金沢大学・血液内科・呼吸器内科
※記事カテゴリからは過去の全記事をご覧いただけます。
<< 2010/02トップページ2010/04 >>
2010年3月31日

金沢大学血液内科 血栓止血研究室紹介(5)先天性凝固異常症

金沢大学血液内科 血栓止血研究室紹介(4)抗リン脂質抗体症候群/APS  から続く

 

【血栓止血グループ(5)】

先天性凝固障害の分子病態に関する研究としては、森下および保健学科の学生らを中心に、凝固因子および凝固阻止因子の分子異常について幅広く研究しています。

一般的には先天性凝固因子欠損症では出血傾向を、凝固阻止因子欠損症では血栓傾向を呈することが知られています。

そのような異常を呈する症例について家族を含めて遺伝子解析を行い(リンク:凝固異常症の遺伝子解析)、その変異部位の同定を行っています。


今までにプロトロンビン異常症、第VII因子・第X因子・第XI因子・第XII因子・プレカリクレインなどの凝固因子欠損症の解析、またプロテインC・プロテインS(PS)・アンチトロンビンなどの凝固阻止因子欠損症の解析を幅広く行なっており、世界でも報告のない新たな変異部位を次々と明らかにしました。

現在では、全国各地から様々な欠損症の解析を依頼されており、森下らは嬉しい悲鳴をあげているようです。

さらに、組み換えDNAの手法を用いて異常分子を作成し、その機能解析の研究を、大学院生の長屋、下川原、柄戸を中心に行っております。北陸地域は先天性凝固異常症の患者様が比較的多いと考えております。

特に、先天性PS欠損症は日本人に多く、中でもPS Tokushima変異は一般人の55人に1人は異常アレルを有しているとの報告があります。不育症の原因としてもPS欠損は重要であり、何かおかしいなと思われたときは、いつでも気軽にご相談ください。

 

(続く)金沢大学血液内科 血栓止血研究室紹介(6)大動脈瘤とアネキシンII  へ

 

【リンク】

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

凝固異常症の遺伝子解析

抗リン脂質抗体症候群(APS)

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ホームページ

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集


投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:47 | 血栓止血(血管診療) | コメント(0)

2010年3月30日

日本呼吸器内視鏡学会気管支鏡専門医大会(大会長:金沢大学 藤村政樹)

 

内視鏡

 

内視鏡2


3月20日に石川県立音楽堂邦楽ホールにおきまして,

第17回日本呼吸器内視鏡学会気管支鏡専門医大会(大会長:呼吸器内科臨床教授 藤村政樹)

が盛大に開催されました.

 

大会当日は快晴のもと約380名が参加し,12人の講師陣が最新の呼吸器内視鏡検査,治療について発表をされ,活発な議論が交わされました.
多数のご参加ありがとうございました.

発表の概要は以下の通りです.


開会の挨拶  9:25−9:30
第33回呼吸器内視鏡学会 会長 呉屋 朝幸(杏林大学 呼吸器甲状腺外科)

講演テーマと講師

司会:西 耕一(石川県立中央病院 呼吸器内科)

1.気管支鏡検査のリスクマネージメント 9:30−10:00
講師:薄田勝男(金沢医科大学 呼吸器外科)

2.静脈麻酔の長所と短所 10:00−10:30
講師:松本 勲(金沢大学 呼吸器外科)


司会:長内 和弘(金沢医科大学 呼吸器内科)

3.バーチャルブロンコスコピーを用いた気管支鏡検査 10:30−11:00
講師:浅野 文祐(岐阜県総合医療センター 呼吸器科)

4.気管支充填術の適応と限界 11:00−11:30
講師:宮澤 秀樹(富山県立中央病院呼吸器外科)

5.気道ステントの適応と限界 11:30−12:00
講師:常塚宣男(石川県立中央病院 呼吸器外科)


専門医制度委員会からのメッセージ 12:10−12:15
委員長 宝来 威 (癌研究会有明病院 呼吸器内科)
 

ランチョンセミナー 12:15−12:50
司会:小田誠(金沢大学 呼吸器外科)

気管支喘息、COPDの気管支鏡治療:thermoplasty for asthma and volume reduction for COPD
宮澤 輝臣(聖マリアンナ医科大学 呼吸器・感染症内科)

司会:飴嶋慎吾(福井大学 呼吸器内科)

6.AFBとOCTの現状と将来性 13:00−13:30
講師:本多英俊(東京医科大学 第一外科)

7.局所麻酔下の胸腔鏡検査 13:30−14:00
講師:石井 芳樹(独協医科大学 呼吸器アレルギー内科)

8.極細径気管支鏡の有用性 14:00−14:30
講師:坂 英雄(名古屋医療センター 呼吸器内科)


休憩 14:30−14:40


司会:林 龍二(富山大学 第一内科)

9.超音波気管支鏡 14:40−15:20
1)EBUS-TBNA 14:40−15:00
講師:中島崇裕(千葉県がんセンター)

2)肺末梢病変診断における気管支腔内超音波断層法併用ガイドシーズ(EBUS-GS)の有用性
15:00−15:20
講師:栗本典昭(聖マリアンナ医科大学 呼吸器外科)

10.ブラキテラピー(PDT、腔内照射など)について:現状と将来性  15:20−15:50
講師: 土田敬明(国立がんセンター中央病院 内視鏡部)


次期会長の挨拶 15:50-15:55
池田 徳彦(東京医科大学 第一外科)


閉会の挨拶   15:55-16:00
藤村政樹 (金沢大学呼吸器内科)

 


【関連記事】

慢性咳嗽の診療

非小細胞肺癌治療の最前線

肺がんに気づくサイン

金沢大学呼吸器内科

 

 【リンク】

金沢大学 血液内科・呼吸器内科HP

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集

 

 


投稿者:血液内科・呼吸器内科at 16:04 | 呼吸器内科

2010年3月29日

金沢大学 血液・呼吸器内科茶話会(当科の女性医師)(4)


金沢大学 血液・呼吸器内科茶話会(子育て中の女医)(3)より続く



関連記事:

金沢大学血液内科・呼吸器内科(第三内科)女医会
第4回医学部女子学生茶話会(ケーキ会):金沢大学第三内科
仕事と生活の調和の実現にむけた取り組みと女性医師(日本血液学会)
女子学生茶話会(金沢大学第三内科):女性医師と女子学生の集い

 
茶話会4



ある先生は、

“女医さん一人が医者になるためにどれだけお金がかかっているか、特に国立大学卒業の先生は国からどれほどの税金が自分に掛けられているか、それを考えてください。

それを考えると、細々とでもいいから医者をやめずに続けていってほしいと思います。

また、悲しい現状ですが、現在の医師不足は女医が増えたからだと思っている医師が半数以上いる(全国的な話です)現実を考えると、その結果としてあってはなりませんが、女子医学生の定員が減らされる時がくるかもしれない、でもそうではなくて、女性医師の考え方、医局、職場の体制を変えていかねばならない、そしてそれはまだまだ発展途上で、それを変えていくのは若い女性医師たちであり、あなたたちなのです。”

とおっしゃっていました。



まさにその通りだと思います。

金沢大学 血液・呼吸器内科はいち早くそのスタートをきっているのではないかと思いますが、次に必要なのは一緒に色んな意味で向上していける仲間を増やすことなのではないかと思います。


以上、たくさん書きましたがこの金沢大学 血液・呼吸器内科茶話会を通じて、少しでも女性医師の働き方の理解が深まったらいいなぁと思っています。

そしてあくまでこれは勧誘ではありません(その結果、血液・呼吸器内科に入っていただけたら私達は非常にうれしいのですが)ので、これからもたくさんの学生さんに参加していただけたら少しでも私達のことを理解していただけるのではないかと思います。


最後に、会を企画運営してくださっている杉森先生、ありがとうございました。

また、いつもは不定期に開催されていて突然の案内になってしまったことを反省し、今後は年2回の開催(7月、12月ころ)に茶話会を開催することとし、日時が決定したらなるべく早くにお知らせすることにします。

