金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2015年09月08日

日本血栓止血学会DIC診断基準暫定案(6)分子マーカー/AT

日本血栓止血学会DIC診断基準暫定案を考える(6)分子マーカー/AT

日本血栓止血学会DIC診断基準暫定案を考える(インデックス)


詳細はこちら:http://www.jsth.org/committee/pdf/DIC_3.pdf


DICの本態とも言える凝固活性化を反映する分子マーカーとしては、トロンビン-アンチトロンビン複合体(TAT)、可溶性フィブリン(SF)、プロトロンビンフラグメント1+2(F1+2)などが知られています。

これらの分子マーカーは、DIC診断基準の感度・特異度の両者を向上させることが期待されます。

凝固活性化に伴って鋭敏に上昇するばかりではなく、TATやSFはどちらも全く正常であればDICは否定的であるなど除外診断的な意義も有しています。

現在、これらのマーカーを院内測定していない施設の方が多いですが、診断基準に採用することで普及が期待されます。



アンチトロンビン活性(AT)
を診断基準に組込むことは、治療法選択に直結する、特に感染症において予後を評価できるなどの利点がありますが、一方で、ATはDICに特異的な指標ではないという問題点もあります。

実際、肝予備能の低下、血管外への漏出、顆粒球エラスターゼによる分解などでも低下します。


ただし、ATのみでなくほとんどのマーカーがDICに特異的な指標ではないために、DICに特異的ではないという理由のみでATを診断基準に組込まないのも問題でしょう。

今後の検討が必要と考えらます。

日本血栓止血学会DIC診断基準暫定案を考える(インデックス)



<リンク>
血液凝固検査入門(図解シリーズ)

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:31| DIC