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日本臨床腫瘍学会専門医認定試験の対策(重点記事)
<第4回日本臨床腫瘍学会専門医認定試験を経験して >
試験には、8月末までに提出する書類審査(一次審査)と、11月22日から23日に行われた筆記試験と面接試験がありました。
用意する書類には、受け持ち症例の要約を30症例分、剖検報告書1例以上、臨床腫瘍医としての経歴や抱負の記述、論文・学会発表等の業績がありました。
私(註:この記事の投稿者です)は、8 月31日締め切りのところ、準備を始めたのが8月の上旬でしたから、完成したのは締め切りの直前でした。1ヶ月弱では、とてもきついと思います。
2ヶ月ぐらいの余裕を持って準備する必要があると思いました。
症例の要約は、自分の専門分野(血液)から20症例を、呼吸器から7症例、頭頸部から3症例を選びました。剖検報告書は1例分のみ提出しました。プロフィールの欄には、経歴、現在興味を持っていること、専門医を取得することへの意気込みについて記述しました。
用意する書類の量は多く、内容も複雑であるため、日本臨床腫瘍学会のホームページにある認定試験の申請の仕方を熟読しておく必要があります。漏れがないか何度も確認することが重要だと思います。
書類審査の合否は、10 月半ばに電子メールで通知されました。試験勉強は、その後から本格的に開始しました。勉強期間は約1ヶ月ですが、仕事上いろいろと制限を受けるので、正味2週間ぐらいだったかもしれません。
私が受験勉強に用いた教材は、日本臨床腫瘍学会発行の「新臨床腫瘍学−がん薬物療法専門医のために」という分厚い書籍、国立がんセンターの「がん診療レジデントマニュアル」、それと教育セミナーの教材および日本臨床腫瘍学会のホームページで聴講できる教育セミナーのビデオです。
ビデオは非常に役に立ちました。
ビデオの時間は15分から50分ぐらいです。診療の合間に適当な長さのものを選び見るようにすれば効率よく勉強することが出来ると思います。
ビデオで紹介された内容がかなり試験に出ていたのではないかと思うので、本を読むより遙かに効率がよいのではないかと思います。ビデオの復習に本を用いれば、より理解が深まり、記憶が鮮明になるように思います。
がん診療レジデントマニュアルも必須です。
新臨床腫瘍学は時間が限られている人にとっては読む時間がないためあまり役に立ちません。
教育セミナーの教材もスライドのコピーが多いので、勉強するには意味が分かりにくいものがありました。
筆記試験は、午前2時間と午後2時間の2回行われます。問題文は、比較的大きいフォントサイズで記載されていましたので、40 代の私の視力でも十分に耐えられるものでした。
問題数は午前午後とも80問前後で日本内科学会総合内科専門医試験に比べれば、難易度はさておき、時間的な余裕は十分にありました。
一題一題じっくり読み進めて大丈夫です。回答はマークシート方式です。
「・・・を選べ。」という問いに、いくつ選べばよいのかわからなかったのですが、表紙の注意書きを読めば1つだということがわかりました。
「・・・を2つ選べ。」と複数選ばせる問題もあり注意が必要です。
最初に表紙の注意書きをじっくり読みましょう。
問題は、基礎、薬理、統計、臨床試験、病理、臨床、放射線、支持療法、緩和医療、コミュニケーション・スキルなど、幅広く出題されていました。
教育セミナー(そのビデオ)とがん診療レジデントマニュアルで8割以上はカバーされるのではないかと思いますが、それにはなかった癌腫も出題されていました。
正解率7割が合否ラインなので、勉強する時間の少ない人は、最低限ビデオの内容とがん診療マニュアルの内容をしっかりやる必要があります。逆にいえばこの2つをしっかりやれば合格できると思います。 特に、臨床の問題以外ではビデオが最も少ない時間で効率よく勉強できる教材だと思います。
基礎では、細胞周期、シグナル伝達、血管新生などについて出題されていました。はじめが基礎から始まるため、このところを勉強していないと、試験開始早々じっとこらえる(焦って取り乱す)時間が続くことになります。内容的にはやはり教育セミナー(直近のAとB)の内容をしっかり押させていれば8割以上は取れるように思います。始まりが暗い気分にならないためにもしっかり勉強した方がよいと思います。
統計(臨床試験)もビデオをみて勉強しました。東大の大橋先生のセミナーは素晴らしいのですが、試験対策からは国立がんセンターの柴田先生のビデオが役に立ちました。
