血小板輸注・血液凝固因子製剤輸注:CBT
CBT再現問題と解説です。
出血症状がないときに、予防的な血小板輸注または血液凝固因子製剤輸注の適応となるのはどれか。
A 血友病
B アミロイドーシス
C プロテインS欠乏症
D 血栓性血小板減少性紫斑病
E von Willebrand(フォン・ヴィレブランド)病
(解説)
A 血友病のなかでも重症例では、週に2〜3回の予防的な凝固因子製剤の輸注を行います(定期補充療法)。この予防的な輸注は、関節内出血の頻度を低下させて、血友病性関節症の進行を抑制するのに有効です。
B アミロイドーシスでは、アミロイド繊維に血液凝固第X因子が結合することで第X因子活性が低下することや、過度の線溶活性化が原因となって、出血症状を来すことがありますが、予防的な凝固因子製剤の輸注を行うことはありません。
C 先天性プロテインS欠乏症では、凝固阻止因子であるプロテインSが低下して血栓傾向をきたします。慢性期の治療はワルファリン内服が一般的です。
D 血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)では血管内皮障害と血小板活性化がみられます。血小板輸血は、TTPの病態を悪化させるために禁忌です。
E von Willebrand(フォン・ヴィレブランド)病(VWD)は、von Willebrand因子(VWF)が低下して出血傾向をきたす先天性疾患です。出血時にデスモプレシン(DDAVP)(血管内皮からVWFを遊離させる作用があります)の点滴や、VWFも含有された血漿由来第VIII因子製剤を輸注します。予防的な凝固因子製剤の輸注は一般的ではありません。
(参考)
血小板数が低下している症例に対して血小板輸血を行うことがありますが、漫然と血小板輸注を行うのではなく、臨床的な出血症状も評価しながら、計画的に投与します。
たとえば、特発性血小板減少性紫斑病性(ITP)では、血小板1〜3万/μL程度に低下していても、致命的な出血症状がなければ、血小板輸注を行うことはありません。
一方、血友病の重症例に対しては、血液凝固因子製剤の予防投与(定期補充療法)が血友病性関節症の抑制に有効であることが知られています。
(正解 ) A
<リンク>
金沢大学血液内科・呼吸器内科HPへ
金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログへ
研修医・入局者募集へ
血液凝固検査入門(図解)へ
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解)へ
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:19
| 医師国家試験・専門医試験対策
膝関節の紫変:CBT
CBT(コアカリ)の復元問題と解説です。
8歳の男児.膝関節が紫変しているのに母親が気付き,来院した.体育の授業後に転倒したという.祖父も小さいころ同様の症状があったという.
考えられる疾患はどれか.
a von Willebrand 病
b Bernard-Soulier症候群
c 血友病
d 血小板無力症
e 特発性血小板減少性紫斑病(ITP)
f 血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)
g 播種性血管内凝固症候群(DIC)
h アレルギー性紫斑病
i ビタミンK欠乏症
j 白血病
(問題傾向)
祖父にも同様の出血症状がみられたため、先天性出血性素因が疑われます。
患者は男性、そして祖父(男性)も罹患しているため、伴性劣性遺伝の疾患を疑わせます。
膝関節の紫変は、膝関節内出血があったのかもしれません。
(解説)
|
血友病 A or B
|
von Willebrand病 |
遺伝 |
伴性劣性 |
I型:常染色体優性 |
性別 |
男性のみ |
男性、女性 |
出血部位 |
関節内出血、筋肉内出血 |
粘膜出血(鼻出血など) |
本態 |
血友病A:第VIII因子欠損、
血友病B:第IX因子欠損
|
von Willebrand因子活性の低下 |
出血時間 |
正常 |
延長 |
PT
|
正常 |
正常 |
APTT
|
延長 |
延長 |
vWF因子活性 |
正常 |
低下 |
第VIII因子 |
血友病Aでは低下 |
低下 |
第IX因子 |
血友病Bでは低下 |
正常 |
治療
|
血友病A:第VIII因子製剤 、血友病B:第IX因子製剤 |
血漿由来第VIII因子製剤(vWF含有に限る)、DDAVP |
(正答)c
<リンク>
金沢大学血液内科・呼吸器内科HPへ
金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログへ
研修医・入局者募集へ
血液凝固検査入門(図解)へ
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解)へ
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:44
| 医師国家試験・専門医試験対策
石川呼吸器フェローシップセミナー(研修医/医学生対象)2015
2015 石川呼吸器フェローシップセミナーの御案内
日時:2015年6月13日(土)〜14日(日)
会場:石川県青少年総合研修センター
本セミナーは、日本呼吸器学会の後援で、金沢大学、金沢医科大学の呼吸器内科のスタッフを中心に初期研修医、医学部5年6年生を対象に行うセミナーです。
昨年も開催し、24名の学生さんや初期研修医の先生が参加し、非常に好評でした。
今年も行われます!
