金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2010年4月30日

日本血栓止血学会:第XIII因子インヒビター

FXIIIインヒビター

 

鹿児島で、丸山征郎先生会長のもと、第33回 日本血栓止血学会学術総会が開催されました。

学会会期中、日本は寒気につつまれたそうですが、鹿児島では寒いという感じは全くありませんでした。やはり、日本は広いようです。

上の画像は、ポスター発表の状況です。

第XIII因子に対する抗体(インヒビター)が出現したという、稀な症例の報告です。

しかし、実際はこの病気であるにもかかわらず、診断に至っていない症例が多数おられるのではないかという気にもなっています。

【リンク】

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 00:54 | 血栓止血(血管診療) | コメント(0)

2010年4月28日

金沢大学 呼吸器内科 新入医局員紹介(3)

 

今回も、出典は、金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)の同門会誌からです。

新入医局員紹介の記事の連載です。



藤田 健太郎

平成20年4月より金沢大学旧第三内科、呼吸器科に入局させていただきました、藤田健太郎と申します。

平成15年に金沢大学医学部を卒業した後、同期の多くが大学の医局に入局する中で、私は東京の国立国際医療センター(旧陸軍第一病院)に初期研修をさせていただきました。当時は初期研修医制度がまだ始まっていなかったので、医局に残らず外の病院で研修をする者は非常に珍しかったと思います。

生まれも育ちも金沢であり、かつ金沢大好きである私が、外の病院で研修することに対して、よく同級生から疑問の声があがりました。しかし理由は非常に単純でした。好奇心旺盛で束縛される事が大嫌いである私は、一度金沢を出てみたかったことと、都会で多くの人の刺激を受けてみたかったのでした。

また、尊敬する部活の先輩である刀祢先生がその病院にいらっしゃった事も大きかったです。研修病院として、当時すでに有名であった国際医療センターでの2年間の初期研修は、非常に充実し、楽しいものでした。全国各地、沖縄から北海道までの研修医が同学年で45人ほど、2年目を合わせるとおよそ100人になります。色々な方言が飛び交うなか、同じ寮で生活をし、一緒に勉強し、悩んで、笑って、飲んで・・・忘れることができない貴重な時間でした。

元々、呼吸器科に興味があった私は、2年の研修終了後に大学の医局に戻る予定でおりました。しかし、同病院での呼吸器研修が非常に魅力的であったこと、症例が非常に豊富であったこと(当時は結核合わせて、180人強の呼吸器入院患者がいました)、全国の初期研修を終えた呼吸器後期研修が集まっており、当時の同期が9人と楽しそうな雰囲気であったことに負けてしまい(笑)、さらに3年間残ることにしました。  

その間、多くの症例を経験でき、在宅医療の英先生とも一緒にお仕事ができ、また1年間はチーフレジデントとして運営、研修教育にも携わることができ、とても充実した時間を過ごすことができ、感謝しております。

5年間の長い研修期間が終わり、将来を考えたとき、呼吸器の臨床が好きである私は、どこで臨床がしたいのか考えました。やはり将来は北陸で医療をしたいと思いました。どうせ携わるなら、自分が恩恵をうけた、またこれまでに世話になった人がいる場所(すでに他界してしまった人もいますが、その場合はその人が関係を持った人がいる場所)と考えました。

であるならば早く地元の医療の需要と供給が知りたいと思い、この度、金沢大学の医局に入局させていただきました。

最近の研修医の中には、QOLを重視してか、マイナー科へ行く者も多いようです。世の中は、「きれい」「はやい」「簡便」である事を重要としているようです。

一方で、呼吸器疾患は、高齢者が多く、生命に関わることが多いなど、内科の中でもいわゆる3K的な要素が多いと感じます。しかし、そういった分野こそ、そこに一生懸命に関われることこそ、実は日本の医療のよさ、本当の価値があるのでは?と最近感じます。

一生懸命に治療しても、再び誤嚥性肺炎を繰り返し入院してくるご老人を診て、レセプトを見て、溜息をつく一方で、改善したときの本人の笑顔と、文句を言いながらもほっとしたような表情の家族を見て、この分野に携われてよかったと思うのです。

これまで長い間、北陸の呼吸器臨床を守り、学問としても高いレベルを保ってこられた諸先輩方に早く近づけるよう、日々精進していきたいと思います。



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 播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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2010年4月27日

金沢大学 第三内科 新入医局員紹介(2)

新入医局員紹介の記事の連載です。


前回に続きまして、出典は、金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)の同門会誌からです。




宗本 早織

平成20年4月より入局させていただいた宗本早織と申します。

私は金沢大学を卒業した後に市立砺波総合病院で2年間の研修をさせていただきました。研修している最中は様々な科をまわるためその科ごとの良さがあり、どの科にするか1月頃まで悩んでいました。


しかし、その研修先で出会った先生に「唯一、癌を治せる内科医が血液内科医だ」と言われ血液内科として歩んでいくことを決めました。

 

