金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)送別会:中尾教授ほか
金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)送別会(2015年3月19日)です。
いつも医局員のことをお気遣いいただいています。中尾教授、ありがとうございます。
近藤医局長です。いつも大変な激務お疲れさまです。医局のお世話をいただきありがとうございます。
木村病棟医長です。お休みいただく時間はありますでしょうか。いつもお疲れさまです。
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金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)送別会(2015年3月19日)です。
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いつもスマイリーな笠原呼吸器科長です。
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金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)の送別会(2015年3月19日)です。
花束とともに、送別者が紹介されていきます。
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金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)の送別会(2015年3月19日)です。
若手の女性医師も元気に頑張っています。
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金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)の送別会(2015年3月19日)です。
幹事の西川先生、丸山先生、ありがとうございました。
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論文紹介です。
「血友病Bに対する長時間作用の糖ペグ化遺伝子組換え第IX因子製剤」
著者名:Collins PW, et al.
雑誌名:Blood 124: 3880-3886, 2014.
<論文の要旨>
治療歴のある血友病B患者74症例(FIX活性≦2IU/dL)を対象に、糖ペグ化遺伝子組換え第IX因子製剤(半減期が長くなっている製剤)であるnonacog beta pegolの安全性および有効性に関する多国籍間無作為単盲見臨床試験が行われました。
52週間の予防投与が行われた症例群(10IU/kgあるいは40IU/kgを週に1回投与)あるいは28週間の出血時投与症例群にふり分けられました。
その結果、インヒビター発症者は一人もなく、安全性には問題ありませんでした。
出血エピソード345回に対する治療が行われ、成功率は92.2%でした。
年間出血率(ABRs)の中央値は、40IU/kg予防投与群では1.04、10 IU/kg予防投与群2.93、出血時間投与群では15.58でした。
40 IU/kg投与群のうち10/15例(66.7%)では出血のエピソードがなかったのに対し、10 IU/kg投与群では1/13例(7.7%)でした。
健康関連QOLは、EuroQoL-5 Dimentions visual analog scale scoreで評価され、40 IU/kg予防投与群では中央値75から90に上昇しました。
以上、本薬は認容性にすぐれ、出血エピソードに有効であり、予防投与ではABRsを低下させるものと考えられました。
40 IU/kgの週に1回の投与は、66.7%の症例で出血の問題を解決し、健康関連QOLを改善しました。
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論文紹介です。
「von Willebrand病(2型)の治療法」
著者名:Tosetto A, et al.
雑誌名:Blood 125: 907-914, 2015.
<論文の要旨>
2型von Willebrand病(VWD)は、von Willebrand因子(VWF)構造や機能の幅広い質的異常をきたしており、多様な出血傾向をきたします。
現在の分類法によりますと、2型VWDには4病型が知られており、それぞれに特有な表現型と治療法が知られています。
現在可能な臨床検査により、VWDの病型分類が可能です。
正確な分子学的特徴の解析は今もって複雑ですが、大多数の症例ではその解析がなくても適切な治療を行うことが可能です。
デスモプレシンは量的欠損症である1型VWDと比較して、2型VWDでの使用は限定的です。
デスモプレシンは、2型VWDのうちマルチマーパターンがほぼ正常である2M型に使用されることが最も多いです。
しかし、臨床検査によってデスモプレシンに対する反応を正確に予知することができないため、2型VWDの全患者でデスモプレシン投与試験を行うべきです(2B型を除きます)。
血漿由来VWF/FVIII濃縮製剤による補充療法は、全症例に対して安全な主たる治療法です。
とくに、デスモプレシン無効例や大手術や大出血のために持続した止血能の正常化が必要な場合に、中心的な治療法となります。
出血の既往歴は出血リスクと相関しているために、適切な止血予防治療を行う上で充分考慮すべきです。
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論文紹介です。
「後天性血友病(AHA)の寛解および生存に関する予後因子:GTH-AH 01/2010試験の結果より」
著者名:Tiede A, et al.
雑誌名:Blood 125: 1091-1097, 2015.