../upload/7635523cab0d9970.pdf
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:07
| 呼吸器内科
内皮下コラーゲンと血小板:CBT
CBT(コアカリ)の復元問題と解説です。
矢印で示された分子が欠損すると生じる疾患はどれか.(内皮下コラーゲンと血小板との間に介在するVWFが示されている。)
a von Willebrand 病
b Bernard-Soulier症候群
c 血友病
d 血小板無力症
e 特発性血小板減少性紫斑病(ITP)
f 血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)
g 播種性血管内凝固症候群(DIC)
h アレルギー性紫斑病
i ビタミンK欠乏症
j 白血病
(問題傾向)
止血の生理を理解しておく必要があります。
血管の破綻、血小板の粘着、血小板の凝集、凝固活性化、線溶活性化のステップがあるので、整理しておきたいです。
(解説)
矢印で示されたのは、von Willebrand因子(vWF)です。
vWFが欠損して出血する病気が、von Willebrand病(vWD)です。
(確認事項)
血管が破綻しますと血管外のコラーゲンが露出してそれに対して血小板が集まってきますが、この現象を「血小板粘着」と言います。
さらに多くの血小板が集合するが、これを「血小板凝集」と言います。
血小板粘着時に血小板とコラーゲンの間を埋める、言わば糊とも言える成分をvWF、血小板凝集時の糊にあたる成分がフィブリノゲン(Fbg)です。
血小板を反応の場として多くの凝固因子が集まり、最終的にはトロンビンが産生される。トロンビンがフィブリノゲンをフィブリンに転換すると凝固が完結し止血に至ります。
なお、血小板粘着において血小板がvWFと結合する際には、血小板膜糖蛋白であるGPIb/IXが関与しています。
GPIb/IXが欠損している先天性出血性素因がBernard-Soulier症候群です。
また、血小板凝集の際に血小板のフィブリノゲン結合に関与している血小板膜糖蛋白がGPIIb/IIIaです。
GPIIb/IIIaが欠損している先天性出血性素因に血小板無力症(Glanzmann病)があります。
(正答)a
<リンク>
金沢大学血液内科・呼吸器内科HPへ
金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログへ
研修医・入局者募集へ
血液凝固検査入門(図解)へ
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解)へ
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:45
| 医師国家試験・専門医試験対策
北陸後天性血友病研究会:後天性血友病の基礎と臨床
北陸後天性血友病研究会のご案内
日時 : 2015年6月13日(土)16:00〜18:30
場所 : ホテル金沢 「エメラルド」(4階)
【情報提供】
「ノボセブンHI静注用シリンジ」 ノボ ノルディスクファーマ
【一般講演】 16:15〜16:45
座長:金沢大学附属病院 高密度無菌治療部 朝倉 英策
「透析患者に発症した後天性血友病の1例」
金沢市立病院 検査部 岡田 真弓 先生
「コーヒーブレイク」(16:45〜17:00)
【特別講演】 17:00〜18:00
座長 :金沢大学大学院医学系研究科病態検査学 森下 英理子
「後天性血友病の基礎と臨床 〜最近の知見を含めて〜」
奈良県立医科大学小児科学講座 准教授 野上 恵嗣 先生
【情報交換会】18:00〜18:30 血友病治療に関する情報交換会
主催:ノボ ノルディスク ファーマ株式会社
<リンク>
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:54
| 研究会・セミナー案内
播種性血管内凝固症候群(DIC):CBT
CBT(コアカリ)の復元問題と解説です。
播種性血管内凝固症候群(DIC)で上昇するのはどれか.
a プラスミノゲン
b AT
c 血小板
d α2プラスミンインヒビター
e プラスミン-プラスミンインヒビター複合体(PIC)
(問題傾向)
DICの凝血学的検査に関する極めて基本的な設問です。
設問中のマーカー以外には、PT、フィブリノゲン、FDP、D-ダイマー、TAT、可溶性フィブリン(SF)なども押さえておきたいです。
(解説)
a:DICでは線溶活性化の結果、プラスミノゲンは消費性に低下します(プラスミノゲンからプラスミンへの転換が進行します)。特に、線溶亢進型DICで低下しやすいです。
b:DICでは、アンチトロンビン(AT)が消費性に低下しやすいです。
大量に形成されたトロンビンとアンチトロンビンが1対1に結合してATが消費されます。
特に、敗血症に合併したDICで低下しやすいです。
なお、敗血症に合併したDICにおけるATの低下は、ATの血管外への漏出の要素も大きいです。
c:DICでは血小板数が消費性に低下します。
d:DICでは線溶活性化の結果としてプラスミンが形成されます。
プラスミンはα2プラスミンインヒビター(α2PI)と1対1に結合するために、α2PIは消費性に低下します。
特に、線溶亢進型DICでα2PIは高度に低下します。
e:DICでは、線溶活性化の結果として形成されたプラスミンがα2PIと結合して、プラスミン-α2プラスミンインヒビター複合体(PIC)が上昇します。
特に、線溶亢進型DICではPICは著増します。
(確認事項)
DICの検査所見(典型例の場合)
1) 血小板数の低下
2) FDP&D-ダイマーの上昇
3) フィブリノゲンの低下:ただし感染症に起因するDICでは低下しにくい。
4) PTの延長:教科書的にはAPTTも延長だが、実臨床ではAPTTは延長しないことも多い。
5) アンチトロンビン(AT)の低下:特に敗血症
6) プラスミノゲン&α2プラスミンインヒビター(α2PI)の低下:特に線溶亢進型DIC。
7) トロンビン-アンチトロンビン複合体(TAT)&可溶性フィブリン(SF)の上昇:必須。
8) プラスミン-α2プラスミンインヒビター複合体(PIC)の上昇:特に線溶亢進型DIC。
(正答)e
<リンク>
金沢大学血液内科・呼吸器内科HPへ
金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログへ
研修医・入局者募集へ
血液凝固検査入門(図解)へ
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解)へ
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:35
| 医師国家試験・専門医試験対策
PT 正常・APTT 延長・出血時間延長:CBT
CBT(コアカリ)の復元問題と解説です。
PT 正常,APTT 延長,出血時間延長.
