ITPに合併した後天性von Willebrand症候群
論文紹介です。
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「ITPに合併した抗VWF抗体によるvon Willebrand症候群」
著者名:井原章裕、他。
雑誌名:臨床血液 56: 901-904, 2015.
<論文の要旨>
後天性von Willebrand syndrome (以下AVWS)は、先天性VWD類似の稀な疾患です。
著者らは、血小板数3.2万/μlで著明な出血傾向を示した特発性血小板減少紫斑症(ITP)に合併したAVWSの1例を報告しています。
症例は76歳女性。
脳梗塞後遺症経過中ITPを発症1年後、全身の著明な出血傾向を示しました。
第VII因子活性22%、VWF:RCo<6%、VWF:Ag 276%、第XIII因子活性42%、VWF large mulitimer(±)。
ELISA法でIgG1とIgG4の抗VWF抗体を検出、ITPに合併したAVWSと診断し、プレドニゾロン20mg/日開始後VWFは正常化、血小板数は増加しませんでしたが出血傾向は消失しました。
AVWSはリンパ増殖性疾患、骨髄増殖性疾患、心血管疾患に多いといわれ、ITPでの報告はありません。
本症例は、原因不明の第XIII因子欠乏症も合併した稀な例です。
SLEに合併したAVWSは世界で9例しか報告がないです。
本症例は、SLEの診断基準に入らずITPと診断しました。
ITPに合併したAVWSは初めての報告です。
本症例はVWF活性が上昇後出血傾向は消失し、第XIII因子に変化はありませんでした。
第XIII因子活性は、25%程度あれば出血はないといわれており本症例の出血傾向は第XIII因子低下によるものではないと考えられます。
本例は病歴から早い時期に抗VWF抗体が出現したと考えられ、このような症例で軽い出血傾向の場合見逃されると考えられ、積極的止血検査が必要です。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:40| 出血性疾患