試験で、αエラーとβエラーの意味を問う問題がでたのですが、柴田先生のセミナーで、αエラーはあわてんぼうの“あ”がαエラー、βエラーはぼんやりのエラーの“ぼ”がβエラーと覚えると解説していたことを思い出し、解くことが出来ました。
薬理学もビデオを中心に勉強をしました。
神戸大学の南先生の臨床薬理のビデオは必ず見ておく必要があると思います。
倫理、臨床試験、放射線、サイコオンコロジーに関しても時間の関係上、教育セミナーのビデオだけしか勉強する時間はありませんでした。難しい問題もありましたが、セミナーの内容から多くが出題されていたと思います。
病理は、免疫染色で使用する抗体の診断的意味を理解しておく必要があります。
臨床の問題が当然のことながら最も多くを占めていました。疫学、染色体異常や遺伝子異常、病期分類ごとの標準治療、副作用、分子標的薬について出題されていました。
臨床ではビデオよりも、「がん診療レジデントマニュアル」が役に立ちました。
陰茎癌などマニュアルにない癌腫も出題されていましたが、70%の合格ラインを突破する内容は十分に含まれていると思います。分厚い「新臨床腫瘍学−がん薬物療法専門医のために」を読む時間のない人にはマニュアルをしっかりと勉強することが大切です。
ただし、 極めて新しい内容も出題されていますので、一番新しいセミナーの内容を確認することも重要だと思います。
病期分類ごとの標準療法を問う問題では、薬剤名を覚えておくことは大切ですが、投与量や投与スケジュールの細かいことを問う問題はありませんでした。ただし、パクリタキセルとドセタキセルは単剤で使用した場合の投与量が出題されていました。
2日目は面接試験でした。面接は20ブースほどに分かれて行われます。面接時間はあらかじめ通知されていて、30 分ほど前に集合することになっていました。面接時間は30分ほどですが、移動時間などで正味は25分ほどでした。
はじめに提出した30症例のコピーを持参するのですが、面接開始時にその中の1症例を指定されます。指定される症例は専門外のものが多いようです。
私に指定された症例は頭頸部癌(耳鼻科領域) の症例でした。5分ほどでその症例のプレゼンを行い、その後質問を受けました。質問の内容は、病期に応じた標準療法、副作用、予後などでした。また耳鼻科とはどのように診療協力をしていたかも質問されました。
症例要約はその場で見ることができるため、 要約の考察欄に上記の質問事項に対する回答はあらかじめ記載しておくことよいと思います。要約作成時にこの症例に対してどのような質問があるかを念頭に置きつつ作成 すると面接で役に立つのではないかと思いました。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:13
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臨床検査専門医認定試験の受験経験(筆記試験)
筆記試験(1日目の午後)
すべて文字通り文章を書かせる筆記試験です(2.5時間)。マークシートではありません。口から火がでるくらい難しかったです。しかも2.5時間解答を書き続ける必要がある問題量でした(最後の10分位は手が動かなくなってきて苦労しました)。
試験責任者の先生が、試験前に各試験会場を回られて、問題は大変難しいけれども必ず何か書いてくださいと言われました。白紙だと0点にせざるを得ませんが、何か書いてあれば加点するということです。なお領域によっては、自分が解きたい問題を選択させるものがありました。
【血液】全部は思い出せません。以下同様です。
1. 汎血球減少症をきたす疾患を3つ挙げて、必要な検査を書きなさい。
2. DVTと流産の症例提示があり、考えられる凝固異常を3つ書きなさい。必要な検査も。
3. CMLの検査上の特徴を書きなさい。
【免疫】
1. RA診断に必要な検査を書きなさい。A4で1枚の白紙の解答用紙です。どうやってスペースを埋めるか苦しみました。
2. 輸血不規則抗体検査の意義とその実際を述べなさい。
3. 抗好中球細胞質抗体陽性の疾患を2つ述べて、解説しなさい。これもどうやってスペースを埋めるか苦しみました。
4. 各種甲状腺自己抗体検査の意義を述べなさい。
【微生物】
1. 血液培養で、CNS陽性菌が検出された。主治医に連絡すべきことは?感受性試験はどうするか?
