伝統と文化のまちづくり: 山出保前金沢市長(インデックス)
金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会:平成28年7月17日(日)東急ホテル
特別講演
「伝統と文化のまちづくり」
石川県中小企業団体中央会会長、前金沢市長
山出 保
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伝統と文化のまちづくり(17) 観光のあり方
金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会:平成28年7月17日(日)東急ホテル
伝統と文化のまちづくり: 山出保前金沢市長(インデックス)
特別講演
「伝統と文化のまちづくり」(17) 観光のあり方
石川県中小企業団体中央会会長、前金沢市長
山出 保
ところが、ここに来て、どうも町が「危ないぞ」ということになりました。
それは近江町市場へ行ったら大勢観光客が来られて、そのためか、地元の人が行きづらくなりました。金沢らしさの一つ「親しみ」に問題が出てきました。
たくさんお客がくるから、何でも売れば良いとなってきたら、品質への「こだわり」から遠ざかります。
こういうことが今、非常に困ったこととして起きています。
これを金沢市民が心得なきゃいけないと思います。
儲かりさえすれば良い、そして、ホテルの代金を上げると、悪い印象だけがお客様に持たれて、これじゃあ長くお客様が来てくれません。
町が持続するにはどうすれば良いかですが、私はこれをこういう言葉で言ってるんです。
「自制の論理」です。
自らを制御する論理、お互いに自分を抑えると言うことがなかったらだめだと思います。
近江町市場はたくさんお客さんが来て下さって良いけど、これかもずっと近江町市場が栄えていくためには、やはり値段の点とか、応対とかそういうことについて、自分だけ良いというのではいけないよと、こういうことを誰かが呼びかけて教えるべきと思います。
私もその1人かもしれませんけど、しかるべき立場のそういう人たちがちゃんと教えていかなければいけません。
さて最後によく市民の皆様から何気なく
「金沢は古都」だという言葉を聞きます。
しかし本当にそうだろうかなと思います。
冒頭に言いましたように、金沢は14代280年間続きました。
明治になって今日まで150年間です。
足して430年間です。
奈良は1300年間、京都は1200年間、鎌倉は800〜900年間です。
ですから金沢を古都だというのは今日からやめましょう。
金沢を古都とは私は、恥ずかしいと思っています。
もう一つ
「金沢は小京都」とよく言います。
これも私は如何なものかなと思います。
京都はお公家の文化です。
金沢は侍の文化です。
文化の本質が基本的に違うのです。
この前、金沢工業大学の先生で、先日まで京都に住んでいて、金沢に移り住んできて下さった方がおられまして、こう言うことを話されました。
「京都に住んでいて感じることは文化と庶民の間が離れている。金沢へ来ると文化と庶民の間が近く感じる」
そういうことを私に言われました。
ある作家は、こう言いました。
「京都は文化を売るけれども、金沢は生活に使っている」と。
私はそうだろうと思います。
昨年、「京都ぎらい」という本が出ました。
大変売れた本です。
これ、京都大学の先生が書いたのですが、私は読んでなるほどと思いました。
どういうことが書いてあるかと言ったら、京都は洛中、洛中とは御所の近辺です。
御所の近辺、ここが京都なのです。
ここからちょっと離れると、別に見られると。
だから京都は嫌いなのだと。
京都大学の教鞭をとった人がそういうことを書いたのでございます。
私もなるほどと思いました。
金沢にはそういうことが無いわけでございまして、そのほか、金沢は古都ではないですよと、小京都でもないですよと、金沢はどっちかというと江戸に近いと思います。
ところが、江戸は、戦争で壊れて全部無くなって新しいものしかありません。
これらから私は、「金沢は金沢です」と言いたいと思っているんです。
「金沢は金沢だ」と言うことを申し上げて終わらせていただきます。
拙い話を聞いて下さって有難うございました。
伝統と文化のまちづくり: 山出保前金沢市長(インデックス)
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伝統と文化のまちづくり(16) 個性と魅力の発信
金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会:平成28年7月17日(日)東急ホテル
伝統と文化のまちづくり: 山出保前金沢市長(インデックス)
特別講演
「伝統と文化のまちづくり」(16) 個性と魅力の発信
石川県中小企業団体中央会会長、前金沢市長
山出 保
最後に申し上げます。
私は新幹線でたくさん人が来てくれて有難いと思います。
しかし金沢市民は、今の時点でもう一度まちづくりの基本に立ち返ることが必要だと思っています。
基本とは何ぞやと言いますと、
「金沢の個性」って、何だろうかなと。
私は、
歴史と文化だと言いたい。
歴史は戦禍にあったことがないという歴史。
だからこそ多様な文化を内在し学術もあります。
これが金沢の個性です。
そして、
「金沢の魅力」とは何か。
個性っていうのは主観的な概念です。
魅力というと、人の心を引きつける力のさまという理解をしています。
