金沢大学 血液内科・呼吸器内科(クリクラ):一言お願いします(11)
金沢大学 血液内科・呼吸器内科(クリクラ):一言お願いします(10)より続く。
【病棟医長の新企画:一言お願いします(11)】
金沢大学第三内科(血液内科・呼吸器内科)には、医局を挙げての恒例行事がいくつかあります。
その一つが、平成21年7月16日に催された「ビールパーティー」です。夏季休暇に突入する前に医局総出で街に繰り出します。ベテランも新人も大きなピッチャーを持って歩いての無礼講です。
この企画を始めてから、スナップ写真を提供してくれるスタッフが増えたのですが、さすがに今回のビールパーティーでは、それぞれが飲むのに忙しかったらしく、記念写真(証拠写真?)は撮らなかったようです。
学生さんたちも夏休みに突入したと思いますが、6年生のみなさんはマッチング試験や卒業試験・国家試験の準備にエンジンがかかった頃だと思います。
今回からは、クリクラ第3タームのメンバーの感想・体験談を紹介します。
当科では血液内科も呼吸器内科も臨床に直結した基礎研究を目指しています。当教室のクリクラ配属者では初めてなのですが、今回は私たちの基礎研究ものぞいてみたいとの希望がありました。何しろ、今年のクリクラは完全オーダーメイドを声高に謳っていますので、かなえないわけにはいきません。中尾教授のアドバイスもいただき、大学院生の研究をのぞいてもらいました。
臨床教室の基礎研究には興味が持てましたか?「村瀬篤史君、一言お願いします!」
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血液内科クリクラ第3ターム目!
金沢大学医学科6年 村瀬篤史
今回は、非常にわがままな要求を受け入れていただき、ありがとうございました。
今回のクリクラでは、
1)末梢血と末梢血塗抹標本&骨髄標本をみて、ある程度血液病理を理解できるようになること。
2)臨床研究の現場を多少なりとも体験する。
3)受け持ち患者さんの治療に関して、論文などの文献を調べて、日常臨床における情報収集の仕方を身につける。
というのが大きな目標でした。
なんとまぁ、ありがたいことに全部実行することができるようにカリキュラムを作っていただいちゃいました。
1)について
クリクラ前は、5年のBSLでも指導して頂いた記憶はあるのですがさっぱりでした。今回は、少人数で具体的な細胞の特徴、識別ポイントを教えて頂きましたし、実際の末梢血標本や骨髄標本をみる機会にも恵まれて、かなり区別できる?ようになってきました。疑問点を明確にして、顕微鏡を覗くと見え方が変わってきますね。
2)について
なかなか時間の都合が難しく、ほんの一面しか触れることができませんでしたが、血液内科の臨床研究の組み立て方を垣間見ることができました。しかも研究室が基礎医学の生化学・分子生物学系に似ていて、親近感がわいてしまいました。
3)について
毎回、意気込みは誰よりも負けないのですが、1日でダウンするのがいつものパターン…のはずでした。しかし、今回は違いました。月・水・金の朝に毎回、担当患者さんの治療に関する課題が、どんどん出され、しかも英語の論文を見なくてはわからない内容まで頂いて、この数年間ではありえないほどの、論文を短期間に読んでしまいました。正直自分でもびっくりです。
また、細川先生から、必要な論文を早く検索する方法を教えていただいたり、中尾教授から見つけた論文を見る際に、効率よく情報を入手する読み方を教えていただきました。来年には必要なことだけど、なかなか誰も教えてくれない論文の検索・読み方を教えて頂いて、とてもお得なクリクラをさせていただきました。
血液内科のクリクラの一番のウリは、先生方が話しやすく、すごく基本的なことから応用的なことまで、一緒になって考えて、一緒になって調べて、一緒になって標本を見て解釈したりしてくれるところですね。
実に濃い1カ月をすごさせていただきました。お忙しい中、お付き合いくださった先生方どうもありがとうございました。
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村瀬君、ありがとうございました。
5年生がこの体験談を読んだら、血液内科のクリクラは論文をたくさん読ませられるのでは、と不安に感じるかもしれませんね。心配しないで下さい。論文を活用した勉強も自分のペースですすめればOKです。あくまでもオーダーメイドです。
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金沢大学 血液内科・呼吸器内科(クリクラ):一言お願いします(11)
金沢大学病院での研修〜カンファレンス〜:後期研修医の独り言(1)
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 04:22
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出血傾向(身体診察):医学コアカリ対応(4)
出血傾向(医療面接):医学コアカリ対応(3)からの続き
【身体診察と出血傾向】
・ 紫斑の正常:
前述しました(紫斑からみた出血傾向)。特に、点状出血では、血小板または血管が原因の出血傾向を強く疑います。一方、斑状出血やびまん性出血では、凝固異常が原因の出血傾向を疑います。
・ 貧血の有無:
高度の出血が見られますと、貧血の原因となります。顔面蒼白、眼瞼結膜の貧血の有無に注意します。
・ 口腔粘膜、歯肉出血の有無に注意します。なお、歯肉炎、口内炎などでも出血しますが、これは出血傾向とは無関係です。
・ 鼻出血:
鼻出血の有無に注意します。ただし、診察時のみでなく過去の出血の有無も聞いておく必要があります。
・ 関節腫脹の有無:
血友病では関節内出血が特徴的です。血友病重症例や適切な治療を受けていない場合には、関節内出血を繰り返し関節拘縮をきたすこともあります。
(続く)
出血傾向(血液検査):医学コアカリ対応(5)へ
【関連記事】
全身性出血性素因の最初の検査
鼻出血(鼻血が止まらない):粘膜出血
止血剤の種類と疾患:ノボセブン、アドナ、トランサミンなど。
ノボセブン(遺伝子組換え活性型第VII因子製剤):究極の止血剤。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 05:36
| 出血性疾患
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出血傾向(医療面接):医学コアカリ対応(3)
出血傾向(紫斑、関節内出血):医学コアカリ対応(2)からの続き
【医療面接と出血傾向】
・ 自覚症状:
出血の部位。特に、関節内出血は血友病に特徴的ですので、関節腫脹や疼痛の経験がないか確認しておく必要があります。また、von Willebrand病では幼少時からの粘膜出血(鼻出血など)が特徴的です。鼻出血では、片側性か両側性かの確認も重要です。片側性の場合には耳鼻科疾患の可能性がありますが、両側性の場合には全身性出血性素因を強く疑うことになります。
・ 先行する感染症の有無:
急性の特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、アレルギー性紫斑病(Schoenlein-Henoch紫斑病)では、先行感染症がみられる場合があります。
・ 出血症状出現の時期:
幼少時からの出血傾向は先天性出血性素因を疑います。
・ 外傷時、手術時、抜歯時の異常出血の有無:
先天性出血性素因では、過去の外傷時、手術時、抜歯時に異常出血がみられることが多いのが特徴です。
・ 家族歴:
血縁者で出血しやすい者がいる場合には、血友病やvon Willebrand病などの先天性出血性素因であることが多いです。なお、血友病は伴性劣性遺伝のために男性のみに発症します(母親がキャリアーのため母方から遺伝)。von Willebrand病は常染色体優性遺伝するため、男女ともに発症しえます。
・ 内服薬の確認:
NSAID(非ステロイド系消炎鎮痛薬)(アスピリンなど)の内服では、血小板機能が低下して出血傾向をきたすことがあります。また、虚血性心疾患や脳梗塞患者では、抗血小板薬を内服していることがあり出血傾向の原因となりえます。
・ 輸血歴、肝疾患の有無:
肝硬変では、血小板数の低下、凝固因子の低下をきたし、出血傾向をきたすことがあります。
・ ビタミンK欠乏症の可能性について:
ビタミンK欠乏症になりやすいTriasである以下の要素がないかどうか確認します。
1) 食事摂取量の低下:ビタミンKの摂取も低下するためです。
2) 閉塞性黄疸:ビタミンKは脂溶性ビタミンですので、胆汁が存在しないと吸収されません。
3) 抗生剤の投与:ビタミンKは体内の腸内細菌から産生されています。抗生剤によって腸内細菌が死滅しますとビタミンK欠乏症になりやすいです。
(続く)
出血傾向(身体診察):医学コアカリ対応(4)へ
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全身性出血性素因の最初の検査
鼻出血(鼻血が止まらない):粘膜出血
止血剤の種類と疾患:ノボセブン、アドナ、トランサミンなど。
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出血傾向(紫斑、関節内出血):医学コアカリ対応(2)
出血傾向(病態):医学コアカリ対応(1)からの続き
【紫斑からみた出血傾向】
紫斑の性状によって、出血傾向が何に起因するのか絞り込める場合があります。
紫斑(purpura)の種類:
1) 点状出血(petechiae):
径1〜5mm。血小板や血管が原因の出血傾向で見られやすいのが特徴です。
2) 斑状出血(ecchymosis):
