金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2016年3月30日

金沢で学会をやるということ(Index)日本血液学会学術集会

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会報の原稿からです。

今回は、教授ノートです。


金沢で学会をやるということ(インデックス)

by  中尾眞二教授

 <リンク>
血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 22:47 | 研修医の広場

2016年3月26日

送別会:富山の血液内科同志


送別会


3月26日(土)に、3月で定年退職される黒部市民病院の山内博正先生の送別会が行われました。
画像は、富山の血液内科同志の皆さまです。

長年にわたり、金沢大学第三内科のため、地域医療のため、後進のために、多大なるご尽力をいただき、ありがとうございます。


 

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血液凝固検査入門(図解シリーズ)
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:48 | その他

2016年3月13日

超高齢社会を見据えた未来医療予想図:インデックス

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会報からです。
今回は、特別講演です。


飯島勝矢先生 特別講演

(金沢大学第三内科同門会総会・開講記念会:平成27年6月21日)


超高齢社会を見据えた未来医療予想図(インデックス)

〜フレイル予防からケアまでを俯瞰した地域包括ケアシステム構築〜」

1) プロフィール
2) 消えて行く自治体
3) 独居高齢者
4) 認知症
5) 看取りは在宅か病院か
6) 老いて行く道
7) メタボ対策いつまで?
8) 地域包括ケアシステム
9) 生活者として在宅医療
10) 役割分担
11) 在宅医療とソロバン
12) 医・食/職・住の医
13) 食/職・住
14) 住民啓発
15) 学生教育
16) フレイル
17) サルコペニア
18) プレフレイル
19) 食力(しょくりき)
20) 健常群とサルコペニア群
21) 指輪っかテスト
22) 共食と孤食
23) ヘルスリテラシー
24) オーラルフレイル
25) 市民主導

★ 本稿は、東京大学 高齢社会総合研究機構 飯島勝矢先生のご講演をを拝聴した事務局が原稿化したものです。もし内容に不正確な部分があった場合には当事務局の責任ですので、ご容赦お願いします。


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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:29 | その他

2016年3月12日

超高齢社会を見据えた未来医療予想図(25)市民主導

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会報からです。
今回は、特別講演です。


飯島勝矢先生 特別講演

(金沢大学第三内科同門会総会・開講記念会:平成27年6月21日)


超高齢社会を見据えた未来医療予想図(25)市民主導

〜フレイル予防からケアまでを俯瞰した地域包括ケアシステム構築〜」

<市民主導>

市民


 この三位一体、栄養(食・口腔)、運動、社会参加。

今こういうコミュニティーの地域参加とされる場でこのTシャツを着た方々、市民サポーター達が自分たちの手でやって専門職が基本的に不要という気運作り、モデル作りをやっています。

これはまだまだスタートしたばかりで、より上流の市民主導の介護予防事業、健康増進事業の成果を出したいです。

これは成果を出さないと、笑われちゃうので、何かワイワイ楽しい場で作っただけでしょって言われちゃう。

ですから、やっぱり継続性をどういう風に出せるのか取り組んでいる最中です。


<最後に>
前半戦に比較的弱っても安心と、後半戦に、川上に視点を合わせた予防運動論という事で話しました。

同じ大学人ではありますが、医学部の枠から出てジェロントロジーという独特の集団の所に身を投じてデータを集めて解析して、それを地域にどう落とし込むのかって所を毎日汗かいている特殊なやつがいるので、その話を聞いて頂いたという事です。


一番上段に最先端と最前線です。

当然最先端を狙わなければいけません。

どんな研究も最先端を狙わなければいけないと思います。

ただもう一つ、現場の最前線のデーターももっと使わなければならないと思います。

大学病院に来る患者さんのデーターも必要ですが、コミュニティーの方々のデータも同意を得て、共感したうえで使っていかなければいけません。


これから社会参加という処方箋をどれだけ切って行けるのかです。

我々が純粋にきれる処方箋ではないので、行政中心にですが、アカデミアも力を貸していってどういう風にそういう場を作って行くのかです。

食べる事にどうやってこだわっていくのか、それを市民が食いつくようなネタでどういう風に新しい風を入れていくのかという事かと思います。

そこには縦断追跡調査のエビデンス蓄積も必要ですし、そこに運動論も必要かと思います。

★ 本稿は、東京大学 高齢社会総合研究機構 飯島勝矢先生のご講演をを拝聴した事務局が原稿化したものです。もし内容に不正確な部分があった場合には当事務局の責任ですので、ご容赦お願いします。


