金沢大学・血液内科・呼吸器内科
※記事カテゴリからは過去の全記事をご覧いただけます。
<< 2016/01トップページ2016/03 >>
2016年2月29日

超高齢社会を見据えた未来医療予想図(13)食/職・住

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会報からです。
今回は、特別講演です。

飯島勝矢先生 特別講演
(金沢大学第三内科同門会総会・開講記念会:平成27年6月21日)


超高齢社会を見据えた未来医療予想図(13)

〜フレイル予防からケアまでを俯瞰した地域包括ケアシステム構築〜」

<食/職>

次に、医・食/職・住の「食」です。

食べることは、フレイル予防、結局食べることにどこまでこだわるのかって所の虚弱予防をやっています。


「職」については、少なくとも大体75歳まで働いて、例えば東京大手町にネクタイ族で働いていた方が引退された後、趣味の釣りをしていたけれども何となく満たされないために、土いじりをしたり農業をやる中で株の品種改良をセカンドライフとしてする事があります。


セカンドライフ就労プロジェクトは、実際に走っています。

これは我々みたいに月〜金、月〜土、下手すると月〜日、七日間働くのではなく、「ワークシェアリング」、俺は月曜日の午前中と火曜の午後と木曜の午前働きたいという風につまみ食いをして行って、他のおじちゃんは違う所で勤めて、数人で一週間が満たされると、ワークシェアリングというのになっております。


そこら辺が走っている所で、いわゆる究極の社会参加という処方箋をどうきるかと言う問題です。

47都道府県で、荒削りな計算ですが、就業率が高い県は医療費が少ないです。

鵜呑みにはできませんが、やっぱりサラリーマンが多い都市部では定年を迎えてしまうし、農業がメインという所は定年がありません。


ボランティアは、継続性がありません。

そこで必ず行政が仲人役になって、職能団体を事業所見つけてお見合いさせて、お見合い成立で働くと、そこで最低賃金が払われるというシステムも走っています。


<住>

「住」は、住まいと移動をやっております。

在宅療養は、柏市や他の比較的結果が出ている所で共通して見られるのは、地区医師会と市町村行政が完全にタイアップしていることです。


もっと言ってしまえば、地区医師会の医師会長さんと市長さんが、名実ともに両手を組んで、市民側に一声、我々はこういう風にして行きたいですよ、と言えるかどうかが大きな分岐点かもしれません。


あと、かかりつけ医をどうするのかです。

なるべく多くの方にかかりつけ医を持って欲しいですが、全員で実現するとは思っていませんし、少しずつ始めて欲しいところです。

日本医師会のかかりつけ医機能制度にも関連した話です。


多職種連携研修のモデルみたいのも作って全国でやったりと、後程ちょっとお話します。

この多職種連携というのは地域力と言って過言ではないです。

そこに今国の方針としてのICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)というモバイルデバイスを使ってチャットのように共用していくという方法があります。


僕自身も週一回の在宅医療であるA患者さんが終わって、B患者さんに行く道中にタッチパネルで入力していますが、それが徐々に国の方向性になって行く訳です。

(続く)

★ 本稿は、東京大学 高齢社会総合研究機構 飯島勝矢先生のご講演をを拝聴した事務局が原稿化したものです。もし内容に不正確な部分があった場合には当事務局の責任ですので、ご容赦お願いします。


<リンク>
血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

金沢大学血液内科・呼吸器内科HP

金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:12 | その他

2016年2月28日

超高齢社会を見据えた未来医療予想図(12)医・食/職・住の医

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会報からです。
今回は、特別講演です。

飯島勝矢先生 特別講演
(金沢大学第三内科同門会総会・開講記念会:平成27年6月21日)


超高齢社会を見据えた未来医療予想図(12)

〜フレイル予防からケアまでを俯瞰した地域包括ケアシステム構築〜」

<地域新事業>

地域新事業は、地域の今の動きです。

弱らないためのフレイル予防もなるべく各自治体に下ろして、自分たちでしっかり考えてやりなさいと言う方向性です。

ですから、自治体間の格差が大きくなるかもしれません。


あとは「弱っても安心」の部分も方向付けできています。

具体的にH27年からH30年までの3年間くらいで、全自治体がやるように指示されています。


例えば都内の区では、8つのうちの6つは一応やれています。

ただ、これが研修会とミニ勉強会に毛が生えたような研修会をやって、はいこれでOKみたいな考えだとうすっぺらな授業で終わります。

そうではなく、この研修によってどう次の課題抽出ができるかとやっていかないといけません。


という事で、全国津々浦々いろんなところで、限られた財源でどうやっていこうかと頭を悩まされてされていると思います。


<医・食/職・住の、医>

僕自身は、日本列島の3箇所をメインフィールドとして活動しています。

といっても柏市の距離が近いので、柏市に行く頻度が多いですが、産学官民のモデルでやっています。


例えば、どういう課題の解決型アクションリサーチかと言いますと、実は十何個かくらい大なり小なり手がけています。

と言っても3歩も4歩も進んだのもあれば、半歩進んだ程度もあったりと、耳が痛い部分もあるのですが、大きく分ければ3つの柱でやっています。


我々のジェロントロジーという研究部門の活動について、例えば千葉県の柏市(人口40万人の市、柏ソレイユでも有名)の例もふまえてお話します。


「医食(職)住」はゴロがいいですね。

「医」については、在宅医療のシステム化をメインにされている若手開業医は増えています。

全国、特に大都市圏では激増しています。

チェーン店を組んだりもしています。


大都市だからかもしれませんが、若手40歳くらいでも青年実業家風で7店舗くらい持っていたり、クリニックを持っていたりします。


そういう在宅医療メインの先生は、医師会全体的に、あるいは他職種との職の団体システム化をどのようにするのが良いかモデルを作っています。

スーパースターはいらないので少しずつやろうとするスタイルです。


(続く)

★ 本稿は、東京大学 高齢社会総合研究機構 飯島勝矢先生のご講演をを拝聴した事務局が原稿化したものです。もし内容に不正確な部分があった場合には当事務局の責任ですので、ご容赦お願いします。


<リンク>
血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

金沢大学血液内科・呼吸器内科HP

金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:05 | その他

2016年2月27日

超高齢社会を見据えた未来医療予想図(11)在宅医療とソロバン

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会報からです。
今回は、特別講演です。

飯島勝矢先生 特別講演
(金沢大学第三内科同門会総会・開講記念会:平成27年6月21日)


超高齢社会を見据えた未来医療予想図(11)

〜フレイル予防からケアまでを俯瞰した地域包括ケアシステム構築〜」

<在宅医療とソロバン>

在宅療養、在宅医療といった国の方針へ向かせる話になると、急性期病院のベッドがパンクするのでそれを守る為ではないかとか、当然そこにソロバンを弾いてになってきます。

結果的に在宅療養を今まで以上に少し意識して、うまく予算配分をとって、結果的に病院のベッドが守られたり経済的な所がうまく行けば良い訳です。


しかし、在宅療養といっても、1/3位のお値段になるかと言えばそういう訳ではありません。

言葉が出過ぎたら申し訳ありませんが、あのフィールドでまじめにやられている方も多い中で、ちょっと営利的に走っていることもあります。

それこそサービス付き高齢者向け住宅、通称サコージュと言われている所もここ数年間全国で連立して、サービス付きといっても単なる見守りだけだったり、それで沢山作ったけれど空きや、空室が半分くらいあったりとかいうのがあります。


あと都内とか大阪で若手の先生が開業する時に、個人の開業じゃなくて、在宅での開業でうまく行っている先生もいらっしゃる一方で、企業にのっかってほろ苦い経験をされている先生も都内に実際いらっしゃいます。