この挙動を示す疾患はどれか.
a 血友病
b von Willebrand病
c 特発性血小板減少性紫斑病
d 血栓性血小板減少性紫斑病
e 溶血性尿毒症症候群
(問題傾向)
血栓止血関連検査に関する、最も基本的な設問です。
PT、APTT、出血時間はどのような場合に延長するか、逆にどのような場合には正常なのか熟知している必要があります。
(解説)
a:血友病A(第VIII因子の先天性欠損症)、血友病B(第IX因子の先天性欠損症)ともに、APTTは延長しますが、PTや出血時間は正常です。血友病は関節内出血や筋肉内出血が有名です。
b:von Willebrand病(vWD)は、von Willebrand因子(vWF)が低下する先天性出血性素因です。vWFは血小板粘着に重要な役割を演じているため、vWDでは血小板機能が低下して出血時間は延長します。
vWFは、第VIII因子のキャリア蛋白です。vWDでは第VIII因子も低下するため(第VIII因子が産生はされますが安定して血中に存在できません)、APTTは延長します。
c:特発性血小板減少性紫斑病(ITP)では血小板数が低下するために出血時間は延長しますが、APTTは正常です。
d:血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)では血小板数が低下するために出血時間は延長しますが、APTTは正常です。TTPでは、抗ADAMTS13抗体が出現して、ADAMTS13活性は低下します。
e:溶血性尿毒症症候群(HUS)では血小板数が低下するために出血時間は延長しますが、APTTは正常です。抗ADAMTS13抗体は出現しません。
(確認事項)
疾 患
|
出血時間 |
PT
|
APTT |
FDP/D-ダイマー |
血友病A or B |
N
|
N
|
↑ |
N
|
von Willebrand病
|
↑ |
N |
↑ |
N |
Bernard-Soulier症候群 |
↑ |
N |
N |
N |
血小板無力症 |
↑ |
N |
N |
N |
ビタミンK欠乏症 |
N |
↑ |
↑(※1) |
N |
先天性第VII因子欠損症 |
N |
↑ |
N |
N |
後天性血友病A
|
N |
N |
↑ |
N |
DIC |
↑ |
↑ |
↑(※2)
|
↑ |
単純性(or 老人性)紫斑 |
N |
N |
N |
N |
第XIII(13)因子欠損症 |
N |
N |
N |
N |
(※1)
軽症例では、PTは延長しても、APTTの延長は目立たないことが多いです。
ビタミンK依存性凝固因子は、半減期の短い順番に、VII、IX、X、II因子です。
半減期の短いVII因子から低下します(PTが延長しやすいです)。
(※2)
DICの初期では、APTTの延長がみられにくいです(むしろ短縮することもあります)。
ただし、国家試験やCBTの設問では、DICではPT、APTTともに延長することを前提で回答する方が無難です。
(正答)b
<リンク>
金沢大学血液内科・呼吸器内科HPへ
金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログへ
研修医・入局者募集へ
血液凝固検査入門(図解)へ
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解)へ
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:01
| 医師国家試験・専門医試験対策
出血時間・PT・APTT:CBT
CBT(コアカリ)の復元問題と解説です。
写真で示されたものが減少すると異常値を示すのはどれか(註:血小板の電顕写真).
