金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2015年08月07日

血友病患者の骨強度と骨梁と骨皮質の微細構造

論文紹介です。

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骨梁と骨皮質の微細構造の早期変化が血友病患者の骨強度を低下させる

著者名:Lee A, et al.
雑誌名:Blood 125: 2160-2163, 2015.

<論文の要旨>

骨密度の低下は、男性血友病患者の加齢とともに大きな懸念材料となり、脆弱性骨折の罹患率を高めます。


高解像のperipheral quantitative computed tomography (HR-pQCT)を使用して、著者らは、血友病患者では年齢・性の一致した健常人と比較して、遠位橈骨と脛骨の両者において、骨梁や骨皮質の骨密度が低いことが体積骨塩量(BMD)の低下につながることを示しました。


血友病で見られる骨梁の骨密度の低下は、骨梁数の低下と分離の増加に起因していました。

骨皮質の骨密度低下は骨皮質が薄いことが原因でしたが、一方、皮質多孔性は維持されていました。


三次元HR-pQCT画像によるMicrofinite要素分析によると、血友病患者の微細構造の欠損は、遠位橈骨と脛骨の両者における生体力学的骨強度の低下につながっていました。



<リンク>
血液凝固検査入門(図解シリーズ)

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:44| 出血性疾患