以上、茶話会の報告でした。

(呼吸器内科 早稲田)

 

【リンク】

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ホームページ

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

血液凝固検査入門(図解シリーズ)


投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:37 | 女性医師(当科)からのメッセージ | コメント(0)

2010年3月28日

金沢大学血液内科 血栓止血研究室紹介(4)抗リン脂質抗体症候群/APS

金沢大学血液内科 血栓止血研究室紹介(3)DIC   から続く

 

【血栓止血グループ(4)】

抗リン脂質抗体症候群(APS)に関する基礎的検討・臨床研究については、精力的にとり組んでいます。

ここ数年、新規抗リン脂質抗体として注目されている「フォスファチジルセリン依存性抗プロトロンビン抗体(aPS/PT)」について、多くの大学、診療科との共同研究を進めています。

これらの研究の結果、IgM型aPS/PTは微小循環障害を来たし、その結果、妊娠初期流産や網状皮斑、皮膚潰瘍などの皮膚症状をもたらすとともに、劇症型抗リン脂質症候群の原因抗体であることが明らかとなってきました。

外来には、血栓症の患者さんが多数紹介受診され通院されていますが、抗リン脂質抗体症候群(APS)により死産を経験したことを公表し、アスピリンとヘパリン注射によりお子様を授かった女優さんの影響に加え、患者さん同士の口コミもあり、不育症患者様の紹介あるいは自分から希望しての受診が増加しています。当院外来にもヘパリン皮下注射のため毎日通院している患者さんが常時10名以上いらっしゃいます。

抗リン脂質抗体症候群(APS)はいまだ不明の部分も多い疾患群ですが、徐々に解明され、コントロール可能となりつつある部分もあります。先生方の周りで原因不明の血栓症・不育症の患者様がいらっしゃいましたら、是非ご紹介頂ければと思っています。

 

(続く)金沢大学血液内科 血栓止血研究室紹介(5)先天性凝固異常症  へ

 

 

【リンク】

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

凝固異常症の遺伝子解析

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ホームページ

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集


投稿者:血液内科・呼吸器内科at 05:32 | 血栓止血(血管診療) | コメント(0)

2010年3月27日

金沢大学血液内科 血栓止血研究室紹介(3)DIC


金沢大学血液内科 血栓止血研究室紹介(2)スタッフ から続く

 


【血栓止血グループ(3)】

当研究室は、一貫して「血栓症の克服」に向けて研究を進めています。

特に、播種性血管内凝固症候群(DIC)病態解析と治療法の改善、抗リン脂質抗体症候群(APS)の病態解析・臨床、血栓性疾患の病態解析、凝固異常症の遺伝子解析は、私達が最も力を入れているところです。

DIC研究に関しては、動物DICモデルを用いた検討を行ってきましたが、私たちは、LPS誘発DICモデルと組織因子(TF)誘発DICモデルでは全く病態が異なり、前者は臨床の線溶抑制型DICに後者は線溶亢進型DICに類似した病態であることを指摘しました。

なお、このDIC病型分類の概念は私たちが長年にわたって主張してきましたが、2009年に初めて血栓止血学会誌にガイドライン的論文の中で掲載されました。とても感慨深いものがあります。

また、TFモデルは元来臓器障害を来しにくいモデルですが抗線溶薬を投与すると臓器障害が悪化すること、LPSモデルに対する抗線溶薬の投与は臓器障害をさらに悪化させること、LPSモデルに対するウロキナーゼの投与は臓器障害の進展を阻止することなどの事実から、DICにおける線溶活性化が病態と密接に関連することは確実と報告してきました。

また、新規線溶阻止因子TAFIのDIC病態における役割を検討して、大変興味ある成績が得られました。

動物DICモデルを用いた研究ではこれまでに多くの欧文論文を発信してまいりましたが、最近では、他疾患に用いられている某薬剤(企業秘密)が、DICの臓器障害を軽減すると言う刺激的な成績も得られました。

なお、日本血栓止血学会 学術標準化委員会(SSC)の「DIC部会」の部会長として朝倉が任ぜられ、また、森下、林は部会員に任ぜられました。金沢大学としては日本におけるDICの臨床&研究における責任の重大さを感じているところです。

(続く)金沢大学血液内科 血栓止血研究室紹介(4)抗リン脂質抗体症候群/APS

 

【リンク】

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ホームページ

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集


投稿者:血液内科・呼吸器内科at 04:21 | 血栓止血(血管診療) | コメント(0)

2010年3月26日

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)送別会

送別会

 

 

昨日は、金沢大学第三内科(血液内科・呼吸器内科)の拡大送別会(於:ビータローザ里見町本店)が行われました。

医局スタッフ、病棟・外来スタッフ、第三内科関連部署スタッフに、大勢あつまっていただき盛大に行われました。

10人の方が送別されました。

奥村医局長、長い間、多方面において医局にご尽力いただきありがとうございました。

松本さん、長年にわたり、外来で大変お世話になりありがとうございました。

紙面の関係で全員をご紹介できませんが、第三内科にご尽力いただきました10人の方々に御礼申し上げます。また、皆様方の、ますますのご発展をお祈り致します。

 

【リンク】

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ホームページ

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集

 


投稿者:血液内科・呼吸器内科at 07:00 | その他 | コメント(0)

2010年3月25日

金沢大学血液内科 血栓止血研究室紹介(2)スタッフ

 

金沢大学血栓止血研究室(イントロ):研究室紹介(1)から続く

 


【血栓止血グループ(2)】

さて、当研究室の医局員スタッフは、出向中のスタッフを含めて計11人で、大学には、朝倉、森下、山崎(雅)、林、前川、門平(敬称略;以下同)の計6人が在籍しています。


薬学部修士課程大学院生との共同研究は継続しており、既に播種性血管内凝固症候群(DIC)の病態解析に関する研究で学位を取得した、市野、菅、奥平、佐野、浅村、高橋、久保、新谷、青木、小川、秋田に続いて、現在は、桂、比嘉が精力的に研究を行っています(執筆時点)。

検査部との共同研究も年々発展しています。表、高道らが積極的に学会発表、学会誌への論文投稿をして研究室活動の幅を広げてくれています。特に、表技師はThromb Resに論文掲載し、見事に博士号を取得いたしました。

研究助手の穴田は、長きにわたり研究室のため縁の下の力者として活躍してもらっており、彼女なしでは研究室は運営できないという状況にあります。

(続く)金沢大学血液内科 血栓止血研究室紹介(3)DIC

 

【リンク】

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ホームページ

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集


投稿者:血液内科・呼吸器内科at 02:30 | 血栓止血(血管診療) | コメント(0)

2010年3月24日

金沢大学血液・呼吸器内科:女性医師からのメッセージ (目次)

金沢大学 血液・呼吸器内科茶話会 (インデックス)

1)ケーキの会

2)当科の女性医師

3)子育て中の女医

4)当科の女性医師

 



関連記事:

金沢大学血液内科・呼吸器内科(第三内科)女医会
第4回医学部女子学生茶話会(ケーキ会):金沢大学第三内科
仕事と生活の調和の実現にむけた取り組みと女性医師(日本血液学会)
女子学生茶話会(金沢大学第三内科):女性医師と女子学生の集い

 
 
【リンク】

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ホームページ

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

  


投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:03 | 女性医師(当科)からのメッセージ | コメント(0)

2010年3月23日

金沢大学血栓止血研究室(イントロ):研究室紹介(1)

金沢大学第三内科から、呼吸器内科の研究室紹介 、血液・移植研究室の紹介 、に続きまして、今回からは、金沢大学血液内科(血栓止血研究室)の紹介に入ります。

今回も、執筆時点からの経過がありますので、現状とは若干異なっている点があることを御了解いただければと思います。

 



【血栓止血グループ(1)】

血栓止血研究室は、血栓止血学を臨床・研究・教育のテーマとしています。

全身臓器に分布する血管を対象としますので、多くの他領域と関連が深いのが特徴ではないかと思います。血栓止血学は血液内科の領域の一つと思われがちですが、「血管内科」と言った方がよりわかりやすい学問なのかも知れません。