径数cm以内のものです。どちらかと言えば、凝固異常が原因の出血傾向でみられやすいです。
3) びまん性出血(suggillation):
面積の比較的大きな皮下出血。凝固異常が原因の出血傾向でみられやすいのが特徴です。
【疾患に特徴的な出血部位】
1) 関節内出血:少なくともCBTや医師国家試験で「関節内出血」のキーワードが出れば、血友病A&Bのみを考えれば良いでしょう。極めて疾患特異性の高い出血部位です。
2) 筋肉内出血:血友病や、後天性血友病(第VIII因子インヒビター)でみられやすいです。
3) 粘膜出血:具体的には、鼻出血、歯肉・口腔粘膜出血、消化管出血、血尿、女性性器出血などです。鼻出血は片側性の場合には耳鼻科疾患の可能性がありますが、両側性の場合には、出血傾向と考えます。
特に「幼少時から鼻出血がみられやすい」とくれば、von Willebrand病を強く疑うことになります。
4) 四肢末梢(特に下肢)の左右対照性紫斑:アレルギー性紫斑病(Schoenlein-Henoch紫斑病)に特徴的です。若干膨隆して触知可能なことが多いです。腹痛、関節痛、腎障害(IgA腎症)を伴うことがあります。
5) 臍帯出血:先天性第XIII因子欠損症。まれな疾患ですので、国家試験やCBTには出ないと思います。
6) 老人性紫斑:老人で前腕伸側、手背に赤紫色で境界明瞭な紫斑が出現します。しばしば部位を変えて出没します。ただし、全ての凝血学的検査は正常になります。
7) タール便(黒色便):上部消化管(胃、十二指腸など)からの出血を意味します。
(続く)
出血傾向(医療面接):医学コアカリ対応(3)へ
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医師国家試験対策:統合試験過去問より(血小板低下)
医師国家試験、専門医試験、血液内科試験(輸血学を含む)← 関連記事
金沢大学医学部(血液内科)統合試験過去問の紹介と解説の記事(医師国家試験対策を兼ねる)を続けます。
臨床問題
67歳女性。約10年間の糖尿病治療歴がある。5日前より頻尿と排尿時痛を自覚。昨日より39℃を超える発熱、食欲低下、口渇がみられるようになり来院した。意識清明。血圧126/82。肋骨脊柱角に叩打痛を認める。血液学的検査:白血球 14,200、赤血球 386万、Hb 12.2g/dl、血小板 2.5万、クレアチニン 1.4mg/dl、LDH 274単位(基準176〜353)、PT 13.8秒(基準10〜14)FDP 41μg/ml(基準10以下)。なお、血液培養にて大腸菌が検出された。
適切な治療薬はどれか。
a 利尿薬
b ビタミンK
c ヘパリン類
d 新鮮凍結血漿
e 副腎皮質ステロイド薬
【作問のねらい】
本症例は、膀胱炎から急性腎盂腎炎を発症した症例で、血液培養の結果より菌血症をきたしている。
血液検査のうち、血小板数、FDPの成績から、播種性血管内凝固症候群(DIC)を合併していると考えられる。
Hb、クレアチニン、LDHより、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、溶血性尿毒症症候群(HUS)は否定的。
PTが延長していないことより、ビタミンK欠乏もない。
播種性血管内凝固症候群(DIC)に対してヘパリン類の投与が適切である。なお、脱水状態にあると考えられることから利尿剤は不適当である。また循環不全はなく、糖尿病があることから副腎皮質ステロイド薬も不適当である。
【正答】 c
【シリーズ記事】
血液凝固検査入門(インデックスページ)ー図解ー
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出血傾向(病態):医学コアカリ対応(1)
金沢大学血液内科・呼吸器内科(第三内科)ブログとしましては、医学部コア・カリキュラム(CBT)対応記事として、「出血傾向」をお届けしたいと思います。
【出血傾向とは】(出血傾向の定義)
止血機序に障害をきたし、正常な止血が行われない状態です。
【止血・血栓の病態生理】
止血(hemostasis)は、人間が生存していく上で、必要不可欠な生理現象です。血管の破綻を生じますと血管を反応の場としまして、血小板および凝固因子といった止血因子が集合し止血機序が働きます。
一方、血栓症(thrombosis)は、脳梗塞、心筋梗塞、肺塞栓などに代表されるように致命症となることもある怖い病態です。しかし、この時も同じ役者である血小板および凝固因子が、血管を反応の場として血栓症の発症に重要な役割を演じているのです。
このように、血小板と凝固因子は止血という良いことも、血栓症という悪いこともしていると言うことができます。
血液は、正常な場合には血管内では凝固することなく循環し、血管外へ出ると凝固して止血します。この当然と思っている生理が時に破綻することがあります。つまり、血管内であるにも関わらず凝固したり(これを血栓症と言います)、血管外に出ても凝固せずに異常出血をきたすことがあります(これを出血傾向と言います)。
さて、出血傾向の話題に戻したいと思います。
血管が破綻しますと、以下のような機序により止血が進行します。
止血機序のステップ
1)血小板の粘着
2)血小板の凝集(ここまでの血小板主体の止血機序を一次止血と言います)
3)凝固反応の進行によるフィブリン形成(凝固活性化による止血機序を二次次止血と言います)
4)過剰に形成されたフィブリンは線溶機序により溶解します。
出血傾向は、上記の止血機序に障害があった場合にみられることになります。
出血傾向の原因(分類)
1) 血小板数数の低下:
特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、再生不良性貧血など。
2) 血小板機能の低下:
血小板無力症、von Willebrand病、NSAID(非ステロイド系消炎鎮痛剤)(アスピリンなど)内服、尿毒症など。
3) 凝固異常:
血友病A、血友病B、後天性血友病、ビタミンK欠乏症など。
4) 線溶過剰亢進:
線溶亢進型DIC( 1)2)の要素もあります)など。
5) 血管壁の異常:
アレルギー性紫斑病(Schoenlein-Henoch紫斑病)、単純性紫斑、老人性紫斑など。
また、出血傾向は、先天性のものと後天性のものに大別されます。
上記した疾患のうち、先天性のものは、血小板無力症、von Willebrand病、血友病A、血友病Bであり、他は後天性です。
出血傾向は、医学生の皆さんにとっては最初はとっつきにくいかも知れませんが、一旦完璧に理解してしまうと生涯を通してその理解を維持できるというところがあると思います。
是非とも、早い段階で極めてしまいましょう!
(続く)
出血傾向(紫斑、関節内出血):医学コアカリ対応(2)へ
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全身性出血性素因の最初の検査
鼻出血(鼻血が止まらない):粘膜出血
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 05:45
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DICモデルに対する線溶療法(ウロキナーゼ、t-PA)(図解51)
DICに対するトランサミン投与と死亡率(図解50)から続く。
播種性血管内凝固症候群(DIC)モデルに対して、
トラネキサム酸(商品名トランサミン)による抗線溶療法を行いますと、血尿は軽減し血中
Dダイマーは低下するものの、臓器障害や腎糸球体フィブリン沈着は増悪し、死亡率も悪化することについて記事にしてまいりました。
しかし、抗線溶療法の検討のみでは充分とは言えません。反対側からの検討として
線溶療法(ウロキナーゼ urokinase UKなど)による評価も行って念おしする必要があります。
血小板数が低下していて出血しやすいDICに対して線溶療法とは何事かと思われるかも知れませんが、実は既に臨床においてこれに近い検討がなされています。
髄膜炎球菌感染症(敗血症)の症例に対して、線溶療法治療薬である
組織プラスミノゲンアクチベータ(tissue plasminogen activator:t-PA)を投与したというものです。
DICの基礎疾患によっては、血栓が残存しやすいことがあります。敗血症に合併した線溶抑制型DIC(
DICの病型分類)がその代表です。これに対して、線溶療法により血栓を溶解しようという考え方は、ある意味、理にかなっているとも言えます。
このような発想をする臨床家はやはり存在するようで論文報告もされています。
下記の論文は、髄膜炎球菌による敗血症(DIC合併例の存在が想定される)に対して、t-PAによる線溶療法を行ったという報告です。
Zenz W, et al:
Use of recombinant tissue plasminogen activator in children with meningococcal purpura fulminans: a retrospective study. Crit Care Med. 2004 Aug;32(8):1777-80.
上記の論文でも指摘されているように、このような症例に対する線溶療法は、出血(特に脳出血)の副作用の問題があり残念ながら現時点では行うことができません。
しかし、将来的には、より良い線溶療法治療薬の開発や、より良いモニタリングの開発などにより、敗血症に合併した DICに対する線溶療法の時代が来る可能性はありうる思っています。
さて、臨床応用の可否は別としまして、DICモデルに対してウロキナーゼなどによる線溶療法を行うというのは、DICにおける線溶活性化の意義を考察する上で、大変に意義があります。
どうなるのでしょうか?
