金沢大学・血液内科・呼吸器内科
※記事カテゴリからは過去の全記事をご覧いただけます。
<< 2017/11トップページ2018/03 >>
2018年1月23日

膠原病患者の間質性肺炎(膠原病肺)と肺癌

渡辺知志先生(呼吸器内科、現在、シカゴにあるノースウェスタン大学に留学中)が金沢大学在職中に行った研究の論文が、Journal of Thoracic Diseaseに採択されました。

この研究は、当院のリウマチ内科や皮膚科と共同で行われた研究の成果で、膠原病肺患者が肺癌を発症する頻度や発症患者の特徴を明らかにしました。

Title:
Lung cancer in connective tissue disease-associated interstitial lung disease: clinical features and impact on outcomes

Authors:
Satoshi Watanabe, Keigo Saeki, Yuko Waseda, Akari Murata, Hazuki Takato, Yukari Ichikawa, Masahide Yasui, Hideharu Kimura, Yasuhito Hamaguchi, Takashi Matsushita, Kazunori Yamada, Mitsuhiro Kawano, Kengo Furuichi, Takashi Wada, Kazuo Kasahara

Journal:
Journal of Thoracic Disease (accepted)



特発性肺線維症の患者に肺癌が発症しやすいことは、よく知られています。

膠原病患者にみられる間質性肺炎(膠原病肺)と肺癌発症との関連については、これまで検討されていませんでした。

今回の研究では、266例の膠原病肺患者の長期経過を調べ、うち24例(9.0%)に肺癌を合併すること、肺癌は重大な予後不良因子であること、を示しました。

さらに多変量解析では、興味深いことに肺気腫の存在と免疫抑制療法の未使用が、肺癌発症の独立した危険因子でした。

喫煙や慢性炎症による肺への持続的な障害が、発癌を引き起こしたのではないかと推察しています。

今回の結果は、膠原病肺患者においても特発性肺線維症患者と同様に、肺癌の発症が重要な予後予測因子となることを明確にしました。

なかでも気腫を合併した患者ではより注意深く、画像の経過を診ていく必要があると思われました。
 

渡辺先生

筆頭著者の渡辺知志(左端)と台湾から見学にきた医学生のSon君(左から2番目)、
木場隼人大学院生(中央)、佐伯啓吾大学院生(右から2番目)、木村英晴助教(右端)。血液・呼吸器内科、医員室にて。

 

 <リンク>
血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

金沢大学血液内科・呼吸器内科HP

金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集


投稿者:血液内科・呼吸器内科at 02:10 | 呼吸器内科

血中DNA(リキッドバイオプシー)/EGFR

西川晋吾先生(呼吸器内科、現在がん研究会有明病院)が金沢大学在学中に行った、血中DNA(リキッドバイオプシー)のがん由来変異遺伝子をより高感度に検出できる方法を検証した研究論文が、Journal of Thoracic Diseaseに採択されました。
 

西川先生

Title:
Selective gene amplification to detect the T790M mutation in plasma from patients with advanced NSCLC who have developed EGFR-TKI resistance

Authors:
Shingo Nishikawa, Hideharu Kimura, Hayato Koba, Taro Yoneda, Satoshi Watanabe, Tamami Sakai, Johsuke Hara, Takashi Sone, Kazuo Kasahara, Shinji Nakao

Journal:
Journal of Thoracic Disease (accepted)

この研究は、進行期肺癌患者の治療標的となる上皮成長因子受容体(EGFR)の遺伝子変異を高感度で検出するために開発された方法を用いて、循環血中DNA(cell-free DNA, cfDNA, リキッドバイオプシー)に応用できることを示しました。

現在、リキッドバイオプシーは患者様の身体的負担の少ない遺伝子検査として、抗がん剤治療薬を選択するために日常診療で用いられています。

しかし、現在承認されている検査方法では、検出感度が低いことが問題となっています。

西川は、本研究で用いた方法が、現在承認されている検査方法と比較して、検出感度が高く偽陽性が少ないことを明らかにしました。

この方法が確立することにより、より多くの患者様が、身体的負担の少ない検査で最適な治療を選択することができるようになると期待されます。

この研究では、英国を本拠地としたEKF Molecular Diagnostics社が開発した特定の変異部位のみを増幅できる技術を応用したPointMan™ EGFR DNA Enrichment Kitを用いています。

木村英晴助教は、以前よりEKF社が開発した変異検出キットの臨床検体を用いた検証に関わってきた経緯があり、PointMan™を提供していただきました。

 

 <リンク>
血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

金沢大学血液内科・呼吸器内科HP

金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集


投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:57 | 呼吸器内科

アレルギー疾患の講演と相談会

アレルギー

 

第24回 アレルギー疾患の講演と相談会

主催:公益財団法人日本アレルギー協会
共催:金沢大学 皮膚科・小児科・眼科・耳鼻咽喉科・呼吸器内科

日時:2018年2月24日(土)14:00-16:00
金沢大学附属病院外来棟4階 宝ホール  


<講演会>

皮膚科アトピー性皮膚炎(14:00-14:20)
小児科食物アレルギー(14:20-14:40)
眼科アレルギー性結膜炎(14:40-15:00)
耳鼻咽喉科アレルギー性鼻炎、花粉症(15:00-15:20)
呼吸器内科気管支喘息(15:20-15:40)


<個別相談>

上記講演会と同時に、各科専門医による相談会も実施しております。
アレルギー疾患でお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。


<お問い合わせ>
日本アレルギー協会  石川県ブロック事務局
〒920-8641  金沢市宝町13-1 
金沢大学附属病院 呼吸器内科
Tel 076-265-2274
FAX 076-234-4252

 

 <リンク>
血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

金沢大学血液内科・呼吸器内科HP

金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集


投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:01 | 研究会・セミナー案内

2018年1月22日

CNAPS 2017(フランス, モンペリエ)金沢大学呼吸器内科

2017年9月20日から22日にかけて、フランスのモンペリエで「CNAPS2017」が開催され、金沢大学呼吸器内科の、木村英晴助教と木場隼人大学院生がポスター発表しました。

1

<モンペリエ市内>

 
2

<会場までの道のり>


CNAPS(Circulating Nucleic Acid in Plasma and Serum)
は2年に一度開催される、循環血中DNAに関する研究のみを対象とした、非常に領域の狭いマニアックな学会です。

木場隼人は、多発転移を有する進行期肺癌では腫瘍間ヘテロ不均一性が認められますが、次世代シークエンサーを用いることで循環血中DNAから腫瘍間で異なる遺伝子異常をまとめて回収できることを明らかにし、循環血中DNAの持つ新たな可能性を示しました。

木村英晴は、血液採取からDNA抽出するまでの過程の違いが、得られるDNAの質に影響を与えることを問題提起し、ポスター演題賞を受賞しました。

当の本人は、なぜ自分の演題が本学会に参加した特徴ある集団にうけたのか未だによく理解できておりませんが、この学会との相性の良さを感じとりました。
 
3

<突然の受賞に戸惑う木村英晴助教>

 

 

4

<ランチタイムの一コマ>

 

5

<多額な研究費を投じたにもかかわらずポスター賞を獲得できなかったことに不満を持つ木場隼人大学院生>

 


会期2日目の夜は、地中海に面したレストランを貸し切って、本学会のGala Dinnerが行われました。
6

 <学会長のAlain R. Thierry先生と木村英晴助教>

 

 <リンク>
血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

金沢大学血液内科・呼吸器内科HP

金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集


投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:05 | 呼吸器内科

<< 2017/11トップページ2018/03 >>
▲このページのトップへ