伝統と文化のまちづくり(3)まちづくりの基本
金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会:平成28年7月17日(日)東急ホテル
伝統と文化のまちづくり: 山出保前金沢市長(インデックス)
特別講演
「伝統と文化のまちづくり」(3)まちづくりの基本
石川県中小企業団体中央会会長、前金沢市長
山出 保
ですから、金沢という町は
保存もしながら開発もするという難しいテーマに挑んでいく宿命を背負っている町、これが金沢だと私は思って今日まできたのです。
金沢の町は保存する所と開発する所を区分けするのです。
私はこれを「
区分けの理論」と言ってみました。
区分けをするということは私にとりますと、調和をさせるということであります。
これをしなかったら私は金沢の町は町でないと思っているのです。
古い所と新しい所をごっちゃにしたら、金沢はないだろうと思います。
日本は、戦争で東京も大阪も大きい町は壊れました。
そうすると、古い町を残しておいて初めて余所の人は良い町ねといってくれるのだと思います。
そういう意味でこの内側の点線【B】の中はこだわりたいと思います。
そこを守るということは逆に開発しやすくするわけですし、【C】を開発するっていうことはやはり古い所を残して古い所を際立たせるということにつらなるわけですので、私はやはりこの区分けはしっかりやりたいと思っています。
分かり易く言いますと、
金沢という町は、昔もある、しかし今もある、こういう町でありたいと思います。
今、日本の中でこの表現ができる町はそうありません。
京都と金沢くらいかと思っています。
保存と開発とか、伝統と現代とかは、本来は矛盾する概念で、
二律背反する概念をどう調和して共存させていくか、そして町をつくっていくか、これは大変むずかしいことですが、金沢という町はこういう難しい課題に挑んでいかなければいけない。
そういう宿命を背負った町だと思っているのです。
伝統と文化のまちづくり: 山出保前金沢市長(インデックス)
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:56
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伝統と文化のまちづくり(2)金沢の地勢
金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会:平成28年7月17日(日)東急ホテル
伝統と文化のまちづくり: 山出保前金沢市長(インデックス)
特別講演
「伝統と文化のまちづくり」(2)金沢の地勢
石川県中小企業団体中央会会長、前金沢市長
山出 保
今度は金沢を上から俯瞰していただきます。
金沢には台地が3つあります。
その台地の間を二つの川が流れています。
台地があるから坂があります。
大変に坂の多い町であります。
二つの川が用水になって町の中を巡ります。
用水の数は55本、延べにしますと150kmです。
私は、こんな町はないと思っています。
タクシーに乗りますと、運転手さんが私に「お客さんはみんな金沢の町が綺麗だと口にされますよ」と言われます。
私はゴミが少ないということもさることながら、それ以上に3つの台地と2つの川、それが用水になって身近に目に入ってくる。
河岸段丘の緑を身近にみられるし、水は手に取るようにみられる。
ですから、金沢の町は綺麗だとお客様は言うのだろうなと思います。
緑と水は絶対に大事にしなきゃいけない町、これが金沢だと私は思っています。
外側のリング(図中の【A】)が書いてありますが、実線は完成部分、点線はもう少しで出来上がります。これが環状道路です。
この環状道路は大事な道路だと思っています。
能登と加賀から車が入ってきまして、お城の所へ集約される、すると市内が混雑するわけですね。
この混雑を避けるために車をこの大きなリング【A】の環状道路に乗せて散らしてやる。
そしたら都心の交通負荷が小さくなるというのが、環状道路の意味です。
これを一生懸命やっておりましたら、元総理の森先生が、「もっと良い名前がないか」とおっしゃるものですから、それで、「アカデミックロード」と言ったわけです。
アカデミックロードの意味合いですが、実はこの画面の中にたくさん「文」があります。
これ大学でございまして、みんな道路にぶらさがっています。
数で勘定しますと、18あるのです。
先生と生徒の数を足しますと、35,000人を超えますので、地方の都市としたら、学生の密度の濃い町、大学の密度の濃い町と言えると思います。
金沢はそういう意味で大学を絶対大事にしなくてはいけない町だと私は思ってきました。
金沢の町で古い雰囲気を残しているのは、お城と兼六園を中心に図の内側の点線【B】の中が、古い雰囲気を残しています。
私はこの内側の点線の中は、原則保存すべきと思ってきました。
同時に、町というのは保存するだけではいけませんで、新しくつくる部分も必要です。
金沢にとって新しく近代化をするところはどこかと聞かれたら、香林坊から武蔵ケ辻へ行って、駅までのメインストリートがそうです。【C1】
そして駅から港一帯にかけて【C2】、ここはやはり開発が原則だと思います。
伝統と文化のまちづくり: 山出保前金沢市長(インデックス)
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:47
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伝統と文化のまちづくり(1)金沢の歴史:山出保 前金沢市長
金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会:平成28年7月17日(日)東急ホテル
山出前金沢市長さんに特別講演をしていただきました。
講演録として、こちらでも紹介させていただきます。
伝統と文化のまちづくり: 山出保前金沢市長(インデックス)
特別講演
「伝統と文化のまちづくり」(1)金沢の歴史
石川県中小企業団体中央会会長、前金沢市長
山出 保
山出です。
近藤邦夫先生は医師会で存じ上げており、お久しい先生方もいらっしゃいまして、何より嬉しく思っています。
金沢の町のことについてお話をするようにとのことですので、これから一時間ばかり時間を貸して下さい。
まず、金沢の歴史をざっと申し上げます。
金沢には、1583年に殿様が七尾から入ってきました。
14代までが侍の殿様です。
今のご当主は18代目になります。
侍は14代までの280年間、どの殿様も戦をしませんで、美術工芸や学問に力を入れました。
明治以降は、計算しますと150年間になります。
第2次世界大戦では、この町には爆弾が落ちませんでした。
今日は7月17日ですが、明後日7月19日は70年前、福井市が焼夷弾を受けまして、燃えました。
私はその時に中学2年生でしたので、金沢の町から福井の空が赤く染まっていた状況を覚えています。8月1日には今度は富山市に焼夷弾が落ちまして、これも空が赤く染まっているのを金沢から見ました。私はそういう体験者の一人です。
かつて文部大臣を務めた永井道雄という先生がいらっしゃいます。
永井柳太郎という大政治家のご子息ですが、京都大学の教壇にお立ちになりました。
その永井道雄先生は私の2代前の金沢市長の岡良一先生と非常に昵懇でございましたので、私は永井道雄先生とお話をすることが何度もありました。
永井先生が私に、「
世界で300〜400年の間、戦火に遭わなかった町が二つある。ヨーロッパではスイスのチューリッヒ、東洋では日本の金沢だよ。だから、金沢という町は平和を大事にしなきゃいけないよ」とおっしゃいました。
忘れがたい一言です。
ですから、金沢は加賀藩政280年間、明治以降150年間、足して
430年間、戦争体験のない町が金沢、
と私はこう思いまして、そういう歴史を金沢市民はちゃんと心得て、この歴史に責任を持つ必要があるのです。
伝統と文化のまちづくり: 山出保前金沢市長(インデックス)
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:46
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