金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)忘年会(H27)17
金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)忘年会が行われました。
平成27年12月12日(土)(ANAクラウンプラザホテル金沢)
今回も楽しい忘年会になりました。
ありがとうございます。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
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忘年会では、会が進行するとともに、立って話しをする方々が増えていきます。
盛り上がっていきます。
ありがとうございます。
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金沢大学第三内科、関連病院からも多数ご出席いただいています。
いつも大変にお世話になり、ありがとうございます。
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名司会のもとで、とても楽しい会になりました。
ありがとうございます。
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症例から学ぶ播種性血管内凝固症候群(DIC)
<インデックス>
1)症例1の提示
7)症例2の提示
8)症例2の臨床経過
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症例(2)
症例から学ぶ播種性血管内凝固症候群(DIC)(インデックス)
<線溶亢進型DICの治療>
メシル酸ナファモスタットとメシル酸ガベキサート
線溶亢進型DICに対しては、メシル酸ナファモスタット(商品名:フサンなど)が有効です。
本薬は抗プラスミン作用を合わせ持った抗トロンビン薬であり、線溶亢進型DICには極めて相性の良い薬物です。
一方、メシル酸ガベキサート(商品名:FOYなど)は臨床用量では、抗線溶効果はマイルドであり、線溶亢進型DICには無力です。
両薬の薬効の違いを理解しておきたいところです。
へパリン類&トラネキサム酸併用療法
この治療法は、「諸刃の剣」治療ということができます。
線溶亢進型DICに対しては、へパリン類&トラネキサム酸併用療法も極めて有効であり致命的な出血に対しても著効しますが、線溶亢進型DICの診断を確実にすべきです。
病型分類に自信をもてない場合には行ってはいけない治療です(全身性血栓症による突然死の報告があります)。
必ず専門家にコンサルトすべきです。
症例から学ぶ播種性血管内凝固症候群(DIC)(インデックス)
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症例(2)
症例から学ぶ播種性血管内凝固症候群(DIC)(インデックス)
<FDPとD-ダイマーの乖離現象>
本症例では、血中FDPとDダイマーは上昇していますが、両者の間に乖離現象があるために、FDP/Dダイマー比は上昇しています(Dダイマー/FDP比は低下しています)。
線溶活性化が高度であるためにフィブリン分解のみならず、フィブリノゲン分解が進行していると推測されます。
つまり、フィブリノゲンの低下は消費性凝固障害のみでなくフィブリノゲン分解も加味されているものと考えられます。
線溶活性化の評価のためには、PIC、α2PIの測定が不可欠ですが、必ずしもこれらのマーカーが即日結果がそろう医療機関ばかりとは限りません。
そのような場合には、フィブリノゲン低下、FDP著増所見に加えて、FDPとD-ダイマーの乖離現象を評価することで、線溶亢進型DICと推測することが可能です(FDP著増は大前提)。
なお念のためですが、線溶亢進型DICの診断のためには、FDP著増は大前提です。FDP/Dダイマー比の上昇があっても、FDPが著増していなければ、線溶亢進型DICではありません。
症例から学ぶ播種性血管内凝固症候群(DIC)(インデックス)
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症例(2)
症例から学ぶ播種性血管内凝固症候群(DIC)(インデックス)
<DICの出血症状の原因>
本例では、血小板数は数万レベルに低下していますが、この程度ではここまでも高度な出血の原因にはなりません。
例えば、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)症例では、血小板数は数万程度であればまず出血はないために、ステロイド治療を行うことはなく経過観察しています。
血小板数低下に加えて血中FDP&Dダイマーは明らかに上昇しており、フィブリノゲンは低下、凝固活性化マーカーであるトロンビン-アンチトロンビン複合体(TAT)は著増しています。
消費性凝固障害を伴った播種性血管内凝固症候群(DIC)の診断は容易です。
さらに、治療方針を決定するためにはDICの病型分類が重要です。