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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 07:20 | その他

2016年3月11日

超高齢社会を見据えた未来医療予想図(24)オーラルフレイル

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会報からです。
今回は、特別講演です。

飯島勝矢先生 特別講演
(金沢大学第三内科同門会総会・開講記念会:平成27年6月21日)


超高齢社会を見据えた未来医療予想図(24)

〜フレイル予防からケアまでを俯瞰した地域包括ケアシステム構築〜」

<オーラルフレイル>
食の偏りがあって、些細な衰えがでてくると、第二フェーズになっています。

落ちると早いですから第二フェーズの時に気付き、みんなで気付き合って、継続は力なりで、フォローをどういう風に柔らかい形で演出するか必要になってきます。


そこでオーラルフレイルをちょっと書き換えました。

お口の所だけちょっとズームアップしました。

私が出したら早速に日本歯科医師会が拾い上げていただいて、6月4日にも紙面に出して頂きましたが、お口の些細な衰えをオーラルフレイルと位置づけています。

歯が全部抜け落ちて総入れ歯の方もオーラルフレイルに間違いないですが、その方はもう戻りませんから、やはり早め早めに腰を上げてもらうには上流のサインをばしっと国民に提示するしかありません。


滑舌低下、食べこぼし、わずかのむせ、かめない食品が増える、ここら辺で国民運動論を起こして行くのが良いと思います。

実は歯科のメンバー達も膨大なペーパーを出していて、それを我々医科側が一回吸い上げて全部Mini Systematic Reviewでこの言葉全部矢印を引いて行きました。

パズルの並べ変えをしたことになります。


(続く)

★ 本稿は、東京大学 高齢社会総合研究機構 飯島勝矢先生のご講演をを拝聴した事務局が原稿化したものです。もし内容に不正確な部分があった場合には当事務局の責任ですので、ご容赦お願いします。


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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:56 | その他

2016年3月10日

超高齢社会を見据えた未来医療予想図(23)ヘルスリテラシー

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会報からです。
今回は、特別講演です。

飯島勝矢先生 特別講演
(金沢大学第三内科同門会総会・開講記念会:平成27年6月21日)


超高齢社会を見据えた未来医療予想図(23)

〜フレイル予防からケアまでを俯瞰した地域包括ケアシステム構築〜」

<ヘルスリテラシー>

段階



第一、二、三、四フェーズとあります。

これは栄養から見た虚弱型フローですが、第一フェーズは社会性/心のフレイル期で、孤食、鬱傾向、ヘルスリテラシーの欠如などです。

ヘルスリテラシーは若い先生ご存知でしょうか。

自分の健康に対する興味を持って、そして健康情報があれば、それを自分に照らし合わせる事ができる能力がヘルスリタラシーですが、特に生活習慣病はヘルスリテラシーで決まってしまうと言われています。


どんなにお医者さんが外来でくどくど言っても、ヘルスリテラシーが低い人にはなかなか難しいです。

そこで、市民っていうのは4つの層に分かれています。

第一層、第二層、第三層、第四層市民です。


第一層は本当の上澄み、いわゆる健康オタクです。

第二層は、3割〜4割います。情報を全部知っているけれども、腰が重たい集団です。分かってはいても、なかなか実績できません。

第三層も非常に多いです。そんな情報私たちは知りませんよって集団ですけど、それはアンテナが本当に低いのか、左の耳から右の耳なのかわかりませんが、情報を知らないと言う集団です。

第四層は、2割弱くらいいます。基本的に何をやっても無理なウルトラ難易度Eの集団です。そこに当然専門職だけでは達成できない、市民サポーターのいわゆる身のあるローラー作戦も必要になってきます。