目に見えるような力のさまのことですから、より客観的な概念です。
それでは金沢の魅力は何か、一つは
歴史の多層性だと思います。
いろんな時代相が金沢の町にみられるということです。
例えば、江戸期の建物もあれば、明治の建物もあれば、現代の建物もある。
お城へ行ったら、江戸期の石垣があるけど、その江戸の石垣をよくみると、初代の殿様が積んだ石か、三代目が積んだ石か、五代目が積んだ石か、みんな分かる。
歴史の多層性が目に見える、というのが金沢の魅力だと思います。
そして、
文化の多様性です。
その中身は何かと言ったら、芸ごとがあると、お医者さんも人によってはお謡いをなさいますし、小唄をやられるお医者さんもいらっしゃる。
金沢の芸ごとはやはり幅が広い。
アンサンブル金沢というクラッシック音楽もあれば、ジャズ、ロック、そういうアマチュアの音楽もあるということですので、文化は多様です。
芸ことだけではありません。
工芸、手仕事があります。
なおかつ、食があります。
食べ物がある、お菓子も料理もある。
このように文化は多様であって、これらが目に見える、
それが金沢の魅力だと思っています。
私はごく最近ですが、恥ずかしながら、1つ2つ本を書くことをしました。
その読書会をやりまして、読書会を通じて、
「金沢らしさ」とは何かという議論をしようと言うことになりました。
私に金沢らしさとは何かをしゃべれと、こんなことになりました。
一方、金沢赤十字病院に副医院長の西村先生がいらっしゃいますが、西村先生が私に言われました。「金沢らしいホスピスの家をつくりたいので、ついては金沢らしさとは何かを山出さんに話して欲しい」ということになりまして、しゃべったことがあるのです。私は金沢らしさについて4つをあげました。
1つは「
親しみ」。
東京や大阪のような大きい町ではありません。
規模はヒューマンスケールですから、町を歩きますと人々の暮らしとか生業がわかる、何となく親しい、これが金沢らしさの1つの要素だと思っています。
そして、2つ目に先程言いましたが、町に緑があって、水がある、心が癒されます。
金沢に行ったら何となく心が落ち着く。
「癒し」も金沢らしさの大事な要素だと思います。
3つ目に
「こだわり」ということを言いました。
金沢は学都です。
前田の殿様の頃から学問を大事にしてきました。
一方で美術王国とも言われ、美術も大事にしてきました。
ですから、どんなことにもこだわります。
いい加減な仕事はしません。
生半可は許されません。
それが金沢だと思っています。
そういう意味で「こだわり」を大事にしたいというふうに思います。
4つ目に、
「思いやり」です。
雪が降って、お茶が盛んで、仏教王国で、ですからお互いに雪道を譲り合うことをします。
そして、お菓子をお客様に差し出して、食べていかれなかったら、半紙に包んでお持ち帰りいただくこともします。
これを、「おもたせ」と言いますけど、こういうのも思いやりですし、たくさん食べ物をもらったら隣近所へお裾分けをするというのも思いやりだと思っていまして、私はこの4点が金沢らしさの要素だと思っているんです。
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伝統と文化のまちづくり(15) 北陸新幹線の金沢開業(2015.3.14)
金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会:平成28年7月17日(日)東急ホテル
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「伝統と文化のまちづくり」(15) 北陸新幹線の金沢開業(2015.3.14)
石川県中小企業団体中央会会長、前金沢市長
山出 保
新幹線が、金沢までやっときました。
40年かかって、ここまで来ました。
私はこれでも道半ばだと思います。
これからまた30年、40年かかるかなと。
ここから大阪へ通じなかったら東海道新幹線に代わる北陸新幹線とは言えないわけです。
そういう意味で、道のりはまだまだ遠いと思っていまして、敦賀までは工事をしてもいいということになっているのですが、問題は敦賀から京都、大阪まではルートが決まっていないことです。
早くルートを決めて欲しいです。
この中にも武生のご出身の先生もいらっしゃるし、小浜の先生のお顔もみえます。
早く福井県へ通じて欲しいと思っています。
そしてこれからはなによりも東京から金沢へ人材と知恵を引っ張らなきゃと思います。
人材と知恵を引っ張ろうとすると、この受け皿としての町がしっかりしていないといけないので、お医者さんもいないし、病院も無いところへ人材も知恵も来ませんので、そういう基本のことをちゃんとしながら、一つひとつ具体の仕事も着実にこなしていかなければなりません。
大学も一緒で、やはり、高度な学理を究めることは大学の使命ですけど、片方、大学が身近かな町の中に出る。
このことも必要と思っています。
大学は志を高くしなければいけません。
一方で、地域のことにも目配りが必要だと思います。
この2面をこなさなくて、大学とは言えないと感じています。
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伝統と文化のまちづくり(14) 金沢港の振興(1970年開港)
金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会:平成28年7月17日(日)東急ホテル