実際、線溶活性化マーカーであるプラスミン-α2プラスミンインヒビター複合体(PIC)は著増しています。
線溶活性化が高度なことで有名な急性前骨髄球性白血病(APL)の平均レベルが10μg/mL程度ですから、本例ではAPLを凌駕するような線溶活性化です。
α2プラスミンインヒビター(α2PI)10%と際立った低下をきたしていますが、α2PIが大量に形成されたプラスミンと1対1結合するために消費されていると考えられます。
プラスミノゲンもプラスミンへの転換が進行しているために、半減しています。
典型的な線溶亢進型DICです。
DICにおける高度な出血は、血小板数の低下よりも線溶活性化の程度、特にα2PIの低下と密接に関連しています。
PICは線溶活性化を反映する重要なマーカーですが、PICを測定するようなDIC症例では、必ずα2PIもチェックしたいところです。
線溶亢進型DICでは、肝予備能の低下がなければアンチトロンビン(AT)の低下がみられない点も特徴です。
この点は、敗血症に合併したDICでATが低下しやすいのと対照的です。
なお、線溶亢進型DICの典型例では、AT、プラスミノゲン、α2PIが、それぞれ90%、60%、30%程度になることが多いです。
ATが低下していても、それはDICのためではなく肝予備能低下など他の要素を反映しています。
本症例ではATは約70%となっているためAT、プラスミノゲン、α2PI に+20%補正すると、偶然ではありますが上記の各%に近い数字となります。
<ポイント>
・ DICにおける出血症状の重症度は、血小板数低下よりも、線溶活性化と関連しています。
特に、PICの上昇を伴うα2PI著減例は要注意です。
・ 線溶亢進型DICを疑う症例では、PICのみでなくα2PIも測定すべきです(当然TATも測定します)。
・ 線溶亢進型DICではAT活性は低下しないことが多いです。
もし低下していれば、それはDICのためではなく、肝予備能低下などの他要素のためです。
症例から学ぶ播種性血管内凝固症候群(DIC)(インデックス)
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症例(2)
症例から学ぶ播種性血管内凝固症候群(DIC)(インデックス)
<臨床経過>
本症例は残念ながら生前診断されることなく剖検診断となった症例です。
右肺動脈原発平滑筋肉腫の症例でした。
基礎疾患の治療はなされなかったため経過を通して基礎疾患は次第に悪化した症例ですが、DICは軽快した点を強調したいと思います。
線溶亢進型DICに対しては抗プラスミン作用(抗線溶作用)も強力な合成プロテアーゼインヒビターであるメシル酸ナファモスタット(フサン®)が相性の良い薬剤です。
本症例でも、フサン投与により速やかに、TAT、PICは低下して、α2PIは1〜2日レベルで回復しました。
FDP、Dダイマーも奇麗に低下しています。
血小板数の回復はみられない線溶亢進型DICは、しばしば経験されます。
線溶亢進型DICでは治療によって血小板数が不変であってもDICは軽快していないと誤判断しないようにしたいところです。
入院時にみられていた著明な出血症状は翌日にはほとんど消失していました。
メシル酸ナファモスタットの劇的な臨床効果を実感できた症例です。
フサン投与中は高K血症の副作用には注意する必要があります。
なお、メシル酸ガベキサート(FOY®)にはフサンに見られるような強力な抗線溶効果はみられず、線溶亢進型DICには無効です。
11月に入りフサンの効果に限界が見られるようになったために、へパリン&トラネキサム酸(トランサミン®)併用療法に切り替えたところ、DICは再度コントロールされました。
当時はへパリン&トラネキサム酸併用療法の症例経験が現在よりも遥かに乏しかったために、へパリン類5,000単位/24時間、トラネキサム酸3g/24時間の用量で開始になっていますが、現在であればへパリン類10,000単位/24時間、トラネキサム酸1.5g/24時間から開始したのではないかと思われます。
本症例は途中で上大静脈症候群を合併したために、へパリン増量、トラネキサム酸減量がなされていますが、現在の考え方ではへパリンはもっと高用量であっても良かったと考えられます。
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症例(2)
症例から学ぶ播種性血管内凝固症候群(DIC)(インデックス)
患者:70歳代、男性
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症例(1)
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<DICの病型分類>
DICの病型分類を行うことによって、DICの早期診断につながるばかりでなく、より適切なDIC治療薬を選択することが可能です。
・朝倉英策:播種性血管内凝固症候群(DIC)。臨床に直結する血栓止血学(朝倉英策編)中外医学社、p168-178, 2013.