(続く)

★ 本稿は、東京大学 高齢社会総合研究機構 飯島勝矢先生のご講演をを拝聴した事務局が原稿化したものです。もし内容に不正確な部分があった場合には当事務局の責任ですので、ご容赦お願いします。


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2016年3月9日

超高齢社会を見据えた未来医療予想図(22)共食と孤食

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会報からです。
今回は、特別講演です。

飯島勝矢先生 特別講演
(金沢大学第三内科同門会総会・開講記念会:平成27年6月21日)


超高齢社会を見据えた未来医療予想図(22)

〜フレイル予防からケアまでを俯瞰した地域包括ケアシステム構築〜」

<共食と孤食>

指輪っかの三群比較を科学的に行いますと、インピーダンス法ではかる手足の骨格筋量も明らかに違いました。

フィジカルなデータだけではなく、食事摂取量や、口腔データも大分違います。

そして、生活の広がりとか、共食(いつも誰かと飯を食べる)も関連しています。

共食は指輪っかの1)群で多いです。

逆に、3)の群には孤食が多くて、三食共1人で食べているおじいちゃん、おばあちゃんが多い事がわかっています。


新聞やニュースで2025年問題、独居高齢者、お一人暮らしをどうするのか、というタイトルの記事がよく出ます。

シビアフレイルの独居高齢者もいますが、一方でお友達関係が豊富で、今日も明日も友達と上野の松坂屋に行っている方もいらっしゃるんです。

一括りに独居高齢者の問題が厳しいという訳にはいきません。


実は、同居家族がいるにも関わらず、三食とも孤食という方がある程度の割合でいらっしゃいます。

そのような方のデータが一番悪いです。

鬱傾向も4倍高い、歩行速度も遅い、歯の数も少ない、粗食力も悪い、食品多様性も非常に悪い、という結果になっています。

これは我々ドクターだけではなくて、コミュニティーの健康作りの場でも、「同居家族での孤食化」という観点でみられてこなかったと思います。

これは、行政も含めて大きな課題だと思います。


サルコペニアを最終アウトカムとして、いろんな仮説を立てて、統計学的にどれが一番説得力が高いか検討すると、やはり社会性の落ちることが上位にきます。

そこが、孤食であり、人との付き合いであり、つながりや生活の広がりのなさです。


ロコモ予防教室だけをバッシングするつもりはありませんが、半年間に12回参加するようなロコモ予防教室では、どこまで変われるのか疑問です。

やはり、全部の高齢者が三位一体じゃないですけど、全部を改めて勉強すべきで、口腔データが悪い高齢者に歯科衛生士さんが介入すればいいわけではありません。

全部を全員が勉強するべきと思っています。



(続く)

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2016年3月8日

超高齢社会を見据えた未来医療予想図(21)指輪っかテスト

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会報からです。
今回は、特別講演です。

飯島勝矢先生 特別講演
(金沢大学第三内科同門会総会・開講記念会:平成27年6月21日)


超高齢社会を見据えた未来医療予想図(21)

〜フレイル予防からケアまでを俯瞰した地域包括ケアシステム構築〜」

<指輪っかテスト>

もう一つ、市民にとって楽しく気付きを与えられて、しかも簡便にと言う事でスタディーを始める前にある事を考えました。

指輪か

指輪っかテストです。

親指と人差し指の輪っかを作って、ズボンとか靴下を下ろして、自分が前屈みになって利き足じゃない方のふくらはぎの一番太い所をソフトタッチでフィットするようにやると、
1)囲めない、
2)ちょうど囲める、
3)隙間ができる、
という集団に分かれます。


サルコペニアでは、隙間が出来きます。

ふくらはぎの太さと指輪っかのサイズを何千人かで計りました。

そうしますと、当然グズグズの集団でそのサイズが逆転します。


これはサルコペニアを完全に診断するものではなくて、サルコペニアっぽいかなっていう方をみつけます。

しかも初年度サルコペニアじゃないと仮定された人でも、この数年感の経過観察で3.6倍のサルコペニア、新規が入ってきます。

自分の物差しで身の丈に応じたこの指輪っかの物差しで、ふくらはぎを自分で計ってみるわけですので、何もグッズ、メジャー1本いらないです。


(続く)

