出血時間が延長しない疾患・病態
CBTの再現と解説です。試験を受けた学生さんの記憶による再生のため、正確ではない部分があるかもしれませんが、どうぞよろしくお願いいたします。
出血時間が延長しないのはどれか.
a 血友病
b von Willebrand病
c 特発性血小板減少性紫斑病
d 血小板無力症
e 溶血性尿毒症症候群
(ポイント)
出血時間が延長するのは、以下の3つの場合のみです。
1)血小板数の低下
2)血小板機能の低下
3)血管壁の脆弱性の存在
特に、2)についての臨床的な意義が大きいです。
(選択肢)
a 血友病A&Bでは、それぞれ血液凝固第VIII因子&IX因子が先天性に欠乏して、間接内出血や筋肉内出血をきたします。前記の3条件はみたさず、出血時間は正常です。APTTは延長します(PTは正常)。
b von Willebrand病(VWD)は、先天性にvon Willebrand因子(VWF)が欠乏して鼻出血などの粘膜出血をきたします。VWFは、血小板粘着に重要な役割を果たしています。前記の2)を満たすために、出血時間は延長します。なお、VWFは第VIII因子のキャリアー蛋白でもあり、VWDでは第VIII因子も低下してAPTTは延長します(PTは正常)。
c 特発性血小板減少性紫斑病(ITP)では血小板数が低下するために、前記の1)を満たすために、出血時間は延長します。
d 血小板無力症では、血小板膜糖蛋白であるGPIIb/IIIaが欠損して、血小板凝集障害をきたします。前記の2)を満たすために、出血時間は延長します。
e 溶血性尿毒症症候群では、血小板数が低下します。前記の1)を満たすために、出血時間は延長します。
(正答)
a
(解説)
疾患
血友病A or B
von Willebrand病
遺伝形式
伴性劣性
常染色体性優性が最多
欠損因子
第VIII or IX因子
von Willebrand因子
欠損機能
内因系凝固機序
血小板粘着
性別
男性のみ
男女とも
出血部位
関節内、筋肉内
粘膜出血(鼻出血など)
出血時間
正常
延長
PT
正常
正常
APTT
延長
延長
第VIII因子
血友病Aでは低下
低下
IX因子
血友病 Bでは低下
正常
VWF活性
正常
低下
治療
A:第VIII因子濃縮製剤
B:第IX因子濃縮製剤VWF混入の血漿由来第VIII因子濃縮製剤
DDAVP(軽症例で)
<リンク>
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