(続く)
播種性血管内凝固症候群(DIC)【図説】へ(シリーズ進行中!!)
血液凝固検査入門(全40記事)
DIC(敗血症、リコモジュリン、フサン、急性器DIC診断基準など)へ
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:00
| 播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解)
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皆既日食:金沢大学附属病院構内から
皆既日食はご覧になったでしょうか。
管理人は、偶然にも金沢大学附属病院から金沢大学医学部までを往復する機会があったのですが、病院構内でも医学部構内でも、日食を観察しているグループに何回も遭遇しました。
人間の心を一つにする宇宙のイベントは、感激的です。
さて、管理人は手元にあった携帯電話でパチリしました。目を凝らしていただきますと、三日月様に見える皆既日食現象をご覧いただけます。
追伸:携帯電話での撮影ですので、この程度の画像でお許しいただければと思います。
【リンク】
金沢大学 血液内科・呼吸器内科HP
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研修医・入局者募集
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 11:46
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金沢大学 血液内科・呼吸器内科(研修医係):一言お願いします(10)
金沢大学 血液内科・呼吸器内科(クリクラ):一言お願いします(9)より続く。
【病棟医長の新企画:一言お願いします(10)】
少々前の話になりますが、6月最後の木曜日に材木先生(初期研修医1年目)の送別会が盛大に開かれました。
材木先生の人気を反映してか、病棟ナースもたく さんかけつけてくれました。この春は3名の先生方が当科を研修先に選択してくれましたが、材木先生の研修期間が3ヵ月という長丁場だったこともあり、ス タッフ一同の思い入れもひとしおだったようです。
中尾教授をはじめ男性スタッフ陣と「固めの杯」を交わし、次の研修先への餞としました。
材木先生をスカウトしてきてくれたのは、3年連続血液内科の研修医係を担当している石山先生です。
若手リーダーの一人である石山先生は、気さくに相談できる教官として、初期研修医の先生方の人望も厚いようです。
今回は石山先生に、本年度上半期の血液内科研修風景を総括してもらおうと思います。
「石山先生、 一言お願いします!」
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最初が肝心:まっさらな画用紙に描く最初の線
金沢大学附属病院血液内科
研修医係 石山謙
2007年度から血液内科の臨床研修係をさせていただいています。
医師としての第一歩を血液内科から踏み出す、そういう先生方とふれあうことは楽しくもあり、しかしそれ以上に、プレッシャーを感じる毎日です(とてもそのようには見えないでしょうが)。
「最初が肝心」
最初が全てだ、などとは決して言いません。
が、まっさらな画用紙に描く最初の線、文字、そして絵というのは最後まで何らかの形として残る気がするのです。
今年来てくださった3人の先生方、それぞれに個性があり、病棟を盛り上げてくれました。
それ以上に、3人が真摯に仕事に向う姿は、忘れかけていた初心を思い出させてくれました。
本当に感謝しています。
いつもいつも見栄えのする絵を描くこと、残念ながら私には力が足りません。
しかし、少なくとも間違った方向へは線を引かない、そしてほんの少しであっても、よりよい仕事をしたい、そういう気持ちで毎日を勝負しています。
100点はもらえないにしても、及第点をもらえるくらいは先生方の期待に応えることができたでしょうか?
いろいろな科で研修し、一回り大きくなった先生方とまた肩を並べて仕事をすることができたら、、、
そういう日が来ることを切に願います。
もう「ひとむかし」も前の話になりますが...
私が研修医として旧第三内科に入局した時のオーベンの言葉のいくつかは、今でも体の一部として染みついている気がします。
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石山先生、ありがとうございました。
とっつきにくいと誤解されやすい血液内科での初期研修を有意義に受けられるよう、毎年工夫してくれています。血液内科に興味がある研修医の先生は、是非一度石山先生に相談してみてください。
私たちの病棟(東病棟6階)では呼吸器内科の研修も担当しています。
本年度は西辻先生が窓口です。
現在、消化器内科後期研修医の梶先生が西辻先生の熱い指導のもと、頑張っておられます。
梶先生は昨年度、血液内科でも2か月間研修されたので、他科の先生からみて血液・呼吸器内科はどう映るのか、是非一言うかがってみたいですね。
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金沢大学附属病院検査部 創立50周年記念式典
金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)といたしましては、当院検査部にはいつも大変お世話になっています。また、共同研究の重要なパートナーでもあります。その当院検査部の創立50周年記念式典が行われましたので、敬意と感謝の気持ちをこめて、ブログ記事にしておきたいと思います。
金沢大学附属病院検査部 創立50周年記念式典
日時:平成21年7月18日(土)午後3時
会場:金沢大学附属病院 宝ホール
記念式典:15:00〜15:30
式次第(敬称略)
1. 開会のことば
2. 金沢大学附属病院検査部長挨拶 和田隆志
3. 来賓ご祝辞
金沢大学附属病院長 富田勝郎
金沢大学医学系長 中沼安二
金沢大学保健学類長 天野良平(代理:大竹茂樹)
4. 祝電披露
5. 表彰式 永年勤続者表彰
副臨床検査技師長 堀田 宏
副臨床検査技師長 千田靖子
主任臨床検査技師 長原三輝雄
主任臨床検査技師 柴山正美
主任臨床検査技師 南部裕子
6. 閉会のことば
記念講演会:15:30〜17:00
司会 和田隆志
1)期待されるこれからの臨床検査
金沢医科大学先進医療研究部門 教授 友杉直久
2)免疫アレルギー病態検査学の新しい視点ー性差からみたアレルギー病態学ー
秋田大学大学院感染・アレルギー・病態検査学 教授 茆原順一
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 04:12
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北陸血栓研究会(教育講演:梅原久範先生)
第7回北陸血栓研究会開催並びに演題募集のお知らせ
謹啓 盛夏の候、先生方には益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。
さて、第7回北陸血栓研究会を下記要項にて開催致します。当日は、血栓症やDICに関する臨床検討や診断・治療に難渋した症例をご発表頂き、有意義な研究会にしたいと考えています。何卒、演題のご応募を宜しくお願い致します。ご多忙中誠に恐縮ではございますが、多くの先生方のご出席をお待ちしております。 敬白
代表世話人 金沢大学医薬保健研究域医学系 細胞移植学 中尾 眞二
当番世話人 金沢大学医薬保健研究域医学系 機能回復学 山本 健
記
日時: 平成21年10月17日(土)16:00〜18:00
場所: 宝ホール(金沢大学附属病院 新外来診療棟 4F)
金沢市宝町13-1 Tel.076-265-2000
教育講演
「関節リウマチの最新治療−生物学的製剤による免疫制御−」
金沢医科大学 血液免疫制御学
教授 梅原 久範 先生
<演題募集要項>
・診断・治療に困った症例や血栓症に関する臨床検討
・発表時間 10分、検討時間 5分 5〜6題募集
・申し込み内容:演題名、演者名、施設名
・締切り期日:平成21年8月21日(金)
・申し込み先:金沢大学医薬保健研究域医学系 機能回復学 山本 健
共催 北陸血栓研究会/CSLベーリング(株)
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:26
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DICに対するトランサミン投与と死亡率(図解50)
DICに対するトランサミン投与と肝腎障害(図解49)から続く。
ラットの
播種性血管内凝固症候群(disseminated
intravascular coagulation:DIC)モデルに対して、抗線溶療法治療薬である
トラネキサム酸(商品名トランサミン)(TA)を投与した場合の病態変化を記事にしてきました。
・血尿は軽減(
DICモデル血尿と抗線溶療法:トランサミン)
・血中
Dダイマーは低下(
DICモデル:Dダイマーとトランサミン)
・腎糸球体フィブリン沈着は高度に(
腎糸球体フィブリン沈着:DICモデルとトランサミン)。
・臓器障害(肝腎障害)(
DICに対するトランサミン投与と肝腎障害)
さて、最終的には死亡率がどうなったかが重要になってきます。臓器障害や死亡率の検討は、短時間の検討では真実が見えてきません。最低でも8時間、できれば半日程度の検討を行いませんと、差が見えてこないのです。
組織因子(tissue factor:TF)誘発DICモデルは死亡率の低いモデルです。しかし、
トランサミンを投与しますと、LPS誘発DICモデルに匹敵するくらいの死亡率になってしまいます(12時間後の観察で明瞭になります)。
一方、LPS誘発DICモデルは、元々死亡率の高いモデルです。このモデルに対して
トランサミンを投与しますと、死亡率は更に高度になります。
DICモデルに対しましてトランサミンを投与しますと、確かに血尿は減り、
Dダイマーの上昇も抑制されて、一見はDIC病態が軽快したかのごとくの錯覚に陥りますが、間違いであることがはっきりしました。
つまり、トランサミンによってDICモデルにおける臓器障害は悪化し、腎糸球体フィブリン沈着の程度は高度となり、そして最終的には死亡率も悪化してしまうことが判明しました。
DICにおける線溶活性化は形成された血栓を溶解しようとする生体防御的側面を有していますので、安易にこの線溶活性化を抑制してはいけないのです。
(備考)
線溶亢進型DIC(
DICの病型分類)に対しては、ヘパリン類&トラネキサム酸併用療法が、致命的な出血に対して著効することがあります。ただし、処方を間違えますと全身性の血栓症を誘発して大変なことになります。この点は極めて重要ですが、今回はまだ触れないでおきたいと思います。
(続く)DICモデルに対する線溶療法(ウロキナーゼ、t-PA)(図解51) へ
播種性血管内凝固症候群(DIC)【図説】へ(シリーズ進行中!!)
