慢性咳嗽&ガイドライン:咳嗽の診断と治療(11)
胃食道逆流症(GERD):咳嗽の診断と治療(10)からの続編です
(咳嗽ガイドライン関連記事)
【慢性咳嗽のその他の原因】
慢性咳嗽の原因としては、既に記事にしたものの他に、以下もあります。
1. ACE阻害薬による咳嗽
2. 慢性気管支炎
3. かぜ症候群後遷延性咳嗽(感染後咳嗽)
4. 心因性・習慣性咳嗽
5. 肺癌
6. 気管・気管支結核
7. 気道内異物
8. 間質性肺炎
9. 気管支漏(ブロンコレア)など。
【シリーズ「咳嗽の診断と治療」を完結するにあたって】
咳嗽の原因や原因疾患を知ることは、医療者側にとっても患者側にとっても有益です。
知らないほど心配・不安なことはありません。
さらにそれぞれの原因疾患には、軽症や中等症に対しては、有効な治療法が確立されています。しかしながら、重症や難治性では治療的診断は不可能になります。
どんな疾患でもそうであるように、病態学的に診断し、診断に基づいて治療を始めることが必要ですし、咳嗽に関するガイドラインは将来に向けて成長しなければならないと思います。
さらに、より強力で即効性のある治療法の開発も重要です。
(続く)
【シリーズ】 咳嗽の診断と治療
1)ガイドライン
3)急性咳嗽
5)咳嗽の発症機序
7)咳喘息
10) 胃食道逆流症(GERD)
11)慢性咳嗽&ガイドライン
【関連記事】 好酸球性下気道疾患
2)咳喘息
【関連記事】NETセミナー
慢性咳嗽の診療
非小細胞肺癌治療の最前線
肺がんに気づくサイン
【リンク】金沢大学血液内科・呼吸器内科関連
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 07:01 | 咳嗽ガイドライン | コメント(0) | トラックバック(0)
女性医師就業継続支援事業(石川県)
本日、以下のような案内をいただきました。石川県としても、女性医師就業継続支援を行うべく努力されているようです。
女性医師の多い、私達の金沢大学 血液内科・呼吸器内科としても、この「支援事業」を支援するために、ブログ記事にしておきたいと思います。
女性医師就業継続支援事業
石川県では、結婚・出産・育児など家庭の事情で離職し、しばらく仕事をされていない女性医師で再就業を希望される方のための相談窓口を設置しました。
◇ ブランクがあるので勤務できるか不安
◇ 院内保育所のある病院に勤務したい
◇ 復帰前にトレーニングをうけたい
などの相談・お問い合わせをお受けします。
◇ 今は仕事を続けているが、育児で大変
◇ こういう改善ができたらよいのに
という女性医師の方についてもご相談・ご意見をお寄せください。
<相談窓口・お問い合わせ先>
石川県健康福祉部医療対策課内
石川県地域医療サポートセンター
電話:076-225-1449(直通)
FAX:076-225-1434
Eメール:iryoujin@pref.ishikawa.lg.jp
<ホームページでも各種情報提供しています>
石川県地域医療サポートセンターのホームページ内「女性医師就業継続支援事業」をご覧ください
石川県地域医療サポートセンターのアドレスは下記のとおりです
http://www.pref.ishikawa.jp/iryou/support/center.html
【以下は当科ブログで掲載中の関連記事です】
子育て女性医師に対する取り組み(5回シリーズ)
女性医師の時代の足音が聞こえますか
2. 女性医師の役割
3. 女性医師問題・バンク
4. 医師不足の解消へ
5. 医師不足と業務のあり方
6. 女性医師と多様な働き方
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:59 | 女性医師(当科)からのメッセージ | コメント(0) | トラックバック(0)
胃食道逆流症(GERD):咳嗽の診断と治療(10)
副鼻腔気管支症候群(SBS):咳嗽の診断と治療(9)からの続編です(咳嗽ガイドライン関連記事)。
【胃食道逆流症】 gastro-esophageal reflux disease(GERD)
概念
胃酸が食道に逆流することによって、何らかの症状や合併症が生じている状態を胃食道逆流症(gastro-esophageal reflux disease:GERD)と言います。ただし、内視鏡的な逆流性食道炎とは一致しません。
GERDの症状の一部に乾性咳嗽があります。
また、乾性咳嗽が唯一の症状の場合もあります。
病態
以下の2つの機序が考えられています。
1)reflex mechanism:
胃食道逆流によって食道下端に存在する迷走神経末端が刺激され、迷走神経反射を介して咳嗽が発生する機序です。
2)microaspiration mechanism:
胃食道逆流によって胃内容物が気管・気管支に少量誤飲され、気管支平滑筋や咳受容体が直接刺激されることによって咳嗽が発生する機序です。
また、咳嗽によって誘発された胃食道逆流がさらに咳嗽を悪化させるという咳嗽‐逆流自己悪循環(cough-reflex self-perpetuation cycle)説も提案されています。
診断
胃食道逆流症(GERD)による咳嗽を疑うのは、以下の図(再掲です)に示した治療的診断に失敗した時です。

GERDを疑えば、プロトンポンプ阻害薬(PPI)を投与しますが、咳嗽が改善するまでに必要な平均期間は161〜179日であり、長期間の投与が必要です。PPIによって咳嗽が消失すればGERDと診断できます。
簡易診断基準を以下に示します。
胃食道逆流による慢性咳嗽の簡易診断基準
1.治療前診断基準
8週間以上継続する慢性咳嗽で,以下のいずれかを満たす
(1)胸やけ、呑酸など胃食道逆流を示唆する上部消化器症状を伴う
(2)咳嗽の原因となる薬剤の服用(ACE阻害薬など)がなく,抗菌薬,H1拮抗薬,気管支拡張薬および吸入ステロイド薬が無効
2.治療後診断
胃食道逆流に対する治療(プロトンポンプ阻害薬、H2拮抗薬など)により咳嗽が軽快する
治療
十分量のPPIを投与します。
著効例では投与2週間で咳嗽の著しい改善を示すことが報告されていますが、通常は4週間以上の投与が推奨されています。
PPIが無効な症例では、外科的治療(fundoplication)が実施されることもあります。
(続く)
【シリーズ】 咳嗽の診断と治療
1)ガイドライン
3)急性咳嗽
5)咳嗽の発症機序
7)咳喘息
10) 胃食道逆流症(GERD)
11)慢性咳嗽&ガイドライン
【関連記事】 好酸球性下気道疾患
2)咳喘息
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非小細胞肺癌治療の最前線
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:58 | 咳嗽ガイドライン | コメント(0) | トラックバック(0)
第31回日本造血細胞移植学会総会(札幌)
先日、以下の学会が開催されました。
金沢大学 血液内科・呼吸器内科(今回は血液内科)からも大勢の参加、発表がありました。
学会参加の証拠写真(?)をアップしておきたいと思います。
日頃の大変な激務の中、しばしのつろぎの瞬間の画像です。
また、明日からの激務に向けて、決意を新たにしているところです。
右下の写真では、管理人には「明日からもまた頑張ろう〜」と気勢を上げているように見えます。
背景の雪像は、お前達に任せたぞ〜と、応援しているようです。
第31回日本造血細胞移植学会総会
テーマ: パイオニアスピリットと移植医療の進歩
会長: 笠井 正晴 (特定医療法人 北楡会 札幌北楡病院)
会期: 2009年2月5日(木)〜2月6日(金)
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:52 | 血液内科 | コメント(0) | トラックバック(0)