伝統と文化のまちづくり: 山出保前金沢市長(インデックス)
特別講演
「伝統と文化のまちづくり」(14) 金沢港の振興(1970年開港)
石川県中小企業団体中央会会長、前金沢市長
山出 保
これは港です。
港ができて、今日までで50年近くになりました。
私は先程言いました。
回転寿司の回転ベルトコンベアーをつくったり、ボトリングシステムも重要ですが、世界的な企業も欲しいなと言うふうに思ってきました。
本社を金沢に誘致することはなかなか難しい。
せめて、工場、生産の機能は金沢にあって欲しいわけでして、幸いコマツが出てきて下さったのです。
日本海側で世界企業が進出し生産をしている町は、私は金沢しかないと思っています。
青森から新潟を経て鳥取、島根までで、世界企業が生産をしている町は、金沢以外にありません。
金沢にある世界企業と言ったら、
コマツと、もう一つは
横河電機だと思います。
横河電気は森本テクノパークで仕事をしていますが、
脳磁計をつくることを考え進めてきたのですが、このほどこの仕事を
リコーに譲りました。
ともあれ横河電機とコマツは、私は世界企業だと思っています。
さて最近、金沢港に客船が盛んに入ってくるようになりました。
これも客船が入ってくるには、やはり入ってくるための町の基盤が整っていなければいけないので、このことが極めて大事なことなのです。
企業の本社が金沢に来て欲しいとは思いますけど、しかし、本社が金沢に来るに足る町でなければいけません。
教育の水準も低く、福祉の水準も低く、そして、医療も無い所に本社は来ませんから。
こういう大きい船が入ってくるのも金沢にやはり魅力があるから来るわけですので、その魅力をつくるのはまちづくりであります。
ちゃんとした町をつくっておかないと、船は寄ってくれないわけであります。
私は、こういう客船が来て有難いと思います。
港に着いて30分で兼六園に行けるのですから。
ただ、兼六園へ来て、すぐまた船に戻って、そして、よそへ行ってしまうというのは困るので、金沢・石川にやっぱり泊まって欲しいなと、こういうことであります。
泊まる仕掛けをつくっていかなければいけない。
それがこれからの金沢の課題であると思います。
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伝統と文化のまちづくり(13) 金沢産業
金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会:平成28年7月17日(日)東急ホテル
伝統と文化のまちづくり: 山出保前金沢市長(インデックス)
特別講演
「伝統と文化のまちづくり」(13) 金沢産業
石川県中小企業団体中央会会長、前金沢市長
山出 保
産業についてちょっとだけ触れておきますけど、私は金沢の産業は「
からくり」から起きたと思っています。
今で言うロボットです。
金沢産業はここから発展してきたと思っていまして、からくりから最初にできるのはこの「
織機」なんです。
自動織機はからくりの延長線上に出てきたものでして、この機械が金沢の町を実は支えてきていたのであります。
ただ、現在は繊維産業が昔の状況とは違って元気を失くしていて、そこに苦しみがあるわけです。
ひとり
津田駒工業は古くから自動織機を製造しています。
織機をつくる工場を持つのは金沢の津田駒工業と愛知県の
豊田織機、この二つくらいでしょう。
こうした事情を打開するように繊維機械の部品メーカーが工作機械の分野に進出するなどいろんなことをやってきているのであります。
工作機械のメーカーの他に食品関連機械のメーカーがユニークな事業展開をしています。
これは回転寿しでして、このベルトコンベアーは
石野製作所が日本のほとんどのシェアを占めて製造しています。
これは
渋谷工業のボトリングシステムであります。
瓶詰めをする機械をつくっています。
このように金沢には、ちょっと変わった企業がたくさんあります。
「ニッチ企業」といいます。
ニッチというのは壁のくぼみ、へこんだ部分をニッチと言いますが、人が気付かないのです。
そういう所に光をあてて、そして付加価値の高い製品をつくります。
これは金沢の得意分野です。
こういうものをこれからやって行かなきゃいけないのですが、私はこの背景は、やはり学術と文化が重要だと思っています。
企業が大学とちゃんと連携して、そして、大学が新しい知恵を出して、高付加価値の製品を生産する、こう言うことをこれから金沢はやっていくべきと思っているのです。
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伝統と文化のまちづくり(12) 金沢の工芸(クラフト)
金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会:平成28年7月17日(日)東急ホテル
伝統と文化のまちづくり: 山出保前金沢市長(インデックス)
特別講演
「伝統と文化のまちづくり」(12) 金沢の工芸(クラフト)
石川県中小企業団体中央会会長、前金沢市長
山出 保
金沢は何と言っても
クラフトの町であります。
種類はたくさんあるのですけど、かかわる方々はみんな苦労していまして、
金沢仏壇も売れないわけですね。
加賀友禅も値段が高くて、しかも女の人も着物を多く着ませんので、そういう意味で業界の方々はみんな苦労をしています。
これをどうするかというのが金沢にとっての重い課題です。
そこで、私はユネスコへ行きました。