血液凝固検査入門(全40記事)
DIC(敗血症、リコモジュリン、フサン、急性器DIC診断基準など)へ
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 05:58
| 播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解)
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金沢大学 血液内科・呼吸器内科(クリクラ):一言お願いします(9)
金沢大学 血液内科・呼吸器内科(クリクラ):一言お願いします(8)より続く。
【病棟医長の新企画:一言お願いします(9)】
先日の七夕の日、病棟にも笹飾りがお目見えしました。それぞれの短冊には、患者さんやそのご家族の皆さんの闘病生活に対する様々な思いが綴られ、スタッフ一同、改めて身が引き締まる思いがしました。
私たちの病棟は血液・呼吸器内科の混合病棟のため、疾患の性格上、長期の入院患者さんがたくさんおられます。BSLやクリクラでの実習を終えた学生さんがその後も時々顔を出してくれるのですが、「今日はどうした?」との問いかけに、「担当していた患者さんのところにちょっと顔を出してきました」なんて答えてくれると、内心にんまりしています。
さて、そろそろ本年度のクリクラも終了間際です。今日は第2タームに配属されたメンバーのラストバッター松井君に感想を聞かせてもらいます。「松井君、一言お願いします!」
ーーーーーーーーーーーー
血液内科クリニカルクラークシップの感想
松井 崇生
この1ヶ月間、お忙しい中ご指導していただき、ありがとうございました。
クリクラ第2ターム初日、山崎宏人先生から「血液内科のクリクラは完全オーダーメイドだから」と言われ、骨髄移植を勉強することにしました。
半ば思いつきで選んだテーマではありましたが、取り組んでみると、移植には様々なレジメがあり、前処置、GVHD予防、感染予防など勉強することが山のようにありました。最初は面食らいましたが、山崎先生に移植の基本的な事柄から教えていただき、さらに担当した患者さんを通して勉強することで、骨髄移植について大まかな理解はできたのではないかと思います。
また、骨髄移植から最終的には、免疫学の領域まで勉強することが広がっていき、血液学の奥深さを実感することが出来ました。
血液内科のクリクラで最も印象的だったのは、月・水・金の朝に行われるクリクラミーティングでした。
ミーティングはクリクラの学生、山崎先生、初期研修の先生、後期研修の先生が集まり、学生が勉強してきたこと、疑問に思ったこと等をネタにディスカッションするというものでした。時に話が盛り上がり、話題が発展しすぎて、もともと何の話をしていたのか分からなくなることも度々ありました。時間にすると40分程度のミーティングでしたが、非常に濃い内容でとても勉強になる貴重な時間でした。
また、ミーティングはディスカッション以外に望月先生の形態観察のレクチャー、近藤先生のフローサイトメトリーのレクチャーの日もあり、バラエティーに富んでいました。
クリクラ最終日には、中尾先生までミーティングに参加して下さり、外来に行かれるまでの時間を割いてレクチャーして下さりました。
BSLでも血液内科で実習させて頂きましたが、今回のクリクラではBSLの時より高い意識を持って取り組むことができ、よい実習ができました。これも偏にクリクラを担当して下さった山崎宏人先生はじめ、熱心に指導して下さった先生方のお陰です。本当にありがとうございました。
ーーーーーーーーーーーー
松井君、ありがとうございました。
松井君と前回感想文を寄せてくれた大和君(金沢大学 血液内科・呼吸器内科(クリクラ):一言お願いします(8))は、移植を中心に勉強したいとの希望があったので、第2タームでは骨髄移植をメインテーマに選択しました。といっても、私からの質問攻撃はあちこち旅をするので、二人とも多岐にわたる課題をこなすのに大変だったと思います。
ただ、不思議なことにその忙しさを楽しんでくれているようで、やはり自分自身が勉強してみたいと思ったテーマには自ずと力が入るのだなと思いました。
この春に回ってきたBSLの感想文を読んでいると、初期研修医や6年生の先輩にいろいろと手助けしてもらってとてもよかったとの感想を披露してくれている5年生が何人かいました。
クリクラ学生のために組んだチーム実習のメリットが、BSLの学生さんたちにも波及していたとは嬉しい誤算です。
【関連記事】
金沢大学 血液内科・呼吸器内科(研修医):一言お願いします(1)
金沢大学 血液内科・呼吸器内科(クリクラ):一言お願いします(2)
金沢大学 血液内科・呼吸器内科(クリクラ):一言お願いします(3)
金沢大学 血液内科・呼吸器内科(クリクラ):一言お願いします(4)
金沢大学 血液内科・呼吸器内科(クリクラ):一言お願いします(5)
金沢大学 血液内科・呼吸器内科(研修医):一言お願いします(6)
金沢大学 血液内科・呼吸器内科(クリクラ):一言お願いします(7)
金沢大学 血液内科・呼吸器内科(クリクラ):一言お願いします(8)
金沢大学 血液内科・呼吸器内科(クリクラ):一言お願いします(9)
金沢大学病院での研修〜カンファレンス〜:後期研修医の独り言(1)
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輸血後鉄過剰症と鉄キレート療法:デフェロキサミン、予後など
最近になって、急激にアクセスが増加している記事があります。
今ご覧になっているこの記事は、金沢大学血液内科・呼吸器内科(第三内科)ブログ記事ですが、金沢大学第三内科HPの方のNETセミナー記事のうち「輸血後鉄過剰症と鉄キレート療法」です。
管理人は、輸血後鉄過剰症に関しては専門外でよく分からないのですが、この記事が急にアクセスを呼ぶようになった訳があるのではないかと思っています。最近学会で話題になっている、新たな治療法が行えるようになった、などなど。
以下は、NETセミナー記事「輸血後鉄過剰症と鉄キレート療法」へ、最近3ヶ月間にアクセスされた閲覧数です。最近のアクセスの伸びには目をみはるものがあります。なお、この記事へのアクセスは、GoogleやYahoo検索を経由したものが極めて多いことも別のアクセス解析から判明しています。
【関連記事】NETセミナー
輸血後鉄過剰症と鉄キレート療法
汎血球減少のマネジメント:特に骨髄不全について
急性骨髄性白血病の治療
悪性リンパ腫の診断
造血幹細胞移植
移植片対宿主病(GVHD)の分類と診断
ドナーリンパ球の威力 −ドナーリンパ球輸注(DLI)−
貧血患者へのアプローチ
血液内科に関する研修医からのQ&A
【シリーズ】溶血性貧血(PNH、AIHAほか) (8回シリーズ)
【シリーズ】造血幹細胞移植後の再発(4回シリーズ)
【シリーズ】造血幹細胞移植前処置としてのATG(6回シリーズ)
【リンク】金沢大学血液内科・呼吸器内科関連
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 04:47
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金沢大学血液内科過去問題:アスピリン、ワーファリン、ヘパリンなど
金沢大学血液内科過去問題の解説:TTP、HUS、HELLPなどから続く
ーーーーーーーーーーー
血栓止血の臨床に関する記載として正しいはどれか.1つ選べ.
a. 心房細動症例における脳塞栓予防を目的とした抗血栓療法としては,アスピリンが第一選択である.
b. 閉塞性動脈硬化症(ASO)に対する抗血栓療法としては,ワルファリンが第一選択である.
c. 冠動脈ステント留置後の抗血栓療法としては,ワルファリンが第一選択である.
d. 線溶療法を行うと血中トロンビン-アンチトロンビン複合体(TAT)が上昇する.
e. ヘパリンはアンチトロンビン非依存性に抗凝固活性を発揮する.