・朝倉英策:播種性血管内凝固症候群(DIC)。しみじみわかる血栓止血 vol.1 DIC・血液凝固検査編.中外医学社、p48-146, 2014.
・Asakura H: Classifying types of disseminated intravascular coagulation: clinical and animal models. J Intensive Care 2:20, 2014.
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症例(1)
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<治療効果判定上の注意点>
重症感染症に合併したDICにおいては、血小板数やFDP、D-ダイマーの推移のみで治療効果を判断しますと誤判断します。
治療効果判定の落とし穴といえるでしょう。
血中TATは、DIC診断のみならず治療効果の判断という観点からも優れたマーカーと言えます。
もしも本症例でTATの測定を行っていなければ治療が無効と誤判断して、治療法の変更など不適切な対応をしていたかも知れません。
血小板数の低下や、FDPおよびD-ダイマーの上昇もDICに特徴的な所見ではありますが、決してDICの本態を反映している訳ではありません。
DICの本態は、著しい凝固活性化であるため、治療効果の判定もTATやSFなどの凝固活性化マーカーで行うというのは、理にかなっています。
血中SFもTATと同じ位置付けになりますが、管理者らは最近TATとSFが乖離することが多々あることを実感しています。
TATが軽度上昇に留まるにも関わらず血中SFが著増する例は予後不良であり、逆にTATが明らかに上昇するにも関わらず血中SFが軽度上昇に留まる例は予後良好である印象を持っていますが、この点は今後の研究課題になりうると考えられます。
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症例(1)
症例から学ぶ播種性血管内凝固症候群(DIC)(インデックス)
<アンチトロンビン(AT)活性測定上の注意点>
アルブミンは同じ分子量であるアンチトロンビン(AT)と併行して変動することが多く、DIC合併の有無にかかわらず血中アルブミンとAT活性は正相関します。
本症例ではAlb2.4 g/dLと低下していましたが、予想通りAT活性51%と低下していました。
DIC治療薬であるアンチトロンビン(AT)製剤の適応を考える上で、AT活性の結果をみることは不可欠ですが、必ずしもその日のうちに結果がでるとは限らない医療機関も少なくないと考えられます。
血中アルブミン濃度が著減している症例では、まず間違いなく血中AT活性も低下しているために、治療法を選択する際の参考にしたいところです。
もちろん、実際にAT活性を確認すべきであることは言うまでもありません。
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症例(1)
症例から学ぶ播種性血管内凝固症候群(DIC)(インデックス)
<診断上の注意点>
重症感染症に合併したDICにおいては、FDP、D-ダイマーは軽度上昇にとどまり、フィブリノゲンは上昇することが多いです(診断上の落とし穴)。
本症例は、膀胱炎から急性腎盂腎炎(肋骨椎体角の叩打痛あり)にいたり、血液培養で大腸菌が検出されて敗血症から敗血症性ショックに至っています。
血小板数の低下がみられていますが、FDP&Dダイマーの上昇は軽度に留まり、フィブリノゲンは炎症反応のためむしろ上昇しています。
旧厚生省DIC診断基準では5点であり、DICの可能性少ないと判断されます。
しかし本当にそれでいいでしょうか。
旧厚生省DIC診断基準は、敗血症などの重症感染症に合併したDICに対しては感度が鈍いことが従来より指摘されています。
敗血症では線溶阻止因子であるプラスミノゲンアクチベータインヒビター(PAI)が著増するために線溶に強い抑制がかかることが知られています。
FDP&Dダイマーが軽度上昇に留まっているのも線溶抑制状態にあるためです。