ユネスコはパリにありますが、ここでどういうことを言ったかというと、「
創造都市に登録をして下さい」。
ユネスコにこういう仕組みがあるのです。
革新的な文化活動を産業活動に結びつけている、そういう町を創造都市と言おうよというのです。
創造都市全体が手を組んで、そして平和を築こうというのが、ユネスコの一つの考え方であります。
創造都市は創造的な革新的な文化活動をしているということが根底にあるのですけど、この文化活動にジャンルがありまして、文学とか音楽とかデザインとかメディアアートとか決まっています。
その中で
クラフトというジャンルがありまして、クラフトのジャンルで金沢市を創造都市にして欲しい。
こういうお願いに行ったわけです。
首尾よくできました。
そして、これができるとなると、こういうことを通じて金沢のクラフトの仕事を前に進めたいというのが私の気持ちだったのです。
新しいことをしたかったのです。
この容器の軸とこの受け皿。
これは
九谷焼です。
九谷焼きの上にガラスをのっけて、そして、
ワイングラス、嘗ってワイングラスをつくった時にはワインを注ぐ上の部分も全て九谷焼だったのですが、上まで九谷焼にしますと、赤ワインか白ワインかわからない。
上はガラスであって欲しいと。
ところが、ガラスと陶磁器というのは、なかなかくっつかない。
この試験研究に6年かかりまして、やっと出来て、これをヨーロッパに持っていっているのです。
これは今大変調子が良く、売れるのです。
これがクラフトのこれからの一つのあり方だと思っています。
こちらは加賀友禅でカーテンにしたらどうかということでありますが、単価が高くてなかなかうまくいきませんで、まだ実用にいたっていません。
フランソワーズモレシャンが金沢に住んでいまして、私はモレシャンに「友禅を売ろうとする時にどうしたらいいかね」と聞いたら、「それはカーテンですよ」と言われるのですが、値段が高くてなかなか実用にいたっていません。
これからの課題であります。
仏壇も売れませんで、大体仏壇のない家もだんだん増えていくようで、仏壇の需要は格段に減っていて、箔の仕事をどうするか、油取り紙を箔屋さんが売ったってたかが知れているし、お酒の中に金箔を浮かべてもたかが知れてる。
これからはやっぱり、室内のインテリア。
こういう所に箔を使っていく必要があるということになっているのです。
これもこれからだと思います。
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伝統と文化のまちづくり(11) 現代の創造 5
金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会:平成28年7月17日(日)東急ホテル
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「伝統と文化のまちづくり」(11) 現代の創造 5
石川県中小企業団体中央会会長、前金沢市長
山出 保
<鈴木大拙館− 2011年完成>
MROの近くにこういう施設をつくりました。
ここへ先生方、時間がある時に行っていただきたいと思います。
これは
鈴木大拙という先生のメモリアルであります。
私はかねてからこういうことを思っていました。
それは、金沢市という町を世界に発信した人はどなたかなと。
私は二人いらっしゃると思っているんです。
文系では鈴木大拙だなと思います。
鈴木大拙は金沢を世界に発信した先生と、間違いなくそう思っています。
理系では誰かと言ったら、
高峰譲吉だろうなと思っています。
世界に金沢という町を広めた方はこのお二人です。
高峰譲吉は、タカジアスターゼ、アドレナリンを発見した人でございますし、日本とアメリカの交流につくした人であり、片や鈴木大拙は禅の思想を西洋に広めた人です。
東洋の思想すなわち、禅の思想を西洋に知らしめたのは、鈴木大拙だと思っています。
東洋と西洋とどう考え方が違うかというと、簡単に分かり易く言ったら、私は、公園を例にしたらいいと思っています。
西洋の公園は「パーク」で左と右を対称にデザインします。
左側に彫刻をおいたらそれと同じ物を右側に置く。
幾何学的に理論的に処理をするというのが、西洋の考え方だと思っています。
ところが、日本のお庭は「ガーデン」でして、園路は曲がっているし、こちらに灯籠を置いたら石像はあちらに、ここに木を植えたらあちらに草花を植えるというような、対称の所に同じものを植えるとは決まっていません。
ですから、全く自由に、自在に、ありのままです。
西洋は左と右をきちっと「分ける」、東洋は「分けない」考え方であります。
大拙のおっしゃるには西洋の考え方は左右、上下、東と西、もっと突っ込んで言うと、キリストかイスラムか。
最初から区分けすると、これが西洋の考え方で、だから科学はそこから発展していくわけです。
日本の、東洋の、禅の、考え方はこんなルールはなく自然です。
ありのままです。
自在です。
そこが全くちがう。
鈴木大拙は「
円融自在」といいました。
何もルールを決めません。
そしてその中から妙(たえ)なるものを見い出すということでして、こういう考え方であったら世界に平和はもたらせるはずだと私は思っています。
最初からキリストかイスラムかと分けることはしない、これが東洋の考え方だということです。
最近この施設にヨーロッパからの訪問者が大変増えてきています。
もしも先生方、まだ見ていない方がおられるとしたら、一度足を運んで下さると有難いと思います。