近年の臨床現場での話題の一つといたしまして、深部静脈血栓症(DVT)や肺塞栓(PE)に対する臨床各科の関心の高まりをあげることができます。

最近では、整形外科領域のみならず腹部手術(一般外科、産婦人科、泌尿器科)においても、術後のDVT発症を予防する目的としてフォンダパリヌクス(商品名:アリクストラ)や低分子ヘパリンであるエノキサパリン(商品名:クレキサン)の使用が保険収載されており、当院においても既に数多くの症例での処方がなされています。

今後、血栓止血領域において「予防治療」的な考え方がますます浸透していくのではないかと思っています。個人的には、人類が疾患の有無とは関係なく抗血栓療法治療薬を内服するような時代がくるような気がしています。


また、遺伝子組換えトロンボモジュリン製剤(商品名:リコモジュリン)が2008年5月からDIC治療薬として発売されました(参考:播種性血管内凝固症候群(DIC))。

全例調査が必要であるため、まだ全部の医療機関で使用できないのが残念なところですが、今後のDIC治療の主軸の一つになるのではないかと思います。

(続く) 金沢大学血液内科 血栓止血研究室紹介(2)スタッフ

 

【リンク】

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ホームページ

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集


投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:15 | 血栓止血(血管診療) | コメント(0)

2010年3月22日

金沢大学 血液・呼吸器内科茶話会(子育て中の女医)(3)


金沢大学 血液・呼吸器内科茶話会(当科の女性医師)(2)より続く



関連記事:

金沢大学血液内科・呼吸器内科(第三内科)女医会
第4回医学部女子学生茶話会(ケーキ会):金沢大学第三内科
仕事と生活の調和の実現にむけた取り組みと女性医師(日本血液学会)
女子学生茶話会(金沢大学第三内科):女性医師と女子学生の集い

 
茶話会3

私達がハッとさせられた質問に、“いつになったら出産前と同じだけの働き方をすることができますか?”というものがありました。

いつでしょう…これはかなり重要な質問だと思います。今の金沢大学 血液・呼吸器内科は数年前に比べたらはるかに子育て中の女医にとっては両立のできる状況にあります。

ただし、家に子どもを残していますので、どれだけ家族がいようとも出産前のように夜中に呼ばれて子どもを置いて出てくるわけにはいきません(目が覚めた時やはりママが横にいなかったら子どもは悲しみまますよね)。

そういう意味では、今のシステムでは子どもが大学に行き県外に出るまでは、出産前の働きにもどることはできない、ということになります。

ただし、ここで発想の転換が必要かと思います。

当然、子育て中の女医さんが増えると、男性医師と子育てしていない女医さんに大きな負担がかかります。忙しくてその負担が大きくなると当然職場内で亀裂が生まれます。

幸い今の血液呼吸器内科にはそのどちらの立場も経験している女医が多くなってきました。

私達は夜間対応をはじめ、時間外に仕事を負担していただいている医師に日ごろからとても感謝しており、それだからこそ自分たちの勤務できる時間内は一生懸命働くことによって、出産後は産前より明らかに時間内にこなせる仕事量は増えたというのが共通する意見です。

ただし、それでもやはり夜間、休日は免除されています。この部分がこれからの課題なのだと思います。

子育て中の女医に限らず、男性医師、子育てしていない女医も時間内勤務を行い、夜間、休日は完全に当番制となれば、その中に子育て中の女医も入れますから、システムが変われば子育て中の女医も常勤医師と同じだけの仕事量をこなしていることになりますので、その質問に対する答えとしてはそのシステムが完成するとき、になるのでしょうか?

そのためには、すべての医師の理解と協力が必要だと思います。

また、何より大事なのは、学問の興味も大切ですが、この考え方にご理解を示してくださる先生が一人でも増えることかと考えています。

ある先生は。。。。


(続く)

金沢大学 血液・呼吸器内科茶話会(当科の女性医師)(4)

 

【リンク】

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ホームページ

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

血液凝固検査入門(図解シリーズ)


投稿者:血液内科・呼吸器内科at 04:39 | 女性医師(当科)からのメッセージ | コメント(0)

2010年3月21日

金沢大学 血液・呼吸器内科茶話会(当科の女性医師)(2)

金沢大学 血液・呼吸器内科茶話会(旧:ケーキの会)(1)より続く


関連記事:

金沢大学血液内科・呼吸器内科(第三内科)女医会
第4回医学部女子学生茶話会(ケーキ会):金沢大学第三内科
仕事と生活の調和の実現にむけた取り組みと女性医師(日本血液学会)
女子学生茶話会(金沢大学第三内科):女性医師と女子学生の集い

茶話会2


金沢大学 血液・呼吸器内科は今年度は大学内に女医が15名(血液内科7名、呼吸器内科8名;内訳は保健学科准教授1名、医員7名、大学院生5名(うち産休中1名、もうすぐ産休1名)、診療支援2名)おり、そのうち11名が子育て中です。

それぞれ家庭事情や仕事における立場、与えられた仕事の質や量が異なるため、誰一人として同じ環境の人はいません。

よくママさんはママさんどうし、みんなまとめて…とか、○○先生もやってるから出来るよ、とか、ママさんでも大丈夫!と気軽に言われることがありますが(一般的な話です)、ここで言いたいのはママさんだからと同じ型にはめられると、必ず医局にかたよりが出てくると思います。


当科では働き方もそれぞれ違います。病棟を中心に働いている先生もいれば、外来を中心に働いている先生もいる、また診療支援として外来や検査をしてくださる先生もいる、日当直を免除されている先生もいれば、日直だけ、当直だけ…と、その先生のライフスタイルに合わせて微調整(これは、決める側としては非常に大変なことだと思いますし、迷惑をかけていると思いますので感謝しております)していただいてます。


また、家庭のために仕事を妥協して科を選ぶかどうか…という話にもなりましたが、当科の女性医師はすべて妥協しなかった(したくなかった)結果今ここにいるのだと思います。実際は血液・呼吸器内科は悪性疾患を扱っていることもあり重症患者が多く、内科の中でも大変な科に入るのではないかと思いますが、それでも皆が声をそろえて、“自分がやりたかったからやっている、どれだけ大変でも好きだから続けられている。雰囲気が良かったから入局し た”と言っていました。


さらに、休日の時間の過ごし方を聞かれましたが、これも皆オンオフは(かなり)はっきりしているようで、休日は自分の時間を作る先生(習い事をしているなど)や、家族とベッタリ過ごす先生(特に家族で外出したり、スポーツしたりしている人が多かったです)がほとんどでした。

“産後に医者を続けていくためには、ダンナ教育が大事です!”と力説される先生もいました。



多かれ少なかれ、ダンナ様の協力、可能であれば家族の協力がないと続けられない、というのは現時点での共通する意見です。


中には、ダンナ様がいつ帰ってくるのかも分からないし…という女医さんもいましたが、そういう忙しいダンナ様でも奥さんの仕事に理解を示してくださっているだけでも大きな協力なのではないかと思います。

私達がハッとさせられた質問に。。。。


(続く)

金沢大学 血液・呼吸器内科茶話会(子育て中の女医)(3)

 

【リンク】

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ホームページ

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

血液凝固検査入門(図解シリーズ)


続きを読む...