比較的ドラスティックに保険診療の金額が上下していますので、企業が思いきり撤退して夜ハシゴ外された先生もいらっしゃる話も聞きます。


<在宅医療もチーム医療>

マインドとしては真ん中の「住まい」に患者さんがおられて、全職種がチームプレーでアプローチします。

前からもケアマネージャーやソーシャルワーカーなどの色んな専門職が個々に頑張っているのは間違いないですが、これからは太いパイプで輪になったチーム医療が求められています。

この輪の中での在宅療養を継続する中で、その担当の先生は何をするべきなのか、やはりこれは節目の判断と最後の責任を取ることです。


実はよく行ってる地方で、大先輩がおられて、「飯島君久しぶりだね、酒飲もうか。

いや、こないだ大変だったんだ。同じ患者さんで一晩に4回行ったんだよね」と言われました。

これはずっと昔ならば、先生この年齢で大変ですねという話ですが、今聞くと訪問看護の方がちゃんとやっているのか、チームプレーを組んでいるのかと疑問になります。


地域の事情がある事は分かっていますが、その大先輩がいる地域だって訪問看護ステーションがあるのです。

ですから、事情にあわせてチームプレーするのが大切です。


(続く)

★ 本稿は、東京大学 高齢社会総合研究機構 飯島勝矢先生のご講演をを拝聴した事務局が原稿化したものです。もし内容に不正確な部分があった場合には当事務局の責任ですので、ご容赦お願いします。


<リンク>
血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

金沢大学血液内科・呼吸器内科HP

金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:58 | その他

2016年2月26日

超高齢社会を見据えた未来医療予想図(10)役割分担

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会報からです。
今回は、特別講演です。

飯島勝矢先生 特別講演
(金沢大学第三内科同門会総会・開講記念会:平成27年6月21日)


超高齢社会を見据えた未来医療予想図(10)

〜フレイル予防からケアまでを俯瞰した地域包括ケアシステム構築〜」

<役割分担>
生活臨床、我々の今日、明日、明後日やる臨床活動がもうちょっと生活に近くあるべきといっても、急性期病院の先生方全員が在宅医療やりましょうなんて事は全く思っていません。

「役割分担」です。

どういう風にうまくお互いの立ち位置、存在価値を尊重してキャッチボールをやるのかが確かに首を捻らす場面です。

お互いがパートナーとしてって事かと思います。


もう一つ、外来ファンクション、病院ファンクション、在宅医療ファンクションと諸々あります。

今日在宅医療だけを美化するつもりはありませんが、大きなカードの一つとして在宅医療の位置づけを改めたいです。


実は僕自身は大学で週一回、都内の在宅医療に携えられていて、ミニ自動車も使っています。

16kmとか半径でいうとどこまで行って良いかってことでやると、都内ではコンパスを引くと次の2つ3つの区まで行ってしまいます。

ですから新宿の人が文京区へ、文京区の先生が渋谷区まで行く現象が起きます。

地域完結型は、都内ではなかなか出来ませんが、週一回だけでもネチネチやっていきますと、余命幾ばくかと言われて病院医療から在宅に導入された方でも、確かに笑顔は増えて、食事がちょっと食べられるようになった方がいらっしゃって、全員が全員じゃないですけど、思えば早一年だよね、という方もいます。

一方で、予定通り亡くなる方もいます。

やればやるほど在宅医療のポテンシャルがあって、やっていくと独特の味があってパワーがあります。


(続く)

★ 本稿は、東京大学 高齢社会総合研究機構 飯島勝矢先生のご講演をを拝聴した事務局が原稿化したものです。もし内容に不正確な部分があった場合には当事務局の責任ですので、ご容赦お願いします。


<リンク>
血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

金沢大学血液内科・呼吸器内科HP

金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:04 | その他

2016年2月25日

超高齢社会を見据えた未来医療予想図(9)生活者として在宅医療

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会報からです。
今回は、特別講演です。

飯島勝矢先生 特別講演
(金沢大学第三内科同門会総会・開講記念会:平成27年6月21日)


超高齢社会を見据えた未来医療予想図(9)

〜フレイル予防からケアまでを俯瞰した地域包括ケアシステム構築〜」

<医療機能の分化と連携>
千葉県柏市では市の医師会が主導で、しかも在宅担当理事に40歳代前半を起用して、若手がやっていけと医師会長が命令して、大分気運が盛り上がっています。

10病院会議があって急性期の患者さんをどうするかという話し合いもされますが、在宅療養をどのようにバックアップするのかも毎回話題になります。

そこでこの医療政策が取り直されて、医療機能の分化と連携が行われています。

ドクターと訪問看護でもギャップがある、価値観の違いがある、両方に聞けば相手側のバッシングをする。。。と言っても医療のメンバーは医療のメンバーと交流して、介護のメンバーとはもっと遠かったのですが、その連携というのは確かにこの4〜5年着々と増えています。

いろんな顔の見える関係、ちょっとお酒も入るかもしれませんが、ミニグループワークというものも仕込まれています。


柏市でも大分変わったと思います。

ただし、医療機能分化、大学病院たる使命、何とか医療センターの使命、かかりつけ医の使命、といっても東大病院も頭を悩ましています。

おそらく近隣の開業医の先生には、東大病院のブーイングもあるかもしれません。

なかなか難しいです。


<生活者としての在宅医療>

在宅医療をされている方々は、癌のターミナル、認知症のシビアな状態、老衰一歩手前の非がん患者など、諸々の状況です。

複数のヘビーな状態をもっているから在宅になって通院できないわけですが、一応「生活者」である事を改めて強調します。


当然入院医療で手術しようね、冠動脈開こうね、などと確かに病院の力を借りる訳ですけども、ある先生が患者学という言葉を使っているように、病院にいる間は患者っぽくなければいけません。

当然缶ビール1口すら許されません。

当然たばこは体に良くないですが、すき焼きのお肉1切れも許されません。


しかし、在宅医療では、そこら辺のハンドルの遊びっていうのも十分感じて「生活者」で居続けることができます。

在宅でおれる間はなるべく居続けさせてあげることを、医療介護関係者が皆でどのようにもう一歩考えるか。

だから治し支える医療という言葉になっています。


(続く)

★ 本稿は、東京大学 高齢社会総合研究機構 飯島勝矢先生のご講演をを拝聴した事務局が原稿化したものです。もし内容に不正確な部分があった場合には当事務局の責任ですので、ご容赦お願いします。


<リンク>
血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

金沢大学血液内科・呼吸器内科HP

金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:38 | その他

2016年2月24日

超高齢社会を見据えた未来医療予想図(8)地域包括ケアシステム

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会報からです。
今回は、特別講演です。

飯島勝矢先生 特別講演
(金沢大学第三内科同門会総会・開講記念会:平成27年6月21日)


超高齢社会を見据えた未来医療予想図(8)

〜フレイル予防からケアまでを俯瞰した地域包括ケアシステム構築〜」

<地域包括ケアシステム>
僕自身は何年も前にジェロントロジーに移り、当初は完全にアカデミアど真ん中の老年医学の講師でした。

地域は知りませんでした。

コミュニティ、地域医療は、患者さんのやり取りをする文京区の何々先生がいて開業医の先生とはたまに症例を送ってくれるんだよね、でまた戻したよね、くらいしか知りませんでした。