血液内科は疾患自体も重くきついイメージがありましたが、実際はそんなことはありませんでした。

患者さんは他科と比較して年齢が若いため、病気と闘っていこうという気力がいっそう強くその思いにいつも自分も頑張らねばと励まされます。長期戦であるが故に寛解に至り退院できるとなると大変嬉しく思います。

医師として働きだしてからは失敗し落ち込むことも多々ありました。しかし、こんな自分でも患者さんに必要としていただき、本当にやりがいがあります。普通のOLでは絶対に経験できなかったことも色々と経験でき、飽きることのない日々の連続です。

また、周囲の先生方やスタッフの方々に助けていただいていることも大きいと思います。

 

大学病院では多くの血液内科の先生方がいたため何でも相談できました。お花見や新年会などもあり、仕事以外でも楽しく過ごさせてもらっています。

まだまだ未熟であり、毎日勉強しても足りないくらいですが、これからも全力で頑張っていきたいと思っています。これからもどうぞよろしくお願いいたします。


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 播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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2010年4月26日

金沢大学 血液・呼吸器内科 新入医局員紹介(1)

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)の同門会誌から、新入医局員紹介の記事をアップさせていただいます。

この原稿が書かれてから、多少時間が経過していますので、現状と若干違う部分があるかも知れませんが、御容赦いただければと思います。

シリーズで、お届けしたいと思います。



斉藤 千鶴

平成20年4月に第三内科に入局させていただきました斉藤千鶴と申します。昨年度は大学で、本年度は富山県立中央病院で後期研修中です。

私は金沢で育ち大学も金沢でした。一度は北陸以外で過ごしたく、横浜栄共済病院で初期研修を始めました。血液内科はなかったものの、血液内科医として必要な全身管理の基礎を身につけようと意識しながら内科全科、外科を研修しました。偏りなく多くの症例を経験でき、有意義に学ぶことができました。そして女性医師が多く医局の雰囲気が良い印象もあって血液内科医になるなら金沢大学だと、北陸に戻ってきました。

さて、私が血液内科に強く興味を抱くようになったのは大学5年の臨床実習からでした。授業では血液疾患は難しいように感じたのですが、実習で化学療法や骨髄移植の劇的な経過を実際に見て驚きと好奇心が湧くのを覚えました。それを受けて翌年のクリニカルクラークシップでは石川県立中央病院の血液内科で1か月間、数人の患者さんを担当してもっと血液疾患を知りたい、治療に携わりたいと強く感じて現在に至ります。

血液疾患の治療は患者さんはもちろん、家族、そして私達スタッフにとっても辛いことが多いと思います。悩みながら一生懸命診療にあたっても残念な結果になってしまう経験もあり虚しさを感じることもありました。しかし日進月歩の分野で、この先どんな発見、開発が進められていくのだろうと思いを馳せ、多くの笑顔を見られるよう励みたいと思います。

まだ駆け出しで至らぬことが多く、先生方に助けられてばかりです。それでも温かくご指導下さる第三内科の先生方には本当に感謝の日々です。

血液内科は奥深く、決して極められる分野ではなく、それが魅力であります。多くを学び、経験し、趣味も楽しみ、バランスのとれた良き医師、血液内科医になるよう精進していきたいと思います。今後とも、何卒よろしくお願い致します。

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 播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

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2010年4月25日

日本血栓止血学会(鹿児島)会長:丸山征郎先生

丸山先生

 

第33回 日本血栓止血学会学術総会(会長:鹿児島大学特任教授 丸山征郎先生) 

平成22年4月22日〜24日(於:城山観光ホテル)

が、開催されました。

 

上図は、丸山先生による会長講演の模様です。

「閉鎖循環系のホメオステーシスと病態:血栓の意味論」

いつものことながら、引き込まれるような素晴らしい講演でした。また、プログラム全体がとても充実していて、血栓止血ワールドを堪能することができました。

おそらく、全出席者が、同じ思いではないかと思います。

 

なお、管理人は、鹿児島の地に足を踏み入れるのは、高校生時代の修学旅行以来ではないかと思います。

ニュースによりますと、学会期間中は日本は寒波におおわれたそうですが、ここ鹿児島にいますと、そんなに寒いとは思えないです。上着なして市街を歩いても大丈夫です。

桜島(学会場の城山観光ホテルからとても奇麗に見れました)と、西郷隆盛像を、画像におさめましたので掲載しておきたいと思います。

桜島

 

西郷隆盛像


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播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

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2010年4月24日

金沢大学 血液内科・呼吸器内科:新人歓迎会インデックス

金沢大学 血液・呼吸器内科(第三内科)の、新人歓迎会が行われました。

平成22年4月17日(土)(ホテル金沢)

 

インデックスページを作成しておきたいと思います。

1)中尾教授 & 研修医

2)医局長

3)新入医局員

4)新人者による芸

5)ホテル金沢にて


今回も、直接関係ないのですが、兼六園の画像もつけておきたいと思います。

 

兼六園画像

 

 

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 播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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2010年4月23日