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 02:48 | 女性医師(当科)からのメッセージ | コメント(0)

2010年3月20日

金沢大学 血液・呼吸器内科茶話会(旧:ケーキの会)(1)

3月10日(水)夕方より、第5回 血液呼吸器内科茶話会(旧:ケーキの会)が血液呼吸器内科医局にて開催されました。


関連記事:

金沢大学血液内科・呼吸器内科(第三内科)女医会
第4回医学部女子学生茶話会(ケーキ会):金沢大学第三内科
仕事と生活の調和の実現にむけた取り組みと女性医師(日本血液学会)
女子学生茶話会(金沢大学第三内科):女性医師と女子学生の集い

茶話会1


金沢大学血液呼吸器内科は以前から女医の比率が圧倒的に多く、結婚、出産と仕事の両立という問題をかかえながら働いている人がたくさんいます。

医局側もそういう女医の人数が多いがゆえ、何とかして仕事と家庭を両立する、その中で専門医や学位の取得、学会発表、論文作成なども行っていける、しかも女医だけではなく医局全体に利益となるようなよりよいシステムづくりに力を注いでいます。そしてそれは年々良いものになっている…と、内部にいる私達は感じています。

そして、その一環として2年ほど前から血液呼吸器内科の女医さんの生の声を聞きたい!という学生からの要望もありケーキの会として年に2回ほど不定期に開催されるようになりました。




今回は、今年度中に…ということもあり、急ではありましたが杉森先生を通じて女子学生に連絡させていただいたところ、みなさまの熱いお返事があり今回の開催の運びとなりました。


今回はMAPLEHOUSEのケーキをたくさん用意しました。


また、茶話会の名にふさわしく、コーヒー、紅茶に加え、大変香りのよいロンネフェルト社のノンカフェインのルイボスティー入りハーブティ(ベストバランス)も用意しました。


医学部4年生〜6年生の女子学生に声をかけたのですが、残念ながら国家試験直後という時期もあって6年生は参加できませんでした。

それでも4年生4人、5年生10人の女医の卵が参加してくださり、殺風景な医局も一気に華やかになりました。もちろん(?)、その華には血液呼吸器内科の女医一同も混じっています。

最初にセルフサービスで好きなケーキとお茶を選んでいただき、杉森先生のあいさつのあと、個別に女医と数人の学生さんとでお話ししました。そのあと、学生さんの自己紹介ならびに1問1答コーナーを設けました。


やはり、カリキュラムのマイナーチェンジに伴い、もう進路の方向性を出さないといけない5年生はかなり現実的な相談が多かったように思います。そして、その話を聞いていた4年生は漠然とした印象からいよいよ本格的なものに変わっていったようでした。


その中で、仕事を一生懸命したいけど、年頃の女性ですからやはり結婚もしたいし、子供も欲しい!

そんな中で続けていける仕事を選ぶにはどうすればいいのか…という女性ならではの悩みがたくさん聞けました。

同じことを自分たちも学生の間に思って悩んでいたのを思い出し懐かしく思いました。

金沢大学 血液・呼吸器内科は、今年度は大学内に女医が。。。。。

(続く)

金沢大学 血液・呼吸器内科茶話会(当科の女性医師)(2)

 

【リンク】

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ホームページ

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

血液凝固検査入門(図解シリーズ)


投稿者:血液内科・呼吸器内科at 02:04 | 女性医師(当科)からのメッセージ | コメント(0)

2010年3月19日

金沢大学 血液・移植研究室の紹介(インデックス)

金沢大学血液・移植研究室(JAK2遺伝子変異):研究室紹介(6)から続く

 

関連記事:

金沢大学血液内科:10年間の研究の歩み(by 中尾眞二教授)

JAK2遺伝子変異と血栓症

 

【金沢大学 血液・移植研究室の紹介】

1)スタッフ

2)臨床研究

3)骨髄不全

4)同種造血幹細胞移植

5)ワクチン療法

6)JAK2遺伝子変異

 

【リンク】

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ホームページ

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

血液凝固検査入門(図解シリーズ)


投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:28 | 血液内科

2010年3月18日

金沢大学血液・移植研究室(JAK2遺伝子変異):研究室紹介(6)

金沢大学血液・移植研究室(ワクチン療法):研究室紹介(5)から続く

 

関連記事:

金沢大学血液内科:10年間の研究の歩み(by 中尾眞二教授)

JAK2遺伝子変異と血栓症

 

【血液・移植グループ(6)】

<JAK2遺伝子変異の有無による骨髄増殖性疾患(MPD)の病態解析

JAK2遺伝子変異はほぼすべての真性多血症(PV)で検出され、診断に用いられるまでになりました。

しかしPV以外のMPDではJAK2遺伝子変異は約半数で検出されるだけです。

JAK2遺伝子変異の有無と臨床像との関連は未だ不明です。

 

MPD症例でJAK2遺伝子変異の有無でテロメア長を測定したところ、JAK2遺伝子変異のあるMPDでは、テロメア長がより短縮していることより、腫瘍細胞の増殖速度が速い可能性が示唆されました。


(続く)

 


【関連記事】NETセミナー

汎血球減少のマネジメント:特に骨髄不全について

輸血後鉄過剰症と鉄キレート療法

急性骨髄性白血病の治療

悪性リンパ腫の診断

造血幹細胞移植

移植片対宿主病(GVHD)の分類と診断

ドナーリンパ球の威力 −ドナーリンパ球輸注(DLI)−

貧血患者へのアプローチ

血液内科に関する研修医からのQ&A

 

【リンク】

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ホームページ

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集


投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:15 | 血液内科

2010年3月17日

金沢大学血液・移植研究室(ワクチン療法):研究室紹介(5)

金沢大学血液・移植研究室(同種造血幹細胞移植):研究室紹介(4)から続く

 

関連記事:

金沢大学血液内科:10年間の研究の歩み(by 中尾眞二教授)

 

【血液・移植グループ(5)】

<白血病・リンパ腫に対するワクチン療法の開発

白血病細胞や白血病細胞由来樹状細胞は、抑制性補助シグナル分子であるGITR (Glucocorticoid-induced TNFR-related protein)リガンドを発現することで、同種造血幹細胞移植後にドナー由来の白血病特異的細胞障害性T細胞の誘導を阻害していることを明らかにしました。


移植片対白血病効果の増強を目的として、抗GITR抗体を併用したCDK2ペプチド・ワクチンの臨床応用を計画しています。  


(続く)

金沢大学血液・移植研究室(JAK2遺伝子変異):研究室紹介(6)

 


【関連記事】NETセミナー

汎血球減少のマネジメント:特に骨髄不全について

輸血後鉄過剰症と鉄キレート療法

急性骨髄性白血病の治療

悪性リンパ腫の診断

造血幹細胞移植

移植片対宿主病(GVHD)の分類と診断

ドナーリンパ球の威力 −ドナーリンパ球輸注(DLI)−

貧血患者へのアプローチ

血液内科に関する研修医からのQ&A

 

【リンク】

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ホームページ

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集


投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:26 | 研修医の広場

2010年3月16日

金沢大学血液・移植研究室(同種造血幹細胞移植):研究室紹介(4)

金沢大学血液・移植研究室(骨髄不全):研究室紹介(3)から続く

 

関連記事:

金沢大学血液内科:10年間の研究の歩み(by 中尾眞二教授)

 

【血液・移植グループ(4)】

<同種造血幹細胞移植

同種造血幹細胞移植におけるSNP解析を行っています(厚労省班研究・日本骨髄バンクとの共同研究)。

複数のSNPsが移植転帰に影響することがわかり、さらに機能解析を進めています。HLA検査とSNP解析を組み合わせることにより、移植成績が最も良くなる「理想のドナー選び」が近い将来可能になると考えています。

 

同種造血幹細胞移植後早期に回復するドナー由来のNK細胞は強力なGVL効果を担っているため、この時期にはNK細胞の働きを抑えないGVHD予防薬を使用することが望ましいと考えられます。

健常者末梢血単核球からNK(CD3-CD56+)細胞を単離し、IL-2、IL-15の存在下培養した後、免疫抑制剤を添加しないコントロールと各種の免疫抑制剤を添加した群についてNK細胞の増殖活性、白血病細胞株(K562、Daudi)に対する細胞傷害活性、細胞表面のCD16やCD56の発現を比較しました。

NK細胞の増殖はシクロスポリン(CsA)、タクロリムス(TAC)、ミコフェノール酸モフェチル(MMF)の添加によって抑制されましたが、メトトレキサート(MTX)添加では抑制されませんでした。

細胞傷害活性はコントロール群に比べMMF群で有意に低下したものの、CsA群、TAC群、MTX群では有意な変化は認めず、カルシニューリンインヒビターやMTXに比べてMMFはNK細胞による抗白血病効果を減弱させる可能性が示唆されました。