しかし、今の分野に身を投じて経験を積みますと、日本全国一色単にいかないことが見えてきます。

地域包括ケアシステムの概念図をもう一回見てみると、地域包括ケアシステムは五つのキーワードが最初出てきました。

医療、介護、予防、生活支援、住まいと、この五つの花びらがど真ん中でガッチャンと重なり合っている図で元々出てきました。


それがリニューアルされて改変改変で次に植木鉢の図が出てきました。

街一個一個の花びらの話はしませんが、僕自身が色々と自分のメインのフィールドや全国のいろんな都市型地方型の地域のご意見聞いたりしますと、この植木鉢の図を見てなるほどと思います。


後ほどお話しするプライマリーケアの例えば医師会の先生方、訪問看護、ケアマネージャー等いろんな専門職種が今日も明日もと汗をかいて地域を練り回っている訳ですが、ミニシステムを作っていくと、今までよりはキャッチボールがやりやすくなっています。

ただこれが市民側に「だよね」と思ってもらわなければいけません。

ですから、市民ケアっていうのは非常に重要と言っても、言うは易し行うは難しで時間がとてもかかります。結果が見えにくいです。


改変されて最新がこういう図です。
 

ケア


住まいが真ん中にあって、そこに患者さんやご家族がいて、いろんなサービスがアプローチする絵になっています。

そこに病院、何とか医療センター、アカデミア附属病院がどう絡むのか、地域で話し合っていかなければいけません。


(続く)

★ 本稿は、東京大学 高齢社会総合研究機構 飯島勝矢先生のご講演をを拝聴した事務局が原稿化したものです。もし内容に不正確な部分があった場合には当事務局の責任ですので、ご容赦お願いします。


<リンク>
血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

金沢大学血液内科・呼吸器内科HP

金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:28 | その他

2016年2月23日

超高齢社会を見据えた未来医療予想図(7)メタボ対策いつまで?

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会報からです。
今回は、特別講演です。

飯島勝矢先生 特別講演
(金沢大学第三内科同門会総会・開講記念会:平成27年6月21日)


超高齢社会を見据えた未来医療予想図(7)

〜フレイル予防からケアまでを俯瞰した地域包括ケアシステム構築〜」

<メタボ対策はいつまで?>
中年層のメタボ対策は重要です。

生活習慣病対策はきっちりやらなければいけませんし、エビデンスも十分豊富です。

ですから、生活習慣病対策、市民目線の言葉で言えば、しっかり歩こうね、しっかり適正なダイエットだ、と言う事になります。


高齢期、特に75歳を超えた後期高齢者であっても、健康診断を受けて、おなか周りも恰幅良い、中性脂肪が高い、高血圧もあって、血糖もちょっと微妙だねってことになるとメタボっぽいという話になります。


メタボの話になると、市民側は今日の夕飯から減らしなさいと言うふうに受け取ります。

なぜなら、メタボ概念というのは、あなたの食事はカロリーオーバーだという風に市民は認識しています。

だから、おなかは空いているけれども仕方がないかと思いながらも我慢を強いられますので、結局は3〜4日しか続きません。


そして、予防法システムとして、しっかり歩こう、しっかり運動、しっかり噛んでしっかり食べよう、そしてしっかり社会参加だと、日本中誰も異論がありません。

しかし、誰に対してこれを教育するのか問題があります。

暦年齢でも70歳超えましたね、だったらもう高血圧の薬やめて塩分とかも控えなくてしっかり食べたらどうですか、なんて薄っぺらなガイドラインを作る訳にもいきません。


75歳超えてもそのまま暦年齢ではいけません。

個人差も大きいですし、あと漫然とどこまでスタチンを飲ませるのかもあります。

例えば開業医の先生方に、老年医学会の飯島先生達がガイドラインなかなか作らないからスタチン切れないんだよなっていうバッシングを受ける時もあります。

もうちょっと胸張って撤退したいと言われる時もあります。

是か非かは別ですよ。

個人差が大きいので中々難しいです。
とは言ってもある程度のこのメタボ概念(カロリー控えめ)から、しっかり噛んでというフレイル予防、すなわちタンパク質を中心にしっかり食べようというギアチェンジをどこで入れるのかが問題です。

我々の頭の中だけでなくて、市民に自分ごと化としてストンと落ちるのかという所をやらなければいけません。


僕も虚弱予防の大規模試験を走らせていますが、データ集めて、解析して学会発表してペーパー書いておしまいにならないようにしたいです。

自戒の念も込めてですが、日本全国モデルでどうコミュニティにフィードバックするのかっていう事をど真ん中で考えてやっていく戦略研究を大切にしたいです。


(続く)

★ 本稿は、東京大学 高齢社会総合研究機構 飯島勝矢先生のご講演をを拝聴した事務局が原稿化したものです。もし内容に不正確な部分があった場合には当事務局の責任ですので、ご容赦お願いします。


<リンク>
血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

金沢大学血液内科・呼吸器内科HP

金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:20 | その他

2016年2月22日

超高齢社会を見据えた未来医療予想図(6)老いて行く道

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会報からです。
今回は、特別講演です。

飯島勝矢先生 特別講演
(金沢大学第三内科同門会総会・開講記念会:平成27年6月21日)


超高齢社会を見据えた未来医療予想図(6)

〜フレイル予防からケアまでを俯瞰した地域包括ケアシステム構築〜」

<どうやって老いて行くのか:男女別>
我々はどうやって老いて行くのでしょうか。

6千人の高齢者を対象にした調査があります。

6千人いれば6千通りの病気の発症の仕方があり、6千通りのADLの落ち方があります。
1)早くストンとADLが落ちたのか、
2)徐々にADLが落ちたのか、
3)なかなかADLが落ちないのか、

という大まかな見方をします。

そうしますと、男性は3つの集団に分かれるのですが、女性は2つの集団に分かれます。

まず男性ですが、男性の19%はメタボベースでの心血管イベントでガクッとADLがおちるパターンです。

このパターンは男性では19%でしたが、女性は12%でした。

男性の70%はそこまでの劇的なイベントは起こらないで、ゆっくり70歳過ぎから虚弱いわゆるフレイルになっていきます。

男性の10%は年齢の割には妙に元気ですねという方がいらっしゃいます。


一方、女性はガクッとADLが落ちるのが12%、そして70歳過ぎてからゆっくりの斜め下り勾配の方が約90%(89%〜88%)で、ADLが落ちない方(男性の10%相当の方)がいないというデータが出ました。

とは言っても、僕自身の外来でも80歳くらいでちょっと小太りのおばぁちゃんで、「旦那も15年前に死にましたけども、それから謳歌してますよ、私」と言っているおばあちゃんもいるのも事実です。

個々にはいらっしゃるのですが、マスとしてみるとあまりいません。

その1つの理由が、サルコペニア、ロコモティブシンドローム(ロコモ)で、これは女性に圧倒的に多いです。

たとえばO脚、変形性の膝関節症で完全O脚になって杖をついて、のっしのっしと左右で揺れながらって言う方は基本的に女性であると思われます。

女性は、足腰から落ちて行くという側面が非常に強いという風に言われています。


<大部分はフレイリティー(虚弱)パターン>

ADLがガクッと直下型フローで落ちるのは、男性では19%、女性では12%です。

これは脳卒中だけではなくて、膵臓がんなども含まれます。


一方でゆっくりと落ちるパターンの方もおられます。

当然我々専門職は両方の方々に対してのサポートが必要になりますが、後者の方がマジョリティーです。


今日例えば100人お集りならば、当然いろんな病気をおこして我々は徐々に老いて行く訳ですけれど、100人中70〜80人は徐々にフレイリティー、虚弱となるパターンに入いると思います。

今日の夜脳卒中を起こして右半身麻痺になればちょっと話が別ですけど、大半の方は前虚弱状態、プレフレイルの状態を経て行きますので、グラディエーションとなっております。


(続く)