ーーーーーーーーーーー
抗血栓療法は、以下のように分類されます。
抗血栓療法の種類
1) 抗血小板療法:アスピリンなど
2) 抗凝固療法:ワルファリン(商品名:
ワーファリン)など。
3) 線溶療法:ウロキナーゼ、t-PAなど。
抗血小板療法(アスピリンなど)
・ 血流が速い場合(動脈血栓)には、血小板活性化(血小板血栓)がみられます。
・ 血小板の含有量が多く、生じた血栓は白色血栓とも言われます(血小板が病理学的に白く見えるのです)。
・ 抗血小板療法は、血小板活性化が主病態である脳梗塞(心原性脳塞栓を除く)、心筋梗塞、閉塞性動脈硬化症(→血栓症)に対して有効です。
抗凝固療法(ワルファリンなど)
・ 血流が遅い場合(静脈血栓)には、凝固活性化(凝固血栓)がみられます。
・ フィブリンの含有量が多く、また血流が遅いために赤血球も多くまきこんで、生じた血栓は赤色血栓とも言われます(赤血球が病理学的に赤く見えるのです)。
・ 抗凝固療法は、凝固活性化が主病態である、心原性脳塞栓、深部静脈血栓症、肺塞栓に対して有効です(
深部静脈血栓症/肺塞栓(インデックスページ))。心原性脳塞栓は、心房細動が原因となって脳動脈に塞栓をきたします。閉塞する場所は脳動脈ですが、血栓が形成される原因は心房細動が原因の心臓内血液滞留ですので、凝固血栓の性格を有します。ですからワーファリンが有効なのです。
PT-INRでコントロールします。
・なお、抗凝固療法薬のうち、ワルファリンは内服薬ですが、注射薬には
ヘパリン類があります。
ですから、以下が正しいです。
・ 心房細動症例における脳塞栓予防を目的とした抗血栓療法→ワルファリンが第一選択.
・ 閉塞性動脈硬化症(ASO)に対する抗血栓療法としては→アスピリンが第一選択.ワーファリンは出血の副作用を増加させるのみで、効果はアップしない。
・ 冠動脈ステント留置後の抗血栓療法→アスピリンが第一選択.
アスピリンとワーファリンの使い分けはとても重要です。
さて、線溶療法を行うと
血中トロンビン-アンチトロンビン複合体(TAT)が上昇することが知られています。つまり、線溶療法によってかえって凝固活性化をきたすことになります。線溶療法後の再閉塞の一因と考えられています。これはちょっと難しい選択肢ですが、次の選択肢が容易なので、当時ほとんどの人が正答していました。
ヘパリンは
アンチトロンビン依存性に抗凝固活性を発揮します。ですから、アンチトロンビンが存在しませんと、ヘパリンは効かなくなるのです。
DICの治療にヘパリンが使用されることがありますが、アンチトロンビン活性が低下していますとヘパリンはあまり効きません。そのような場合には、アンチトロンビン濃縮製剤をヘパリンに併用しています。
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金沢大学血液内科過去問題の解説:TTP、HUS、HELLPなど
金沢大学血液内科試験(血栓止血領域)過去問題の解説:DICから続く
ーーーーーーーーーーーーーーー
血小板数低下をきたす疾患に関する記載として正しいものはどれか.1つ選べ.
a. 溶血性尿毒症症候群(HUS)においては,ADAMTS 13に対する抗体が出現し,ADAMTS 13活性が低下する.
b. 血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)でピロリ菌感染が証明されれば,除菌療法が約5割の症例で血小板数を上昇させる.
c. HELLP症候群の3徴候は,溶血,腎不全,血小板数低下である.
d. 特発性血小板減少性紫斑病(ITP)においては,平均血小板容積(mean platelet volume: MPV)が上昇する.
e. 挙児を希望する抗リン脂質抗体症候群(APS)の女性患者に対しては,ワルファリンが有効である.
ーーーーーーーーーーーーーーー
溶血性尿毒症症候群(HUS)は、
1)血小板数減少
2)溶血性貧血
3)急性腎不全
を、3主徴としています。
腸管出血性大腸菌(enterohaemorrhagic E.coli:EHEC)から産生されるベロ毒素と、HUS発症との関連が指摘されています。腸管出血性大腸菌O-157によるものは頻度も高く有名です。問題文のADAMTS 13に対する抗体が出現し、ADAMTS 13活性が低下するのは、血栓性血小板減少性紫斑病(thrombotic thrombocytopenic purpura:TTP)でになります。
血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)は、
1) 血小板数減少
2) 溶血性貧血
3) 動揺する精神神経症状
4) 発熱
5) 腎機能障害
を、5主徴としています。
典型例では、
ADAMTS 13(別名:von Willebrand因子切断酵素、VWF-cleaving protease、
VWF-CP)に対する自己抗体が出現し,ADAMTS 13活性が低下します。
このADAMTS 13活性が低下しますと、von Willebrand因子(VWF)の切断が行われず、unusually- large VWF マルチマー(UL-VWFM)が出現し、血小板凝集、血小板血栓形成が進行することになります。
なお、
Upshaw-Schulman症候群は、先天性TTPとも言える疾患です。ADAMTS13遺伝子の異常のために先天性にADAMTS13が産生されず、先天性にTTP病態をきたします。
なお、問題文のピロリ菌感染が証明されれば,除菌療法が約5割の症例で血小板数を上昇させるというのは、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)です。
HELLP症候群 は,
1) 溶血(
Hemolysis)
2) 肝酵素上昇(
Elevated
Liver Enzyme)
3) 血小板数低下(
Low
Platelet)
を3徴候としています(医師国家試験既出)。
上記の3病態などを、
血栓性微小血管障害症 (thrombotic microangiopathy,
TMA)
と総称しています。
血管内皮障害や血小板活性化に伴う血栓形成、血小板数低下、臓器障害(疾患による特異性あり)は共通病態になります。
血栓性微小血管障害症 (TMA)
1) TTP:脳
2) HUS:腎
3) HELLP:肝
特発性血小板減少性紫斑病(ITP)においては,
平均血小板容積(mean platelet volume:
MPV)や、
血小板分布幅(platelet distribution width:
PDW)が上昇します。
血小板のマーカーと言えば、血小板数があまりにも有名ですが、MPV、PDWも血小板関連マーカーです。管理人は、MPVやPDWは、隠れた血小板の黄金のマーカーと思っています(関連記事:
MPV、PDW(血小板マーカー)←試験前に必ず確認しておきましょう)。
なお、
再生不良性貧血では、MPV、PDWともに低下します。この点もその理由とともに理解しておきましょう。
抗リン脂質抗体症候群(APS)は極めて頻度の高い後天性血栓性素因です。
関連記事(
抗リン脂質抗体症候群(インデックスページ))もご覧いただければと思います。
APSにおける血栓症の発症予防にはワーファリン(
ワーファリン:経口抗凝固薬、PT-INR)が有効であるというN Engl J Medの有名な報告が2報あります。
ただし、重要な注意点があります。
ワルファリンには、抗血栓薬の宿命である出血の副作用のほかに、
女性では催奇形性の副作用の問題があります。ですから、挙児を希望する女性患者に対しては、ワルファリンを使用してはいけません。
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金沢大学血液内科試験(血栓止血領域)過去問題の解説:DIC
金沢大学血液内科 病棟実習試験:血栓止血領域過去問解説から続く
ーーーーーーーーーーー
播種性血管内凝固症候群(DIC)に関する記載として誤りはどれか.1つ選べ.
a.急性前骨髄球性白血病に合併したDICにおいては, FDPが著増しやすい.
b. 転移性前立腺癌に合併したDICにおいては,血中プラスミン-α2プラスミンインヒビター複合体(PIC)が上昇しやすい.
c. 敗血症に合併したDICにおいては,血中フィブリノゲンが低下しにくい.
d. 腹部大動脈瘤に合併したDICにおいては,血中プラスミノゲンアクチベーターインヒビター(PAI)が上昇しにくい.
e. 線溶亢進型DIC(旧名称:線溶優位型DIC)においては,血中トロンビン-アンチトロンビン複合体(TAT)が上昇しにくい.