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伝統と文化のまちづくり(10) 現代の創造 4
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「伝統と文化のまちづくり」(10) 現代の創造 4
石川県中小企業団体中央会会長、前金沢市長
山出 保
<金沢駅西広場− 2014年完成>
これは駅の西側です。
こういうモニュメント
「悠颺」をつくりました。
金沢出身の
蓮田修吾郎という文化勲章受賞者の先生の作でして、金沢の野田のご出身なのです。
県立工業、東京芸大を出ておられます。
私は20年間も市長をしまして、日本の立派な人からお話を聞くことができました。
最高の幸せだったと思います。
怖いお人ですけど、私は可愛がっていただきました。
このモニュメント「悠颺」は蓮田先生が名付けられたものです。
「先生、なんという名前ですか」「ゆうようだ」。
「どんな字ですか」「ゆうは悠々の悠、ようは風へんに易いと書くんだ」
「どんな意味ですか」「風が吹き上がる様だ」
こう言われたのです。
「
金沢から日本海に向かって風が吹き上がっている、そういう様を言う字なのだ」。
そこで、「先生、それは当用漢字にあるのですか」と聞いても返事がないのです。
そういう謂れ、因縁のある一つの構造物だと理解して下さい。
私はこの西口駅は、日本で一番綺麗な駅だと思っているのです。
理由は、駅舎と周囲の建物に、垂れ幕はありませんし、横断幕もイルミネーションもありません。
広告のたぐいは極端に抑えてる。
そういう意味で私は日本で一番綺麗な駅はここだというふうに思っています。
この前、新聞で外資系のホテルが進出してくると報道されましたが、場所はここです。
国鉄がなくなってJRになりましたね。
土地は国鉄の清算事業団の所有であったのですけど、それを金沢市が買ってあったのです。
そういうものをちゃんと持っていたからハイアットホテルが来るということになりました。
向こう(駅東)の広場はゲートの鼓門をつくりました。
同じ構造物のドームもつくりました。
こちら(駅西)は何もありません。
モニュメント以外は何もありません。
これから金沢は日本海に向けて、蓮田先生の言われる通り風が吹き上がるように発展をしていかなければいけませんので、未来を意識して設えは何もしてないのです。
こういう市の考えを知っていただけると有難いと思います。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:58
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伝統と文化のまちづくり(9) 現代の創造 3
金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会:平成28年7月17日(日)東急ホテル
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「伝統と文化のまちづくり」(9) 現代の創造 3
石川県中小企業団体中央会会長、前金沢市長
山出 保
<金沢駅東広場− 2005年完成>
これは金沢駅です。
これもつくっている時はあまり評判が良くありませんでした。
私の考え方を言いますと、戦争が済んで、これで70年経ったのですけど、日本の町に顔がないなぁと、こんなことを今日まで思ってきています。
どの町も画一的で、均質的で、金太郎飴みたいに切っても、切っても切り口が一緒。
そういう町をつくってしまったなと、そういう思いを強く持ちます。
そういう考えがこういう形になったと理解してほしいと思います。
このガラスのドーム(
もてなしドーム)をつくりました。
金沢は雨が多い町ですので、電車から降りて、濡れないで町なかに出られたら良いということで、屋根をかけたのです。
ガラスです。
骨組みはアルミでして、「
アルミのトラス構造」といいます。
三角形の骨組みのことをトラスといいますけど、そういうこのアルミを使って、ガラスを張って、そして、1つひとつのアルミはトラス構造、強度を持たせて、それであのような屋根をかけています。
この下のゲート(
鼓門)ですが、実は日本の建築家で
芦原義信という先生がいらっしゃって、この先生はずっと金沢市の都市計画や建築の面倒をみてくださいました。
大御所ですけど、私はこの先生からいろんなことを教えてもらいました。
亡くなるまで言われたことが一つありまして、「金沢駅からお城までいくつかゲートがあったらいいね」と何度も言われました。
二度か三度聞いています。
その理屈は「フランスに行ってごらん」と。
「
どの町にも凱旋門がいくつかあるじゃない」と。
確かにフランス行ったら1つの町に凱旋門は2つ3つあります。
「こういうことが金沢でも出来たら面白いね」と何度もおっしゃいました。
その1つがこのゲートだったと理解をしてほしいと思います。
私には、画一化した日本の町に1つくらいユニークな駅があってもいいという思いがありまして、こういうことになったのです。
もちろん、私が独断でやったわけではありません。
先程言いましたが、金沢という町は本当に有難い町です。
大学があるから、この一連のしつらえは特定の開発会社とか、コンサルタントに頼んだわけではありません。
金沢大学、金沢工業大学、金沢美術工芸大学、この3つの大学の先生が集まって、考えて下さったのであります。
行政は大学と仲良くしなくてはいけません。