★ 本稿は、東京大学 高齢社会総合研究機構 飯島勝矢先生のご講演をを拝聴した事務局が原稿化したものです。もし内容に不正確な部分があった場合には当事務局の責任ですので、ご容赦お願いします。


<リンク>
血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

金沢大学血液内科・呼吸器内科HP

金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:01 | その他

2016年2月21日

超高齢社会を見据えた未来医療予想図(5)看取りは在宅か病院か

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会報からです。
今回は、特別講演です。

飯島勝矢先生 特別講演
(金沢大学第三内科同門会総会・開講記念会:平成27年6月21日)


超高齢社会を見据えた未来医療予想図(5)

〜フレイル予防からケアまでを俯瞰した地域包括ケアシステム構築〜」

<看取りは在宅か病院か>
地域のプライマリーケア、そこに付随する介護の方々との話し合い、勉強会の時に、在宅での看取りなのか病院での看取りなのかがよく話題にされます。

この比率は、1976年くらいでトントンになりました。

僕の生まれる前は十中八九は自宅で亡くなっています。

その理由は、今ほど病院が多くなく、高度先進医療がまだ進んでいなかったことが理由かもしれません。

昔は、ご自宅でおじいちゃんが亡くなられ、おじいちゃんといっても90幾つでなくて60幾つだったかもしれませんが、その時代は畳の上で息子、娘、そして必ず孫がいて、顔に白い布を被せられて往診の先生がチャリンコでかけつけるという場面であったという風に思います。


それで我々や、我々の諸先輩方が頑張って高度先進医療を体得して、大学とか医療センターだけではなく、地域病院でも高度医療ができるようになりました。

僕自身も大学人であり、在宅医療推進の活動をする中で、在宅医療メインの方々は病院バッシングが強いです。

病院の先生が良いタイミングで退院させないという言葉を耳にします。

一方、病院は地域に委ねようと、プライマリーケアの先生が入ります。

東大病院では入院した時点で将来のプライマリーケアを見据えつつ、早く退院させようとしています。

ですからすぐリピートして戻ってくる現実もあります。

こっちを向くとこっちのバッシング、あっちを向くとあっちのバッシングです。

現実、地方に行かせて頂くといろいろ耳にします。

それで、板挟みの気持ちになります。

これはどっちが欠けてもって話ではなくて、パートナーと言う事でどういう風にやっていくのかと言う事になります。


(続く)

★ 本稿は、東京大学 高齢社会総合研究機構 飯島勝矢先生のご講演をを拝聴した事務局が原稿化したものです。もし内容に不正確な部分があった場合には当事務局の責任ですので、ご容赦お願いします。


<リンク>
血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

金沢大学血液内科・呼吸器内科HP

金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:56 | その他

2016年2月20日

超高齢社会を見据えた未来医療予想図(4)認知症

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会報からです。
今回は、特別講演です。

飯島勝矢先生 特別講演
(金沢大学第三内科同門会総会・開講記念会:平成27年6月21日)


超高齢社会を見据えた未来医療予想図(4)

〜フレイル予防からケアまでを俯瞰した地域包括ケアシステム構築〜」

<地域包括ケアシステム、その中の在宅医療介護連携>
医療介護は、前半のテーマです。

地域包括ケアシステムが何年も前に国策として出されました。

それをどう解釈するのか、どう地元の事情に照らし合わせるのかまちまちですが、国の方針としての医療介護の問題があります。


ケアマネージャーさんがお医者さんに電話をかけるときも、また怒られるかと躊躇する状況が大分前にありましたが、それが是正されてきました。

今日も、明日も、きっとどこかの都道府県のどこかの街で医療メンバーと介護メンバーが、顔の見える会議をされています。

これは5〜10年前はあまりみられなかったスタイルです。


認知症の方が現在は400万人います。

あとその一歩手前、MCI (Mild Cognitive Impairment) つまり軽度認知機能低下の方々が400万人で、合計800万人と言われます。

リン酸化タウ蛋白やアミロイドβなどの原因物質が分かってきていますが、革新的な治療法はありません。

動物実験ではうまくいくけれど、臨床ではあと一歩進まない段階である事もご存知だと思います。


地域でのケア体制が盤石か脆弱かという事が大きく問われています。


<認知症>
僕自身は循環器内科で始めましたし、その後は老年医学に方向性を変えました。

先生方も呼吸器分野や血液分野などサブスペシャリティーを極めておられます。

なるべく長寿というものを達成しようと、我々も追い求めてきたということになります。

しかし、長寿時代がかなり進んできておりますが、健康長寿自体をどこまで伸ばすことが出来るのか、そして高い生活の質をどこまで維持できるのか、非常に大きな問題です。


そうしますと、後ほどお話しますが、サルコペニア、ロコモ、認知症は加齢に伴い自然に増えていきます。

これはAge dependenceだからこそ、長寿社会を達成した国では自然的に増えていくことは避けられないのでしょう。 

2014年11月にアジアの国の厚労大臣のミニサミットがあって、私もアカデミア代表で呼ばれて行きました。

他の国も認知症の徘徊老人に非常に悩んでいるとのコメントもお聞きしました。


(続く)

★ 本稿は、東京大学 高齢社会総合研究機構 飯島勝矢先生のご講演をを拝聴した事務局が原稿化したものです。もし内容に不正確な部分があった場合には当事務局の責任ですので、ご容赦お願いします。


<リンク>
血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

金沢大学血液内科・呼吸器内科HP

金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:42 | その他

2016年2月19日

超高齢社会を見据えた未来医療予想図(3)独居高齢者

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会報からです。
今回は、特別講演です。

飯島勝矢先生 特別講演
(金沢大学第三内科同門会総会・開講記念会:平成27年6月21日)


超高齢社会を見据えた未来医療予想図(3)

〜フレイル予防からケアまでを俯瞰した地域包括ケアシステム構築〜」

<高齢化のある姿:独居高齢者〜老夫婦のみ世帯>
2025年問題がメディアで取り上げられるもう一つの理由は、お一人暮らし(独居)あるいは老夫婦のみの世帯が約7割を超える点です。

当然、そこには家族の介護、地域コミュニティーのバックアップ体制が盤石か脆弱かという課題が出てきます。


改めて医療と介護の連携が強く推進されております。

私も大学人ですが、金沢大学様もおそらく地域につながった大学であろうと思います。

このように、現場のメンバー達も、そして我々大学側も、今まで以上に地域に開かれた立場になっていく必要があるのでしょう。


加えて、今後どのように生活支援サービスをしっかりと底上げできるのか、どのような人材を駆使して安定供給できるか、さらには住まい及び住まい方をどのように組み合わせていけばよいのか等、重要な点が多々残されております。

Smart wellness cityやCompact cityなど先進的な取り組みもどんどん進んでおります。

特に、都内を中心に介護難民が溢れてしまうのではないか、そのために早めから地方移住を促しても良いのではないかという考え、すなわち通称「増田レポート」と言われるものは、慎重かつデリケートに多面的な視点から考える必要があるのでしょう。

この対策も含めて、今後は医療政策と住宅政策をもパッケージで考えていかないと行けないということを示していることになります。

(続く)

★ 本稿は、東京大学 高齢社会総合研究機構 飯島勝矢先生のご講演をを拝聴した事務局が原稿化したものです。もし内容に不正確な部分があった場合には当事務局の責任ですので、ご容赦お願いします。


<リンク>
血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

金沢大学血液内科・呼吸器内科HP

金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:38 | その他

2016年2月18日

超高齢社会を見据えた未来医療予想図(2)消えて行く自治体

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会報からです。
今回は、特別講演です。

飯島勝矢先生 特別講演
(金沢大学第三内科同門会総会・開講記念会:平成27年6月21日)


