金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2009年2月8日

診断フローチャート:咳嗽の診断と治療(6)

6のフロー

 

 

 

咳嗽の発症機序:咳嗽の診断と治療(5)からの続編です。

 

【遷延性咳嗽と慢性咳嗽の各論】

8週間以上持続する慢性咳嗽では、95%以上の症例において診断と治療が可能です。

しかし、一般臨床では、咳嗽の持続期間が8週間以上では長すぎる(現実的ではない)と考えられるため、遷延性咳嗽と慢性咳嗽を合わせて解説したいと思います。

 

 

1.遷延性咳嗽&慢性咳嗽の原因疾患

主な原因疾患ないし原因に関しては以前の記事を参照いただければと思います(遷延性咳嗽 & 慢性咳嗽:咳嗽の診断と治療(4))。

感染後咳嗽、百日咳、肺炎クラミジア、マイコプラズマなどの感染症による遷延性咳嗽が抗菌薬治療によって軽快せず、8週間以上持続する場合には、これらの感染症がトリガーとなって慢性咳嗽の原因疾患が発症したと判断すべきです。

決して漫然と抗菌薬治療を継続してはいけないのです。

 

2.遷延性咳嗽&慢性咳嗽の診断

疾患の診断は病態的に行うのが正当ですが、咳嗽の分野は発展途上であり、病態把握のための検査は普及していません。

したがって現状では、頻度の多い原因疾患、治療法の特異性、治療効果の即効性などを加味した治療的診断に頼らざるを得ません(上図を参照)

ただし、咳嗽には自然軽快やプラセボ効果があり有効と判定してしまうこと、逆に治療抵抗性(難治性)の症例では診断不能となってしまうことが重大な問題であり、治療的診断から病態的診断への脱却が不可欠です。



(続く)

 

 

【シリーズ】  咳嗽の診断と治療

1)ガイドライン

2)咳嗽の定義 & 性状

3)急性咳嗽

4)遷延性咳嗽 & 慢性咳嗽

5)咳嗽の発症機序

6)診断フローチャート

7)咳喘息

8)アトピー咳嗽 vs. 咳喘息

9)副鼻腔気管支症候群(SBS)

10) 胃食道逆流症(GERD)

11)慢性咳嗽&ガイドライン

 

【関連記事】 好酸球性下気道疾患

1)概念 & β2-刺激薬の特徴

2)咳喘息

3)アトピー咳嗽 & 非喘息性好酸球性気管支炎

4)咳喘息・アトピー咳嗽・非喘息性好酸球性気管支炎の関係

 


【関連記事】NETセミナー

慢性咳嗽の診療

非小細胞肺癌治療の最前線

肺がんに気づくサイン

 

 
【リンク】金沢大学血液内科・呼吸器内科関連

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 07:21 | 咳嗽ガイドライン | コメント(0) | トラックバック(0)

咳嗽の発症機序:咳嗽の診断と治療(5)


遷延性咳嗽 & 慢性咳嗽:咳嗽の診断と治療(4)からの続編です。



【咳嗽の発生機序】

湿性咳嗽
:喀痰を喀出するための生理的咳嗽。診断と治療の標的は気道の過分泌です。

乾性咳嗽:咳嗽が一次的に発生する病的咳嗽。診断と治療の標的は咳嗽そのものです。


乾性咳嗽の発生機序には、少なくとも以下の2つがあります。

1)気道表層の咳受容体の感受性亢進によって咳嗽が発生する機序:
アトピー咳嗽胃食道逆流による咳嗽ACE阻害薬による咳嗽などが該当する。

2)気管支平滑筋の収縮がトリガーとなって咳嗽が発生する機序:
咳喘息のみが該当します。


(続く)

 

【シリーズ】  咳嗽の診断と治療

1)ガイドライン

2)咳嗽の定義 & 性状

3)急性咳嗽

4)遷延性咳嗽 & 慢性咳嗽

5)咳嗽の発症機序

6)診断フローチャート

7)咳喘息

8)アトピー咳嗽 vs. 咳喘息

9)副鼻腔気管支症候群(SBS)

10) 胃食道逆流症(GERD)

11)慢性咳嗽&ガイドライン

 

【関連記事】 好酸球性下気道疾患

1)概念 & β2-刺激薬の特徴

2)咳喘息

3)アトピー咳嗽 & 非喘息性好酸球性気管支炎

4)咳喘息・アトピー咳嗽・非喘息性好酸球性気管支炎の関係

 


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遷延性咳嗽 & 慢性咳嗽:咳嗽の診断と治療(4)

 

 咳嗽の定義 & 性状:咳嗽の診断と治療(3)からの続きです。

咳嗽に関するガイドライン」に関連した記事です。

 


【遷延性咳嗽 & 慢性咳嗽】


遷延性咳嗽 & 慢性咳嗽の原因疾患は以下の通りです。

慢性咳

 

遷延性咳嗽と慢性咳嗽の診療のアウトラインを以下の図に示します。

慢性咳ライン

 

 

我が国における慢性咳嗽の三大原因疾患は、以下の通りです。

1)咳喘息(乾性咳嗽)

2)アトピー咳嗽(乾性咳嗽)

3)および副鼻腔気管支症候群(湿性咳嗽)

 

遷延性咳嗽ではこれらにかぜ症候群後遷延性咳嗽(感染後咳嗽と省略、乾性咳嗽)が加わります。

さらに頻度は低くなりますが、胃食道逆流による咳嗽(乾性咳嗽)、ACE阻害薬による咳嗽(乾性咳嗽)、心因性・習慣性咳嗽(乾性咳嗽)などにも注意が必要です。



(続く)

 

【シリーズ】  咳嗽の診断と治療

1)ガイドライン

2)咳嗽の定義 & 性状

3)急性咳嗽

4)遷延性咳嗽 & 慢性咳嗽

5)咳嗽の発症機序

6)診断フローチャート

7)咳喘息

8)アトピー咳嗽 vs. 咳喘息

9)副鼻腔気管支症候群(SBS)

10) 胃食道逆流症(GERD)

11)慢性咳嗽&ガイドライン

 

【関連記事】 好酸球性下気道疾患

1)概念 & β2-刺激薬の特徴

2)咳喘息

3)アトピー咳嗽 & 非喘息性好酸球性気管支炎

4)咳喘息・アトピー咳嗽・非喘息性好酸球性気管支炎の関係

 


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