2. 標準予防法について述べなさい。
3. 培養検査でS判定と、臨床効果が合わないのはどういう時か。
4. B型肝炎の針刺し事故時の対応を述べなさい。
5. 培養以外で菌の同定を行う方法。具体的な菌名が数個書かれていて、それぞれにつき記載させる。クラミジア、マイコプラズマはあったと思います。あとは思い出せません。
【生化】
1. CA19-9が前医で高値であった。当院では高値ではあったが、正常上限位であった。何が考えられるか。
2. 検体が古いと、尿試験紙法での成績はどうなるか。7項目くらい書かせる欄がありました。
3. Artifactのデータを見せて、原因を判読させる問題。溶血検体の生化データ、EDTA-2Kの生化データがありました。
以上、ご参考になれば幸いです。
管理人は、内科専門医試験の時よりも遥かに勉強したように思います。
新鮮な知識の獲得もあり、とても良い経験になりました。
最後にもう一度強調したいと思います。
この試験は全く勉強しないのでなければ、合格をいただけるのではないかと思います。
ご検討をお祈りいたします。
1)臨床検査専門医試験の受験経験(序)
2)臨床検査専門医試験の受験経験(実技試験)
3)臨床検査専門医試験の受験経験(筆記試験)
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:39
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臨床検査専門医認定試験の受験経験(実技試験)
実技検査(2日目の午前&午後に行われます)
1. 検尿沈渣:変形赤血球、白血球、各種円柱、各種結晶、病原虫など25題(PCに入っている画像を見て解答を記載する)。勉強してあれば極めて簡単ですが、勉強してないと解けないと思います。
2. 簡易血糖測定装置での血糖測定 2検体、試験管は何を使うか(NaFです)、簡易血糖測定装置の測定原理を数行で記載。セミナーで一見重要そうには見えない(?)プリントを1枚もらいます。それを勉強してないと白紙解答になってしまうと思います。
3. 精度管理:X-R管理図の解釈。トレンド、シフトなどの用語を知っている必要あり。どういう時にそうなるかも。これも、セミナーで一見重要そうには見えないプリント数枚セットをもらいます。それを勉強してないと白紙解答になってしまうと思います。
4. LDHアイソザイムの判読:肝炎、心筋梗塞、悪性リンパ腫など。推測ですが、年によって、アミラーゼ、CPK、ALPなどシャッフルするのだと思います。セミナーでもらう問題集をしておけば大丈夫です。
5. 面接:機種、技師数、検体数、検査部の経営がよくなるにはどうすれば良いか、どういう人に技師長になって欲しいか、なぜ専門医試験に受けにきたのかなどを質問されました。
6. 骨髄像:MM、ALL、巨赤芽球性貧血、APLの4題。病名のみでなく、所見や、他に必要な検査なども記載。
7. 血栓止血:sugar water試験の写真を見せてこの病気で見られる凝固異常は何か、末梢血ストリッヒの血小板を判読させる問題、血小板凝集能カーブを見せて何の検査ですか、凝固活性化/線溶活性化検査を言いなさいなど。
8. 血液検査管理:自分の病院で使用している血算機器の名称を述べよ、精度管理の方法、数個のデータみせて血算のパニック値を発見させる質問、SI表示はどれか、血算の再検はどういう時にしているか(XE-2100ではFragが立つ)、外部精度管理は何に参加しているか(大きいのは、日本医師会と日臨技です)。
9. 採血をモデルの前腕でさせる。ラベルの貼り方(字が隠れる貼り方は不可;つまり縦張りにします)、血算・凝固・生化学の採血管をあてさせる問題、採血試験管順、針の捨て方など。