実際、線溶活性化マーカーであるプラスミン-α2プラスミンインヒビター複合体(PIC)は、微増しているのみです。
凝固活性化マーカーであるトロンビン-アンチトロンビン複合体(TAT)が著増しているのとは対照的です。
本症例では敗血症という基礎疾患、そしてTATの著増がみられたために、旧厚生省DIC診断基準は満たしていませんでしたが、DICと考えて対処しました。
TATのデータなしにはDIC診断は不可能だったでしょう。
なお、この症例時代は可溶性フィブリン(SF)が測定できませんでしたが、今日であればTATのみならずSFも測定してDIC診断にさらに自信をつけたいところです。
保険診療上もTATとSFの同時測定が認められています(FMCとの同時測定は認められていません)。
→
・ 敗血症などの重症感染症の場合には、FDP&Dダイマーを重要視するとDIC診断が遅れる場合が多いです。
・ 敗血症などの重症感染症の場合には、フィブリノゲンは炎症反応で上昇するため、DIC診断に無力です。
・ TAT、SFは、DICの診断に有用です。
症例から学ぶ播種性血管内凝固症候群(DIC)(インデックス)
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症例(1)
症例から学ぶ播種性血管内凝固症候群(DIC)(インデックス)
<臨床経過>
臨床経過もふまえて、尿路感染症から、急性腎盂腎炎をきたし、さらに敗血症、ショックにまで至っている。
本症例に対して線溶抑制型DICの診断のもと、抗生剤とともに低分子へパリン(LMWH)とAT製剤による加療を開始した。
AT製剤投与のためにAT活性は上昇しているが、4病日までは血小板数はさらに低下し、FDPはさらに上昇した。
血小板数とFDPを見たのみではDICは悪化していると判断するのが適当かもしれない。
しかし、DICの本態である凝固活性化マーカーを評価するトロンビン-アンチトロンビン複合体(thrombin-antithrombin complex:TAT)が確実に低下していたために、この治療法は有効と考えて同治療を継続したところ、その後に血小板数は回復しFDPも低下した。
なお、この症例時代には、また遺伝子組換えトロンボモジュリン製剤が登場していなかったが、現在この症例に遭遇していたらトロンボモジュリン製剤を選択していたと思われる(AT製剤も併用したい)。
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第10回日本血栓止血学会学術標準化委員会(SSC)シンポジウム
期 日:2016年2月20日(土)
会 場:野村コンファレンスプラザ日本橋
東京都中央区日本橋室町2-4-3 日本橋室町野村ビル6F
世話人:宮田茂樹(国立循環器病研究センター 輸血管理室)
プログラム概要:7〜8シンポジウム
シンポジウム開催部会:血友病部会、抗リン脂質抗体部会、DIC部会、
HIT部会、VWD/TTP部会、静脈血栓症/肺塞栓症部会、
凝固系/抗凝固療法部会、凝固線溶検査部会、
血栓性素因部会
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:41 | 研究会・セミナー案内
2016 北陸血栓治療研究会
日時:2016年1月30日(土)15:00-17:30
会場:金沢大学附属病院 4F 「CPDセンター」
* 演題の応募状況により開始時間及び終了時間が前後する可能性があります。
* 会場にて軽食をご用意しております。
特別講演
免疫学的特異性を考慮したヘパリン起因性血小板減少症(HIT)の診断、治療
―Polyanion-induced anti-platelet factor 4 antibodiesとしてのHIT抗体の特異性 ―
国立循環器病センター 輸血管理室 宮田 茂樹 先生
一般演題
血栓止血領域に関わる症例について、幅広く演題を募集いたします。
(凝固異常症例、DIC関連等)
締め切り:2015年12月15日(火)
主催:CSLベーリング株式会社
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:53 | 研究会・セミナー案内