ーーーーーーーーーーー
急性前骨髄球性白血病(acute promyelocytic leukemia:APL)は、線溶亢進型DIC(旧名称:線溶優位型DIC)の、代表的基礎疾患です。
播種性血管内凝固症候群(DIC):DICの病型分類
線溶亢進型DICの代表的基礎疾患としては、以下が挙げられます。
1) 急性前骨髄球性白血病(APL)
2) 腹部大動脈瘤
3) 転移性前立腺癌
などが知られています。
APLに合併したDICにおいては線溶活性化が高度であるために、形成された血栓が溶解(分解)されやすく、
FDP(血栓分解産物を反映)が著増します。
転移性前立腺癌は、上述のように線溶亢進型DICをきたすことが知られています。線溶活性化マーカーである血中プラスミン-α2プラスミンインヒビター複合体(
PIC)は、しばしば著増します。
敗血症は、線溶抑制型DIC(旧名称:凝固優位型DIC)の代表的基礎疾患です。線溶が抑制されていますので、
FDPや
PICの上昇は軽度にとどまることが多いです。一方、敗血症に伴う強い炎症反応のためacute phase reactant(急性期反応物質)であるフィブリノゲンは本来上昇しますので、DICを合併してもあまりフィブリノゲンは低下しません。
プラスミノゲンアクチベーターインヒビター(
PAI)は、線溶阻止因子です。PAIは、線溶因子である組織プラスミノゲンアクチベーター(t-PA)と、1:1結合することで、t-PAの活性を抑制します。敗血症に合併したDICのような線溶抑制型DICでは
PAIは著増します(PAIが著増するために線溶抑制型DICになるとも言えます)。
一方、腹部大動脈瘤に合併したDICにおいては、PAIの上昇はなく、線溶亢進型DICとなります。
播種性血管内凝固症候群(DIC):DICの病型分類
DICの本態は、全身性持続性の著明な凝固活性化状態です。ですから、トロンビンが次々と産生されています。どのようなタイプのDICであったとしても、トロンビン産生量を反映する
TATは著増しています。
換言しますと、
TATがもし正常であればトロンビン産生はないことになりますから、この1点のみでDICを否定できることになります。
今回の問題では、eの選択肢が間違っていることになります。
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金沢大学血液内科 病棟実習試験:血栓止血領域過去問解説
金沢大学医学部では、医学部6年生の内科学卒業試験(病棟実習<BSL>試験)が平成21年9月7日から9月18日に予定されています。
少し気が早いですが、過去問(平成20年9月5日施行の試験問題)解説をアップしたいと思います。
血液内科の血栓止血領域です。
医師国家試験・専門医試験対策のカテゴリーへ。
血栓止血関連マーカーの変動を示した下記の記載のうち正しいものはどれか.1つ選べ.
疾患・病態 |
出血時間 |
PT |
APTT |
HPT |
血友病A |
延長 |
正常 |
延長 |
正常 |
ビタミンK欠乏症 |
正常 |
延長 |
延長 |
正常 |
アスピリン投与 |
延長 |
正常 |
正常 |
正常 |
von Willebrand病 |
延長 |
延長 |
正常 |
正常 |
血小板無力症 |
延長 |
正常 |
延長 |
正常 |
PT:プロトロンビン時間
APTT:活性化部分トロンボプラスチン時間
HPT:ヘパプラスチンテスト
この問題は、金沢大学血液内科の血栓止血領域では、ほとんど全ての試験で必ずのように出題される試験問題パターンです。またこの問題かと言われそうですが、血栓止血領域では、凝血学的検査(凝固検査)の評価ができることが極めて重要です。今後とも、ほとんど全ての試験で毎回出題されるでしょう。
血友病A:
血友病Aは、第VIII因子の先天性欠損症です。APTTが延長しますが、PTや出血時間は正常です。ヘパプラスチンテスト(HPT)は、ビタミンK依存性凝固因子(VII、IX、X、II)のうち、VII、X、II因子を反映します。
血友病Aでは、HPTは正常です。
ビタミンK欠乏症:
ビタミンK依存性凝固因子である、VII、IX、X、II(この順番は半減期の順番です。VIIが最も半減期が短いです)の活性が低下して出血傾向をきたします。
典型例では、
PT、
APTTともに延長します。もちろん、ビタミンK依存性凝固因子を総合的に評価するマーカーであるHPTも低下します。
ビタミンK欠乏症では、
出血時間は正常です。
アスピリン投与:
アスピリンは血小板機能を低下させます。出血傾向をきたすことがありますが、上手に使いますと血栓症(特に動脈血栓症)の治療薬になります。
出血時間は延長しますが、
PT、
APTT、HPTは正常です。
この問題の正解選択肢になります。
von Willebrand病:
von Willebrand因子(vWF)が先天性に低下している出血性素因です。vWFには、2つの大きな役割があります。
vWFの役割
1) 血小板粘着に必要
2) 第VIII因子のキャリアー蛋白
von Willebrand病では、血小板粘着の機能が発揮されませんので、出血時間は延長します。
また、von Willebrand病では、第VIII因子活性も低下しますので
APTTが延長します。
少なくとも国試、卒試レベルで、
出血時間(血小板関連検査)もAPTT(凝固検査)も延長するのは、von Willebrand病くらいでしょう。
PT、HPTは正常です。
血小板無力症:
血小板機能が低下した先天性出血性素因です。出血時間は延長します。しかし、血液凝固には問題ありませんので、PT、APTT、HPTは正常です。
出血時間はどのような病態で延長するかに関しては、100%理解している必要があります。
必ず確認しておきましょう。
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金沢大学 血液内科・呼吸器内科(クリクラ):一言お願いします(8)
金沢大学 血液内科・呼吸器内科(クリクラ):一言お願いします(7)より続く。
【病棟医長の新企画:一言お願いします(8)】
このブログにも紹介されていますが、先日、新外来棟1階ホールでテノール歌手「新垣勉さん」のコンサートが開かれました(新垣勉さん:金沢大学附属病院 新外来棟で)。病棟へ行くついでに1曲だけでもと思って立ち寄ったのですが、ちゃっかり堪能させていただきました。
「病棟医長は仕事もせずにずるい!」と言われそうですが、コンサートの間は珍しく一度も院内PHSが鳴らなかったので、もしかしたらスタッフのみんなもこっそり聞きにきていたのかもしれません。それにしても、素晴らしい歌声にはやっぱり心が和みますね。
実は、ちょうどその前日、久し振りにカラオケに繰り出しました。メンバーは、現在内科BSLに配属されている5年生4名と3名の先生方(西辻・前川・細川)です。おしゃれなファッションの学生さん達と一緒だったので、このメンバーで本当に大丈夫かなと不安でしたが、初めて耳にする最新のヒットソングから私たちでも何とかついていける懐かしい歌まで、たっぷり楽しませてもらいました。
それよりももっとうれしく感じたのは、その後、院内ですれちがってからもあいさつをかわしてくれることです。当科のBSLに配属された学生さんでも、実習期間が過ぎると「知らない関係」になる人が多い中で、とても好感を持てました。
さて、6年生も負けてはいません。クリクラ第2タームで血液内科を選択してくれた大和君に1ヶ月の体験談を聞かせてもらおうと思います。「大和君、一言お願いします!」
ーーーーーーーーーーーーー
金沢大学血液内科クリクラを終えて
金沢大学医学部6年 大和雅敏
本当に日々充実していて、多くの貴重な経験をさせて頂いた血液内科でのクリニカルクラークシップでした。
この充実した日々を、明快な文章で紹介できれば血液内科クリクラの魅力が十分に伝わるだろうと思うのですが…昔から作文の苦手だった自分の稚拙な文章では十分に表現できません。そのため私がこの一ヶ月で感じた、クリクラで血液内科を選択した場合のメリット・デメリットを箇条書きにしたいと思います。
メリット
1. 実習が完全にオーダーメイド
本当に自分が学びたいことをいくらでも詳しく学べます。血液・血液疾患に関することはもちろん、希望すれば免疫学や抗生剤などなんでも。
2. 質問しやすい環境
自分が担当させて頂いている患者さんの主治医が少なくとも一人は病棟にいるので、診察所見や検査データで疑問があればその都度すぐに解決する(本来は自分で納得行くまで調べてから質問すべきかもしれませんが…生じた疑問点を放置しないという点で○)。
3. 充実した朝のクリクラミーティング
自分が疑問に思ったことに対して、自分なりの答えを準備し臨みます。教えてもらうよりまず自分で勉強して間違いを指摘してもらうという形の勉強法なので、思考力も向上し知識として定着しやすい。30分の予定だが大抵50分以上かかり、半分ほどは予定外の質問に対してのディスカッションとなる。
4. 熱心な研修医の存在
大学に在籍する研修医の中でも、群を抜いてよく勉強し、よく指導してくださる研修医の方々と共に勉強させて頂けます。とるに足らないと思うような基礎的な質問に対してでも納得のいくまで熱心に回答して頂け、さらに、新しい課題を与えて頂けます。
5. 勉強したくなる(せざるをえない!?)環境
クリクラは基本的に時間的拘束が少なく、さぼってしまいがちです。血液内科全体として学問に熱心な先生ばかりですし、上にも述べた通り研修医の方々も、ものすごく勉強していますので、勉強していないと申し訳ないぐらいの雰囲気があるので学ぶ場としては最適。
…中略…
100.教授からの熱心な指導
クリクラというとなかなか教授と接する機会が少ないのが普通だと思いますが、血液内科では、カンファレンス・回診・ポリクリなど様々な場面で指導して頂けます。冷や汗をかきながら教授の質問に答えるというのは何よりの勉強なのではないかと感じました。
さらに今回はご多忙の中、なんと私達の朝のクリクラミーティングでも貴重な講義をして頂けました。
NK細胞のGVL効果という私にはなじみの薄い内容でしたが、骨髄移植を中心に勉強したこともありますが、何より教授のお話が上手いので興味深く聞くことができました。
ざっと100くらいメリットはあるかと思いますので来年度クリクラで是非体験してください!