超高齢社会を見据えた未来医療予想図(2)

〜フレイル予防からケアまでを俯瞰した地域包括ケアシステム構築〜」

<高齢化の地域差、そして消えて行く自治体とは>
2025年に向けて、高齢者自身の人口数に関する47都道府県のグラフを見てみると、高齢者率高齢者数との2パラメーターで表現可能です。

そうしますと、高齢者数に焦点を合わせてみると、特に東京都や大阪府を中心に、8つから9つくらいの都道府県でダイナミックに急増していきます。

一方、地方圏では高齢者の人数自体は都内ほど激増しないかもしれません。

しかし、若者の流出や少子化などの諸問題によって、高齢者数は増えなくとも、むしろ高齢者率は増加する可能性は非常に高いです。


半年前の新聞に「消えて行く自治体」というタイトルの日本列島の地図が掲載されている記事は出ておりました。

若いママさん達が子供を産んで、そこに居ついてくれるかどうかが鍵なのでしょうし、さらには働きたいけれど子供を預ける場所がない待機児童の問題も大きくのしかかっております。

一方で、実は都内で人口を増やしている地域もあり、そこには待機児童対策に力を入れているような背景がどうもあるようです。


新聞、TVで、2025年問題という言葉がよく取り上げられます。

これは、2025年に大きな変化があって2026年から何かが変わるという話ではなくて、2025年から2040年にかけて大きな高齢化の波が来るわけであり、ある意味、ダイナミックなスタート地点であると言っても過言ではありません。

75歳以上の後期高齢者が20%以上、つまり5人に1人は後期高齢者になると言われています。

すなわち、後期高齢者が2025年には1500〜1600万人、2039年には1690万人になると推測されています。

(続く)

★ 本稿は、東京大学 高齢社会総合研究機構 飯島勝矢先生のご講演をを拝聴した事務局が原稿化したものです。もし内容に不正確な部分があった場合には当事務局の責任ですので、ご容赦お願いします。


<リンク>
血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

金沢大学血液内科・呼吸器内科HP

金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:31 | その他

2016年2月17日

超高齢社会を見据えた未来医療予想図(1)プロフィール

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会報からです。

今回は、特別講演です。

東京大学 高齢社会総合研究機構 飯島勝矢先生のご講演をを拝聴した事務局が原稿化したものです。もし内容に不正確な部分があった場合には当事務局の責任ですので、ご容赦お願いします。

飯島勝矢先生 特別講演
(金沢大学第三内科同門会総会・開講記念会:平成27年6月21日)


超高齢社会を見据えた未来医療予想図(1)