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)新人歓迎会

歓迎会3

 

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)の、新人歓迎会が行われました。

平成22年4月17日(土)(ホテル金沢)


管理人も、頑張って(?)たくさん写真撮影をいたしましたので、何回かにわけてシリーズでお届けしたいと思います(とは言っても、携帯電話の写メですが)。

この会に出席された方で、良い画像をお持ちの方がおられましたら、是非管理人まで画像を送信していただけますと嬉しいです(身内あてのメッセージですいません)。

 

金沢大学第三内科の会としては毎回のことながら、アットホームなとても良い感じの会だったと思います。

管理人も、関連病院の先生方や、開業された先生方など、多くの先生方と有意義なお話をさせていただくことができました。今回も、出席して良かった〜という感じです。


今回は、中尾教授の開会挨拶と、管理人と同じテーブルについたラッキーな(?)研修医の先生たちの画像を、お届けいたします。

歓迎会2


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播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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2010年4月22日

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)新歓での医局長


医局長

 

 
金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)の、新人歓迎会が行われました。

平成22年4月17日(土)(ホテル金沢)です。

 

当科での研修や、入局を考えてこのサイトをご覧いただいている方も多いのではないかと思います。

その際、まず窓口になるのが、医局長ではないかと思います。

金沢大学第三内科の医局長は、この4月(平成22年4月)から、山崎宏人Drになりました。山崎宏人Drは、3月までは病棟医長をしていましたので、昨年度までに第三内科で研修されていた先生方には、最もなじみがあるのではないかと思います。

 

ということで、現医局長の新人歓迎会での画像をアップしておきたいと思います(上画です)。

手前みそですが、金沢大学第三内科の歴代の医局長は、皆とても素敵な方々です。

さて、今年度からの医局長ですが。。。。一言で言いますと、ほのぼのオーラ発散タイプではないかと思っています。

医局長の代弁というわけではありませんが、血液内科呼吸器内科血栓止血に興味のある多くの方々の入局をお待ちしています!


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2010年4月21日

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)新人入局者

歓迎会4

 

金沢大学血液・呼吸器内科(第三内科)新人歓迎会の画像を、さらに続けてお送りしたいと思います。

新人歓迎会では、第三内科の入局者としては、3人の先生方の紹介が行われました。

管理人も、20年以上前に、新人歓迎会をしていただいたと思いますが、悲しいことに記憶がありません。

今回入局の先生方は、このブログ記事を今後も見ていただいて、初心を忘れずに頑張っていただければと思います。

新人歓迎会とは無関係ですが、1週間前の兼六園の画像も一緒に掲載させていただきたいと思います。

 

兼六園


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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 22:23 | その他 | コメント(0)

2010年4月20日

金沢大学第三内科:新人歓迎会での新人者による芸です。

歓迎会5

 

 

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)新人歓迎会の記事を続けたいと思います。

いつの時代からか、第三内科のこのような会では、しばしば新人スタッフによる芸が行われています。

管理人も、大昔にさせていただいたように思いますが、何をしたかは覚えていません。

しかし、芸の練習をしたような記憶は、かすかに残っています。何んとなく、ほのぼのした暖かい記憶です。

 

今回は、新人の皆さんにマイケルジャクソンのスリラーを演じていただきました(と、思っていますが、違っていたら教えてください)。

しばし、見入ってしまいました。

 

画像が暗くて分かりにくいと思いますが、かえって良いかもです。。。

 

直接関係ないですが、1週間前の兼六園の画像の掲載させていただきます。

 

兼六園2


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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 22:11 | その他 | コメント(0)

2010年4月19日

金沢大学第三内科新人歓迎会:ホテル金沢にて

 

ホテル金沢

ホテル金沢1

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ホテル金沢3 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)の、新人歓迎会が行われました。

平成22年4月17日(土)(ホテル金沢)

 

番外編という訳ではありませんが、一体どのような食事メニューだったのかと、知りたい方はおられないでしょうか。はい、このような感じです。

写真にはないのですが、デザートがなかなかグッド(美味)でした!

今回も直接関係ないのですが、1週間前の兼六園の画像も一緒にアップさせていただきます。

 

兼六園画像


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2010年4月18日

広範型肺血栓塞栓症と播種性血管内凝固症候群(DIC)

国際血栓止血学会誌(J Thromb Haemost. )からの論文を紹介させていただきます。

心肺蘇生法が行われた肺塞栓症例では、DIC所見をきたすというものです。


【論文】

心停止に至った広範型肺血栓塞栓症では、消費性凝固障害を伴ったDIC所見を呈する。
Massive pulmonary embolism leading to cardiac arrest is associated with consumptive coagulopathy presenting as disseminated intravascular coagulation.
J Thromb Haemost. 2010 Mar 19. [Epub ahead of print]


【論文の概略】

広範型肺血栓塞栓症(PE)では、播種性血管内凝固症候群(DIC)類似の消費性凝固障害を呈することが知られています。
著者らは、PE症例の中でも、心肺停止そして心肺蘇生法(CPR)を行った症例においてDIC所見がみられるのではないかとの仮説を立てました。