デメリット
・ 病棟が6階、階段で行くには少し大変
・ 朝のミーティングの部屋は第二タームだと暑い!(先生方の熱い指導も一因)
・ 百万石行列が見れない(その日は北陸血液内科医の勉強会がある、しかし楽しい!)
ここには書き表せなかった驚きや感動がたくさんつまった実習でした。一ヶ月ほんとうにお世話になりました、ありがとうございました。
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大和君、ありがとうございました。
大和君からは、「書きたいことが山ほどあり、まとめきれず少々長文となってしまいましたので、ブログに掲載の際は適宜割愛お願いいたします」と申し出がありましたが、クリクラメンバーから寄せていただいた感想文は全てそのまま掲載させてもらっています。
そうなんです。今回はなんと中尾教授自ら朝のクリクラミィーティングに顔を出され、当教室でもホットな話題の一つである、NK細胞によるGVL効果についてspecial lectureをして下さいました。
ただし、これはあくまでも学生さんの「聞きたい!」という希望があって初めて実現した企画なので、次回もあるかどうかはわかりませんよ。
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金沢大学病院での研修〜カンファレンス〜:後期研修医の独り言(1)
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日本検査血液学会の意義:ベルクラシック甲府での委員会
第10回日本検査血液学会学術集会(山梨大学):金沢大学から多数出席より
参考:血液凝固検査入門(図解):凝固検査を分かりやすくシリーズで記事にしています。
先日も紹介させていただいた日本検査血液学会について、もう少し記事にしておきたいと思います。
学会員数の伸びが著しく、今最も勢いのある学会の一つではないかと思います。
医師の会員ももちろん多数いますが、それ以上に検査技師の方や、企業の方が多数会員として所属しておられます。今回の学会の出席者数もとても多く、学会懇親会などは、人のヤマで身動きもとれないといった感じでした。
医師、検査技師、企業が入り交じっての交流、discussionはとても意義深いものがあるように感じています。
血液内科の先生方、研修医の先生方で、もしまだ未入会の方がおられましたら、是非とも早々に入会していただき、全国の検査血液に携わる医療スタッフとの交流を密にしていただければと思います。
なお、上図は、学会の各種委員会の行われた会場(ベルクラシック甲府)です。
本来は結婚式場ではないかと思いました。でもこのような会場での委員会ですと、やはりほのぼのとした感じになりますね。
第10回 日本検査血液学会 学術集会(会長:尾崎 由基男先生 山梨大学医学部臨床検査医学講座 教授)
日本検査血液学会HP
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金沢大学 血液内科・呼吸器内科(クリクラ):一言お願いします(7)
金沢大学 血液内科・呼吸器内科(研修医):一言お願いします(6)より続く。
【病棟医長の新企画:一言お願いします(7)】
本年度の第三内科(血液・呼吸器内科)クリニカルクラークシップ(クリクラ)には、総勢10名の6年生が配属されました。
こんなにたくさんの配属希望が あったのは初めてだったので、果たして指導が充分いきわたるかどうか、当初はとても心配していたのですが、三内スタッフや初期研修医の先生方が非常に熱心 にかかわってくれたおかげで、充実した臨床実習を経験してくれているようです。
今回からは第2タームに配属された3名の体験談を紹介します。
これまでは血液内科での体験談が続きましたが、今日は竹下君に呼吸器内科でのクリクラの様子を聞かせてもらおうと思います。「竹下健一君、一言お願いします!」
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金沢大学呼吸器内科でのクリニカルクラークシップ(第2ターム)を終えて
6年 竹下健一
私はBSLで呼吸器内科、外科とも選択しなかったため、クリクラで呼吸器内科を選択してみました。
実習内容に関しては学生の希望を聞いてくださるので、自分のペースで学びたい分野の実習を行うことができました。
私の場合、病棟で気管支喘息と肺癌の患者 さんの担当につかせて頂きました。BSLと違ってクリクラは4週間と期間が長いので、気管支喘息も発作直後から退院まで、wheezesの変化を日々聴診 しながら勉強することができました。
また、肺癌に関してはBSLでは担当にならないような難しい症例を勉強させて頂くことができました。
病棟以外では、毎 週気管支鏡検査を術者の隣で見学させて頂き、気管支の走行を立体的に理解することができました。
藤村先生をはじめ、先生方はとても熱心で、呼吸器カンファレンスでの1人の患者さんに対するディスカッションの濃さには驚きました。病棟や検査室でも分からなそうにしている僕に声をかけてくださり、色々教えてくださいました。どうもありがとうございました。
呼吸器の知識は将来どの科に進んだとしても必要になると思います。
私は実は小児科志望ですが、ここで学んだ気管支喘息の知識は将来きっと役に立つと思います。
そのような意味で呼吸器内科でのクリクラは志望科に関わらず、とても有意義な実習ができると思いました。
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竹下君、ありがとうございました。
呼吸器内科のクリクラは第三内科副病棟医長の西辻先生が全体のマネージメントをしてくれました。
今年は呼吸器内科への配属希望が竹下君のみだったことも あって、藤村先生をはじめスタッフ一同が彼の実習にいろいろと心配りをしてくれたようです。(実は、竹下君の評判が抜群によかったことも、大きな要因の一 つですが・・・。)竹下君にとっても、とてもお得な実習になったのではないでしょうか。
クリクラ配属希望にはどうも流行があるようですが、来年度はまた呼吸器内科の人気が復活してくれればと思います。もちろん、血液内科にもどしどし勉強しにきてください。
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金沢大学病院での研修〜カンファレンス〜:後期研修医の独り言(1)
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:04
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血友病とは
血友病(hemophilia)
【概念】
血友病は先天性出血性素因の一つで、伴性劣性遺伝(X連鎖劣性遺伝)します。この遺伝形式のため、血友病は母方から遺伝しますが、発症するのは男性のみの病気です。母親が血友病の遺伝子を有したキャリアーになりますが、女性は発病しません。
ただし、例外があります。母親が血友病のキャリアーで、父親が血友病を発症している場合には、その子に女性の血友病がありえます。実際、日本でもごくわずかではありますが、女性の血友病の方がおられます(1%未満です)。
血友病には、血友病A(凝固第VIII因子の先天性欠損症)と血友病B(凝固第IX因子の先天性欠損症)があります。両者は欠損している凝固因子は異なるのですがなぜか臨床症状は全く同じです。
なお、家系内に血友病のいない孤発例(突然変異)も、約20%存在します。
【疫学】
全血友病患者さんでの出生頻度は、男子出生1万人に1〜2人と言われています。血友病Aの方が、血友病Bよりも多く、血友病A:B=5:1です。
【重症度分類】
凝固因子活性のレベル(血友病Aでは第VIII因子活性、血友病Bでは第IX因子活性)によって重症度分類されます。
重症:凝固因子活性<1%
中等症:凝固因子活性 1〜5%
軽症:凝固因子活性>5%
おおよそ、凝固因子活性のレベル(血友病Aでは第VIII因子、血友病Bでは第IX因子)と臨床症状の重症度は相関して、凝固因子活性のレベルが低いほど出血症状(後述の関節内出血など)は高頻度にみられやすいですが、例外もあります。
【症状】
血友病の出血症状として最も特徴的なのは、関節内出血です。全ての関節での出血がありえますが、膝関節は最も出血の多い関節です。関節内出血をきたしますと、関節が腫れて痛みを伴います。
関節内出血を繰り返しますと、関節拘縮(関節がこわばって曲がりにくくなる)をきたして日常生活に制限をきたしてしまうことがあります。そうならないように治療すべきなのですが、重症の場合や、適切な治療がなされませんと、関節拘縮をきたしてしまいます。
関節内出血の次に有名な、血友病での出血部位は筋肉内出血です。
その他には、皮下出血、皮下血腫、外傷時出血、歯肉出血、鼻出血、血尿などもあります。まれではありますが、頭蓋内出血もありえます。
軽症例では、抜歯時の出血で初めて出血性素因に気がつかれて、血友病の診断がなされることもあります。あるいは、手術前の止血スクリーニング検査で偶然異常を指摘されて診断されることもあります。
【検査】
・ プロトロンビン時間(PT)、出血時間:正常
・ 活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT):延長
・ 凝固因子活性:血友病Aでは第VIII因子活性の低下、血友病Bでは第IX因子活性の低下。
(補足)