★ 本稿は、東京大学 高齢社会総合研究機構 飯島勝矢先生のご講演をを拝聴した事務局が原稿化したものです。もし内容に不正確な部分があった場合には当事務局の責任ですので、ご容赦お願いします。


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2016年3月7日

超高齢社会を見据えた未来医療予想図(20)健常群とサルコペニア群

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会報からです。
今回は、特別講演です。

飯島勝矢先生 特別講演
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超高齢社会を見据えた未来医療予想図(20)

〜フレイル予防からケアまでを俯瞰した地域包括ケアシステム構築〜」

<健常群とサルコペニア群>

いくつかのデータベースだけお知らせします。

健常群とサルコペニア群と一歩手前の予備群という風に、3群に分けました。

そうすると当然握力とか歩行速度なんてフィジカルなデータは健常群の方が上回っています。

それは当たり前、フィジカルなデータでサルコペニアか否かを決めている訳ですから。

しかし、生活の広がりによる身体活動量、食事の多様性、いかにバラエティーを持って食事をされているかどうか、あと口腔機能も10数項目取りましたが、ほとんどのデータで健常群が上回っています。

鬱傾向はサルコペニアの方が少し高いです。

転倒骨折歴も、サルコペニアの方が高いです。

あと、三味一体といっても、運動機能を何とか病院でCT撮ってきてくださいとか、採血してバイオマーカーみてくださいとか、これでは国民運動論にはなりません。

国民運動論はシンプルに行くしかありません。

さるこ


栄養(食と口腔機能)、運動、社会参加の三味一体が、サルコペニアと強く関連します。簡単な質問があります。

【運動】○:1回30分以上の汗をかく運動を週2日以上、1年以上実施している

【栄養(食・口腔)】○:ほとんど毎日4食品群以上食べているand さきいか・たくあん位の固さの食べ物がかめる

【社会参加】○:サークルや団体などの組織・会に2つ以上入っている

このようなシンプルな質問の○×の掛け合わせで8つのグループに分けます。

3つともオール○の人をベースに考えますと、オールXの人は3.5倍サルコペニアの件数が高いです。

いろんな角度でロコモかどうか、鬱傾向かどうか、ここ一年の転倒歴はどうか、転倒リスクはどうだったか、そういう事をいろいろやっていると、大体このパターンです。

地域のコミュニティー、しかも地域サロンと言われるような高齢者だけが2〜30人集まって、最後にはお茶やおまんじゅうを食べて帰ると。

そういうとこでいかにさせるかというのが見越して作られています。

こういうのだけでも何となく匂いの嗅ぎ分けがわかります。


(続く)

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2016年3月6日

超高齢社会を見据えた未来医療予想図(19)食力(しょくりき)

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会報からです。
今回は、特別講演です。

飯島勝矢先生 特別講演
(金沢大学第三内科同門会総会・開講記念会:平成27年6月21日)


超高齢社会を見据えた未来医療予想図(19)

〜フレイル予防からケアまでを俯瞰した地域包括ケアシステム構築〜」

<食力(しょくりき)>

食べる力は、食力(しょくりき)でもいいです。

僕自身この柏スタディーを始めるまでに、頭の中で整理しました。

食べる力といえば、まず、いの一番に口腔機能、歯の数、咀嚼力、嚥下力、などは必須です。 


もう一つ、老年医学では非常に重要なポリファーマシー(多剤処方)です。

大学病院ではよくポリファーマシー専門家からバッシングされます。

3つ4つの診療科から処方されて、すぐ10何種類の薬になると言う事をよく言われます。

しかし、薬の副作用で悩むという以前に、食力が減退に傾く問題があります。


もう一つは、社会性・心理(こころ)・認知です。

すなわち、おばあちゃまが気持ち良くスーパーに行けたのかとか、気持ち良く台所で大根をトントン刻めたのか、気持ち良くお膳を載せられたのか、気持ち良くお友達とお昼を食べられたのか。