NK細胞による移植片対白血病効果を誘導上ではMMFの使用は否定的であることが考えられました。

 

(続く)

金沢大学血液・移植研究室(ワクチン療法):研究室紹介(5)

 


【関連記事】NETセミナー

汎血球減少のマネジメント:特に骨髄不全について

輸血後鉄過剰症と鉄キレート療法

急性骨髄性白血病の治療

悪性リンパ腫の診断

造血幹細胞移植

移植片対宿主病(GVHD)の分類と診断

ドナーリンパ球の威力 −ドナーリンパ球輸注(DLI)−

貧血患者へのアプローチ

血液内科に関する研修医からのQ&A

 

【リンク】

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ホームページ

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集


投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:42 | 血液内科

2010年3月15日

金沢大学血液・移植研究室(骨髄不全):研究室紹介(3)

金沢大学血液・移植研究室(臨床研究):研究室紹介(2)から続く

 

関連記事:

金沢大学血液内科:10年間の研究の歩み(by 中尾眞二教授)

 

【血液・移植グループ(3)】

<骨髄不全>

平成18年1月より開始した「成人再生不良性貧血(再不貧)における免疫病態マーカーの意義を明らかにするための多施設共同前方視的臨床試験」は、平成21年7月までに110例の登録が得られ、登録受け付けを終了しました。

最終登録例の効果判定を待って、治療効果とマーカーとの関係を解析する予定です。歴代の大学院生たちが見つけたマーカーが、造血障害の日常臨床に役立つことが証明されることを期待したいと思います。

 

「高感度フローサイトメトリー法を用いたPNH型血球の検出」は、その重要性が広く認知されるようになりました。日本全国からPNH型血球検査の依頼が多数寄せられ、解析結果の判定と報告(治療法のアドバイスも含む)を行っています。

また、低リスクの骨髄異形成症候群(MDS)でもPNH型血球の有無により免疫抑制療法の有効性が予測出来ることがわかり、現在染色体異常の有無とPNH 型血球の出現との関連を解析しています。

 

肝炎後再不貧では、肝細胞と造血幹細胞が共有する抗原に対して何からの免疫反応が起こっていると推測されていますが、その標的抗原は今まで不明でした。これを明らかにするため、肝炎後再不貧患者血清を用いて、肝細胞株に反応する抗体の有無をスクリーニングすることにより、自己抗原の同定を試みたところ、Heat shock protein (HSP) 72であることが判明しました。

HSP72は加温などのストレスで誘導されるシャペロンタンパクの一つであり、NK細胞やヘルパーT細胞の抗腫瘍活性を増強することが報告されています。

HSP72蛋白に対する血清中の抗体の有無をウェスタンブロットで検討したところ、抗HSP72抗体は通常の肝炎患者では検出されず、肝炎後再不貧患者で高率(12例中11例(92%))に検出されたことから、HSP72は肝炎後の再不貧の発症に関連した自己抗原の一つと考えられました。

 

ヒト造血幹細胞から成熟血球への分化経路は、個々の幹細胞クローンの分化の過程をなぞるよい指標がないため、ほとんど分かっていません。

これまでの検討では、骨髄不全患者で検出されるPNH型血球はPIG-A変異幹細胞に由来し、その変異幹細胞は正常幹細胞に近い動態を示すと考えられています。そこで、多数の骨髄不全症例を対象として、多系統の血球におけるPNH型血球の有無を検討しました。その結果、PIG-A変異幹細胞の分化経路も、正常幹細胞と同様であることが示唆されました。

 

また、骨髄不全患者でPNH型血球が増殖する機序について検討したところ、GPIアンカー型膜タンパクを介して細胞増殖を抑制する機序が、GPIアンカー型膜タンパク分子が欠如しているために機能せず、増殖が抑制されない可能性が考えられました。

(続く)

金沢大学血液・移植研究室(同種造血幹細胞移植):研究室紹介(4)

 


【関連記事】NETセミナー

 

汎血球減少のマネジメント:特に骨髄不全について

輸血後鉄過剰症と鉄キレート療法

急性骨髄性白血病の治療

悪性リンパ腫の診断

造血幹細胞移植

移植片対宿主病(GVHD)の分類と診断

ドナーリンパ球の威力 −ドナーリンパ球輸注(DLI)−

貧血患者へのアプローチ

血液内科に関する研修医からのQ&A

 

【リンク】

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ホームページ

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集


投稿者:血液内科・呼吸器内科at 03:46 | 血液内科

2010年3月14日

金沢大学血液・移植研究室(臨床研究):研究室紹介(2)

金沢大学血液・移植研究室(スタッフ):研究室紹介(1)から続く

 

関連記事:

金沢大学血液内科:10年間の研究の歩み(by 中尾眞二教授)

 

【血液・移植グループ(2)】

<臨床研究>

急性白血病の化学療法は、現在まで日本成人白血病研究グループ(JALSG)の臨床研究に参加し治療を行ってきました。

AML95プロトコールによる臨床試験は、急性骨髄性白血病の寛解導入療法として、治療後8日目の骨髄を評価して化学療法剤を追加する個別化(indivisualized)群と固定化された寛解導入療法を受ける(fixed)群を比較し、その結果両群で寛解率・生存率に差がないことより、個別化療法の有用性が否定された臨床研究ですが、当科や関連病院より多数の症例が登録されたこととで、大竹教授を筆頭著者として論文発表されました。

急性白血病、慢性骨髄性白血病はJALSGの臨床研究に参加し、リンパ腫は日本幹細胞移植(JSCT)研究会の臨床研究に参加し治療を行っています。

造血血幹細胞移植に関する臨床研究としては、臍帯血移植のヘルペスウイルス6型(HHV-6)脳炎の予防として、ホスカルネットを移植後早期に投与する方法の効果を検証する試験や、シクロスポリン・タクロリムスの血中濃度に及ぼす抗真菌薬イトラコナゾールの影響を検討する試験を行っています。

(続く)

金沢大学血液・移植研究室(骨髄不全):研究室紹介(3)

 

【関連記事】NETセミナー

汎血球減少のマネジメント:特に骨髄不全について

輸血後鉄過剰症と鉄キレート療法

急性骨髄性白血病の治療

悪性リンパ腫の診断

造血幹細胞移植

移植片対宿主病(GVHD)の分類と診断

ドナーリンパ球の威力 −ドナーリンパ球輸注(DLI)−

貧血患者へのアプローチ

血液内科に関する研修医からのQ&A

 

【リンク】

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ホームページ

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集


投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:22 | 血液内科

2010年3月13日

金沢大学呼吸器内科(インデックス):研究室紹介(7)

金沢大学呼吸器内科(臨床・学位研究):研究室紹介(6)から続く。

  

【呼吸器研究グル−プ(7)】

 

金沢大学呼吸器内科:インデックスページ

1)金沢大学呼吸器内科(スタッフ)

2)専門呼吸器内科

3)気道疾患

4)間質性肺炎

5)肺癌

6)臨床・学位研究

 

 

 

【関連記事】

慢性咳嗽の診療

非小細胞肺癌治療の最前線

肺がんに気づくサイン

 

 【リンク】

金沢大学 血液内科・呼吸器内科HP

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集


投稿者:血液内科・呼吸器内科at 00:44 | 呼吸器内科 | コメント(0)

2010年3月12日

北陸ヘモフィリア懇話会のご案内


第3回北陸ヘモフィリア懇話会


日時:2010年5月15日(土)14時00分〜16時30分
会場:金沢都ホテル 5F「兼六の間」


プログラム(敬称略)

14:00-14:15   

製品紹介 バクスター株式会社 

開会のことば    
富山市民病院 小児科 部長  三浦正義


14:15-15:15 

特別講演
「血友病患者様の心のケア(カウンセリング)」

座長:富山大学医学部 小児科 講師  金兼弘和                                  
演者:荻窪病院 血液科 カウンセラー  小島 賢一