a 出血時間
b PT時間
c APTT時間
d ビリルビン値
e ビタミンB12
(問題傾向)
電子顕微鏡写真では血小板が示されています。
つまり、血小板数が低下すると異常値を示すのはどれかという設問です。
(解説)
a:血小板数が低下すると、出血時間は延長します。
b:血小板数が低下しても、PTには影響はありません。なお、PTは、prothrombin time(プロトロンビン時間)のことであり、PT時間という表現は不適切です(「PT時間」→「PT」または「プロトロンビン時間」が適切です)。
c:血小板数が低下しても、APTTには影響がありません。なお、APTTは、activated partial thromboplastin time(活性化部分トロンボプラスチン時間)のことであり、APTT時間という表現は不適切です(上記と同様です)。
d:血小板数が低下しても、ビリルビン値には影響ありません。
e:血小板数が低下しても、ビタミンB12には影響ありません。
(確認事項)
出血時間の延長をきたす病態
1) 血小板数の低下
2) 血小板機能の低下
3) 血管壁の脆弱性
特に、出血時間は2)のスクリーニング検査としての意義が大きいです。
血小板無力症、von Willebrand病、Bernard-Soulier症候群、NSAID内服、尿毒症などで、血小板機能が低下して、出血時間が延長します。
なお、血友病、ビタミンK欠乏症は出血性疾患ですが、上記1)2)3)のいずれにも相当しないために、出血時間は正常です。
(正答)a
<リンク>
金沢大学血液内科・呼吸器内科HPへ
金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログへ
研修医・入局者募集へ
血液凝固検査入門(図解)へ
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解)へ
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:46
| 医師国家試験・専門医試験対策
血栓傾向:CBT
CBT(コアカリ)の復元問題と解説です。
血栓傾向になりにくいのはどれか.
a 長期臥床
b 肝硬変
c 多発骨折
d うっ血性心不全
e ピルの常用
(問題傾向)
血栓傾向をきたす疾患、病態には先天性と後天性がありますが、この問題では後天性に関して質問しています。
(解説)
a:長期臥床状態では下肢の筋肉ポンプが十分に作動せずに、下肢の血流状態が不良となります。そのために、深部静脈血栓症(DVT)をきたしやすくなります。
b:肝硬変においては、血小板数および凝固因子が低下するために、易出血状態となります。
PTやAPTT(とくにPT)は延長します。
c:重度外傷,特に,多発外傷,意識障害の遷延する頭部外傷,運動麻痺を伴う脊椎骨折や脊髄損傷,重症骨盤骨折,多発性または複雑な下肢骨折は,静脈血栓塞栓症の高リスク群です(肺血栓塞栓症/深部静脈血栓症(静脈血栓塞栓症)予防ガイドラインより)。
安静臥床状態になることや、組織因子が血中に流入することが原因と考えられます。
d:うっ血性心不全では静脈血流不全状態となり、血栓傾向となります。
e:経口避妊薬ピルを内服しますと、凝固阻止因子であるプロテインSが低下して血栓傾向となります。
(確認事項)
血栓性素因(代表的な疾患・病態)
<先天性>
・ 先天性アンチトロンビン欠損症
・ 先天性プロテインC欠損症
・ 先天性プロテインS欠損症 など
<後天性>
・ 脱水、多血症
・ 肥満
・ 妊娠
・ 下肢骨折・外傷、手術
・ 下肢麻痺、長期臥床、ロングフライト
・ 悪性腫瘍
・ 心不全、ネフローゼ症候群
・ 経口避妊薬
・ 抗リン脂質抗体症候群(APS)
・ 薬剤性:トラネキサム酸(トランサミン)など
(正答)b
<リンク>
金沢大学血液内科・呼吸器内科HPへ
金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログへ
研修医・入局者募集へ
血液凝固検査入門(図解)へ
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解)へ
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:28
| 医師国家試験・専門医試験対策
しみじみわかる血栓止血vol.2(血栓症・抗血栓療法編)NOAC
リンク:「しみじみわかる血栓止血 Vol.2 血栓症・抗血栓療法編」
「しみじみわかる血栓止血 Vol.1 DIC・血液凝固検査編」に続きまして、「しみじみわかる血栓止血 Vol.2 血栓症・抗血栓療法編」が発刊されました。
アマゾンでは以下のようにご紹介いただいています。
血栓止血関連領域の情報をわかりやすく解説する人気ブログ「金沢大学 血液内科・呼吸器内科/血液・呼吸器内科のお役立ち情報」の書籍化第二弾!