これらはMDには無理な話で、これはコミュニティーの行政を中心とした、どういう風にデザインして行くかって話で、そこら辺が大きく問われます。も

しかしたら要素としては一番大きいかもしれません。


<Tシャツ軍団>

そこで数千人規模の大規模スタディーを行っています。

市民目線の簡単な評価方法を見つける為に、そのためには学術的な科学的データを取るけれども、一番の目的は市民目線の評価方法を見つける事です。


スタッフにTシャツ軍団がいます。

スタッフの半分はTシャツ、シニアメンバーです。

この方々は、市民在住のシニアです。

なぜ彼らを使ったかと言いますと、結果、エビデンスが見えてきた時に市民サポーターとして伝道師になっていただくように教育してきました。


今どんどん第2期生、3期生が誕生して、市内を闊歩しています。

地域サロンといった20〜30人の集いがもたれています。


(続く)

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2016年3月5日

超高齢社会を見据えた未来医療予想図(18)プレフレイル

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会報からです。
今回は、特別講演です。

飯島勝矢先生 特別講演
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超高齢社会を見据えた未来医療予想図(18)

〜フレイル予防からケアまでを俯瞰した地域包括ケアシステム構築〜」

<戦略研究>

介護予防事業の行き詰まり感があって、どういう風にメスを入れて行くのか、特に今、介護予防事業は地域でもっと自発的に考える色合いになっています。


そこで実はこれも柏市フィールドで厚労科研の下で活動しましたが、柏スタディーという戦略研究をしてきました。

戦略研究という言葉は既にご存知の先生方も多いかもしれませんが、これは若手の先生方に意図的にお伝えしたいと思います。


戦略研究は、実は答えは分かっています。

数千人のデータベースで解析してみないと分からないですが、やりたい方向性の答えは既に決まっています。

どういう事かと言うと、僕自身のこの柏スタディーの戦略研究の位置づけは、「しっかり動こう」「しっかり噛んで食べよう」そして「しっかり社会参加」という三味一体です。

それを今一度、国民運動論として下ろしても、東大の飯島が一大学のアカデミアの立場のうるさいやつが言ってるだけでしょ、という反応になります。

そうならないように、いかに厚労省から下ろすかって事で考えています。


つまり、やりたい運動論は決まっていて、そこから逆算してどのような研究デザインを組むかということになります。


<プレフレイル>

まず、中年層のメタボは除外して、高齢者のみでしかも要介護一歩手の方を対象にしました。

シビアフレイルの方も除外です。

つまり、生活に困っていないけど、言われてみればそうだよね、っていう些細な衰えをどのように市民側にストンと落とされるのか、いわゆるプレフレイルを包括に合わせました。


プレフレイルの方々にチラシを配って、あなたプレフレイル気をつけてねといっても市民が振り向くはずがありません。

必ず慣れが働きます。

握力を計って楽しかったという人はいません。

やはり、目新しさ、斬新さ、楽しさ、へーって感じ、これ何みてるんですか一体?というのがないと市民は振り向きません。

これらをどのように作り込んで行くかです。


市民目線での簡易評価法に着目しました。

市民目線で私はこうだけど、あなたはこうだ、私よりあなたの方がプレフレイルかも、という風な会話をさせることを意識しました。

ですから、我々専門職がいなくても市民同士のコミュニティーベースでどう会話させるのかですが、そこには知恵のついた市民サポーターが必要となってきます。


(続く)

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2016年3月4日

超高齢社会を見据えた未来医療予想図(17)サルコペニア

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会報からです。
今回は、特別講演です。

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<サルコペニア>

サルコペニアっていうのは造語です。

サルコはマッスル、ペニアは目の前の現象が減ることです。

サルコ(マッスル)がペニアするサルコペニアです。


ヨーロッパが基準出しましたが、アジアの我々のサルコペニアのワーキンググループは、特に歩行速度を非常に遅く設定しています。

そうすると日本全国でサルコペニアはいないという話になってしまいます。

横断歩道ギリギリ渡れますか、みたいな話になっちゃいます。


そうすると予防を徹底的にやるには、もっと早めに意識付け、気づかせないといけないので、ワーキンググループではなるべくアジアとしての特徴を出そうと去年と今年でやっています。