10. 血液型判定、表と裏が一致しない結果になりました、なぜか(B型亜型など)、交差適合試験(生食法とブロメリン法)、なお交差適合試験は生食法とブロメリン法で違う結果になりました、なぜか?不規則抗体のパネルを判読させる問題。
11. 抗核抗体で、Homogeneous pattern、Peripheral pattern、Centromere pattern、のカラー写真を見せて何パターン答えさせる問題。Peripheral patternは、Homogeneous patternに見えましたが、プロが見れば典型的なPeripheral patternなのだそうです。M蛋白の免疫固定法の写真を判読させる問題。IgE-λでした。
12. グラム染色:セミナーで習った方法と、エタノール脱色の方法が違っていてとまどいました。
13. 黄色ブドウ球菌、緑膿菌の感受性試験はどの抗生剤のセットを用いれば良いか?臨床検査専門医会のHPの問題集と同じ問題でした。ディスク法の阻止円の成績を示して、感受性かどうかをあてさせる問題。各抗生剤のSは何mm以上かなどは覚えなくても試験用紙に書かれていました。カラー写真を見せて、菌名をあてさせる問題が10問位(クリプトコッカス、HIVでトキソプラズマ脳症の人のトキソプラズマ、サイトメガロ感染症の病理、β溶血の写真、淋菌のグラム染色、など。検体の患者背景も簡単に記載されていました)。セミナーのカラー資料を制覇しておけば8割は解けますが、2割は分かりませんでした。
14. 扁平上皮の多い痰検体を鏡見させて主治医にどういえば良いか(Geckler分類1群でしたので、再度採痰させるが解答です)、菌名をあてさせる(グラム染色で最も分かりやすい肺炎球菌でした)、適切な培地をあてさせる(実際のシャーレ培地の実物が4つおかれていました。そこから2つ選択させる問題です。答えは羊血液寒天培地、チョコレート寒天培地でした。その他に、BTB培地、SS培地が置かれていました)。
1)臨床検査専門医試験の受験経験(序)
2)臨床検査専門医試験の受験経験(実技試験)
3)臨床検査専門医試験の受験経験(筆記試験)
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:31
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臨床検査専門医認定試験の受験経験(序)
臨床検査専門医(日本臨床検査医学会)は、あまり聞き慣れないかも知れません。
しかし、この資格は今後いろんな意味で大きな意味を持つものと思っています。
たとえば、臨床検査専門医の有無により、病院診療における保険点数の算出方法が変わるようになるかも知れません。
管理人が臨床検査専門医試験を受験したのは2〜3年前ですが、記憶をたどりながら記事にしてみたいと思います。この試験の特徴は、筆記試験のみでなく、実技試験もあるところです。しかも、実技試験の比重が大きいです。
当時、受験者用セミナーが数回開催されていました。この受講が極めて重要です。
実技の講習も含まれています。
また、セミナーでいただく資料は受験用必須アイテムと思います。
当時の合格率は、75〜80%位だったと思います。ですから、全く勉強せずに臨むと不合格になるでしょう。換言しますと、勉強して臨めば、確実に合格をいただけます。
今後の記事で、箇条書き的に当時の試験内容を書かせていただきます。ご参考となれば幸いです。
ただし、かなり記憶が薄らいでいますので、実際と異なる記載が入ってしまうかも知れません。ご容赦ください。
1)臨床検査専門医試験の受験経験(序)
2)臨床検査専門医試験の受験経験(実技試験)
3)臨床検査専門医試験の受験経験(筆記試験)
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:26
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