15:15-15:30    Coffee Break


15:30-16:30   

特別講演
「血友病在宅治療における現状と課題」
〜在宅治療支援プログラムアンケート調査から見えてくるもの〜


座長:  金沢大学附属病院 高密度無菌治療部 准教授     朝倉英策

演者:  広島大学病院 輸血部 副部長  藤井輝久 


閉会のことば
金沢医科大学 発生発達医学 教授  犀川 太  



主催:バクスター株式会社 バイオサイエンス事業部

【リンク】

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ホームページ

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集


投稿者:血液内科・呼吸器内科at 02:57 | 研究会・セミナー案内 | コメント(0)

2010年3月11日

金沢大学血液・移植研究室(スタッフ):研究室紹介(1)

金沢大学第三内科から、呼吸器内科の研究室紹介 に続きまして、今回からは、金沢大学血液内科(血液・移植グループ)の研究室紹介をブログ記事でアップしていきたいと思います。


今回も、金沢大学第三内科同門会報を出典としていますので(原稿執筆時点からある程度経過していますので)、現状と若干異なっている内容もありますが、ご容赦いただければと思います。

 

なお、以下のシリーズも是非ご覧くださいませ。

金沢大学血液内科:10年間の研究の歩み(by 中尾眞二教授)



【血液・移植グループ(1)】

平成21年度の大学所属の研究室スタッフは、中尾教授、大竹教授、教官5名(奥村、高見、山崎宏人、近藤、石山)、医員2名(杉森、望月)、大学院生2名(大畑、清木)でした。

他に、保健学科の片桐君、修士課程の桜井君、留学生のLuis君と祁君が研究を行っています。


今年は新たに細川晃平君と富山県立中央病院で後期研修中の丸山裕之君が研究室のメンバーに加わってくれました。

次回より、本年度の主な研究内容をシリーズで紹介します。

 

(続く)

金沢大学血液・移植研究室(臨床研究):研究室紹介(2)

 

 【関連記事】NETセミナー

汎血球減少のマネジメント:特に骨髄不全について

輸血後鉄過剰症と鉄キレート療法

急性骨髄性白血病の治療

悪性リンパ腫の診断

造血幹細胞移植

移植片対宿主病(GVHD)の分類と診断

ドナーリンパ球の威力 −ドナーリンパ球輸注(DLI)−

貧血患者へのアプローチ

血液内科に関する研修医からのQ&A

 

【リンク】

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ホームページ

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集


投稿者:血液内科・呼吸器内科at 03:15 | 血液内科 | コメント(0)

2010年3月10日

再生不良性貧血とPNH型血球(金沢大学血液内科):インデックス

特発性骨髄不全と免疫:金沢大学血液内科 中尾教授より-11 より続く


金沢大学血液内科・呼吸器内科(第三内科)の同門会誌に掲載された、教授コーナーの原稿(by 中尾眞二教授)を、こちらのブログでもシリーズでお伝えしてまいりました。

完結いたしましたので、インデックスページを作成しておきたいと思います。

 


【10年間の研究のあゆみ金沢大学血液内科(中尾眞二教授コーナー)

金沢大学第三内科同門会誌の原稿より


1)骨髄移植と骨髄不全

2)再生不良性貧血とシクロスポリン

3)自己免疫疾患

4)再生不良性貧血 1999〜

5)微少PNH型血球

6)MDSとPNH型血球

7)再生不良性貧血とT細胞

8)モエシンと再生不良性貧血

9)PNH型血球の意義

10)PNH型血球と再生不良性貧血

11)特発性骨髄不全と免疫

 

 

【リンク】

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ホームページ

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集


投稿者:血液内科・呼吸器内科at 04:29 | 血液内科

2010年3月9日

金沢大学呼吸器内科(臨床・学位研究):研究室紹介(6)

金沢大学呼吸器内科(肺癌):研究室紹介(5)から続く。

  

【呼吸器研究グル−プ(6)】

呼吸器内科グループ全体の臨床研究も展開しております。

1)COPDおよび気管支喘息の長期予後調査(事務局:北、責任者:中積泰人、研究遂行分担者:広瀬達城、織部芳隆)

2)アトピー咳嗽と咳喘息に対するロイコトリエン拮抗薬の有効性(事務局:北俊之、Allergology Internationalに掲載予定)

3)慢性咳嗽の原因疾患調査:JRS guidelines vs. ACCP guidelines(責任者:阿保未来、片山伸幸)

4)咳喘息からの喘息発症に対するロイコトリエン拮抗薬の予防効果(金沢大学、京都大学、長崎大学 前向き共同研究、責任者:大倉徳幸)

なども地道に進行しています。



呼吸器の疾患は種類も病態も多様であり、一般呼吸器内科医が扱える教科書通りの患者だけではなく、個々の病態を考えながらの診療が必要な患者も少なからず存在します。

「考えながら診療する能力を持つ呼吸器内科医(専門呼吸器内科医)」が求められる訳です。

専門呼吸器内科医の養成には、研究、とくに学位研究が重要なステップとなります。

診療や外勤のため研究時間が十分に確保できない状況での研究活動は容易ではありませんが、良い研究環境を提供できるようにスタッフ一丸となって努力しています。

 

 (続く)

金沢大学呼吸器内科(インデックス):研究室紹介(7)

 


【関連記事】  咳嗽の診断と治療

1)ガイドライン

2)咳嗽の定義 & 性状

3)急性咳嗽

4)遷延性咳嗽 & 慢性咳嗽

5)咳嗽の発症機序

6)診断フローチャート

7)咳喘息

8)アトピー咳嗽 vs. 咳喘息

9)副鼻腔気管支症候群(SBS)

10) 胃食道逆流症(GERD)

11)慢性咳嗽&ガイドライン

 

【関連記事】

慢性咳嗽の診療

非小細胞肺癌治療の最前線

肺がんに気づくサイン

 

 【リンク】

金沢大学 血液内科・呼吸器内科HP

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集


投稿者:血液内科・呼吸器内科at 04:44 | 呼吸器内科 | コメント(0)

2010年3月8日

金沢大学呼吸器内科(肺癌):研究室紹介(5)

金沢大学呼吸器内科(間質性肺炎):研究室紹介(4)から続く。

  

【呼吸器研究グル−プ(5)】

<肺癌グループ

2002年9月に全く新しいタイプの肺癌治療薬ゲフィチニブ(イレッサ)が登場しました。

本剤はEGFRチロシンキナーゼの阻害薬であり、その効果はEGFR遺伝子の変異の有無に依存しています。

この有効性とは別に、EGFR遺伝子変異が肺癌の予後良好因子であり、一方K-ras遺伝子変異が肺癌の予後不良因子であることを明らかにしました(丹保先生)。

ゲフィチニブは著効を示しても、数ヶ月から数年の内にその効果が消失しますが、次の戦略をどうするかが重大な問題となっています。そこで、EGFR-TKI耐性株を用いて、抗がん剤感受性とその機序を明らかにする研究を開始しました(酒井先生)。

また、分子標的薬ゲフィチニブ感受性規定因子としての血中EGFRの検討 (曽根先生)、流血中DNAを用いた肺癌のバイオマーカー探索(木村先生)などの基礎研究も進行中です。


臨床研究では、

1)高齢者進行非小細胞肺癌に対するVinorelbine、Gemcitabine 隔週投与後、Gefitinibを逐次投与する臨床第II相試験(症例集積終了)

2)IIIB、IV期非小細胞肺癌に対するVinorelbineとCarboplatinの併用化学療法後Gemcitabineを逐次療法として追加する第II相臨床試験(症例集積終了)

3)局所進行非小細胞肺癌に対するDocetaxel / Cisplatin導入化学療法後Docetaxel 毎週投与併用下胸部放射線照射の逐次併用療法の検討 (症例集積終了)

4)ゲフィチニブ奏効後の再発非小細胞肺癌症例に対する毎週投与パクリタキセルとゲフィチニブ併用療法

5)EGFR遺伝子変異陰性非小細胞肺癌に対するErlotinibの有用性予測因子を探索する第II相試験-バイオマーカー研究-

 

などが順調に進行しています。

 (続く)