〜フレイル予防からケアまでを俯瞰した地域包括ケアシステム構築〜」

<プロフィール>
私は、元々は循環器内科医です。

カテーテル治療を相当やりこんだ後に老年医学(高齢者医療)に大きく方向転換しまして、現在は「高齢社会総合研究機構(ジェロントロジー)」に所属しております。

このジェロントロジーというものは造語であり、Geronはold manという意味であるため、日本では「総合老年学」という意味で訳されております。

この所属は東京大学総長室統括委員会の真下の部署です。

複数学部のメンバーが集まり、かつ約40近い企業とタイアップして産学連携の形をとり活動しています。

上司が数人おりますが医師はおりませんし、後輩にも医師はおらず、医師は僕一人です。

他には看護職、機械工学、都市工学、人文社会学、経済学、法学などの様々な領域の研究者が集まって、学部横断型の学際的な研究組織を構築しております。


現在、我々はいくつかのフィールドで現場の方々とタイアップしながら、課題解決型の研究(いわゆるアクション・リサーチ)を推し進めております。

具体的なフィールドとして、都市型モデルとしての千葉県柏市、地方型モデルとしての福井県あわら地区、そして被災地の岩手県釜石市や大槌町などです。

個々のコミュニティーを高齢者対応型のまちにどのように作り上げるか、現場の方々と一緒に問題を抽出し、少しずつまちづくりの活動を行っております。

ご存知のように、高齢者たちが介護されている場面が今後急増していきます。

だからこそ、厚労省の資料にも「治す医療から治し支える医療へ」とメッセージが書かれてあります。


(続く)超高齢社会を見据えた未来医療予想図:インデックス へ


<リンク>
血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

金沢大学血液内科・呼吸器内科HP

金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:21 | その他

2016年2月16日

金沢大学第三内科 HP・ブログ・FB便り:インデックス

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会報からです。

今回は、HP、ブログ、FB便りです。


<金沢大学第三内科 HP・ブログ・FB便り> インデックス

1)世界から
2)時間帯 & OS
3)FB記事より
4)同門会総会 & 血液学


<リンク>
血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

金沢大学血液内科・呼吸器内科HP

金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:39 | その他

2016年2月15日

金沢大学第三内科 HP・ブログ・FB便り:同門会総会 & 血液学会

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会報からです。

今回は、HP、ブログ、FB便りです。


<金沢大学第三内科 HP・ブログ・FB便り> (4)同門会総会 & 血液学会

カレンダー

上図は平成27年6月26日のFB記事です。

次会の同門会総会の案内です。

血液学会


上図は平成27年10月18日のFB記事です。

3日間の日本血液学会学術集会(金沢)も、無事に終了いたしました。

6,000人近い皆様に集まっていただきました。

都会圏で行われた過去の学会と遜色ないようです。

ありがとうございます。



私たちの種々サイトは、血液内科や呼吸器内科の医師のみならず、研修医、コメディカル、医療関係学生など多くの方にとって有用な情報を発信することを目標にしています。

また、広く同門の先生方からの原稿をお待ちしています。

内容は、病院紹介、研修医や医学部生へのメッセージ、医の倫理、研究会やセミナーの広報など何でも結構です(画像がある場合には、JPEGでお願いできるでしょうか)。

これまでの同門の先生方の御支援に深く感謝しています。

今後ともどうかよろしくお願いいたします。

金沢大学第三内科 HP・ブログ・FB便り:インデックス


<リンク>
血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

金沢大学血液内科・呼吸器内科HP

金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:30 | その他

2016年2月14日

金沢大学第三内科 HP・ブログ・FB便り:FB記事より

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会報からです。

今回は、HP、ブログ、FB便りです。


<金沢大学第三内科 HP・ブログ・FB便り> (3)FB記事より


フェイスブック(FB)も、平成24年7月4日に誕生しました。

もしまだご存知ない同門の先生がおられましたら、是非とも登録の上、「いいね」ボタンをクリックいただけますと嬉しく思います。

本原稿執筆時点で355の「いいね」をいただいています(昨年の同時期は321、一昨年は182です)。

多大なご支持をいただき、ありがとうございます。

懇親会


上図は平成27年6月30日のFB記事です。

金沢大学第三内科同門会の懇親会(6/21)で、中尾教授の還暦のお祝いをさせていただきました。

(続く)金沢大学第三内科 HP・ブログ・FB便り:インデックス


<リンク>
血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

金沢大学血液内科・呼吸器内科HP

金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:25 | その他

2016年2月13日

金沢大学第三内科 HP・ブログ・FB便り:時間帯 & OS

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会報からです。

今回は、HP、ブログ、FB便りです。


<金沢大学第三内科 HP・ブログ・FB便り> (2)時間帯 & OS

どの時間帯でアクセスいただいているか解析してみました。

例えば、1日10,000アクセスを越えた某日の時間帯別アクセス状況が下図です。

日中は16時に向けてアクセスのピークを迎えているのが分かります。

一方で、午前1〜6時の時間帯にもアクセスいただいているのは、感慨深いものがあります。

時間帯


何のOS(機種)でアクセスされているのかチェックしてみたのが下図です。
 
OS


昨年は、iPhoneが2位でしたが、今年はiPhoneが1位になっています。

Androidも3位で、iPhoneとAndroidをあわせると、約50%になります。

医学関係検索もスマホ時代になっているようです。

(続く)金沢大学第三内科 HP・ブログ・FB便り:インデックス


<リンク>
血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

金沢大学血液内科・呼吸器内科HP

金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:16 | その他

2016年2月12日

金沢大学第三内科 HP・ブログ・FB便り:世界から

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会報からです。

今回は、HP、ブログ、FB便りです。


<金沢大学第三内科 HP・ブログ・FB便り> (1)世界から

金沢大学第三内科(血液内科・呼吸器内科)のHP&ブログは、多くの皆様にご利用いただいています。

多大なご支持に、この場を借りまして厚く御礼申し上げます。ありがとうございます。

本稿執筆時点でHPは工事中ですが、この同門会報がお手元に届いている時点では更にバージョンアップした新しいHPになって登場しているのではないかと思います。

なお、HPは本稿執筆時点では閲覧できない状態ですが、ブログの方は普通に閲覧可能な状態になっています。

世界



もちろん、日本からのアクセスが最も多いのですが、全世界からアクセスいただいていることが、上図や下記からもご覧いただけます。

1.日本:99.01%、2.合衆国:0.31%、3.ロシア:0.25%、4.香港:0.04%、5.台湾:0.03%、6.中華人民共和国:0.03%、7.英国:0.03%、8.インド:0.03%。

合衆国が多いのは理解できますが、その次にロシアであるのが意外です。

(続く)金沢大学第三内科 HP・ブログ・FB便り:インデックス


<リンク>
血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

金沢大学血液内科・呼吸器内科HP

金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:56 | その他

2016年2月11日

金沢大学第三内科 <血栓止血研究室> インデックス

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会報からです。

今回は、研究室紹介です。


<血栓止血研究室>  インデックス

1)はじめに
2)直接経口抗凝固薬
3)癌患者とDOAC
4)DIC診断と病型分類
5)抗リン脂質抗体症候群
6)先天性凝固障害
7)しみじみわかる血栓止血

<リンク>
血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

金沢大学血液内科・呼吸器内科HP

金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:43 | 血栓止血(血管診療)

2016年2月10日

金沢大学第三内科 <血栓止血研究室> しみじみわかる血栓止血

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会報からです。

今回は、研究室紹介です。


<血栓止血研究室> 

しみじみ


前回紹介させていただいた「しみじみわかる血栓止血 vol.1 DIC・血液凝固検査編」は、多くの皆様にご評価いただきました。この場を借りまして、御礼申し上げます。

 
このシリーズの第2弾が発刊されました。

「しみじみわかる血栓止血 vol.2  血栓症・抗血栓療法編」です。

半分くらいの内容は、医療関係者ではなく一般の方でもお読みいただけると思います。

DOACについても十分な記載がされています。

表紙絵のようにセンベイを食べながら、一晩でお読みいただけるのではないかと思います。


以上、私たち血栓止血研究室は、生体の最も基本的な生理反応である止血と、人類が克服すべき血栓症を扱っています。

また、この領域は追求する程に味わいのある深淵な学問であると思っています。志を同じくする同志が一人でも増えることを願ってやみません。


金沢大学第三内科 <血栓止血研究室> インデックス
    


<リンク>
血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

金沢大学血液内科・呼吸器内科HP

金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集
へ 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:42 | 血栓止血(血管診療)

2016年2月9日

金沢大学第三内科 <血栓止血研究室> 先天性凝固障害

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会報からです。

今回は、研究室紹介です。


<血栓止血研究室> 先天性凝固障害

先天性凝固障害の分子病態に関する研究としては、森下および保健学科の学生らを中心に、凝固因子および凝固阻止因子の分子異常について幅広く研究しています。

森下は慶応大学村田満教授を代表とする厚労科研「血液凝固異常症等に関する研究」の「特発性血栓症/先天性血栓性素因」サブグループのグループリーダーとして、先天性血栓性素因を「指定難病」に認定することを目指し、診断基準ならびに重症度分類の作成を行い、昨年10月に厚労省に申請いたしました。

今後、作成した診断基準、重症度分類をさらに検討した後、日本血栓止血学会を通して全国に発信したいと考えております。


さて、先天性血栓性素因の研究面としては、以前から継続しておりますアンチトロンビン(AT)、プロテインC(PC)、プロテインS(PS)などの凝固阻止因子欠乏症の症例の遺伝子解析を行い、その変異部位の同定を行っています。

当研究室が行った141家系204症例の遺伝子解析の結果を図に示します。  

解析
図

変異の割合を見ますと約半数がPS欠乏症であり、日本人ではPS欠乏症、特にPS Tokushima変異が多いとの報告と一致しております。

しかしながら、変異の同定率は33%と極めて悪く、現状の遺伝子解析手法における限界を感じております。

一方、AT欠乏症の変異同定率は91%と良好であります。

PS、PC欠乏症の変異同定率が悪い理由の一つとして、後天性に低下している症例が相当数含まれていることが考えられ、今後は活性値で先天性と後天性とを鑑別できるような手法が必要です。

その一つの方法として、PS Tokushima変異を血漿検体を用いて遺伝子解析をすることなく、ELISA法で検出できる方法を国立循環器病研究センターの宮田先生と共同で開発しました(特許出願済み)。

PS Tokushima変異は一般人口の55人に1人が保因者なので、このキットが今後臨床で有効に利用されることを願っております。

(続く)金沢大学第三内科 <血栓止血研究室> インデックス
 

<リンク>
血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

金沢大学血液内科・呼吸器内科HP

金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集
へ  

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:04 | 血栓止血(血管診療)

2016年2月8日

金沢大学第三内科 <血栓止血研究室> 抗リン脂質抗体症候群

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会報からです。

今回は、研究室紹介です。


<血栓止血研究室> 抗リン脂質抗体症候群

抗リン脂質抗体症候群(APS)に対しても精力的にとり組んできました。

当科の「血栓止血外来」で診療を受けられる患者さんの多くでAPS関連の疾患を持っておられますので、臨床的にも比重の大きい重要疾患であり,外来担当者全員で診療にあたっております。


H27年度より森下が北海道大学第2内科渥美達也教授を代表とする厚労科研『抗リン脂質抗体関連血小板減少症の病態解明と治療指針の構築に関する研究』の研究分担者となっため、血小板減少と抗リン脂質抗体との関連について臨床的な検討を開始しました。

また、森下は日本血栓止血学会学術標準化委員会(SSC)「抗リン脂質抗体症候群部会」の部会員として、抗リン脂質抗体の標準化に取り組んでおり、診断時に利用できるような基準値を作成中です。


APSはいまだ不明の部分も多い疾患群ですが、徐々に解明され、コントロール可能となっていくことを、大いに期待して研究に取り組んでおります。

(続く)金沢大学第三内科 <血栓止血研究室> インデックス
 

<リンク>
血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

金沢大学血液内科・呼吸器内科HP

金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集
へ  
 

 


投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:59 | 血栓止血(血管診療)

2016年2月7日

金沢大学第三内科 <血栓止血研究室> DIC診断と病型分類

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会報からです。

今回は、研究室紹介です。


<血栓止血研究室> DIC診断と病型分類

DIC


DIC研究に関しては、日本血栓止血学会 学術標準化委員会(SSC)の「DIC部会」の部会長として朝倉が4年間の任期を全うしました。

その間、日本における一般内科や血液内科領域のみならず、救急・外科・臨床検査などの種々領域でのDICの臨床、研究が大きく向上しました。

金沢大学から発信してきたDIC病型分類の概念も浸透してきたと思います(Asakura H. Classifying types of DIC: clinical and animal models. JSH-EHA Joint Symposium <Basics and clinic of DIC>, 2015)。
 