「寝転びながらでも読めて、血栓止血学がしみじみ分かる」をモットーに、第二巻となる本書では血栓症の概念や抗血栓療法、新規経口抗凝固薬(NOAC)、抗リン脂質抗体症候群(APS)、血液凝固検査などについて易しく解説。
本領域の臨床について知りたい方に最適な一冊です。
リンク
1)「臨床に直結する血栓止血学」
2)「しみじみわかる血栓止血 Vol.1 DIC・血液凝固検査編」
3)「しみじみわかる血栓止血 Vol.2 血栓症・抗血栓療法編」
<リンク>
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:18
| 血栓止血(血管診療)
ヘパリン在宅自己注射療法(インデックス)
<ヘパリン在宅自己注射療法>インデックス
1)抗リン脂質抗体症候群に対するヘパリン皮下注
2)慢性DICに対するヘパリン皮下注
3)ヘパリン在宅自己注射療法の適応と指針
<リンク>
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:37
| 抗凝固療法
ヘパリン在宅自己注射療法:学会からの適応と指針
<ヘパリン在宅自己注射療法の適応と指針>
ヘパリン在宅自己注射療法(インデックス)
平成23年9月に日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会、日本産婦人科・新生児血液学会、日本血栓止血学会の4学会が「ヘパリン在宅自己注射療法の適応と指針」を厚生労働省に提出し、平成 24 年 1 月にヘパリン在宅自己注射が保険収載された経緯があります。
ヘパリン在宅自己注射療法の適応と指針.公益社団法人日本産科婦人科学会,公益社団法人日本産婦人科医 会,日本産婦人科・新生児血液学会,一般社団法人日本血栓止血学会,2011. http://www.jsognh.jp/common/files/society/demanding_paper_07.pdf
一部のみ、こちらで抜粋して紹介したいと思います。
正式には、必ず上記サイトをご覧いただきたいと思います。
ヘパリン在宅自己注射療法の適応と指針(上記サイトより一部のみ抜粋)
目的および意義
ヘパリン在宅自己注射の目的は、通院の際に生じる身体的、時間的、経済的負担を軽減させ、患者により質の高い社会生活を送らせることである。
特に対象となる妊婦や血栓性素因を持つ患者にとって、毎日朝夕2回の通院は大きな負担となっており、ヘパリン在宅自己注射が是非とも必要である。
適応基準(以下の(1)〜(6)すべてを満足していること)
(1)ヘパリンに対してのアレルギーがなく、HITの既往がないこと。
(2)他の代替療法に優る効果が期待できるヘパリン治療の適応患者であること。
(3)在宅自己注射により通院の身体的、時間的、経済的負担、さらに精神的苦痛が軽減され、生活の質が高められること。
(4)以下の1)〜3)のいずれかを満足し、担当医師が治療対象と認めた患者
1)血栓性素因(先天性アンチトロンビン欠乏症、プロテインC欠乏症、プロテインS欠乏症、APSなど)を有する患者
2)深部静脈血栓症、肺血栓塞栓症既往のある患者
3)巨大血管腫、川崎病や心臓人工弁置換術後などの患者
(5)患者ならびに家族(特に未成年者の場合)が、目的、意義、遵守事項などを十分に理解し、希望していること。
(6)医師、医療スタッフとの間に安定した信頼関係が築かれていること。
患者教育:省略
患者の遵守事項:省略
方法
(1)皮下注射用ヘパリンを1回につき5,000単位、12時間ごと(1万単位/日)に皮下に自己注射する。
(2)注射部位は、腹部、大腿、上腕とする。
認可(自己注射療法開始条件):省略
管理と記録:省略
ヘパリン在宅自己注射療法(インデックス)
<リンク>
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:22
| 抗凝固療法
金沢大学第三内科(血液内科)スタッフ
金沢大学第三内科(血液内科)のスタッフです。
いつもお世話になり、ありがとうございます。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
<リンク>
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:38
| 血液内科
金沢大学第三内科(呼吸器内科)スタッフ
金沢大学第三内科(呼吸器内科)のスタッフです。
いつもお世話になり、ありがとうございます。
<リンク>
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:44
| 呼吸器内科
敗血症治療セミナー in 金沢:DIC
敗血症治療セミナー in 金沢
日 時 : 平成27年 5月25日(月)18:30〜
場 所 : 金沢大学附属病院 外来診療棟 4階 『宝ホール』
《 製品紹介 》 18:30〜18:45
『リコモジュリン点滴静注用12800』 旭化成ファーマ株式会社
《 一般演題 》 18:45〜19:00
座長:石川県立中央病院 救命救急センター 太田 圭亮 先生
『 TTPとの鑑別に苦慮したDICの1例 』
金沢大学附属病院 集中治療部 小池 康志 先生
《 特別講演 》 19:00〜20:00
座長:金沢大学医薬保健研究域医学系 麻酔・蘇生学
教授 谷口 巧 先生
『 敗血症性DICのABC 』
順天堂大学医学部附属浦安病院 救急診療科
先任准教授 井上 貴昭 先生
主催:旭化成ファーマ株式会社
<リンク>
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:08
| 研究会・セミナー案内
慢性DIC:ヘパリン皮下注、新規経口抗凝固薬(NOAC)
<慢性DICに対するヘパリン皮下注>
ヘパリン在宅自己注射療法(インデックス)
大動脈瘤、巨大血管腫、緩徐に進行する癌などで慢性DICを合併した場合に、DICの合併のために退院できない場合があります。
そのような場合に、ヘパリン在宅自己注射は優れた治療選択肢となります。
DICにおいては基質としての凝固因子を低下させてもDICの本態である凝固活性化を抑制することができませんが、活性型凝固因子(トロンビンや活性型第X因子など)を抑制して初めてコントロールが可能です。
実際、DICに対してワルファリン(基質としてのビタミンK依存性凝固因子を低下させる薬剤)を投与すると無効であるばかりでなく、大出血の合併症がみられることがあり、禁忌です。
また、劇症肝炎は凝固因子が枯渇する病態ですがやはりDICを発症します。
活性型凝固因子を阻止する薬剤としては、ヘパリン類が知られています。
在宅で治療する場合には通常ヘパリン5000単位を1日2回皮下注します。
ただし、低体重、腎障害合併例では減量して用います。
大動脈瘤、巨大血管腫では線溶亢進型DICを合併することが特徴的であり、臓器障害よりも出血症状が見られやすいです(ただし、動脈瘤などではDICではなく基礎疾患に起因する腎障害をきたすことがあります)。
ヘパリン在宅自己注射を導入する場合には、必ず入院の上、出血の副作用がみられないかチェックする必要があります。
なお、線溶亢進型DICの典型例ではヘパリンのみではなくトラネキサム酸(商品名:トランサミン)を併用した方が出血症状に対して有効な場合がありますが、トラネキサム酸は致命的な血栓症を誘発することもあるため、必ず専門家にコンサルトすべきです。
前述のように、DICに対してワルファリンは禁忌ですが、新規経口抗凝固薬(NOAC)はトロンビンまたは活性型第X因子を直接抑制するためにDICに対して有効である可能性があります。
保険適応がないため現時点では使用できませんが、検討の価値があります。
朝倉英策. 新規経口抗凝固薬(NOAC). 朝倉英策・編. 臨床に直結する血栓止血学. 東京:中外医学社; 2013. pp.321-329.