<BMIパラドックスとサルコペニア>

BMIパラドックスという言葉を、私はよく使いますが、BMIではもう語れない世界になってまいります。

例えば、Aさんは前期高齢者で、BMI26ですと、健康診断ではあなたちょっと太り気味ねと言われます。

そうすると今日から夕飯は当然腹八分目だよと言われます。


同じ年齢のBさんは、BMI22ですと中肉中背ですばらしいですねと言われます。

しかし、大腿と下腿をCTスキャンで切ってみると梅干しのように大腿と下腿の筋肉が縮まっていて筋肉量が非常に少ないです。

ですが、BMIの数字を見ると、ちょうどいいね、となってしまいます。


メタボ対策の事を考えれば、オーバーウェイトになっちゃいけないよとBMIは使います。

しかし、中身、体組成をみてみるとBMIでは物語れない世界も出てくる。


サルコペニアは要介護の入り口と言われています。

当然転倒骨折しやすくなります。

サルコペニアというのは手足の骨格筋量と言われていますので、といっても手足の骨格筋量が少ない方で腹筋がマッチョなんて方はいらっしゃらないので、手足の骨格筋量を計ると基本的に体幹全体の筋肉量も少なくて、転倒骨折で要介護になるケースがあります。


そして外出頻度が減って、認知機能にも影響が出てきます。

(続く)

★ 本稿は、東京大学 高齢社会総合研究機構 飯島勝矢先生のご講演をを拝聴した事務局が原稿化したものです。もし内容に不正確な部分があった場合には当事務局の責任ですので、ご容赦お願いします。


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2016年3月3日

超高齢社会を見据えた未来医療予想図(16)フレイル

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会報からです。
今回は、特別講演です。

飯島勝矢先生 特別講演
(金沢大学第三内科同門会総会・開講記念会:平成27年6月21日)


超高齢社会を見据えた未来医療予想図(16)

〜フレイル予防からケアまでを俯瞰した地域包括ケアシステム構築〜」

<フレイル>

残りの時間を使ってフレイルの話をしたいと思います。

虚弱という漢字2文字は非常にネガティブな言葉で、うちの母親も80歳ちょっとですが、変形性のOAで、ダンス好きでも自分が虚弱であることは分かっています。

でも第三者から虚弱っぽいねと言われたくない本能があります。


我々日本老年医学会では、虚弱、高齢化の事を考えると、より早くから理にかなった介護予防事業や健康増進事業をやらないといけないと考えています。

いわゆるロコモ予防教室が全国あまたでやられています。

しかし、介護予防事業は、実はクリーンヒット打ちたかったのに打てなかったとされています。


そこにどうメスを入れるかですが、まずはこれも市民啓発ですが、市民側がどう考えるのか?から入らなければなりません。


そこで、虚弱という言葉の雰囲気をポジティブに変えたいと言う所から2、3年前から入りました。

そこで英単語をみてもフレイルティ一という言葉をおじいちゃんやおばあちゃん、高校生、大学生達が言ってくれるか、いや言ってくれないだろうって事で、形容詞ですが「フレイル」となりました。