3つの大学の先生方のコラボレーションだったと言うことです。
伝統と文化のまちづくり: 山出保前金沢市長(インデックス)
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伝統と文化のまちづくり(8) 現代の創造 2
金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会:平成28年7月17日(日)東急ホテル
伝統と文化のまちづくり: 山出保前金沢市長(インデックス)
特別講演
「伝統と文化のまちづくり」(8) 現代の創造 2
石川県中小企業団体中央会会長、前金沢市長
山出 保
<金沢市民芸術村− 1996年完成>
金沢市民芸術村の前身は、
大和紡績です。
大和紡績は、金沢工場を持っていました。
私には考え方があって、紡績工場というのは実は、北海道などの女性が若い時に賃金を稼ぐために内地や都市へ来て、そして、お金をもらったら親元へ仕送りをしていた。
「
女工哀史」という言葉がありますけど、こういう言葉で言われました。
資本主義社会の発達の過程で出てきた言葉なのです。
私は土地と工場を買う決心をしまして、工場の中へ入りました。
どういうことを思って入ったかというと、きっと、たくさんの女性が北海道などから来ていたのだから、大きいお風呂があるはずだと。
お裁縫を教えたから、大きい教室がないかなと思って中に入ったのです。
最後に
倉庫の中に入りましたら、言葉が出ないのです。
原綿をかくまった倉庫ですから。
建物の部材は大きくて分厚くて、頑丈で、私は、これをぜひ残したいと思いました。
先程、岡市長のことを言いましたけど、岡市長のお婿さんが作家の五木寛之氏です。
五木先生は私にいろんなことを話してくださり、次から次と「こうしたらいい」、「あぁしたらいい」とすべてアイデア。
すごいです。
その五木先生が私に言われた言葉なのですけど、「
芝居小屋というものはね、汚くて、狭くて、立ち見が出来るくらいが一番いい」と。
私はその言葉を覚えていて、倉庫の中へ入ったら、直ぐ「ここで芝居をやったらいいな」と思いました。
それでここで芝居を、あるいはジャズ、ロックの音楽を、その練習の場にしたわけです。
私の考え方には、国や県はデラックスな展示場とか、博覧会場とか、あるいは公演場とか、そういうものをつくればいいと、市町村は末端ですから、末端らしいことをやればいい。
先ずは練習の場だ。
練習せずして、発表は出来ないわけですから。
そういう意味で練習の場をつくればいい。
倉庫の中ですから、ジャズとかロックとか大きい音を出す音楽を練習すればいいとそう思ってこういうことをしたわけです。
これはいろんな人に褒められました。
ただ、私にとって不満があります。
そろそろ名の通った日本的な役者、音楽家が出てもいいのになぁと。
出ないということは何が足りないのかなぁと。
そんなことを思ったりもしています。
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伝統と文化のまちづくり(7)現代の創造 1
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「伝統と文化のまちづくり」(7) 現代の創造 1
石川県中小企業団体中央会会長、前金沢市長
山出 保
<金沢21世紀美術館—2004年オープン>
私は、金沢という町は昔も今もある町でなければいけないというふうに申し上げました。これが今であります。
私は美術を知っていて、こういうことをしたのではありません。
知らないから出来たのだと思います。
これをやっている最中は、もう私、四面楚歌でした。
金沢という町に「あんな現代アートの美術館なんて似合わない」。
タクシーに乗って運転手さんに聞くと、「評判悪いよ」とみんな言いました。
県の美術館と市の美術館は至近距離にあって、歩いて10分です。
そんな所で県と市が同じ美術館をつくったら、私はこれこそ「税金の無駄遣いだ」と思いました。
県庁所在地は、県と市が一つずつ美術館を持っているものです。
ですから、金沢市が美術館をつくることについては、私は全く異論を持ちません。
ただ、県と違うものをつくらなかったら意味がないと言うことです。
それでこういうものをやったのです。
これどちらかと言えば
前衛の美術館かも知れません。
美術や建築の世界ではむしろ異端でしょう。
たいがいの美術館というのは高台にあるか、高い基礎の上に大理石なんかでつくって、パルテノンの神殿みたいな美術館というのは一般的です。
そして、美術を鑑賞する人の態度はどうかと言ったら、息を殺して観てます。
ヨーロッパやアメリカへ行ったら学校の先生が子供さんを連れてきて、そして、彫刻の前に座らせて、写生をさせている。
生徒は行儀が悪いから館内を走り回る。
騒々しい。
それがヨーロッパ、アメリカの美術館風景だと言うふうにみてきました。
そういう意味で
金沢の美術館はいささか変わった美術館であっていい、というのが私の考え方です。
こんな現代美術を分からないのがややもすればお年寄りで、分かるのはお子さんで、そのお子さんがこれからの金沢の文化芸術を支え、町をつくっていくのである、私は決して間違ったことではなかったと思っています。
おかげさまで、人がたくさん来て下ったので、なんとか今日まで来ました。(笑)
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:33