<論文の要旨>
後天性血友病(AHA)は、第VIII因子に対する自己抗体が形成される疾患です。
免疫抑制療法(IST)による寛解率は60〜80%です。
ISTでは、感染症(死亡の主因となる)などの副作用が高頻度にみられます。
寛解までの期間を予知することができればISTの強度を調節するのに役立ちますが、その方法は確立されていません。
著者らは統一されたISTプロトコールで治療されたAHA 102症例を対象に、予後因子の検討を行いました。
その結果、部分寛解(PR:活動性の出血がないこと、第VIII因子活性の50IU/dL超への回復、24時間超の止血治療の中止)は、83%で達成されました(中央値31日:7〜362日)。
第VIII因子の前値が1%未満の症例ではPR率が低くかつPRまでに期間を要した(77%、43日)のに対して、1%以上の症例では、89%、24日でした。
その他の背景因子を一致させたところ、第VIII因子活性の低値が持続することは、PRが低いことと関連していました。
一方、第VIII因子の前値が1%以上かつインヒビター力価が<20 BU/mLの症例では、ステロイド単独で21日以内にPRを達成できることが多かったです(オッズ比11.2、P<0.0001)。
第VIII因子の低値は、完全寛解率の低値と低い生存率とも関連していました。
以上、AHA症例におけるIST治療を計画する上で、第VIII因子活性とインヒビター力価の情報はきわめて重要と考えられました。
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論文紹介です。
「後天性出血に対するフィブリノゲン補充療法」
著者名:Levy JH, et al.
雑誌名:Blood 125: 1387-1303, 2015.
<論文の要旨>
フィブリノゲンは止血および凝血塊の形成に重要な蛋白です。
しかし、出血患者におけるフィブリノゲン値をどこに設定するのが良いのかについては、ガイドラインでの記載は種々です。
多くの臨床試験では、後天性凝固異常に対するフィブリノゲン補充療法の有効性を支持しており、現在もいくつかの臨床試験が進行中です。
フィブリノゲン補充療法は、クリオ製剤およびフィブリノゲン濃縮製剤によって行うことができますが、国の保険認可状況や供給状況によって実用の可否が決定されています。
フィブリノゲン濃縮製剤は動物モデルや臨床試験で検討されており、出血患者に対してフィブリノゲンを補充することが大変有用であることが示されています。
心血管手術、出産後出血、外傷のような状況下における止血目的としてフィブリノゲン補充療法を適切に行うためには、POCT検査は重要な意義をもつでしょう。
凝固異常を伴う出血に対する多様な治療戦略のなかでも、フィブリノゲン補充療法は重要な意義を有しています。
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論文紹介です。
「僧帽弁閉鎖不全におけるずり応力関連の後天性VWD」
著者名:Blackshear JL, et al.
雑誌名:J Thromb Haemost 12: 1966-1974, 2014.
<論文の要旨>
僧帽弁閉鎖不全症(MR)は、後天性に止血異常をきたすことが知られています。
著者らはMR症例における後天性von Willebrand症候群(VWS)の頻度と重症度を検討しました。
心エコー検査でMRの確認された53症例について、出血に関するアンケート調査、凝血学的検査を行いました。
僧帽弁手術の行われた症例では術後に検査がくり返されました。
心エコー検査の結果、軽症MR13例、中等症MR14例、重症MR26例でした。
最高分子量のvon Willebrand因子(VWF)マルチマー欠損は、軽症、中等症、重症でそれぞれ8%、64%、85%にみられ、platelet function analyzer collagen APD clousure time (PFA-CADPs)の中央値はそれぞれ84秒、156秒、190秒であり、VWFの活性/抗原比はそれぞれ0.92、0.85、0.79でした。
9例では臨床的に有意な出血がみられ、7例では小腸の血管異形成と輸血依存性の胃腸出血(Heyde症候群)がみられました。
僧帽弁の修復のされた13例または置換術の行われた7例では、術後に上記のVWF機能検査は全て正常化しました。
以上、中等症〜重症MRにおける高ずり応力の病態は、高頻度にVWFの活性を低下させると考えられました。
この病態では後天性VWSを発症しますが、僧帽弁手術によって回復すると考えられました。
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論文紹介です。
「閉塞性肥大型心筋症に起因する後天性VWDに対する心筋中隔切除術後に再発性胃腸出血が寛解した1例」
著者名:Blackshear JL, et al.
雑誌名:J Thromb Haemost 13: 191-196, 2015.