軽症の血友病では、APTTの延長がはっきりしないこともありますので、血友病を疑ったら、APTTが正常であっても第VIII&IX因子を測定した方が良い場合があります。
【治療】
この病気は先天性の疾患ですので、根治することはできません。ただし、コントロールすることはできます。
血友病A:第VIII因子製剤(クロスエイトM、コージネイト、アドベイドなど)
血友病B:第IX因子製剤(ノバクトM、クリスマシンMなど)
コンファクトFも第VIII因子製剤ですが(血友病Aにも有効ですが)、本剤は第VIII因子のみならずvon Willebrand因子も含まれているため、von Willebrand病の出血に対して用いられることが多いです。
軽症〜中等症例では、出血時(関節内出血など)に上記製剤を静注しますが、重症例では出血とは無関係に予防的に上記製剤を静注することがあります(2〜3回/週)。なお、出血してから注射する場合には、速やかに注射できることが重要ですので、現在自己注射が可能になっています。速やかに注射できませんと関節拘縮を進行させてしまいます。
糖尿病患者さんでのインスリン自己注射(皮下注射)という話は耳にすると思いますが、血友病患者さんでは凝固因子製剤を自己注射(静脈注射)されています。
詳細は血友病治療のガイドライン(日本血栓止血学会)があります。
【凝固因子製剤投与量の計算式】
<第VIII因子製剤(血友病A)の場合>
第VIII因子をどの程度上昇させるかは、出血の重症度、どのような規模の手術を予定しているかによって異なります。詳細は血友病治療のガイドライン(日本血栓止血学会)を参照いただければと思います。
第VIII因子製剤 1U/kgの静注によって、第VIII因子2%上昇が期待できます。
期待値(%)=[第VIII因子製剤投与量(U)/体重(kg)]×2
たとえば、50 U/kg(体重60kgの人では、3,000U)投与すると、30分後には第VIII因子活性は100%になります。
ただし、第VIII因子の半減期は半日程度(8〜12時間)のため、上記例の投与で100%に上昇した第VIII因子は、24時間後には20%程度にまで低下します。この血中濃度の変動を避けるために、手術などに伴う第VIII因子製剤補充では1回静注ではなく持続点滴を行うことが多くなっています。
<第IX因子製剤(血友病B)の場合>
第IX因子製剤 1U/kgの静注によって、第IX因子は約1(〜1.5)%上昇が期待できます。
第IX因子の半減期は1日程度(12〜24時間)です。
これらのことを考慮して、第VIII因子製剤の補充療法を改変した治療を行います。
第IX因子製剤では第VIII因子製剤と比較して、半分しか血中濃度は上昇しませんが、半減期は2倍ということになります。
【治療合併症とその対処】
第VIII(IX)因子インヒビター
血友病A(B)の患者さんにとっては、第VIII(IX)因子は自分の体内で産生していませんので、未知の蛋白と言うことになります。
大変皮肉なことですが、血友病A(B)の患者さんに治療目的に第VIII(IX)因子製剤を投与しますと、抗体(同種抗体)が形成されてしまうことがあります。そうしますと、第VIII(IX)因子製剤の効果は激減してしまします。
血友病の患者さんの5〜20%でインヒビターが発生すると言われています。
インヒビターを発生した場合の血友病止血治療は、バイパス製剤を用いることになります。
具体的には、遺伝子組換え活性型第VII因子製剤(商品名:ノボセブン)や、活性型プロトロンビン複合体製剤(商品名:ファイバ)が用いられます。
【(補足)第VIII因子インヒビター】
第VIII因子に対するインヒビターが出現する場合は、以下の場合があります。
1)血友病A:
血友病Aに対して治療目的で第VIII因子製剤を投与することで、血中にインヒビター(同種抗体)が出現する場合です(上述)。
2)後天性血友病:
自己免疫性疾患、悪性腫瘍、妊娠、高齢などを背景に(はっきりとした背景がないことも多々あります)、第VIII因子に対する抗体(自己抗体)が出現します。まれな疾患ですが、この病気を知っているかどうかで、患者さんを救命できたり不幸な転帰になったりすることがあると考えられます。先天性の血友病とは無関係ですので、男性にも女性にも発症します。
(参考)
・APTTの延長
・APTT延長の解釈
・クロスミキシングテスト(混合試験)
・出血時間、血小板凝集能
【関連記事】
全身性出血性素因の最初の検査
鼻出血(鼻血が止まらない):粘膜出血
止血剤の種類と疾患:ノボセブン、アドナ、トランサミンなど。
ノボセブン(遺伝子組換え活性型第VII因子製剤):究極の止血剤。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 19:39
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腎糸球体フィブリン沈着:DICモデルとトランサミン(図解48)
DICモデル:Dダイマーとトランサミン(図解47)から続く。
播種性血管内凝固症候群(DIC)の動物(ラット)モデルに対しまして、抗線溶薬であるトラネキサム酸(商品名トランサミン)を投与することで、DICにおける線溶活性化の意義を深く考察することができます。
前回までの記事で書かせていただいたように、LPS誘発DICモデル、組織因子(tissue factor:TF)誘発DICモデルのいずれであっても、トランサミンを投与いたしますと、血尿は出現しなくなり(DICモデル血尿と抗線溶療法:トランサミン(図解46))、またDIC診断上の最重要マーカーと言われているDダイマーは著明に抑制されます(DICモデル:Dダイマーとトランサミン(図解47))。
血尿とDダイマーだけの評価ですと、トランサミンによってDICの病態は改善しているように思ってしまいます。
しかし、腎糸球体フィブリン沈着(GFD)の程度を病理学的(PTAH染色)によって評価いたしますと違ったことが見えてきます。
DICモデルの比較
16. DICモデルへ
17. DICモデルの比較
18. LPS誘発DICモデル
19. 組織因子(TF)誘発DICモデル
20. 臓器障害の比較
21. 腎糸球体フィブリン沈着
22. 出血症状(血尿)
23. 病型分類(動物モデルとの対比)
24. 病態の共通点と相違点
TFモデルにおいては、元来腎糸球体フィブリン沈着はほとんどみられないのですが、トランサミンを投与いたしますと、最終的にはLPS誘発DICモデルに匹敵するようなフィブリン沈着が見られるようになってしまいます。
LPS誘発DICモデルにおいては、元来腎糸球体フィブリン沈着は高度ですが、トランサミンの投与によってさらに高度になります。
このように、DICモデルにおけるフィブリン沈着が高度になるということは、決してDICの病態は良くなっていることにはならないのです(悪くなっているのです)。
症状(血尿といった出血症状)やDダイマーのみを見ていたのでは、真実は見えてこないと言うことができます。
(続く)
DICに対するトランサミン投与と肝腎障害(図解49)
播種性血管内凝固症候群(DIC)【図説】へ(シリーズ進行中!!)
血液凝固検査入門(全40記事)
DIC(敗血症、リコモジュリン、フサン、急性器DIC診断基準など)へ
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 05:59
| 播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解)
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重篤副作用疾患別対応マニュアル:厚生労働省HPより
厚生労働省のホームページは、とっつきにくいという印象を持っておられる方はおられないでしょうか。しかし、私たち医療に携わる者にとっては、是非とも定期的に訪れるべきサイトではないかと思います。
さて、厚生労働省のホームページの中に重篤副作用疾患別対応マニュアルというのがあります。特筆すべき点は、「医療関係者の皆様へ」の記載のみならず、「患者の皆様へ」の記載もある点ではないかと思います。
「患者さんや患者の家族の方に知っておいて頂きたい副作用の概要、初期症状、早期発見・早期対応のポイントをできるだけわかりやすい言葉で記載しています」と書かれています。
また、医療関係者用にも、早期発見と早期対応のポイント、副作用の概要、副作用の判別基準(判別方法)、判別が必要な疾患と判別方法、治療法、典型的症例、引用文献・参考資料などが書かれていて、とても重宝です。
金沢大学第三内科(血液内科・呼吸器内科)としては、以下の領域が特に関連があると思います。
血液 再生不良性貧血(汎血球減少症)、薬剤性貧血、出血傾向、無顆粒球症(顆粒球減少症、好中球減少症)、血小板減少症、血栓症(血栓塞栓症、塞栓症、梗塞)、播種性血管内凝固に関する記載があります。
呼吸器 間質性肺炎、非ステロイド性抗炎症薬による喘息発作、急性肺損傷・急性呼吸窮迫症候群(急性呼吸促迫症候群)、肺水腫、胸膜炎・胸水貯留に関する記載があります。
【リンク】
金沢大学 血液内科・呼吸器内科HP
金沢大学 血液内科・呼吸器内科ブログ
研修医・入局者募集
研修医の広場(金沢大学第三内科) ← 当科での研修の様子をご覧いただけます。
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 05:00
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