2017年07月17日
PIVKAII 上昇、AFP正常
平成29年度 血液内科学系統講義試験
平成29年7月12日 水曜日 試験時間 16時00分〜17時00分 (60分間)
問28. 60歳代の男性。
重症の血友病B患者でHIV感染症に対し抗レトロレトウイルス療法を継続していた。
HBVとHCVが既感染ですでに肝硬変となっており、これまで食道静脈瘤破裂も数回繰り返していた。
今回は吐下血により緊急入院となった。
アルブミン2.7 g/dl、ALT(GPT)19 mg/dl、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT) 42.3 秒 (基準 25-37)、プロトロンビン時間(PT)18.7秒(基準 10-11.8)、PIVKAII 3,230 mAU/ml (基準 0-40)、AFP 2 ng/ml (基準 0-28.5)であった。
これは血漿由来濃縮第IX因子製剤投与後であるため、APTTの延長は軽度にとどまっている。
PTの延長や低アルブミンなどの低蛋白血症は肝硬変の影響であり、PIVKAIIの著増は肝細胞癌によるものを第一に考えた。
しかし、各種画像検査では肝細胞癌は検出されなかった。
抗レトロウイルス療法による胃腸障害があり、繰り返す感染症のため抗生薬も多用されていたことから( A )の可能性を考え( A )に対する治療を開始したところ、急速にPIVKAIIは正常化し、PT延長も基準値上限程度まで回復した。
PIVKAIIの上昇から( A )を診断出来た症例であった。肝硬変がベースにあり、肝細胞癌の合併が疑われる患者であっても、AFP値の上昇がない場合は( A )も念頭に入れるべきである。
( A )は何か。
a. 肝不全
b. 腎不全
c. ビタミンK欠乏症
d. プロテインC欠乏症
e. プロテインS欠乏症
(解説)
PIVKAIIは肝細胞がんの腫瘍マーカーですが、ビタミンK欠乏症の確定診断にも用いられます。
また、ビタミンK欠乏症では、APTTよりもPTの延長の方がはるかに目立つことを知っておきたいです。
ビタミンK依存性凝固因子は、半減期の短い順番に、VII、IX、X、IIです。
(正答) c
問28. 60歳代の男性。
重症の血友病B患者でHIV感染症に対し抗レトロレトウイルス療法を継続していた。
HBVとHCVが既感染ですでに肝硬変となっており、これまで食道静脈瘤破裂も数回繰り返していた。
今回は吐下血により緊急入院となった。
アルブミン2.7 g/dl、ALT(GPT)19 mg/dl、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT) 42.3 秒 (基準 25-37)、プロトロンビン時間(PT)18.7秒(基準 10-11.8)、PIVKAII 3,230 mAU/ml (基準 0-40)、AFP 2 ng/ml (基準 0-28.5)であった。
これは血漿由来濃縮第IX因子製剤投与後であるため、APTTの延長は軽度にとどまっている。
PTの延長や低アルブミンなどの低蛋白血症は肝硬変の影響であり、PIVKAIIの著増は肝細胞癌によるものを第一に考えた。
しかし、各種画像検査では肝細胞癌は検出されなかった。
抗レトロウイルス療法による胃腸障害があり、繰り返す感染症のため抗生薬も多用されていたことから( A )の可能性を考え( A )に対する治療を開始したところ、急速にPIVKAIIは正常化し、PT延長も基準値上限程度まで回復した。
PIVKAIIの上昇から( A )を診断出来た症例であった。肝硬変がベースにあり、肝細胞癌の合併が疑われる患者であっても、AFP値の上昇がない場合は( A )も念頭に入れるべきである。
( A )は何か。
a. 肝不全
b. 腎不全
c. ビタミンK欠乏症
d. プロテインC欠乏症
e. プロテインS欠乏症
(解説)
PIVKAIIは肝細胞がんの腫瘍マーカーですが、ビタミンK欠乏症の確定診断にも用いられます。
また、ビタミンK欠乏症では、APTTよりもPTの延長の方がはるかに目立つことを知っておきたいです。
ビタミンK依存性凝固因子は、半減期の短い順番に、VII、IX、X、IIです。
(正答) c
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:34| 医師国家試験・専門医試験対策