実はカタカナ3文字で探してました。メタボ、ロコモ、○×△。。。三文字がみつかりませんでした。

4文字でしょうがないかとフレイルとしました。

結局、メタボ、ロコモ、フレイル、サルコ(サルコペニア)とこの4つのキーワードが誕生しました。


市民側が数年後には、おなか周りがビール腹している人をみれば、大学生が遠巻きに指をさして、あれメタボかもしれないよね、と今言える時代です。

メタボは国民用語になりました。

何故かというと中性脂肪の150って数字がカットオフでというのを後ろに隠し、腹回り中心にガイドラインを決めた事にあります。


<フレイルと国民運動論>
フレイルはどこからどこまでですかとよく聞かれます。

医学的にはスタート地点を決めた場合、そこから棺桶に入るまで死ぬまでは、シビアフレイルです。

全員フレイルですが、といっても在宅療養で厳しい戦いを強いられているシビアフレイルの方に、あなたフレイルかもって言ったときに意味があるのか考えると微妙です。 


そこで市民啓発国民運動論のためにフレイルというカタカナを前面に出したので、国民運動論としてのフレイルの解釈はリバーシブルです。

どの段階、どのステージに置かれても良いので、自分で明日から頑張れば上に行けるかもしれないというレベルのフレイルをフレイルと呼ぼう、しかもそういう気持ちになってくれた時点でフレイルと意識して下さいとなっています。

ですから、国民運動論の意味で開始と最後がぼやけています。


うちの中学生の子供も虚弱という言葉が分かってきて、どういう意味かと聞けば、腰が曲がって杖歩行で、駅の階段を手すり使いながら上ってるおじいちゃんおばあちゃんの事を虚弱っていう、とある意味あたっていますが、それは「フィジカルフレイル」を言っています。


しかし、これが老年医学だけじゃなくて、老年学いわゆるジェロントロジーっていう学問体系で考えると「メンタルフレイル」と「ソーシャルフレイル」は避けて通れませんし、フィジカルフレイルの前にあるかもしれません。


(続く)

★ 本稿は、東京大学 高齢社会総合研究機構 飯島勝矢先生のご講演をを拝聴した事務局が原稿化したものです。もし内容に不正確な部分があった場合には当事務局の責任ですので、ご容赦お願いします。


<リンク>
血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:29 | その他

2016年3月2日

超高齢社会を見据えた未来医療予想図(15)学生教育

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会報からです。
今回は、特別講演です。

飯島勝矢先生 特別講演
(金沢大学第三内科同門会総会・開講記念会:平成27年6月21日)


超高齢社会を見据えた未来医療予想図(15)

〜フレイル予防からケアまでを俯瞰した地域包括ケアシステム構築〜」

<学生教育>

あともう一つ、医学部の学生教育です。

文科省事業の期限付き5年間プロジェクトである「未来医療研究人材養成」(テーマA:メディカル・イノベーション推進人材の養成、テーマB:リサーチマインドを持った総合診療医の養成)は、東大はBの方でシナリオ書かせて頂いて、東大医学部の中に「在宅医療学拠点」というものを作りました。


そんな大所帯ではなくて、事務員入れても5〜7人かぐらいの人数です。

といいましても、東京大学は当然世の中から何を求められているかをある程度自分でわかっているつもりなので、これを作るときも医学部長、病院長含めて上層部との接触が2転3転繰り返して、やっとやってみるという経緯でした。

何をやろうかって時に在宅医療っていうのは当然診療ですから、今日も明日も例えば今日10件、明日10何件という事では全くありません。



<在宅医療学>
在宅医療の学問体系化は見えていません。

在宅医療関連学会もあって、学術集会に行ってみますと1例報告が多いです。

当院の取り組みとか、こういう症例がありましたとか、いわゆる学問体系化されていません。

当然循環器内科学、血液内科学、呼吸器内科学というところまで、すっとあがる分野ではないですが、最終的に在宅医療学、在宅医学みたいな方向性にブラッシュアップして行く為に、また学問体系化して行く為には、研究をしなければいけません。

という事で、できればデータベース化していくところを狙っています。


例えば、何とか手術でまとめられるようなデータベースよりはもっと難しいデータベースですが、教育と研究の2トップのベクトルをしっかり出すと、そこにはちょっとしたフィールドが必要なため、臨床をつけています。