その後、日本血栓止血学会の諮問機関「DIC診断基準作成委員会」(委員長:朝倉)が結成されて、遂に平成26年10月新しいDIC診断基準が発表されました。

旧厚生省DIC診断基準(原典は1980年)が30年以上にわたって使用されてきましたので、30年以上ぶりに改訂されたことになります(DIC診断基準作成委員会:日本血栓止血学会誌
Vol. 25 (2014) No. 5 p. 629-646)。

(続く)金沢大学第三内科 <血栓止血研究室> インデックス
 

<リンク>
血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

金沢大学血液内科・呼吸器内科HP

金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集
へ  
 

 


投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:54 | 血栓止血(血管診療)

2016年2月6日

金沢大学第三内科 <血栓止血研究室> 癌患者とDOAC

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会報からです。

今回は、研究室紹介です。


<血栓止血研究室> 癌患者とDOAC

がん



このように、担癌患者でのVTE治療は本当に容易になったと実感しています。

これも、DOAC登場の恩恵ではないかと思います。

効果の点でも、担癌患者さんにおけるワルファリンの効果は今ひとつの印象を持っていましたが、上図のようにDOACの効果の方が優れています。

加えて、DOACはワルファリンと比較して有意に出血の副作用が少ないのも魅力です。


個人的には、抗リン脂質抗体症候群(APS)の不育症症(習慣性流産)に対して、将来DOACを使用できないかと思っていますが(ワルファリンは催奇形性あり)、この将来がいつくるかは不透明です。


DICに対してワルファリン(基質としての凝固因子VII、IX、X、II活性を低下させます)を投与しますと大出血をきたしますので絶対禁忌です。

DICをコントロールするためには、基質としての凝固因子を低下させても全く無効であることは、凝固因子が枯渇した劇症肝炎でもDICを発症することから理解できます。

DICをコントロールするためには、活性型凝固因子(トロンビンやXaなど)を抑制することが不可欠です。

この点、DOACはDICに対して有効である可能性があります(Hayashi T, et al: Ann Intern Med, 2014)。


大動脈瘤、巨大血管腫などに合併する慢性DICの患者さんは少なくなく、DICのために退院しがたいケースも多々あります。

そのような場合、従来であれば、

1)ダナパロイド(半減期の長いヘパリン類)を1(〜2)日に1回外来で静注(線溶活性が極めて高度で出血の懸念のある場合は、経口のトラネキサム酸の併用:ただし安易な併用は致命的な血栓症を誘発しますので専門家に相談して慎重に判断する必要があります)、

2)ヘパリンの在宅自己注射(皮下注)のいずれかを行ってきました。

現在もこれらの治療が標準的ではありますが、DOACでコントロール可能であれば、患者さんにとって大きな恩恵となります。

今後の展開を期待したいと思います。

(続く)金沢大学第三内科 <血栓止血研究室> インデックス
 

<リンク>
血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

金沢大学血液内科・呼吸器内科HP

金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集
へ  
 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:44 | 血栓止血(血管診療)

2016年2月5日

金沢大学第三内科 <血栓止血研究室> 直接経口抗凝固薬

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会報からです。

今回は、研究室紹介です。


<血栓止血研究室> 直接経口抗凝固薬

本年も、直接作用型経口抗凝固薬(direct oral anticoagulant:DOAC、旧名称:NOAC)に触れておきたいと思います。

現在日本で使用可能なDOACは4剤あります。

具体的には、ダビガトラン(プラザキサ)、リバーロキサバン(イグザレルト)、アピキサバン(エリキュース)、エドキサバン(リクシアナ)です。

4剤とも、非弁膜症性心房細動に対して処方可能ですが、エドキサバン、リバーロキサバン、アピキサバンは、VTEにも処方可能です(本稿執筆時点)。

エドキサバンは、VTEに対して最初に保険収載されたため、現時点ではVTEに対して最も使用されているDOACではないかと思います。


当科にコンサルトいただくVTEは、そのかなりの割合が担癌患者さんです。

おそらく全国的にも担癌患者でのVTEに対して、DOACの処方件数が多いものと推測しています。

経口抗凝固薬としてワルファリンしかなかった時代には、コントロールに大変苦慮しました。

化学療法にともなって食事摂取量が大きく低下することも多く、また白血球数低下に伴い感染症を併発しますと抗生剤を使用します。

そのような場合にはワルファリンの効果が強くなりすぎました(高度の出血症状の出現でコンサルトいただいたことも多いです)。

DOACではこのような懸念がありません。


また術前検査の中でVTEが発見されることも多いですが、ワルファリンですとコントロールに入いる前に手術のタイミングになってしまったり、あるいはコントロールに入ってまもなく手術にそなえてワルファリンを中断する必要がありました。

こんな場合であっても、DOACであれば、投与当日から効果を発揮しますし、手術直前まで投与しても大丈夫です(DOACの半減期は半日のため)。


(続く)金沢大学第三内科 <血栓止血研究室> インデックス

 

<リンク>
血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

金沢大学血液内科・呼吸器内科HP

金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集
へ  
 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:40 | 血栓止血(血管診療)

2016年2月4日

金沢大学第三内科 <血栓止血研究室> はじめに

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会報からです。

今回は、研究室紹介です。


<血栓止血研究室> はじめに

血栓止血研究室は、当初は「凝固研究室」と呼称しましたが、私達が属する最も重要な学会の名前を借りて現在は「血栓止血研究室」と呼称しています。

おかげさまで金沢大学は、血栓止血の臨床と言えば真っ先に上がる医療機関の一つにならせていただけたと思います。

これも前教授の松田先生と現教授の中尾先生の温かいご指導の賜物、志を同じくした研究室スタッフ、共同研究者など多くの皆様の努力の結集のおかげと、感謝しています。


血栓止血研究室は、血栓止血学を臨床・研究・教育のテーマとしています。

内科系、外科系の全ての臨床各科、あるいは検査血液学、臨床検査医学など、多くの他領域と関連が深いのも特徴です。


さて、当研究室の医局員スタッフは学内外を合わせて計10人です。

大学病院の血栓止血外来は、朝倉、森下、林、門平が担当していましたが、平成26年4月から、松浦にも血栓止血外来をお手伝いいただいてきました。

またこれまでに、薬学部修士課程大学院生13人との共同研究を行ってきました。

保健学科、検査部との共同研究も継続されています。

研究助手の穴田さんには、長きにわたり研究室のためご尽力いただいています。


当研究室は、一貫して「血栓症の克服」に向けて臨床、研究、教育を進めています。

特に、DIC病態解析と治療法の改善、静脈血栓塞栓症(VTE)の診療、抗リン脂質抗体症候群(APS)の病態解析・臨床、血栓性疾患の病態解析、凝固異常症の遺伝子解析などは、私達が最も力を入れているところです。


(続く)金沢大学第三内科 <血栓止血研究室> インデックス
 

<リンク>
血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

金沢大学血液内科・呼吸器内科HP

金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集
へ  
 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:32 | 血栓止血(血管診療)

2016年2月3日

血友病の遺伝形式:医師国家試験

第110回医師国家試験の問題紹介と解説です。

血友病Aに罹患した父親をもつ女性が,健常な夫との間の挙児希望のため遺伝カウンセリング外来を受診した.女性に血友病Aの発症はない.