<論文の要旨>
胃腸出血はvon Willebrand病(VWD)の重大な合併症と考えられています。
肥大型心筋症(HCM)に高度な胃腸出血をきたした場合の後天性VWDの治療法は確立されていません。
HCM77症例(中央値67才、女性49%)において、VWFマルチマー構造解析が行われ、出血の既往につき聴取されました。
出血の既往は27症例(36%)(中央値74才、女性74%)でみられ、胃腸出血は20症例にみられました(輸血依存性の女性11例が含まれます)。
この女性11例における輸血依存性期間の中央値は36ヶ月であり、輸血回数の中央値は25回でした。
2症例では腸管切除術が行われ、そのうち1例では2回行われました。
7症例では血管異形成がみられましたが、他の症例では内視鏡上の所見はみられませんでした。
11症例中10例では、腸管手術、内視鏡治療、HCMに対する薬物療法後も出血が再燃しました。
2症例では中隔心筋切開切除術が行われ、6症例ではアルコール中隔焼灼術が行われました。
中隔心筋切開切除術が行ったあとも圧較差が残存した1例を除いて、手術治療後に出血は再燃しなくなり輸血も不要になりました。
以上、HCMでは後天性VWDは高頻度にみられるものと考えられました。
内視鏡的治療を行っても胃腸出血をくり返すことが多いですが、心臓の構造を修復することで出血はみられなくなるものと考えられました。
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「VWF値が境界レベルにある場合のVWD診断の予測因子」
著者名:Bucciarelli P, et al.
雑誌名:J Thromb Haemost 13: 228-236, 2015.
<論文の要旨>
von Willebrand因子(VWF)値が境界レベルにある場合には、von Willebrand病(VWD)の確認または除外のための次の検査が必要となりますが、この目的のための検査は時間と費用を要します。
著者らは、VWF値が境界レベル(30〜60 IU/dL)にある場合に、VWD診断目的にどのパラメーターを用いるのがよいか検討しました。
出血エピソードあるいは凝固検査異常を有する950症例が第1段階の検査(血算、PT、APTT、第VIII因子、VWFリストセチンコファクター活性<VWF:RCo>、VWF抗原量)が行われ、93症例(女性62例、男性31例;中央値28歳)においてVWF:RCo値が境界レベルでした。
全例で、VWDを確認または除外するための第2段階の検査が行われました。
性別、年齢、出血スコア、家族歴、VWF:RCo、ABO血液型を用いて、VWD診断を予測するための多変量ロジステック回帰分析が行われました。
その結果、45/93症例(48%)はVWDでした(type 1が84%)。
VWF:RCo値とVWD診断率との間には直線的な負の相関がみられました。
とくに血液型が非O型の症例で明らかでした。
VWD診断との関連が強いその他の因子としては、女性であることが挙げられました。
以上、VWF値が境界レベルにある場合には、VWD診断の最も強い予測因子は、:が低値であることと、女性であることでした。
この2因子はVWDが疑われた患者の診断を行う上で有用と考えられました。
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論文紹介です。
「免疫性血小板減少症(ITP)の成人および子供における重症出血」
著者名:Neunert C, et al.
雑誌名:J Thromb Haemost 13: 457-464, 2015.
<論文の要旨>
免疫性血小板減少症(ITP)の成人および子供における重症出血に伴う患者負担については明らかになっていません。
著者らは、ITP患者における出血イベントの頻度と重症度を検討しました。
20症例以上が登録されたITPに関する全ての前方視的臨床試験について、システマティック・レビューを行いました。
その結果、出血についての報告がされている118臨床試験(n=10,908)が発見されました。
頭蓋内出血(ICH)は成人では1.4%にみられ、小児では0.4%にみられ、ほとんどの症例は慢性ITPでした。
重症出血(ICHを除く)は成人では9.6%にみられ、小児では20.2%にみられ、新規に診断されたITPまたは慢性ITPでした。
以上、ITP患者におけるICHは成人でよりみられやすく、慢性ITPの経過中に発症する傾向にありました。
ICH以外の重症出血は小児で多く、すべての病期でみられました。
ICH以外の出血の報告は臨床試験間で多様性がみられました。
ITPに特徴的な出血の評価法に注意を払うことは、ITP患者の転帰の標準化を改善する上で重要です。
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論文紹介です。
「関節置換術を行った血友病患者の症候性静脈血栓塞栓症の発症頻度」
著者名:Perez Botero J, et al.
雑誌名:Thromb Res 135: 109-113, 2015.
