金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2015年09月03日

日本血栓止血学会DIC診断基準暫定案(1)背景

日本血栓止血学会DIC診断基準暫定案を考える(1)背景

日本血栓止血学会DIC診断基準暫定案を考える(インデックス)
詳細はこちら:http://www.jsth.org/committee/pdf/DIC_3.pdf


播種性血管内凝固症候群(DIC)の診断基準としては、旧厚生省DIC診断基準(旧基準)、国際血栓止血学会(ISTH)DIC診断基準(ISTH基準)、日本救急医学会急性期DIC診断基準(急性期基準)が日本では良く知られてきました。

青木延雄ほか:DIC診断基準の「診断のための補助的検査成績、所見」の項の改訂について.厚生省特定疾患血液凝固異常症調査研究班,昭和62年度研究報告書: 37-41,1988.

Taylor FB Jr, et al; Scientific Subcommittee on Disseminated Intravascular Coagulation (DIC) of the International Society on Thrombosis and Haemostasis (ISTH): Towards definition, clinical and laboratory criteria, and a scoring system for disseminated intravascular coagulation. Thromb Haemost 86: 1327-1330, 2001.

丸藤哲ほか: 急性期DIC診断基準多施設共同前向き試験結果報告 . 日救急医会誌 16: 188-202, 2005.



ISTH基準は感度が悪い、急性期基準は全ての基礎疾患に対して適用できないなどの問題があるため、これまでは旧基準が最も評価の定まった基準でした。

しかし、旧基準にも数々の問題点、例えば感染症に感度が悪い、分子マーカーが採用されていない、誤診されることがあるなどが指摘されてきて、この改訂が重要課題となっていました。

DIC診断基準の改訂は、日本におけるDICの臨床と研究を向上させる上で大きな意義を有すると考えられます。

2014年10月に「日本血栓止血学会DIC診断基準暫定案」が誌上発表されました。

このシリーズではそのポイントを紹介したいと思います。

DIC診断基準作成委員会:日本血栓止血学会DIC診断基準暫定案。血栓止血誌 25: 629-646, 2014.



DIC診断基準作成委員会(委員会)が公表したこの新しい基準(新基準)は、検証作業を行う予定となっているために暫定案となっています。

従来の診断基準のいろんな問題点をクリアしており、今後の発展が期待されています。

日本血栓止血学会DIC診断基準暫定案を考える(インデックス)



<リンク>
血液凝固検査入門(図解シリーズ)

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:50| DIC