救急部において1993.6.〜2007.10.の期間に診断されたPE症例を対象としています。
PE 1,018例中、113例においてCPRが施行されました。蘇生された症例が、CPRのなされなかったPE症例と比較されました。


その結果、CPRのなされたPE症例(PE&CPR)では心停止のなかった症例と比較して、Dダイマー(DD)は3倍高く、PT延長、血小板数低下、Fbg低下、AT活性低下はより高度でした(全項目:p<0.001)。

PE&CPRでは、Dダイマー上昇100%、PT延長44%、AT低下53%、Fbg低下19%、血小板数低下2%でみられた。一方、CPRのない症例では、DD上昇99%、PT延長15%、AT低下6%、Fbg低下1%、血小板数低下2%の症例でみられました。

PE&CPRの9%の症例で、DICスコア5以上となり顕性DICの診断基準をみたした。DICスコアは、1年生存率および院内死亡率と高い相関を示しました。


以上、CPRに至った広範型肺血栓塞栓症では、消費性凝固障害を有する顕性DIC所見を呈すると考えられました。

蘇生された症例において、DICマーカーが高値であった場合には、心停止の原因としてPEを考慮すべきと考えられました。


【補足】

1)広範型肺血栓塞栓症とDICスコアの関連を検討した興味ある報告です。
ただし、PEが原因ではない心停止であったとしても蘇生後にDICスコアが動くと考えられますので、この点は今後の検討課題かも知れません。

2)私たちも、最近DIC診断基準をみたす症例で、DVT/PEも併発している症例にしばしば遭遇しています。DIC基準をみたしていても、それで納得してしまうことなく、DVT/PEもあるかも知れないと考えることが重要だろうと思っています。


【リンク】

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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2010年4月17日

丸山征郎先生、鈴木宏治先生ほか:トロンボモジュリン

文部科学大臣賞 受賞おめでとうございます!

血液内科、血栓止血領域で活動している私たちにとって、嬉しいニュースです。

鹿児島大学の丸山征郎先生、三重大学の鈴木宏治先生、山本修司 元(財)野口研究所顧問 、旭化成ファーマ(株)医薬営業部ARTプロジェクトの図師通孝学術グループ長および青木喜和副プロジェクト長の5名が、この程、平成22年度文部科学大臣表彰科学技術賞 を受賞されました。

業績名

「血管内皮の抗血栓分子トロンボモデュリン に関する総合的研究」


トロンボモジュリンは、製品名リコモジュリンとして、播種性血管内凝固症候群(DIC)治療の特効薬として既に臨床の現場で大活躍しています。

丸山先生、鈴木先生たちは、長年にわたりトロンボモジュリンの研究に精力的にとりこまれてきました。

今回の受賞は、血栓止血学を学ぶ私たちにとっても大きな喜びでです。本当におめでとうございます。

なお、第33回日本血栓止血学会が、丸山征郎会長のもと鹿児島(4/22〜4/24)で開催されますが、その直前の受賞ということで、とても感慨深いものがあります。


【リンク】

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

凝固異常症の遺伝子解析

抗リン脂質抗体症候群(APS)

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文部科学省HPへ(受賞記事)


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2010年4月16日

国際血栓止血学会便り:金沢大学第三内科同門会報より


<インデックス>

 
第22回国際血栓止血学会
(XXII Congress The International Society on Thrombosis and Haemostasis)

学会便り by 山崎雅英

 

1)同門会報より

2)抗凝固療法ほか

3)血友病ほか

4)第VIII因子インヒビターほか

5)第23回の京都(池田康夫会長)へ

 

 

【リンク】

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

凝固異常症の遺伝子解析

抗リン脂質抗体症候群(APS)

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2010年4月15日

国際血栓止血学会便り:第23回(京都、池田康夫会長)へ

国際血栓止血学会便り:第VIII因子インヒビターほか より

リンク;
播種性血管内凝固症候群(DIC)
血液凝固検査入門

凝固異常症の遺伝子解析
抗リン脂質抗体症候群(APS)

 

第22回国際血栓止血学会(5)

(XXII Congress The International Society on Thrombosis and Haemostasis)

学会便り by 山崎雅英

 

私は1988年に第三内科に入局し、1989年東京で開催された第12回国際血栓止血学会総会から毎回参加させていただいております。

1991年アムステルダム大会に松田保名誉教授、朝倉英策先生の「鞄持ち」としてお供させていただき国際デビューを果たしました。

イスラエルで松田先生と一緒に浮かんだ死海体験、緊張したガザ地区観光、松田先生、齋藤正典先生と一緒にブロードウエーで観た“Cats”など楽しい思いでも多数ありますが、最近は一人で参加・発表することが多くなってきました。