<論文の要旨>
静脈血栓塞栓症(VTE)は関節置換術の合併症として知られており、出血性素因のない患者では通常は予防治療が行われます。
しかし、血友病患者では出血リスクの問題があり薬物による予防治療をどうするか一定の見解はありません。
著者らは、インヒビターを保有していない血友病患者における膝関節または股間節置換術後の症例性VTE発症、VTE予防治療の有無との関連について検討しました。
対象は、71回の股関節または膝関節置換術後が行われた血友病AまたBの42症例(39年間)です。
全症例で術後6週間まで弾性ストッキングが装着されていました。
また、評価可能な57症例中6例(10.5%)では、間欠的空気圧迫装置が使用され、2例(2.8%)では術後に低分子ヘパリンの投与が行われました。
低分ヘパリンの投与を受けた1例(1.4%)では、外傷性骨折に対して股関節置換術が行われた10日後に、症候性の下肢深部静脈血栓症を発症しました。
他の70回の手術では術後3ヶ月にわたって症候性VTEはみられませんでした。
文献的な検討では、関節置換術を行った血友病患者における症候性VTEの発症率は、0.5%でした。
以上、血友病患者では、薬物的VTE予防を行わなくても血栓塞栓症を増加させることなく、関節置換術を行えると考えられました。
薬物的VTE予防は、その他のVTEリスクがある場合に限って考慮されるべきでしょう。
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論文紹介です。
「血友病1054症例におけるアテローム血栓性イベントの頻度と危険因子」
著者名:Wang JD, et al.
雑誌名:Thromb Res 135: 502-507, 2015.
<論文の要旨>
血友病患者(persons with hemophilia : PWH)におけるアレローム血栓性イベント(AEs)の頻度と危険因子に関する報告は種々です。
著者らは、台湾National Health Insurance Researchデータベース(1997〜2010)の情報を用いて、男性血友病1,054例におけるAEsの頻度と危険因子を、疾患の無い年齢と性別を一致させた一般人10,540人と比較検討しました。
PWHのAEsは、虚血性脳卒中26例、冠動脈疾患29例、末梢動脈疾患5例であり、一般人における頻度と同等でした。
PWHのAE診断年齢は平均49歳であり、一般人の55.8歳よりも若年でした。
PWHのうちCOPD、高血圧症、高脂血症を有している場合はAEsの発症率は高くなり、ハザート比はそれぞれ3.42、4.15、2.84でした。
PWHのなかで補充療法を必要とした症例では、必要としなかった症例と比較してAEsは低頻度でした(ハザート比:0.41)。
以上、PWHでのAEs発症率は一般人と同等であり、AEsはより若年でみられました。
COPD、高血圧症、高脂血症はAEsの危険因子でした。
補充療法を必要とするPWHではAEsのリスクは低いと考えられました。
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論文紹介です。
「先天性血栓性素因の診断」
著者名:森下英理子
雑誌名:日本検査血液学会雑誌 16: 1-10, 2015.
<論文の要旨>
血栓性素因のスクリーニング検査として、アンチトロンビン(AT)、プロテイン(PC)、プロテイン(PS)活性の測定は重要だが、その測定に関してはいくつかの問題点がある。
II型PC欠損症PC Lys193欠失は日本人に高頻度に認められる可能性が指摘されているが、合成基質法によるアミド活性の低下を示さないため、スクリーニングの際に見落とす可能性がある。
日本人特有の遺伝子多型PS K196E変異のヘテロ接合体症例のPS活性は幅広く分布しており、活性値だけでは正常者と鑑別するこができないが、最近血漿検体を用いてPS K196E変異を簡便に検出できるELISA法が開発され、ワルファリン内服中でも診断可能である。
また、AT抵抗性を血漿検体で検出するスクリーニング法も開発され、原因不明の先天性血栓性素因の診断に用いられている。
このように、血栓性素因のスクリーニングに際しては、新しい診断法がいくつか開発されており、今後先天性血栓性素因の病態解明が進むことが期待される。
血中PSの約60%は補体制御蛋白の一種であるC4b結合蛋白(C4BP)と結合しており、約40%が遊離型として存在する。
活性化PCに対する補酵素活性を有するのは遊離型のみで、この遊離型の低下が血中PS活性の低下につながる。
C4BPとの複合型PSは、遊離型PSの補酵素活性を阻害する。
したがってC4BP値の増減が、血中PS活性に影響する。
たとえば新生児では血中C4BP値が低値であるため相対的に遊離型PSが増加し、PS活性が高値を示す。
日本人の血栓症の遺伝子多型であるPS K196Eヘテロ接合体症例のPS活性は40〜110%と幅広く分布しており、PS活性測定だけでは正常者と識別できない。最近、血漿を用いてPS K196E変異を検出するELISAが開発され、ワルファリンな内服中でも診断可能であり、今後の臨床応用が期待される。
後天性にPS活性低値を示す場合としては、PCと同様に、肝機能障害、VK欠乏やワルファリン内服時、妊娠・経口避妊薬使用時、凝固活性化による消費(DIC、血栓症急性期、炎症)などがあげられる。
全身性エリテマトーデス、ステロイド内服、ネフローゼ症候群でもPS活性が低下する。
また、PS活性は性差や加齢による変化を強く受け、男性は加齢により活性が20%程度低下し、30〜40歳代の女性は男性に比べて活性が20%程度低いことも知っておく必要がある。
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「血友病患者の外来診療におけるクリニカルパスの検討」
著者名:長尾梓、他。
雑誌名:日本血栓止血学会誌 25: 738-741, 2014.
