血小板と凝固因子:血液凝固検査入門(2)
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止血(hemostasis)は、生理的状態です。この機序がありませんと、人間は生存することができません。
一方、血栓症(thrombosis)は、病的状態です。脳梗塞、心筋梗塞、肺塞栓に代表されるように、血栓症は最悪の場合は人間の命を奪ってしまうこともある怖い病態です。
しかし、不思議なことに、止血という人間にとってはありがたい状態も、血栓という人間にとってはありがたくない状態も、同じ役者が登場します。
すなわち、血管を反応の場としまして、「血小板」と「凝固因子」が手を取り合って止血しますし、同じく「血小板」と「凝固因子」が手を取り合って血栓症を発症させてしまいます。
ですから、血小板と凝固因子という役者は、良い事も悪いこともしているということができます。
(続く)
止血・血栓の機序 <図>:血液凝固検査入門(3)へ
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・ PT(PT-INR)とは?
・ PT(ワーファリン)&トロンボテスト
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:38 | 凝固検査 | コメント(0) | トラックバック(0)
血栓止血の生理と病態:血液凝固検査入門(1)
血液内科と出血性&血栓性疾患:血液凝固検査入門(序)から続く。
前回に予告させていただいたように、血液凝固検査入門をシリーズでお届けしていきたいと思います。
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血液凝固検査に関しては、とっつきにくいと感じておられる方と、自分は得意だという方に二分されるのではないかと思います。このシリーズでは、前者の方を対象にしてシリーズを進めていきたいと思います。
想定している読者の方は、医学部学生、医療関係学部/学科の学生、研修医、血液専門ではない臨床医、検査技師、薬剤師、看護師などです。血液凝固を得意とされている方は、このシリーズはスキップしていただければと思います。
血液は、正常な場合には図では上向きの矢印になります。すなわち、左上の矢印のように正常な場合には凝固せずに循環しますし、右上に行く矢印のように血管外では凝固して止血(hemostasis)します。
この当然と思っている現象が時に破綻する場合があります。図では下向きの矢印です。
すなわち、左下の矢印のように血管内であるにもかかわらず凝固したり(血栓:thrombosis)、右下の矢印のように血管外に出ても凝固しない(異常出血)ことがあります。
歴史的には、右下へいく病態が注目されました。やはり出血というイベントは目に付きやすいです。例えば、血友病、von Willebrand病、血小板無力症などが相当します。
今も出血性疾患の臨床や研究はとても重要ですし、実際に優れた臨床研究、基礎研究が世界に発信されています。しかし、現代に生きる人間においては、左下にいく矢印、すなわち血栓症の発症頻度は極めて高く、その克服は、出血性疾患の克服とともに、人類に課せられた大きなテーマの一つとなっています。
凝血学的検査(血液凝固検査)を理解し駆使できる能力は、上記のような出血性疾患や血栓性疾患の診断、病態把握、診療において最も重要な要素と言うことができます。是非とも、血液凝固検査を駆使できる能力を身につけたいものです。
(続く)
血小板と凝固因子:血液凝固検査入門(2)
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