女児が生まれた場合,血友病Aの保因者となる確率はどれか.


a 0%
b 25%
c 50%
d 75%
e 100%


(ポイント)

血友病Aは、伴性劣性遺伝です。
男性に発症して、女性はキャリアーとなります。
血友病Aに罹患した父親をもつ女性は、必ず血友病のキャリアーです。
健常な夫と結婚すれば、男児が誕生すれば血友病を発症する可能性は50%であり、女児が誕生すれば血友病のキャリアーとなる可能性は50%です(女児は血友病を発症しません)。


(解説)

a 誤っています。
b 
誤っています。
c 正しいです。
d 
誤っています。
e 誤っています。


(正解) c


(備考)

家系図


1)血友病の父親と健常な母親から誕生する子について
・    男児の場合:血友病は発症しません。
・    女児の場合:血友病キャリアーは100%です(血友病は発症しません)。

2)血友病キャリアーの母親と健常な父親から誕生する子について
・男児の場合:血友病は、50%発症します。
・女児の場合:血友病キャリアーは50%です(血友病は発症しません)。
 

<リンク>
血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

金沢大学血液内科・呼吸器内科HP

金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集
へ  
 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:18 | 医師国家試験・専門医試験対策

2016年2月2日

血友病:医師国家試験

第110回医師国家試験の問題紹介と解説です。

血友病に特徴的な出血部位はどれか.

a 歯肉
b 皮下
c 関節内
d 鼻粘膜
e 口腔粘膜


(ポイント)
出血のパターンや部位によって疾患を推測できることがあります。

特に、血友病A&Bにおける関節内出血は有名です。ただし、後天性血友病では、関節内出血は例外的です。


(解説)


a 歯肉出血は、血小板数や血小板機能が低下した場合にみられやすいです。

b 皮下出血は、凝固異常の疾患でみられます。ビタミンK欠乏症、DICなどでみられます。

c 関節内出血と言えば、血友病があまりに有名です。少なくとも国家試験レベルであれば、1対1と思って良いです。

d 鼻出血は、粘膜出血の一症状です。血小板数や血小板機能が低下した場合にみられやすいです。von Willebrand病(血小板粘着能が低下)の鼻出血は有名です。遺伝性出血性毛細血管拡張症(オスラー病)でもみられます。

e 口腔出血も粘膜出血の一症状です。鼻出血と同様の病態でみられやすいです。



(正解)
 c


(備考)

<出血の部位と疾患の関係>

1)    関節内出血:血友病A&B。
2)    筋肉内出血:血友病A&B、後天性血友病(第VIII因子インヒビター)。
3)    粘膜出血(鼻出血、歯肉・口腔粘膜出血、消化管出血、血尿、女性性器出血など):血小板数や血小板機能が低下した疾患でみられやすいです。特に、幼少時から鼻出血がみられやすい場合は、von Willebrand病を疑います。
4)    四肢末梢(特に下肢)の左右対照性紫斑:アレルギー性紫斑病(腹痛、関節痛、腎障害(IgA腎症))を伴うことがあります。
5)    臍帯出血:先天性第XIII因子欠損症。
6)    前腕伸側、手背の紫斑(高齢者)赤紫色で境界明瞭、部位を変えて出没(全ての凝血学的検査は正常):老人性紫斑
7)    タール便(黒色便):上部消化管(胃、十二指腸など)からの出血。
8)    紫斑
・ 点状出血(petechiae、径1〜5mm):血小板や血管が原因の出血傾向。

・    斑状出血(ecchymosis、径数cm以内):凝固異常が原因の出血傾向。

・ びまん性出血(suggillation、面積の比較的大きな皮下出血):凝固異常が原因の出血傾向。


<出血傾向の原因(分類)>

1)    血小板数数の低下:特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、再生不良性貧血など。
2)    血小板機能の低下:血小板無力症、von Willebrand病、NSAID(非ステロイド系消炎鎮痛剤)(アスピリンなど)内服、尿毒症など。
3)    凝固異常:血友病A、血友病B、後天性血友病、ビタミンK欠乏症など。
4)    線溶過剰亢進:線溶亢進型DIC( 1)2)の要素も)など。
5)    血管壁の異常:アレルギー性紫斑病(Schoenlein-Henoch紫斑病)、単純性紫斑、老人性紫斑、遺伝性出血性毛細血管拡張症(オスラー病)など。

 

<リンク>
血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

金沢大学血液内科・呼吸器内科HP

金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集
へ  
 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:09 | 医師国家試験・専門医試験対策

2016年2月1日

特発性血小板減少性紫斑病:医師国家試験

第110回医師国家試験の問題紹介と解説です。


特発性血小板減少性紫斑病でみられるのはどれか.


a 大球性貧血
b 白血球減少
c 網血小板比率低下
d トロンボポエチン値低下
e 骨髄巨核球数正常または増加


(ポイント)
特発性血小板減少性紫斑病は、血小板に対する自己抗体が出現して、血小板が脾臓で破壊されるために、血小板数が低下する後天性の出血性疾患です。

骨髄巨核球における血小板産生は維持されています。

血小板が盛んに産生されるために幼若な血小板(網血小板)の比率は高くなります。

トロンボポエチンは、主に肝臓で産生されて、巨核球からの血小板産生を刺激する造血因子です。

血中トロンボポエチン値は、再生不良性貧血や化学療法後の血小板減少期では高値となりますが、特発性血小板減少性紫斑病ではあまり上昇しません。
 


(解説)


a 血小板数低下のために活動性の出血がありますと、鉄欠乏性貧血(小球性低色素性貧血)をきたすことがありますが、大球性貧血とはなりません。貧血のない特発性血小板減少性紫斑病も多いです。

b 再生不良性貧血では白血球減少をきたしますが、特発性血小板減少性紫斑病では白血球減少はみられません。

c 血小板の産生が亢進していることを反映して、幼若血小板比率(網血小板比率)は上昇します。

d 血中トロンボポエチン値は、再生不良性貧血や化学療法後の血小板減少期では高値となりますが、特発性血小板減少性紫斑病ではあまり上昇しません(軽度上昇に留まります。著増している場合には特発性血小板減少性紫斑病の可能性が低いです)。

e 骨髄巨核球数は再生不良性貧血では低下しますが、特発性血小板減少性紫斑病では低下しません(正常または増加)。


(正解) e


(備考)

特発性血小板減少性紫斑病(ITP)の治療

血小板数が3万/μL以上あって、無症状なら経過観察が良いです。

1)ピロリ菌の除菌療法:ピロリ菌陽性であれば是非とも行うべき治療です。副作用はほとんどなく、約6割の患者で、血小板数が回復します。
蛇足なら、管理人はITP患者がピロリ菌陽性であると嬉しい気持ちになります。

2) 副腎皮質ステロイド療法:血小板に対する自己抗体を消失させることを期待した治療です。

3)脾摘:除菌療法やステロイド療法が無効であった場合に考慮します。血小板破壊の場となる脾臓を除去して、血小板が破壊されないようにすることを期待した治療です。





4) 免疫グロブリン大量療法:通常は脾摘の1週間前から点滴で投与します。効果は一時的であるため、原則として脾摘とセットで考慮する治療です。

5)トロンボポエチン受動態作動薬:巨核球・血小板産生刺激因子であるトロンボポエチンの受容体に結合し,巨核球の成熟を促進し血小板産生を亢進させる薬剤です。有効率は8〜9割と高いですが、未知の副作用出現の可能性を否定できず、第一選択薬にはなりません。また、血栓症の副作用も報告されています。

 

 <リンク>
血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

金沢大学血液内科・呼吸器内科HP

金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集
へ  

 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:00 | 医師国家試験・専門医試験対策

<< 2016/01トップページ2016/03 >>
▲このページのトップへ