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伝統と文化のまちづくり(6)歴史・伝統の保存 3
金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会:平成28年7月17日(日)東急ホテル
伝統と文化のまちづくり: 山出保前金沢市長(インデックス)
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「伝統と文化のまちづくり」(6)歴史・伝統の保存 3
石川県中小企業団体中央会会長、前金沢市長
山出 保
<職人大学校 —1996年開校>
古い建造物等を残して行こうとすると、大工とか壁屋とか植木屋とか、石屋とか、こういう職人の技を大切にしなければいけないのです。
「
職人大学校」というものをつくりました。
私は20年間市長をしましたけど、自分で言うのはおかしいですが、この仕事が一番よかったなぁと自分なりに思っています。
この間、永六輔と言う方が亡くなられました。
永六輔さんは岩波新書に金沢の職人大学校のことを書きまして、「
金沢の職人大学校は文化の危機管理だ」という言い方をして下さいました。
私は有難いなと本当にそう思った次第です。
こういう職人たちをちゃんと残していく必要があります。
この職人たちは、昼に働くのです。
夜にここへ来て、勉強するわけです。
大工は、昼は請負会社へ行って家をつくるわけです。
しかし、一般の家の屋根はまっすぐですが、お寺とか、お社の屋根は反るのですから、反らすテクニックを知らなければいけません。
金沢にお茶室がたくさんあります。
しかし、お茶室はただ何気なく出来るわけではありません。
やろうとすると、お茶のルールを知らなければいけません。
お茶のルールを知って初めて、お茶室が出来るわけですので、そういう意味でこの職人大学校は単に建物を建てる、壁を塗る、そういう職人を養成するのではないのです。
高度なテクニックを教えるためにこういうものをつくったのです。
私は、これは金沢だからできるのだと思っています。
教える人が今はいますから、出来たと思っています。
よその町ではこんなこと簡単にできません。
こういう職人たちといっしょに仕事をしますと、私も親しくなりまして、どういうことを私に言うかというと、その時は市長ですから、「市長、市長、あんたの言う通り勉強しとる。仕事がほしい」こう言うことを私に言う。
「うん、わかるなぁ。しかし職人というのはあんまりお金を欲しがらないものや」こういうふうなことを言ったりして、楽しいんであります。
ちょうど、県がお城の中で長屋をつくったり、櫓をつくったり、塀や門をつくったりしましたので、あそこへ行ったんです。
あそこの仕事をしました。
これはやはり良い勉強になりますので、大変喜びました。
先程言いましたが、お城の仕事は終わりだと言うことになりますと、職人はこれからどうするか、と言うことです。
市長を辞めてもこう言うことを考えているのですから、考えようによっては可哀想な山出です。(笑)
私は
金沢には古い民家がたくさん残っている。
あれを改造して、何にするかって言ったら、住居にしてもいいし、工房にしてもいいし、レストランにしてもいいし。
そういうことがこれからの金沢の大事な仕事になると思っているのです。
そして、新幹線も来ましたから、
東京からやはり知恵を呼んでくるというのが金沢の大事な仕事になると思います。
クリエーター、アーティスト、デザイナー、プランナー、こういう人たちを呼んで、学者も呼ぶのです。
そしてその知恵でこれからこの金沢を元気にして行くということがいいのではないだろうか、こんなことを思っているわけです。
古いことばかりする山出とおっしゃると私もちょっと困りますので、こんな新しいことも考えていると申し上げます。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:23
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伝統と文化のまちづくり(5)歴史・伝統の保存 2
金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会:平成28年7月17日(日)東急ホテル
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「伝統と文化のまちづくり」(5)歴史・伝統の保存 2
石川県中小企業団体中央会会長、前金沢市長
山出 保
<重要文化的景観の選定>
文化財保護法は単体の建造物等を保存することから始まりまして、エリア、ゾーンに広がってきたということを申し上げました。
次は、
景観を文化財にしようというのであります。
即ち、風景を文化財にしようよと、こういうふうに国の考え方がだんだんと広がってきました。
初めは棚田とか段々畑とか、農村漁村の風景を残そうとしたのですが、途中から都市にもいい風景があると言うことになりまして、まず、都市では宇治が最初に指定を受けました。
宇治はお茶を摘んでいる風景とか加工している風景とかそういう風景を国は文化財として残そうとしたのです。
宇治に次いで、金沢はどうだろうと言うことになりました。
金沢で保存すべき景観はなんでしょうか。
わかりやすい事例ですが、一つは植木屋さんが醸す風景の
雪吊りです。
そして、染物屋さんの醸す風景の
友禅流しです。