2011年、次回の第23回国際血栓止血学会総会は早稲田大学大学院教授 池田康夫会長の下、京都での開催です。

当教室からも私のほか、朝倉先生、森下先生をはじめ多くのメンバーが実行委員に名前を連ねております。

同門、医局の先生方にもご協力をお願いすることとともにご迷惑をおかけすることも多々あるかと思いますがその節はよろしくお願い致します。

 

(完)

国際血栓止血学会便り:金沢大学第三内科同門会報より(インデックス)へ

 

【リンク】

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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凝固異常症の遺伝子解析

抗リン脂質抗体症候群(APS)

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2010年4月14日

国際血栓止血学会便り:第VIII因子インヒビターほか

国際血栓止血学会便り:血友病ほか  より続く

リンク;
播種性血管内凝固症候群(DIC)
血液凝固検査入門

凝固異常症の遺伝子解析
抗リン脂質抗体症候群(APS)

 

後天性血友病


第22回国際血栓止血学会(4)
(XXII Congress The International Society on Thrombosis and Haemostasis)

学会便り by 山崎雅英

 

現在の遺伝子組換え凝固因子製剤はおよそ2〜3日に1回の定期補充が必要ですが、lipo化製剤の開発治験が進んでおり、1週間に1回の定期補充で止血管理が可能となる可能性が高い、という血友病患者さんにとっては非常にうれしい報告がなされていました。

また、インヒビターを有する血友病症例に対する止血剤として用いられている、遺伝子組換え活性型凝固第VII因子製剤の第2世代薬として、長時間作用型および室温保存可能な製剤の報告もなされていました。


インヒビター陽性血友病症例においてインヒビターを消失させる方法として免疫寛容療法があります。

免疫寛容療法は大量の凝固因子製剤を投与することにより免疫寛容を成立させ、インヒビターを消失させる方法ですが、投与量・間隔についてまだ確立していません。

今回の学会では、国際共同研究の中有管報告がありました。比較的低容量の投与によっても60%の症例で免疫寛容が成立する、という結果であり、最終報告が期待されます。

 

私は1988年に。。。


(続く)

国際血栓止血学会便り:第23回(京都、池田康夫会長)

 

【リンク】

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

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抗リン脂質抗体症候群(APS)

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2010年4月13日

兼六園の桜咲く:金沢城近く

金沢城1

 

金沢城2



金沢大学附属病院から、歩いて少しのところに兼六園があります。

研修医の皆さんは、慣れない仕事にもかかわらず懸命に診療されていますので、既に心身ともに疲労が蓄積されている方がおられるかも知れません。

一度、兼六園を訪れられてレフレッシュされては如何でしょう。

桜は人の心を明るくさせてくれますね。画像(この記事では金沢城近くの風景です)は、日中におさめたものですが、ライトアップされた夜桜も素敵です。



【リンク】

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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2010年4月12日

兼六園の灯籠:金沢大学病院研修医の方も是非。

兼六園灯籠

 

 

兼六園の桜咲く:金沢城近く より続く

兼六園といえば、上画の風景をすぐに連想される方も多いのではないでしょうか。

その名も、「徽軫灯籠」(ことじとうろう)と言うそうです。

この灯籠は、脚が二股になっています。
琴の糸を支える琴柱(ことじ)に似ているためにこのように名付けられたそうです。

昔は、二股の脚は同じ長さだったそうです。しかし、何らかの理由で片方の脚がおれてしまい、石の上に片脚を乗せてバランスを保っているそうです。けがの功名という訳ではありませんが、かえって趣き深いものになっているかも知れません。

池と水面に写る景色を背景に、独特の風情があります。多くの観光客の方が、ここで記念写真を撮影されますので、順番待ちのような感じになり、なかなかシャッターチャンスがなかなかありません。。。しかし、是非とも画像をおさめておきたいスポットです。

金沢大学附属病院で診療にあたっておられる研修医の方の中には、北陸以外の出身者も多いと思います。是非ともゆっくりと兼六園内を散策していただければと思います。



【リンク】

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 02:43 | その他 | コメント(0)

2010年4月11日

兼六園の桜さく:金沢大学附属病院からの散策

兼六園内

 

兼六園の桜

 【関連記事】

兼六園の桜咲く:金沢城近く

兼六園の灯籠:金沢大学病院研修医の方も是非


兼六園関係の記事を続けてまいりました。

管理人の金沢大学受験のころは(大昔の話ですが)、合格発表の結果を電報で依頼する者が多かったです。今は、おそらくインターネットを利用してHPで結果が分かるのでしょうか。時代は変わりました。。。

合格の場合は「兼六園の桜咲く」(カタカナだったと思います)、不合格の場合は「兼六園の雪深し」だったように思います(記憶があいまいですので、間違っていたらご容赦ください)。

「兼六園の桜咲く」と言われますと合格も奥ゆかしく感じますし、一方「兼六園の雪深し」と言われたら、春が来るまでもう1年頑張ろうという気持ちになるかも知れませんね(当時は多分7〜8割くらいが浪人生性だったと思います)。

桜のシーズンの兼六園は最も賑わいますが、雪の兼六園などを堪能するために来られる方も多いです。
是非とも、四季の兼六園をお楽しみいただければと思います。

 

