金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2009年2月13日

第9回血液疾患先端フォーラム

下記のフォーラムをご案内申しあげます。

 

第9回 血液疾患先端フォーラムのご案内


日時:平成21年2月28日(土) 17:00より

場所:金沢ニューグランドホテル 5階 銀扇の間

               
【製品紹介】ファンガード最新の話題 

 
【特別講演】 

  座長 金沢大学大学院医学系研究科 細胞移植学 教授 中尾眞二


『 非ホジキンリンパ腫に対する最新の治療動向 』

  名古屋第二赤十字病院 血液・腫瘍内科 部長  小椋美知則先生 


共催 血液疾患先端フォーラム/アステラス製薬株式会社

 

 

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 05:49 | 研究会・セミナー案内 | コメント(0) | トラックバック(0)

アトピー咳嗽 & 非喘息性好酸球性気管支炎:好酸球性下気道疾患(3)


前回記事(咳喘息:好酸球性下気道疾患(2))より続きます。

関連記事(日本語の表あり):アトピー咳嗽 vs. 咳喘息:咳嗽の診断と治療(8)


【アトピー咳嗽Atopic cough(AC)

<概念>

気管支拡張薬が全く無効で、ヒスタミンH1-拮抗薬とステロイド薬が有効な乾性咳嗽を呈する疾患概念として、1989年に、当科(金沢大学 血液内科・呼吸器内科)の 藤村らが提唱した疾患概念です。

「アトピー素因」とは、過去、現在または未来に、アレルギー疾患を発症した、発症している、または発症する可能性のある素因を意味しており、IgE抗体産生を意味する狭義の意味ではありません。

 

<病態>

前回記事(咳喘息:好酸球性下気道疾患(2))の表に示したように、咳感受性亢進を呈する好酸球性気管・気管支炎が基本病態です。咳感受性とは気道表層の知覚神経(C-線維かAδ-線維かの同定は不明)の過敏性を言います。末梢気道に好酸球性炎症を認めないのが咳喘息と大きく異なる病態です。

 

 


【非喘息性好酸球性気管支炎nonasthmatic eosinophilic bronchitis(NAEB)

<概念>

 1989年、Gibson PGらが「病理学的には喘息と同様に朝の喀痰中に好酸球増加がみられるのに、生理学的には喘息とは異なり気道過敏性が亢進していない病態」の発見に対して使用した言葉です。

最初から疾患概念として提唱した訳ではなく、好酸球性気道炎症と気道過敏性亢進の関係に一石を投じたものです。以降、英国のBrightling CEが中心となってこの病態を精力的に検討しています。


<病態>

前回記事(咳喘息:好酸球性下気道疾患(2))の表に示したように、好酸球性気道炎症が喘息と同様に中枢気道から末梢気道まで存在しますが、気道過敏性は亢進していない病態です。

病理学的には咳喘息(CVA)に類似してい¥ますが、生理学的にはACに類似しています。




(続く)

 

【シリーズ】 好酸球性下気道疾患

1)概念 & β2-刺激薬の特徴

2)咳喘息

3)アトピー咳嗽 & 非喘息性好酸球性気管支炎

4)咳喘息・アトピー咳嗽・非喘息性好酸球性気管支炎の関係

 

【関連記事】  咳嗽の診断と治療  <推薦>

1)ガイドライン

2)咳嗽の定義 & 性状

3)急性咳嗽

4)遷延性咳嗽 & 慢性咳嗽

5)咳嗽の発症機序

6)診断フローチャート

7)咳喘息

8)アトピー咳嗽 vs. 咳喘息

9)副鼻腔気管支症候群(SBS)

10) 胃食道逆流症(GERD)

11)慢性咳嗽&ガイドライン

 

【関連記事】

慢性咳嗽の診療

非小細胞肺癌治療の最前線

肺がんに気づくサイン

 

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 05:48 | 咳嗽ガイドライン | コメント(0) | トラックバック(0)

咳喘息:好酸球性下気道疾患(2)


前回記事(概念 & β2-刺激薬の特徴:好酸球性下気道疾患(1))より続きます。

なお、関連記事としまして、日本語の表はアトピー咳嗽 vs. 咳喘息:咳嗽の診断と治療(8)からご覧いただけます。


咳の表1



【咳喘息】Cough variant asthma(CVA)


前回記事で書かせていただいた基本事項を背景として、最初に咳喘息が報告されました。

<概念>
1979年Corraoらは、喘鳴や呼吸困難を伴わない(喘息とは診断できない)慢性咳嗽に対して、気管支拡張薬の経口投与が奏効した6症例を喘息の亜型として報告しています。

この6症例では気道過敏性が軽度亢進しており、1年半の追跡中に2名が典型的喘鳴を発症したため、喘息の前段階と認識されています。

その後、「咳喘息」と命名されましたが、欧米、本邦ともに頻度の多い原因疾患です。

 


咳の表2



<病態>
今回の記事内の2つの表(咳喘息、非喘息性好酸球性気管支炎、アトピー
咳嗽の比較)に示したように、生理学的所見も病理学的所見も典型的喘息に酷似していますが、過剰な気管支平滑筋収縮が起こらず、咳嗽のみが表現型となる点が喘息とは異なります

本疾患における咳嗽発生機序の詳細は明らかではありませんが、気管支平滑筋内の知覚神経(Aδ線維)が平滑筋の軽度収縮によって刺激されてインパルスを咳中枢へ送る機序が示唆されています。

したがって、気管支平滑筋を弛緩させる気管支拡張薬が有効な咳嗽を呈することになります。





(続く)

 

【シリーズ】 好酸球性下気道疾患

1)概念 & β2-刺激薬の特徴

2)咳喘息

3)アトピー咳嗽 & 非喘息性好酸球性気管支炎

4)咳喘息・アトピー咳嗽・非喘息性好酸球性気管支炎の関係

 

【関連記事】  咳嗽の診断と治療  <推薦>

1)ガイドライン

2)咳嗽の定義 & 性状

3)急性咳嗽

4)遷延性咳嗽 & 慢性咳嗽

5)咳嗽の発症機序

6)診断フローチャート

7)咳喘息

8)アトピー咳嗽 vs. 咳喘息

9)副鼻腔気管支症候群(SBS)

10) 胃食道逆流症(GERD)

11)慢性咳嗽&ガイドライン

 

【関連記事】

慢性咳嗽の診療

非小細胞肺癌治療の最前線

肺がんに気づくサイン

 

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 05:47 | 咳嗽ガイドライン | コメント(0) | トラックバック(0)

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