Hayashi T, et al.: Rivaroxaban in a Patient with Disseminated Intravascular Coagulation Associated with an Aortic Aneurysm. Ann Intern Med, 15: 158-159, 2014.
ヘパリン在宅自己注射療法(インデックス)
<リンク>
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:09
| 抗凝固療法
抗リン脂質抗体症候群と妊娠:アスピリン内服 & ヘパリン皮下注
<抗リン脂質抗体症候群に対するヘパリン皮下注>
ヘパリン在宅自己注射療法(インデックス)
抗リン脂質抗体症候群(APS)は、動・静脈血栓症または不育症(習慣性流産を含む)といった臨床症状がみられ、かつ、抗カルジオリピン抗体(特にβ2GPI依存性のもの)またはループスアンチコアグラントのうち1項目以上が陽性の場合に診断される、最も高頻度にみられる後天性血栓性素因です。
本疾患に対しては、ワルファリンによる抗凝固療法が血栓症発症の二次予防に有効と報告されていますが、ワルファリンには催奇性の副作用があるため挙児希望の若年女性に対しては使用できません。
在宅環境であるにもかかわらず、抗凝固療法として本来は簡便である経口薬ワルファリンを使用できない(ヘパリン皮下注を行わざるを得ない)理由としては、挙児希望の女性におけるワルファリンの催奇形性の問題が大きいです。
この点、ヘパリン在宅自己注射(皮下注)は、挙児希望のAPS女性に対して最も大きい意義を有しています。
APSにおける不育症の機序はいくつか報告されていますが、胎盤内における血栓形成は大きな機序の一つであり、抗血栓療法は理にかなった治療です。
APSにおける不育症(習慣性流産を含む)対策としては、低用量アスピリン(経口)&ヘパリン(皮下注)併用療法が標準的治療として確立されています。
当科では、APSの診断がなされた場合には挙児希望があった時点よりアスピリン(100mg/日)の内服を開始し、妊娠成立時点でヘパリン(5000単位を12時間ごとに皮下注)の自己注射を開始しています。
アスピリンは妊娠36週まで内服し(出産1週間前まで投与することもあります)、ヘパリン皮下注は分娩前日までの投与を原則としていますが、よりリスクが高い症例では分娩前よりへパリン持続点滴に切り替え、分娩4〜6時間前に中止する方法をとっています。
アスピリン&ヘパリン併用療法以外にも、アスピリン単独投与の有用性の報告もあります。
実際、APSの病勢が低いと考えられる症例などでアスピリン単独療法が行われることも多いと思われます。
アスピリンは胎盤を通過し、その血小板機能抑制作用は約1週間持続します。
胎児における動脈管早期閉鎖などの先天異常の可能性については欧米の報告で否定されていますが、内服時期によっては分娩時の出血量の増加につながるとの報告もあります。
本邦では、添付文書上、「出産予定日12週以内の妊婦には投与しないこと」と記載されており、アスピリン投与についてはその投与期間についても十分な説明と同意が必要です。
2012年よりヘパリンカルシウムの在宅自己注射が保険適用となり、APS合併妊婦を取り巻く医療環境は医療費および保障の面でも大きく前進しました。
ただし、長期にわたるヘパリン皮下投与は精神的にも手技的にも患者負担の大きい治療であることに変わりはないです。
医師による指導のみならず、産科医療に携わるすべてのスタッフの理解と協力が必要と考えられます。
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:55
| 抗凝固療法
金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)BBQ(3)
平成27年5月24日(日)に、金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)BBQが行われました。
天候にも恵まれ、楽しい会になりました。
内川スポーツランドです。
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:46
| その他
金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)BBQ(2)
平成27年5月24日(日)に、金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)BBQが行われました。
天候にも恵まれ、楽しい会になりました。
内川スポーツランドです。
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:37
| その他
金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)BBQ(1)
平成27年5月24日(日)に、金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)BBQが行われました。
天候にも恵まれ、楽しい会になりました。
内川スポーツランドです。
<リンク>
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:23
| その他
出血性疾患の種類と治療:インデックス
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:40
| 出血性疾患
出血性疾患の種類と治療(6)血管壁の異常
<出血性疾患の種類と治療>(6) 血管壁の異常
出血性疾患の種類と治療:インデックス
単純性紫斑、老人性紫斑など、放置しても支障ない病態が多いです。
アレルギー性紫斑病(Schoenlein-Henoch紫斑病)も、しばしば自然治癒します。
ただし、遺伝性出血性毛細血管拡張症(オスラー病)では、繰り返す鼻出血のために頻回の赤血球輸血が必要となる場合があります。
トラネキサム酸が試みられることがあります。
Gaillard S, et al. Tranexamic acid for epistaxis in hereditary hemorrhagic telangiectasia patients: a European cross-over controlled trial in a rare disease. J Thromb Haemost. 2014; 12: 1494-502.