<論文の要旨>
血友病医療は凝固因子製剤の進歩と定期補充療法の普及により、出血が予防されて関節障害が少なくなり、QOLが著しく改善している。
わが国では血友病専門施設が少なく、施設間格差、地域格差が問題になている。
標準治療を構築するツールとしてクリニカルパスが様々な分野で開発されており、血友病の分野でも必要である。
血友病医療においては止血管理のみならず、整形外科やリハビリ、感染症の管理など包括的な管理が必要とされる。
それらを多職種間で円滑に管理するため当院で治療経過クリニカルパスを考案した。
いずれの施設においても個々の患者を漏れなく経過観察できるよう構成されており、製剤の投与管理、関節評価や治療、今後血友病高齢者の管理まで可能なクリニカルパスを基本として地域携帯クリニカルパスへの応用などを検討していきたい。
血友病患者において関節評価は非常に重要なポイントである。
レントゲン、関節可動域測定、必要に応じてMRIなどで関節評価を定期的に行う。
若年者であれば入学、就職などの節目でチェックすると決めておくと漏れがない。
成人においては輸注記録票のチェックで関節出血を繰り返している場合など適宜検査を行い所見の悪化などがあれば適宜整形外科へコンサルトする。
小児科・内科的にはで出血時補充療法を行っている患者であれば定期補充療法導入を検討し、定期補充療法をしていて出血を繰り返すならば投与間隔・投与量を見直す必要がある。
とくに今後は複数の製薬会社から長期作用型凝固因子製剤の発売が予定されており、血友病Aでは最長週に1回、血友病Bにおいては最長2週に1回の定期補充療法の有効性が報告されていることから積極的な定期補充療法の導入を考慮すべきであろう。
今後、血友病患者の高齢化の進行に伴い高血圧、糖尿病、慢性腎臓病、C型肝炎、肝硬変の管理、頭蓋内出血の増加等の問題が生じ、血友病診療医は「かかりつけ医」としての役割を担う場面が増えてくると予想される。
つまり患者の包括的な診療が必要となってくる。
よって、生活習慣病のチェックは必須である。
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論文紹介です。
「FVIIIの生合成およびフォン・ヴィレブランド因子との相互作用に関する最新の知見」
著者名:志田泰明、他
雑誌名:日本血栓止血学会誌 26: 49-56, 2015.