金沢大学呼吸器内科(臨床・学位研究):研究室紹介(6)

 


【関連記事】  咳嗽の診断と治療

1)ガイドライン

2)咳嗽の定義 & 性状

3)急性咳嗽

4)遷延性咳嗽 & 慢性咳嗽

5)咳嗽の発症機序

6)診断フローチャート

7)咳喘息

8)アトピー咳嗽 vs. 咳喘息

9)副鼻腔気管支症候群(SBS)

10) 胃食道逆流症(GERD)

11)慢性咳嗽&ガイドライン

 

【関連記事】

慢性咳嗽の診療

非小細胞肺癌治療の最前線

肺がんに気づくサイン

 

 【リンク】

金沢大学 血液内科・呼吸器内科HP

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集


投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:12 | 呼吸器内科 | コメント(0)

2010年3月7日

金沢大学呼吸器内科(間質性肺炎):研究室紹介(4)

金沢大学呼吸器内科(気道疾患):研究室紹介(3)から続く。

  

【呼吸器研究グル−プ(4)】

<肺疾患グループ

間質性肺炎の領域は、病型の多様性(IPF,NSIP, COP, EP, DIPなど)のため、それぞれの病態毎の機序や原因の解明がなかなか進まないのが現状です。

抗アミノアシルtRNA合成酵素(ARS)抗体に注目し、間質性肺炎の病型との関連を検討した結果、非特異的間質性肺炎(NSIP)との関連が示唆されています。

長年、乾性咳嗽は間質性肺炎の症状の一つだと信じられてきました。数年来、それぞれの病型の間質性肺炎患者の咳嗽について、その原因疾患を追求してきました(一般常識に対する挑戦的研究)。

その結果、大部分が慢性咳嗽の原因疾患による咳嗽であることが判明しました。すなわち、間質性肺炎を軽快せしめることは不可能な場合でも、咳嗽を軽快させることは可能となった訳です。


また、IgG4関連疾患にも興味を持ち、本疾患が高率に好酸球性気道疾患を合併することを明らかにしつつあります。

高戸先生は「Nonspecific interstitial pneumonia with abundant IgG4-positive cells infiltration, which was thought as pulmonary involvement of IgG4-related autoimmune disease, Intern Med. 2008」にて、第18回白山カンファレンス奨励賞を獲得しました。

基礎的研究では、高戸先生は肺の線維化におけるキマーゼの役割について研究し、キマーゼが好中球性炎症を惹起することによって、TGFβを介する肺の線維化に関与していることを明らかにしました(学位論文投稿中)。

さらに犬塚先生は「アンジオテンシン受容体拮抗薬の肺線維化抑制作用におけるACE2及びAng1-7の関与」について精力的に実験し、ARBの肺線維化抑制効果はACEの減少とACE2の増加を介するAng1-7の増加によってもたらされることを明らかにしました(学位論文投稿中)。

 

(続く)

金沢大学呼吸器内科(肺癌):研究室紹介(5)

 


【関連記事】  咳嗽の診断と治療

1)ガイドライン

2)咳嗽の定義 & 性状

3)急性咳嗽

4)遷延性咳嗽 & 慢性咳嗽

5)咳嗽の発症機序

6)診断フローチャート

7)咳喘息

8)アトピー咳嗽 vs. 咳喘息

9)副鼻腔気管支症候群(SBS)

10) 胃食道逆流症(GERD)

11)慢性咳嗽&ガイドライン

 

【関連記事】

慢性咳嗽の診療

非小細胞肺癌治療の最前線

肺がんに気づくサイン

 

 【リンク】

金沢大学 血液内科・呼吸器内科HP

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集


投稿者:血液内科・呼吸器内科at 03:46 | 呼吸器内科

2010年3月6日

金沢大学呼吸器内科(気道疾患):研究室紹介(3)

金沢大学呼吸器内科(専門呼吸器内科):研究室紹介(2)から続く。

  

【呼吸器研究グル−プ(3)】

<気道疾患グループ>

慢性咳嗽、気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)に関して基礎的・臨床的研究を継続しています。

「アトピー咳嗽の確立」と「慢性咳嗽診療の標準化」に取り組み、国内外をリードする我々のグループにとって、各々の疾患における咳嗽の発生機序の解明と治療法の開発は義務となっています。

アトピー咳嗽に関する基礎的研究は、徳田先生が学位研究「アレルギー機序による咳感受性亢進と各種免疫調整薬の影響」によってマクロライドの新作用を発見し、あっという間にPulmonary Pharmacology and Therapeuticsに採用されました(学位論文)。

咳喘息の咳嗽発生機序に関する研究(大倉先生)は順調に進んでいます。

動物実験では、気管支平滑筋収縮がAδ神経線維を刺激して咳嗽を発生するという新事実を突き止めました(Experimental Lung Research、学位論文)。


臨床研究では、気管支平滑筋収縮による咳嗽反応に、疾患による特徴があるという興味ある知見が得られました。

例えば、喘息患者では、平滑筋が収縮しても咳嗽が誘発されにくい(impaired cough response to bronchoconstriction)などです。この反応は咳喘息の基本病態につながる重要な検査となる可能性があります。

徳田先生はアトピー咳嗽の研究と平行して、「TNF-α(COPDで増加)とIFN-γ(ウイルス感染で増加)によるToll-like receptor 2の発現とその制御」について検討を進め、その成果が出つつあります(一部は投稿中)。

 

(続く)

金沢大学呼吸器内科(間質性肺炎):研究室紹介(4)

 


【関連記事】  咳嗽の診断と治療

1)ガイドライン

2)咳嗽の定義 & 性状

3)急性咳嗽

4)遷延性咳嗽 & 慢性咳嗽

5)咳嗽の発症機序

6)診断フローチャート

7)咳喘息

8)アトピー咳嗽 vs. 咳喘息

9)副鼻腔気管支症候群(SBS)

10) 胃食道逆流症(GERD)

11)慢性咳嗽&ガイドライン

 

【関連記事】

慢性咳嗽の診療

非小細胞肺癌治療の最前線

肺がんに気づくサイン

 

 【リンク】

金沢大学 血液内科・呼吸器内科HP

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集


投稿者:血液内科・呼吸器内科at 02:35 | 呼吸器内科

2010年3月5日

金沢大学呼吸器内科(専門呼吸器内科):研究室紹介(2)

金沢大学呼吸器内科(スタッフ):研究室紹介(1)から続く。

  

【呼吸器研究グル−プ(2)】

呼吸器内科は専門的に実践しよう(専門呼吸器内科)とすると大変ハードな領域です。

循環器内科と同様にチーム医療が必要です。


各地区(黒部・魚津地区、富山市地区、高岡市地区、南砺地区、能登地区、加賀地区、嶺北地区)に原則1つの専門呼吸器内科部門を維持すべく、地域中核病院の特化を進めており、1部門3名以上を原則としています。


2007年4月〜2008年3月の1年間の論文業績は,原著6編(英文4,邦文2)と症例報告6編(英文4,邦文2)、著書・総説14編と、一昨年、昨年と続いた失速からさらに失速してしまいました。

しかし、やっと最近になって、このnadirから回復の兆しが見え始めてきました。

次回以降に、最近の主な研究成績と進行中のテ−マを紹介します。

(続く)

金沢大学呼吸器内科(気道疾患):研究室紹介(3)

 


【関連記事】  咳嗽の診断と治療

1)ガイドライン

2)咳嗽の定義 & 性状

3)急性咳嗽

4)遷延性咳嗽 & 慢性咳嗽

5)咳嗽の発症機序

6)診断フローチャート

7)咳喘息

8)アトピー咳嗽 vs. 咳喘息

9)副鼻腔気管支症候群(SBS)

10) 胃食道逆流症(GERD)

11)慢性咳嗽&ガイドライン

 

【関連記事】

慢性咳嗽の診療

非小細胞肺癌治療の最前線

肺がんに気づくサイン

 

 【リンク】

金沢大学 血液内科・呼吸器内科HP

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集


投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:25 | 呼吸器内科 | コメント(0)