Geisthoff UW, et al. Treatment of epistaxis in hereditary hemorrhagic telangiectasia with tranexamic acid - a double-blind placebo-controlled cross-over phase IIIB study. Thromb Res. 2014; 134: 565-71.
塩谷隆信.遺伝性出血性末梢血管拡張症(オスラー病). 臨床に直結する血栓止血学, p152-160, 中外医学社, 2013.
ただし、トラネキサム酸が有効でない場合も多いです。
なお、遺伝性出血性毛細血管拡張症では見逃し例も予想されます。
本疾患では、舌にも毛細血管の拡張が観察される場合があるため、鼻出血の症例に遭遇したら必ず舌の観察も行うようにしたいです。
遺伝性出血性毛細血管拡張症の鼻出血に対しては、耳鼻科的なバイポーラー電気焼灼術(BES)が有効と教科書には記載されていますが、BESを繰り返し行うことでより深部の太い血管まで露出するようになると、かえって鼻出血の重症化に難渋することもあります。
安易なBESは控えたいところです。
出血性疾患の種類と治療:インデックス
<リンク>
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:32
| 出血性疾患
北陸ヘモフィリア懇話会の御案内
第8回 北陸ヘモフィリア懇話会
日時:2015年5月9日(土) 15時〜17時
場所:金沢都ホテル 5階 「兼六の間」
15:00〜15:15
製品説明 バクスアルタ株式会社
15:15
開会のあいさつ 森下 英理子(金沢大学血液内科)
15:15〜15:35
【症例発表】
座長:野村 恵子 先生(富山大学小児科)
演者:松浦 絵里香 金沢大学血液内科
「インヒビター力価低下後も出血が遷延した後天性血友病Aの1例」
15:35〜15:45
休憩
15:45〜16:45
【特別講演】
座長 朝倉 英策(金沢大学附属病院高密度無菌治療部)
「血友病の止血治療 : オーバービュー」
演者:天野 景裕 先生(東京医科大学臨床検査医学分野)
16:45〜17:00
【総合討論】
17:00
閉会のあいさつ 犀川 太 先生(金沢医科大学小児科)
主 催: バクスアルタ株式会社
<リンク>
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:22
| 研究会・セミナー案内
出血性疾患の種類と治療(5)線溶過剰亢進
<出血性疾患の種類と治療>(5) 線溶過剰亢進
出血性疾患の種類と治療:インデックス
最も典型的な病態は線溶亢進型DICです。
この場合、出血症状の原因としては、血小板数の低下や、フィブリノゲン低下などの凝固異常の要素も加味されます。
ただし、線溶亢進型DICの出血の原因として最も大きな要素は過剰な線溶活性化です。
血小板数が例えば数万/μLのDICの場合、線溶抑制型DIC(敗血症など)ではほとんど出血症状はみられませんが、線溶亢進型DICでは高度の出血症状をきたしやすいです。
これは、出血の原因として血小板数よりも線溶活性化の方が大きいことを示しています。
線溶亢進型DICでは、プラスミン-α2プラスミンインヒビター複合体(PIC)が著増していますが、α2プラスミンインヒビター(α2PI)が著減した場合に、出血症状が高度になりやすいです。
線溶亢進型DICに対しては、抗線溶作用も強力な合成抗トロンビン薬であるメシル酸ナファモスタット(フサンなど)が有効です。
ただし、全身転移を伴った固形癌に起因する線溶亢進型DICではメシル酸ナファモスタットによるコントロールでは不十分なことも多いです。
この場合、ヘパリン類とトラネキサム酸(トランサミン)の併用が、線溶亢進型DICの致命的な出血に対してしばしば著効しますが、安易なトラネキサム酸の使用は全身性の致命的な血栓症を誘発することもあり、トラネキサム酸の使用にあたってはかならず専門家にコンサルトする必要があります。
動脈瘤などの血管疾患に起因した線溶亢進型DICでは、DICのために点滴治療が行われていると外来移行が困難な場合があります。
このような場合は、ヘパリン皮下注(在宅)や半減期の長いヘパリン類であるダナパロイド注の外来での投与が治療選択肢として挙げられます。
今後、新規経口抗凝固薬による治療も行われる時代がくるかも知れません。
出血性疾患の種類と治療:インデックス
<リンク>
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:24
| 出血性疾患
出血性疾患の種類と治療(4)凝固異常
<出血性疾患の種類と治療>(4) 凝固異常
出血性疾患の種類と治療:インデックス