この方向性でやりたいと言ってOKをもらった経緯もあります。


地域医療、在宅医療の実習もしています。

といっても柏市なら柏で地域の先生に2週間学生をポーンと送りつけて、よろしくねってのも従来っぽいのですが、それはやりたくありません。


例えば訪問看護の日、ケアマネージャーと同行密着の日、病院の地域のソーシャルワーカー密着の日と言うような、日替わりをしています。

最終日は、柏市の高齢者市民に向けて発表します。

この2週間で何を見て、何を感じ、どう思ったかなど、市民に向けて発表します。


東大理IIIの学生達が開業医になることは非常に少ないのですが、結局は彼ら5〜6年生も1年後には国家試験通って病棟デビューする訳です。

そのときにターミナルの方とかいろんな病態の方をプライマリーケアの先生方に委ねる場面、医療情報提供書を書くという場面が早々に来ます。

その際、送り先を見た事が無くていいのかと思いまして、参加型という事でやっています。


例えばワールドカフェのスタイルで高齢者市民とおせんべいとお茶を飲みながらディスカッションしたり、模擬担当者会議もやっています。

6人1グループなのでくじを引かして、ある子はDr役、ある子は訪問看護役、ある子は訪問薬剤師役、ある子は奥さん役、と学芸会風になりますけど、最低限のシナリオは決まっていてその最低限のシナリオ以外のシナリオを全部自分で考えて発言してもらいます。

実はラグビー部のガタイの大きい学生が奥さん役になったりとか、学芸会風で面白い場面もあります。


彼らから在宅医療をするDrがどれだけ出るかまだわかりませんが、2年目に入ったばかりで、少なくとも大学からみるとパートナーとしての地域医療の場面をスタートの一週間をみてくる、しかもそこにお医者さんの背中だけではなくて、他の職種の背中をいっぱい見てくるという色合いの事にしています。

結果的にどうなるかっていうのは、もう一年くらいやってアンケートをとってやっていくしかないと思っています。


(続く)

★ 本稿は、東京大学 高齢社会総合研究機構 飯島勝矢先生のご講演をを拝聴した事務局が原稿化したものです。もし内容に不正確な部分があった場合には当事務局の責任ですので、ご容赦お願いします。


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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:23 | その他

2016年3月1日

超高齢社会を見据えた未来医療予想図(14)住民啓発

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会報からです。
今回は、特別講演です。

飯島勝矢先生 特別講演
(金沢大学第三内科同門会総会・開講記念会:平成27年6月21日)


超高齢社会を見据えた未来医療予想図(14)

〜フレイル予防からケアまでを俯瞰した地域包括ケアシステム構築〜」

<住民啓発>

住民啓発は、柏市であっても他のモデル地域であっても、おそらく医師会の先生も含めて我々MDが主導と言うより、行政と強いコミュニケーションを持たないと成り立ちません。


街ぐるみで教育システムっていう風になると堅苦しい話になってしまいますが、医学生、研修医も含めて、若手そして開業医の先生方も、いわゆるリカレント、オンザジョブと言われる方法で、市民のいろんな階層でいろんな教育、いろんな研修システムという事です。


まず市民啓発です。

時間がかかりますが、行政が中心になって、地域医師会の先生方を呼びます。

いわゆる草の根ローラー作戦でやっていくしかありません。


あとは、オンザジョブです。

すでに地域で働かれている先生、及び、他の職能団体、訪問看護、ケアマネージャー、訪問リハビリ、諸々の方々と一つのテーブルを囲んで、多職種連携研修モデルを作って全国で2011年に開発して、いろいろやっています。


2015年に、遅ればせながら都内でも予定されています。

大分やり始めて頂いていますが、これは研修の場でチームビルディングをしていこうと言うねらいと、もう一つは参加されたかかりつけの先生がこのようなメンバー達とチームを組むのかと動議付けされるのをねらっています。


グループワークがふんだんに取り入れられています。

先ほどの多職種連携研修ですが、行政側に4ヶ月前には最低限をチェックして下さい、一ヶ月前になったら最低限この書類を使ってこれを売っちゃって下さい、研修を作り込んで行く為のノウハウ本というものをHPでも出してますけど、これを作って地域の行政の方々に同じパターンを作りたければ同じようなレールに乗って頂くと必然的に出来上がりますよと。

全部書類完備されています。


(続く)

★ 本稿は、東京大学 高齢社会総合研究機構 飯島勝矢先生のご講演をを拝聴した事務局が原稿化したものです。もし内容に不正確な部分があった場合には当事務局の責任ですので、ご容赦お願いします。


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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:18 | その他

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