 

【リンク】

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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2010年4月10日

金沢市内病院に咲く桜 VS 兼六園

サクラ2

 


サクラ1



さくら4

 

 

さくら3




















金沢市内で桜を鑑賞できる名勝と言えば、真っ先に兼六園を挙げる人がほとんどではないかと思います(金沢大学医学部附属病院から歩いて行ける距離にあります)。

実際に、ため息がでるくらいの見事な桜を堪能することができます。

しかし、あまり人に知られていない穴場的な桜・さくら鑑賞のスポットも結構あります。

上の写真も、その一つではないかと思います。金沢市内の某病院敷地内で画像におさめました。管理人は、毎年楽しませていただいています。

 

【リンク】

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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2010年4月9日

血液凝固因子の生体内半減期


血液凝固因子の生体内半減期は、日常臨床であまり意識することはないかも知れませんが、適切な補充療法をする上で、ある程度は理解しておいた方が良いのではないかと思います。

ビタミンK依存性因子の半減期につきましては、以前の記事でも書かせていただいた通り、短い順に以下の通りです(ビタミンK依存性凝固因子:血液凝固検査入門(16) )。


VII、IX、X、II


その他の凝固因子も含めて記事にしておきたいと思います。

第I因子(フィブリノゲン):4〜6日

第II因子(プロトロンビン):3〜4日

第V因子:12時間

第VII因子:4〜6時間(最も短い)

第VIII因子:8〜12時間

第IX因子:18〜24時間(第VIII因子の2倍)

第X因子:2日

第XI因子:2〜3日

第XII因子:調査中

第XIII因子:6〜10日(最も長い)



第VII因子が最も短く、第XIII因子が最も長いということになります。

なお、血友病治療のための知識として、第IX因子は、第VIII因子の2倍の半減期ということも重要ではないかと思います。

 


【リンク】

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

凝固異常症の遺伝子解析

抗リン脂質抗体症候群(APS)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:39 | 血栓止血(血管診療)

2010年4月8日

金沢大学附属病院:敷地内の桜/さくら

桜1

金沢大学附属病院の敷地内でも、奇麗な桜を鑑賞することができます。
暖かい日が続いたため、一気に開花したように思います。

通常、さくらの写真は上画のように撮影されることが多いと思いますが、幹に近付いてみますと幹からも小さい桜の枝が出て、可憐な花をさかせているのを確認できます。

兼六園は、金沢大学附属病院から歩いてすぐの距離にあります。おそらく、今度の土日が人出のピークになるのではないでしょうか。どうか、雨が降りませんように。。。
桜2

 

【リンク】

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:15 | その他 | コメント(0)

2010年4月7日

国際血栓止血学会便り:血友病ほか

国際血栓止血学会便り:抗凝固療法ほか より続く

リンク;
播種性血管内凝固症候群(DIC)
血液凝固検査入門

凝固異常症の遺伝子解析
抗リン脂質抗体症候群(APS)

悪性腫瘍(癌)とDIC


第22回国際血栓止血学会(3)
(XXII Congress The International Society on Thrombosis and Haemostasis)

学会便り by 山崎雅英

一方、これまで抗凝固療法によりがん転移が抑制され、担癌患者の予後が改善する、という報告がありましたが、今回の学会でopen-label INPACTの結果が公表されました。

化学療法抵抗性進行がんに対する低分子ヘパリン皮下注射療法は出血のリスクはたかくないものの患者の生命予後を改善させない、という残念な結果でした。

 

血友病治療は、非加熱凝固因子製剤によるHIV感染症という不幸な歴史を踏まえ、遺伝子組換え凝固因子製剤の普及により、ほぼ安全な製剤供給が可能となりました。

現在は、診断早期から予防的凝固因子定期補充療法を行なうことにより、血友病性関節症を発症させず、一般のお子さんと同じようにスポーツも行なえる時代になりつつあります。

最近の話題は、長時間作用型凝固因子製剤の開発により投与間隔を長く出来ないか。という点と、インヒビター症例(参考:後天性血友病)に対する止血療法および免疫寛容療法の新展開です。

現在の遺伝子組換え。。。

 

(続く)

国際血栓止血学会便り:第VIII因子インヒビターほか へ

 

【リンク】

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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凝固異常症の遺伝子解析

抗リン脂質抗体症候群(APS)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:39 | 血栓止血(血管診療) | コメント(0)

2010年4月6日

国際血栓止血学会便り:抗凝固療法ほか

国際血栓止血学会(ボストン)便り:同門会報 より続く

リンク;
播種性血管内凝固症候群(DIC)
血液凝固検査入門

凝固異常症の遺伝子解析
抗リン脂質抗体症候群(APS)

 


第22回国際血栓止血学会(2)
(XXII Congress The International Society on Thrombosis and Haemostasis)