<論文の要旨>
第VIII因子(FVIII)の主要産生部位は、血管内皮細胞です。
血管内皮細胞の中でもとくに肝類洞内皮細胞(liver sinusoidal endolthelial cells: LSECs)が重要です。
FVIIIのフォン・ヴィレブランド因子(VWF)との主要な結合部位はVWFD′ドメインに存在します。
FVIIIの安定化のためにはVWFD′D3ドメイン全体が必要です。
VWFのD′ドメインに存在するtrypsin-inhibitor-like(TIL′)領域の構造が特にFVIIIとの結合に重要です。
FVIIIの産生部位の特定が進められ、LSECsを中心とした血管内皮細胞が主要な部位であることが明らかになりました。
他の凝固因子が肝細胞で産生されるなか、重要なFVIIIという凝固因子だけが別の細胞で産生されるのは非常に興味深いです。
FVIIIの重要なパートナーであるVWFも全身の血管内皮細胞で産生されることは無関係ではないでしょう。
このシステムは肝細胞内での不必要な凝固促進を防止するためのものであるかもしれないし、あるいは局所でFVIIIとVWFを共に速やかに動員することで止血を有効に行うためのものであるのかもしれません。
最近明らかになった柔軟なVWFD′ドメインの立体構造は、VWFにおけるFVIII結合という重要な機能を理解する上で重要な一歩であると考えられ注目したいです。
D′D3フラグメントによる血中FVIIIレベルの最適化はVWF-/-マウスにおいては魅力的な結果であり、VWFの担体機能を調整することでFVIIIを安定化できる可能性が示唆されました。
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「ITPに対するTPO受容体作動薬治療中に発症した慢性骨髄性白血病」
著者名:服部英喜、他。
雑誌名:臨床血液 55: 2429-2432, 2014.
<論文の要旨>
近年、難治性特発性血小板減少性紫斑病(ITP)に対してトロンボポエチン(TPO)受容体作動薬が新たな治療薬として注目をあびています。
しかしその一方で長期使用による骨髄線維症、造血器腫瘍等の発症も懸念されています。
今回著者らは難治性ITP患者にエルトロンボパグを導入し、約19か月後に慢性骨髄性白血病(CML)が出現した症例を報告しています。
ITPに対するエルトロンボパグの安全性に関して、半年から3年の使用においては線維化、造血器腫瘍発症のリスクは低いという報告があります。
しかしその一方で、TPO受容体は多能性幹細胞やすべての血球の前駆細胞に発現しているため、従来よりTPO受容体作動薬投与については、造血器腫瘍や骨髄線維症の発症などが懸念されています。
低リスクMDSに対するロミプロスチム使用例における急性骨髄性白血病(AML)の発症が報告され、さらに最近、OshimaらはITPに対するロミプロスチム、エルトロンボパグ使用に際してのAML発症率およびそのオッズ比は、それぞれ1.74%、1.52%、および10.5倍、5.9倍であることを報告しています。
また重症再生不良性貧血に対するエルトロンボパグ使用に対して染色体異常を認めたとの報告もあり、TPO受容体作動薬がclonal evolutionを引き起こす可能性が問題となりつつあります。
本症例はPSLおよびエルトロンボパグ開始時の骨髄像はITPのそれと矛盾せず、染色体検査では正常核型を示していたため、CMLの発症はエルトロンボパグ開始時以降と考えられました。
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論文紹介です。
「後天性凝固因子インヒビター」
著者名:野上恵嗣
雑誌名:臨床血液 56: 160-168, 2015.
<論文の要旨>
後天性凝固因子インヒビターは、凝固因子に対する自己抗体(インヒビター)の出現により当該因子が低下〜消失するため出血症状を呈する後天性自己免疫疾患です。
遺伝子異常に基づく先天性凝固因子欠乏症と異なる疾患です。
近年、報告例は増加しており、大部分は抗第VIII因子自己抗体です。
高齢者に多いことから免疫制御機序の破綻が原因と推測されますが、発症機序や病態は未だ不明な点が多いです。
本論文では、第VIII因子インヒビターと第V因子インヒビターの発症機序と病態について解説されています。
インヒビターの特性解析は、凝固因子の活性化機序や凝固反応過程のさらなる解析につながります。
今後、新たな凝血学的検査法の開発に伴い、インヒビター解析を通して、本領域でのさらに多くの新知見が得られるでしょう。
さらに凝固抑制機序の詳細な解明が、後天性凝固因子障害症での止血治療戦略に結びつくことが多いに期待されます。
後天性凝固第V因子インヒビターの発症は極めて稀であり、1955年に初めて報告されて以来、文献的報告例は約100例程度に散見されます。
しかし、本邦調査でも後天性第VIII因子インヒビターの1/50の発生率であることから、最近は少しずつ増加しているとされます。
悪性腫瘍等の基礎疾患を伴うこともありますが、多くは基礎疾患のない高齢者でも手術後のインヒビターが検出されています。
これは、手術時に使用されたフィブリン糊(ウシトロンビン由来)に極少量混入している第V因子が、ヒト第V因子との共通抗原に対し抗体産生していると推測されます。
臨床症状として多くは出血症状を呈しますが、比較的軽度とも言われています。
時に無症状や血栓症状を認めることがあり、後天性第VIII因子インヒビターと比べて症状多様性を示すのが特徴です。
本インヒビターは2〜3ヶ月で消失することが多いですが、時に長期にわたり持続することもあります。
第V因子の活性低下と臨床症状との差異を認めるため、一般に第V因子活性値と症状とも相関しないことも留意すべきです。
多様な症状を示す機序として、第VIII因子と異なり、血小板には第V因子が多量に存在しており、血小板由来第V因子とインヒビターとの反応性の差によるとの報告があります。
<リンク>推薦書籍「臨床に直結する血栓止血学」
論文紹介です。
「補体関連因子の異常によるaHUS」
著者名:吉田瑶子、他。
雑誌名:臨床血液 56: 185-193, 2015.