こういうものを大事にして残していこうと、国はこう言うことを考えてくれたわけです。
ほかに長良川の鵜飼の風景を残そうとか、別府の湯煙りの風景を残そうとか、そういうふうに少しずつ広がってきています。
金沢は都市としたら、全国で2番目にこれらの重要な景観を文化財として指定してくれたわけです。
私は大変有り難いことと思っているのですが、事柄はそれほど簡単では無いです。
加賀友禅の着物に絵を描くとき、
のりを使ってその
のりを落とす作業を友禅流しというのですが、友禅流しの風景を残そうとすると、友禅の仕事そのものをどうやって残して行くかという議論をしなくてはいけないわけでして、言う程簡単ではないのです。
しかし、指定を受ければ、私は有難く指定に応えていくべきと思っているのであります。
また、こういう風景があるからこそ金沢で学会を開いたら、先生方の参加者もたくさんいらっしゃるのだと思います。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:16
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伝統と文化のまちづくり(4)歴史・伝統の保存 1
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石川県中小企業団体中央会会長、前金沢市長
山出 保
<金沢城公園の整備(国史跡)>
お城の方は、保存すべき区域の中にあるわけで、ここは長屋であるとか、櫓であるとか、あるいは門であるとか、こういうものを残して、お庭も新たに手入れしたわけです。
これで復元整備は大体終わりに近いと思っています。
お城は県が取得して県が整備をしている。
大学のあった所です。
市は何をしたかと言ったら、附属小中学校のあった所を市が買って、そして美術館をつくったということでして、そこで、県と市で持ち分を決めたのです。
お城の整備は終末に近くなっていると思っています。
残っているのは、尾山神社の裏側から橋をかけて、お城の中に入れるのです。
その橋をかける仕事が残っています。
尾山神社の裏側に橋をかける、これ「
鼠多(ねずみた)門橋」というのですが、この仕事が残っています。
<重要伝統的建造物群保存地区の選定>
さて、市は何をしていたかと言いますとこんなことをしました。
文化財を残すといいますのは、戦争が済んですぐ出来た「
文化財保護法」という法律で文化財、古い価値ある建造物等を残していこうとしたわけです。
もともと文化財というのは単体です。
本堂とか山門とか。そういう単体の建築物とか、構造物を文化財と考えていますが、文化庁もだんだんこの範囲を広げてきまして、この写真の茶屋街は一軒一軒を文化財にしたのではないのです。
エリアとかゾーンを文化財にしました。
ここに
重要伝統的建造物群と「群」という字が書いてあります。
これはエリア、ゾーンという意味です。
そういうまとまったエリア、ゾーンを文化財にするということです。
ところが、これは楽ではないのです。
お茶屋へ行きまして、「これ文化財にしようよ」と言っても、「そんなことをされたら困る」と反対されます。
なぜ困るかと言いますと、資産価値がさがるというわけです。
文化財にされたら自由に勝手に自分の財産を処理したり変更したりできなくなるから、「それは待って下さい」、それからもしもそういうことになると、観光客がたくさん来て「家が覗かれる」、こんなことで反対されたわけです。
私の2代前の岡市長は残したかったけれども、反対されてできなかったので、きっと無念だったろうなと思いました。
私が市長になりまして、この茶屋街へ何度も行ったんです。
「頼む。これは単なるあなた個人の財産でないんやから、日本の財産なんやから頼むね」と言ったわけです。
25年間かかりまして了解をとりました。
その代わり、電柱をガス灯にするとか、女性ばかりのエリアですから一番困るのは冬の雪の始末です。融雪装置を付けてあげるとか、そういうことをやって文化財になったわけであります。
そうしたら、お客さんがたくさん来まして、私は「ちょっと困るなぁ」と思っているのです。
本当にそう思っているのですが、こうやってこのエリアは残って行くことになりました。
今、お茶屋をエリアとして残してある所は、京都の祇園と、金沢のこの2つ、主計町のお茶屋とひがしのお茶屋。
日本ではこの3つだけであります。
ひがし茶屋街の上にお寺があります。
このお寺も群落を成しています。
これをやっぱり残したいです。
寺町台をご覧になりますと、つば甚の前にお寺がずっと線になって並んでいます。
これも珍しいのでありまして、全国では他にありません。
そこでこういうお寺の群落を残したかったのであります。
これもそう簡単ではないのです。
住職と何度も折衝をするのであります。
私はこう言いました。
「文化財指定をうけてもらうと、国が援助をしてくれます。国庫補助金が出るのです。その補助金に県と市が連れ立って出します。そうすると、皆さんが本堂を直したり、山門を直すときには負担が少なくなりますから、ぜひ文化財指定を受けて下さい」こういう言い方をしたわけです。
時間がかかりましたけど、理解をしてもらいました。
お寺の群落を文化財指定にしたのは金沢だけで、他にはありません。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:05
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