学会便り by 山崎雅英


第2日(7月12日)の夕方に開催された開会式では、長らく日本血栓止血学会理事長を務められ国際血栓止血学会理事長もされた、名古屋大学名誉教授 齋藤英彦先生が学会最高賞である、“Robert P. Grant Medal”を受賞されました。

目にうっすらと涙を浮かべつつ受賞の御礼を述べられる齋藤先生のお顔を拝見しつつ、齋藤先生や当科名誉教授 松田保先生の後を歩く私たち後輩もしっかりしなければ、と改めて肝に命じた次第です。


今回の本学会のトピックスとしては、

1)低分子ヘパリンを中心とする抗凝固薬による術後深部静脈血栓・肺塞栓予防、および悪性腫瘍の予後改善効果の有無について

2)血友病治療の新展開

3)新しい抗Xa薬の臨床応用

などが挙げられます。

 

術後深部静脈血栓予防に対する意識は日本でも高まっており、整形外科、腹部外科、産科・婦人科領域の術後深部静脈血栓予防ガイドラインが講評されていますが、抗血栓療法を行なう場合の治療期間についてはまだ定まったものはありません。

ロンドン血栓センターからの報告では、悪性腫瘍、腹部・骨盤内臓手術後の低分子ヘパリンによる血栓予防は術後1週間の治療と比較して、4週間治療した方が有意に血栓予防効果が高いことを報告し注目を集めていました。

 

一方、これまで。。。


(続く)

国際血栓止血学会便り:血友病ほか へ

 

【リンク】

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

凝固異常症の遺伝子解析

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:34 | 血栓止血(血管診療) | コメント(0)

2010年4月5日

国際血栓止血学会(ボストン)便り:同門会報より

今回も、金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)の同門会報での記事を紹介させていただきます。
学会便りを、シリーズでお届けしたいと思います。

リンク;
播種性血管内凝固症候群(DIC)
血液凝固検査入門

凝固異常症の遺伝子解析
抗リン脂質抗体症候群(APS)

 


第22回国際血栓止血学会
(XXII Congress The International Society on Thrombosis and Haemostasis)

学会便り by 山崎雅英


XXII Congress of The International Society on Thrombosis and Haemostasisは、2009年7月11日から16日の日程で米国・Boston(Boston Convention & Exhibition Center)にて開催されました。

この学会は2年に1度開催される、血栓止血学領域では最大の国際学会です。今回は世界70カ国から約3,000名の研究者が集まり活発な発表、討議が行なわれました。


本学会では毎回、第1,2日目に“Scientific Standardization Committee(SSC,学術標準化委員会)”が開催されます。SSCは、血栓止血学に関する診断基準や試薬の標準化を進める国際委員会で、日本が伝統的にイニシアチブを取っているDIC委員会をはじめ、凝固第VIII&IX因子、XIII因子委員会、線溶委員会、悪性腫瘍と血栓止血委員会など、全部で18の委員会があります。


私は日本血栓止血学会SSCの「抗リン脂質抗体部会」の部会長を本年度より拝命していることもあり、専門としている、「ループスアンチコアグラント・抗リン脂質抗体部会」の討議に参加しました。

抗リン脂質抗体症候群は「抗リン脂質抗体」という自己抗体の存在により、反復性動・静脈血栓症または習慣流産・子宮内胎児死亡などの不育症をきたす自己免疫疾患です。

この抗リン脂質抗体症候群の診断に欠かせない「ループスアンチコアグラント」の診断基準については、検体処理方法、検査法の選択、判定基準などについて曖昧な部分が多々あったのですが、本年度のSSCで診断基準が改訂されました。

この改訂診断基準の詳細については日本検査血液学会雑誌 10巻3号に記載しましたが、改訂診断基準についても、実際に測定している立場からすると感度の問題、判断基準など不備が目につきますので、今後日本血栓止血学会SSC部会として科学的根拠を蓄積し、再改訂を訴えていく必要があると考えています。

第2日(7月12日)の夕方に。。。。

(続く)

国際血栓止血学会便り:抗凝固療法ほか  へ

 

【リンク】

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

凝固異常症の遺伝子解析

抗リン脂質抗体症候群(APS)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:06 | 血栓止血(血管診療) | コメント(0)

2010年4月4日

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科):臨床講義録

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)が担当の、臨床講義内容に関しまして、その一部を紹介させていただきます。

出典は、金沢大学第三内科同門会報です。



平成20年度 臨床講義録

2008年度の医学科4年生の冬学期の臨床講義は以下の日程、内容で進められました。

担当となった学生グループ(6-7人)に、約2週間前に症例を割り当てました。学生たちにとっては初めての症例提示となります。医療従事者として病棟に行くのも初めてであり、ジーパンやブーツのまま行き主治医より大目玉をくらったグループもありました。