<論文の要旨>
非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)は、微小血管症性溶血性貧血、血小板減少、急性腎障害の3徴候で知られている希少疾患です。
aHUSという病名は、志賀毒素産生大腸菌(STEC)感染HUSと区別するために使用されてきました。
aHUSの多くの症例(約70%)で、補体活性化第二経路に属する因子の遺伝子異常が報告されています。
また。最近では凝固関連因子異常が、aHUSの病因であることも示されましたが、本論文では補体関連aHUSを中心に概説されています。
aHUSは上記の3徴候の他に、ADAMTS13活性が10%以上で、STEC感染が陰性の場合に疑われ、補体因子の遺伝子解析により診断されますが、未だに診断が困難である場合も多いです。
aHUSの初期治療は血漿療法とされてきましたが、最近では補体C5に対するモノクローナル抗体eculizumabが有効であることが示され、病態解析が治療にも重要となりました。
早期診断による早期治療が、aHUSの予後改善に必要です。
<リンク>推薦書籍「臨床に直結する血栓止血学」
金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会報の原稿からです。
今回は研究室紹介です。
「血液・移植グループ」
1)スタッフ
2)病棟と研究
4) iPS cells
5)腫瘍抑制遺伝子Retinoblastoma1 (RB1)
6)6pLOH
7)hematopoietic stem cells (HSCs)
金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会報の原稿からです。
今回は研究室紹介です。
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「血液・移植グループ」(8)
<丸山佳奈>
免疫抑制療法が奏功する再生不良性貧血でしばしばGPIアンカー膜蛋白を欠失したPNH型血球が検出されますが、正常造血幹細胞による造血が抑制されている中で何故PIGA遺伝子変異造血幹細胞が造血を支持できるのかということを調べています。
CD109はGPI膜蛋白で、抑制性シグナルを持つTGF-βのco-receptorとして知られています。
PIGA遺伝子変異幹細胞がCD109を欠失していることによって抑制性シグナルから逃れ、造血方向に優位に働くのでは無いかと考えています。
現在、cell line(Wild type, PNH type, CD109ノックダウンtype)、CD109ノックアウトマウスを用いて検証中です。
最後になりますが、来年度は中尾教授が会長として第77回日本血液学会学術集会 ’ Learning human biology from patients.’ が金沢で開催されます(10月16〜18日、石川県立音楽堂)。
次号では学術集会の様子をお伝え出来ると思いますが、今後とも尚一層のご支援のほどよろしくお願いいたします。
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金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会報の原稿からです。
今回は研究室紹介です。
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「血液・移植グループ」(7)
<Nguyen Hoang Viet>
Acquired aplastic anemia (AA), a bone marrow failure characterized by pancytopenia and bone marrow hypoplasia, is an autoimmune disease caused by cytotoxic T cell (CTL) attack against autologous hematopoietic stem cells (HSCs).
Autoantigens capable of eliciting the CTL against HSCs in AA have been extensively studied by many researchers over the years, but none of the studies have been successful so far.
The failure in identifying autoantigens of AA is mainly due to a lack of HSCs that are necessary to establish CTLs from patients’ T cells specific to autoantigens presented by HSCs in vitro.
I plan to produce HSCs from induced-pluripotent stem (iPS) cells that are induced from AA patients’ B lymphocytes.
The sufficient number of HSCs from iPS cells should allow us to establish CTL clones specific to autologous HSCs and also to identify target autoantigens of the CTL clones using the expression cloning method.
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