

血液凝固検査と疾患・病態

平成27年度 血液内科学系統講義試験
細胞移植学(血液内科)
平成27年7月14日 火曜日

問題紹介です。


下記の疾患または病態のうち、検査所見の記載が誤っているのはどれか。1つ選べ。

  疾 患 出血時間 PT APTT Fbg  HPT
a 血友病B 正常 正常 延長 正常 正常
b Glanzmann病 延長 正常 正常 正常 正常
c ビタミンK欠乏症 正常 延長 延長 正常 低下
d 第V因子インヒビター 正常 延長 延長 正常 低下
e Bernard-Soulier症候群 延長 正常 正常 正常 正常

PT:プロトロンビン時間
APTT:活性化部分トロンボプラスチン時間
Fbg:フィブリノゲン
HPT:ヘパプラスチンテスト


(解説)

a. 血友病B(先天性の第IX因子欠損症)では、APTTが延長しますが、PTや出血時間は正常です。

b.Glanzmann病は、血小板無力症と同義です。血小板機能が低下しており、出血時間が延長します。

c. ビタミンK欠乏症では、ビタミンK依存性凝固因子である、VII、IX、X、II因子活性が低下します。PT、APTTともに延長します。ただし、APTTの延長はあまり目立たず、PT延長の方が明らかになるのが早いです。

HPTは、VII、X、II因子を反映した検査です。ビタミンK欠乏症では低下します。

d. 第V因子インヒビターは、第V因子に対する自己抗体が出現して、第V因子活性が低下します。PT、APTTともに延長します。HPTは、VII、X、II因子を反映しますが、V因子の影響は受けません。

e. Bernard-Soulier症候群は、血小板粘着能が低下します。巨大血小板が出現することでも有名です。


(正答)
 d

 

 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:15| 医師国家試験・専門医試験対策