プロトコールの作成と併行してプレゼンテーション用のスライドもPowerPointを用いて作成します。
ここで一つ魔法の言葉を用いてみました。


『みんな、準備に大変だと思いますが、本番では一つだけ笑いをとるように』



学生たちの目が輝きだしました。どんな種類の笑いもOKです。学生たちは本当に熱心に勉強しプラスαの笑いまで準備することとなったのでした。参考までに紹介します。

中尾のたいやき屋さん(有名)に皆で行ってたいやきを手にポーズしたスライドをプレゼンテーションの最後に提示したグループ有り(中尾先生のお顔はやや引きつっていらっしゃったかも、、)。

学生たちは準備のおかげでばらばらだった班の結束が強まった、と喜んでいました。

画像やイラストに凝ったグループもあり、また国家試験形式の問題を自分たちで作成し、クラスに問いかけてみたグループもありました。

最後のグループは笑いを取ることはできません。。。と訴えてきました。もちろんOKです。


試験やいろんな日程が重なり、これまでの勉強のためか心なしかやつれてみえました。

申し添えますが、回を重ねるごとに、中尾教授のきめ細やかな指導もあってか学生のプレゼンテーションはめきめき上達していったのはいうまでもありません。

本年度から春学期の試験期間を長くとるため、臨床講義の回数が大幅に減らされました。

これまでよりいっそう臨床講義の機会を大切にし、血液内科あるいは呼吸器内科に興味を持ち、門をたたいてくれる後輩たちが多数生まれることを切に願っています。         

(臨床講義係 杉森尚美)


2008年度冬学期

1月13日 急性前骨髄球性白血病(APL, AML M3)中尾
1月20日 播種性血管内凝固症候群(DIC)朝倉
2月3日 胃悪性リンパ腫 中尾
3月3日 汎血球減少の鑑別診断、再生不良性貧血aplastic anemia 中尾


系統講義では血液学総論、血球形態1,2、貧血1,2を中尾、血栓止血1,2を朝倉、輸血の基礎と臨床を高見、悪性リンパ腫急性白血病を奥村、MPD、CML、多発性骨髄腫、plasma cell dyscrasiaについて山崎宏人が担当しました。

呼吸器、感染症では藤村、舟田先生、笠原、片山、中積先生、西先生、北先生、安井先生が講義を担当されました。

 

【リンク】

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2010年4月3日

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科):研究室紹介


金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)


研究室紹介ー金沢大学第三内科同門会報よりー


1)血液・移植研究グループ

2)呼吸器研究グループ

3)血栓止血研究グループ

 

 

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2010年4月2日

金沢大学血液内科 血栓止血研究室紹介:目次

金沢大学血液内科 血栓止血研究室 紹介 


【血栓止血グループ(インデックス)】

1)研究室紹介 (イントロ)

2)研究室スタッフ

3)播種性血管内凝固症候群(DIC )

4)抗リン脂質抗体症候群(APS )

5)先天性凝固異常症

6)大動脈瘤とアネキシンII

 

 

【リンク】

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2010年4月1日

金沢大学血液内科 血栓止血研究室紹介(6)大動脈瘤とアネキシンII

金沢大学血液内科 血栓止血研究室紹介(5)先天性凝固異常症 から続く

 

【血栓止血グループ(6)】

また最近小児科との共同研究として、ヘム蛋白の分解酵素であるヘムオキシゲナーゼ−1(HO-1)の抗血栓作用についての研究を、保健学科助教関谷および大学院生丸山、油野らが開始いたしました。まだ発展途上の研究ですが、HO-1は治療戦略の一つとして利用できる魅力的な酵素の可能があると考えております。

一方、保健学科社会人大学院生である検査部生理機能検査室の寺上は、能登沖地震直後に現地に入り、心肺・総合外科の大竹先生や木村先生と共に避難住民を対象とした下肢静脈エコー検査(リンク:深部静脈血栓症)や血栓のマーカーであるFDPやDダイマーを測定した結果を論文としてまとめました。地震発症直後のDVTの発症状況を提供する、貴重な資料になると考えております(臨床検査医学会雑誌)。

また新たな研究の方向性として、林らは大動脈瘤に合併する播種性血管内凝固症候群(DIC)の病態に迫るべく大動脈瘤のラット動物モデルを作成し、線溶作用を有するアネキシンIIが高発現していることを免疫組織学的染色およびreal-time RT-PCR法を用いて明らかにしました。

Expression of annexin II in experimental abdominal aortic aneurysms.
 
Int J Hematol
. 2009 Oct;90(3):336-42.



また臨床的には、大動脈瘤手術症例の切除標本と血中分子マーカーを用いた検討を、心肺・総合外科の血管グループと共同研究で行っております。最近、大動脈瘤壁組織の免疫組織学的検討においてアネキシンIIが濃染することを明らかにし、瘤形成における線溶系の関与を示唆しました。

Expression of annexin II in human atherosclerotic abdominal aortic aneurysms.

Thromb Res
. 2008;123(2):274-80.



以上、私たち血栓止血研究室は、生体の最も基本的な生理反応である止血と、人類が克服すべき血栓症を扱っています。また、この領域は追求する程に味わいのある深淵な学問であると思っています。志を同じくする同志が一人でも増えることを願ってやみません。                

 

【リンク】

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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