2010年3月4日

金沢大学呼吸器内科(スタッフ):研究室紹介(1)

今回から、金沢大学第三内科(血液内科・呼吸器内科)の研究室紹介をシリーズでお届けしたいと思います。

先日、配布された同門会報を出典としています。原稿執筆時点から、月日が経過していますので、現状とは既に異なっている部分もありますが、ご容赦いただければと思います。

まずは、呼吸器内科からです。

 

 

【呼吸器研究グル−プ(1)】

平成21年4月より、長岡愛子先生(三重大卒4年目)が、当呼吸器内科の一員に加わってくれました。長岡先生は、四日市市立病院で初期研修を終え、1年間の呼吸器内科研修を終えて地元に戻ってきました。

現体制は、教官として笠原講師、片山助教、西辻助教、木村特任准教授と私がそれぞれの役割(病棟診療、外来診療、学生教育、初期研修医教育、後期研修医教育)を担いながら、

1)気道領域(気管支喘息、慢性咳嗽、慢性閉塞性肺疾患)グループ

2)肺癌グループ

3)肺胞領域(間質性肺炎、感染性肺炎)グループ

の研究を遂行・指導し、大倉先生(咳喘息の研究)、徳田先生(アトピー咳嗽の研究)、高戸先生(肺線維症の研究)、酒井先生(肺癌の研究)が学位研究に従事しています。


病棟は、西辻助教(副病棟医長)、木村特任准教授を指導医として、さらに大倉先生、曽根先生、上田(暁)先生、が患者さんを受け持ちながら、ローテーションで回ってくる初期研修医を直接指導しています。

阿保先生、早稲田先生、古荘先生、高戸先生、のママさん医師には、主に外来診療、呼吸機能検査、学生の教育を担当してもらっています。

総勢15名の体制で、役割分担をしながら、何とか診療>教育>研究をこの順番でこなしています。

(続く)

金沢大学呼吸器内科(専門呼吸器内科):研究室紹介(2)

 


【関連記事】  咳嗽の診断と治療

1)ガイドライン

2)咳嗽の定義 & 性状

3)急性咳嗽

4)遷延性咳嗽 & 慢性咳嗽

5)咳嗽の発症機序

6)診断フローチャート

7)咳喘息

8)アトピー咳嗽 vs. 咳喘息

9)副鼻腔気管支症候群(SBS)

10) 胃食道逆流症(GERD)

11)慢性咳嗽&ガイドライン

 

【関連記事】

慢性咳嗽の診療

非小細胞肺癌治療の最前線

肺がんに気づくサイン

 

 【リンク】

金沢大学 血液内科・呼吸器内科HP

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集


投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:32 | 呼吸器内科 | コメント(0)

2010年3月3日

北国新聞「丈夫がいいね」:血栓症

北国新聞のシリーズ記事「丈夫がいいね」に、金沢大学血液内科(血栓止血研究室:血管診療グループ)朝倉英策の取材記事が掲載されました。


北国新聞 

2010年2月26日(金) 血栓症(上):止血作用に負の側面
2010年2月27日(土) 血栓症(下):薬を使い分けて対応


【関連記事】

抗血栓療法、抗血小板療法、抗凝固療法(アスピリン、ワーファリン)


血管内皮の抗血栓性物質と線溶

深部静脈血栓症/肺塞栓

深部静脈血栓症と血栓性静脈炎の違い


PT-INRとは(正常値、PTとの違い、ワーファリン)?


PT(PT-INR)とは? 正常値、ワーファリン、ビタミンK欠乏症


ワーファリン:経口抗凝固薬、PT-INR

【リンク】

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ホームページ

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ブログ


投稿者:血液内科・呼吸器内科at 23:39 | 血栓止血(血管診療) | コメント(0)

2010年3月2日

特発性骨髄不全と免疫:金沢大学血液内科 中尾教授より-11

PNH型血球と再生不良性貧血:金沢大学血液内科 中尾教授より-10 より続く


【骨髄不全研究の展望】


私たちの検討により特発性骨髄不全における免疫病態のかなりの部分が明らかになってきました。

当初の目的のように、再生不良性貧血研究で得られた知見を白血病の治療に応用するところにまではまた至っていませんが、PNH型血球を対象とした片桐孝和君(金沢大学病態検査学大学院生)、杉森尚美君、山崎宏人君らの検討により、ヒト造血幹細胞の分化機構が明らかにされつつあります。


また、留学生の祁君や高松君、修士課程の桜井君らによって、再生不良性貧血における新しい自己抗体も次々に同定されています。

この領域の研究は今後も金沢大学血液内科が世界の中心となって進んでいくと思われます。

研究の対象はそれほど広い訳ではありませんが、患者さんをしっかり診ることによって得られる発見や、それを臨床に還元することの喜びをこれからも若い人に伝えていきたいと思っています。

 

(続く)

再生不良性貧血とPNH型血球(金沢大学血液内科):インデックス

 

 

 

【関連記事】NETセミナー

汎血球減少のマネジメント:特に骨髄不全について

輸血後鉄過剰症と鉄キレート療法

急性骨髄性白血病の治療

悪性リンパ腫の診断

造血幹細胞移植

移植片対宿主病(GVHD)の分類と診断

ドナーリンパ球の威力 −ドナーリンパ球輸注(DLI)−

貧血患者へのアプローチ

血液内科に関する研修医からのQ&A

 

【リンク】

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ホームページ

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集


投稿者:血液内科・呼吸器内科at 04:30 | 血液内科

2010年3月1日

PNH型血球と再生不良性貧血:金沢大学血液内科 中尾教授より-10

PNH型血球の意義:金沢大学血液内科 中尾教授より-9 から続く



【患者さんから学ぶ(2)】

ところが、これもある患者さんの診療をきっかけに証明することができました。

50代の再生不良性貧血患者さんが、兄弟から造血幹細胞移植を受けた後に汎血球減少を来しました。その患者さんは、同じドナーからすでに2回の造血幹細胞移植を受けており、血液が完全にドナー型に置き換わっているにもかかわらず生着不全を来したことから、危険性は高いがもう一度別のドナーから移植するしかないのではないかと教室では議論されていました。

教授回診の際に検査結果をみたところ、血球減少のパターンがPNH型血球陽性再生不良性貧血例のパターンと良く似ていたため、当時主治医をしていた杉盛君に「まさかとは思うが、念のためPNH型血球を調べてみたら」と指示しました。

翌日杉盛君が興奮した面持ちで教授室にやってきて、陽性結果の生データを見せてくれました。

このときは、10年前に王さんから微少PNH型血球陽性例の最初の結果を見せられたとき以上に驚きました。


その後望月果奈子君や杉盛君らの検討により、この患者さんでは、移植されたドナー由来の骨髄に対して自己(ドナー)のリンパ球による免疫学的な攻撃が起こった結果、元々ドナーの骨髄に存在していた静止状態のPIGA変異幹細胞が増殖したことが明らかになりました。

すなわち、PNH型血球の増加が本当に再生不良性貧血の発症とともに起こることが、この患者さんの経験によって初めて証明された訳です。

患者さんはその後再移植を受けることなく、ATG療法で寛解となりました。

この例は、患者さんを十分観察することや、造血幹細胞移植という治療方法が、動物モデルのない疾患のメカニズムを明らかにする上でいかに有用かを示す好例であったと思われます。


(続く)

 特発性骨髄不全と免疫:金沢大学血液内科 中尾教授より-11 へ

 

【関連記事】NETセミナー

汎血球減少のマネジメント:特に骨髄不全について

輸血後鉄過剰症と鉄キレート療法

急性骨髄性白血病の治療

悪性リンパ腫の診断

造血幹細胞移植

移植片対宿主病(GVHD)の分類と診断

ドナーリンパ球の威力 −ドナーリンパ球輸注(DLI)−

貧血患者へのアプローチ

血液内科に関する研修医からのQ&A

 

【リンク】

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ホームページ

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集


投稿者:血液内科・呼吸器内科at 17:03 | 血液内科

<< 2010/02トップページ2010/04 >>
▲このページのトップへ