血友病A、血友病Bは、それぞれ第VIII因子、第IX因子が先天性に欠損して出血症状をきたす病態です。
不足している凝固因子を補充するというのが治療の基本的な考え方です。
血友病が重症の場合には、出血の有無とは関係なく定期的に不足した凝固因子を補充する定期補充療法が行われます。
先天性の血友病の患者にとっては治療目的に補充される凝固因子は未知の蛋白のため、インヒビター(同種抗体)が出現する場合があります。
後天性血友病は、通常第VIII因子に対するインヒビター(自己抗体)が出現することで、重症の出血症状をきたす後天性の出血性素因です。
高度で活動性の出血を止めるための止血療法(バイパス製剤による治療)と、インヒビターを消失させるための免疫抑制療法(副腎皮質ステロイドなど)が併行して行われます。
特に、免疫抑制療法は早々に開始する必要があります。
従来、100万人に1人の発症頻度と言われてきましたが、筆者らはそれより遥かに多いのではないかと推測しています(桁が違うのではないかと思われます)。
これまでは診断されることなく埋もれていた症例も少なくないのではないかと推測されます。
ビタミンK欠乏症は、ビタミンK依存性凝固因子であるFVII、IX、X、II因子(半減期の短い順)活性が低下することで、全身性の出血症状をきたします。
大人の場合は、食事摂取低下(ビタミンKの摂取が低下する)、抗生剤投与(ビタミンKを産生している腸内細菌を死滅させる)、閉塞性黄疸(胆汁が存在しないために脂溶性ビタミンであるビタミンKの吸収不全状態になる)などが誘因となりやすいです。
PTの延長によって診断されやすいですが、ビタミンKの補充によって速やかに(半日程度でも)PTが正常化するために、治療診断が手っ取り早いです。
ただし、閉塞性黄疸のような病態では、ビタミンKを経口投与しても吸収されないために、経静脈的に投与するのが基本です。
出血性疾患の種類と治療:インデックス
<リンク>
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:13
| 出血性疾患
出血性疾患の種類と治療(3)血小板機能の低下
<出血性疾患の種類と治療>(3) 血小板機能の低下
出血性疾患の種類と治療:インデックス
血小板無力症やBernard-Soulier症候群など、先天性に出血性素因を有している場合の対応は、致命的なあるいは致命的になる懸念のある出血時には血小板輸血で対応することになります。
ただし、前述のように血小板輸血を繰り返すことで、本当に必要となった際の血小板輸血の効果を減弱させるため、安易な血小板輸血は控えるべきです。
von Willebrand病では、出血時や観血的処置時には、von Willebrand因子含有の第VIII因子濃縮製剤で対応します。
重症でなければDDAVPも有効ですが、本薬の作用機序は血管内皮からvon Willebrand因子を放出させるため、繰り返し投与に伴い効果が減弱することに注意します。
アスピリン内服時は、血小板機能低下に伴う出血症状をきたす場合がありますが、必要があってアスピリンを内服(例えば抗血小板療法として内服)しているため、軽度の出血症状であれば継続することが多いです。
出血性疾患の種類と治療:インデックス
<リンク>
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:09
| 出血性疾患
出血性疾患の種類と治療(2)血小板数の低下
<出血性疾患の種類と治療>(2) 血小板数の低下
出血性疾患の種類と治療:インデックス
血小板数の低下する疾患のなかには、出血と血栓症の病態が共存するものがあります。
具体的には、播種性血管内凝固症候群(DIC)、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、溶血性尿毒症症候群(HUS)、HELLP症候群、ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)などです。
これらの出血と血栓が共存する病態では、出血に対する治療は血栓性病態を悪化させる場合があり、一方、血栓に対する治療は出血性病態を悪化させる場合があります。
例えば、TTPにおいて血小板数が著減していても血小板輸血を行うことで脳梗塞などの致命的な血栓症を誘発することがあります。
また、線溶亢進型DICに対する抗凝固療法は出血を悪化させる場合があります。
症例ごとに慎重に対応することになります。
TTP以外においても、血小板数が低下して出血症状をきたしている場合でも、致命的な出血でなければ安易な血小板輸血は控える方が良い場合が多いです。
血小板輸血を行うことで抗血小板抗体産生を誘発して、本当に血小板輸血が必要な致命的出血時の効果が減弱してしまう懸念があります。
具体的には、ITPや再生不良性貧血に対して血小板輸血を行うのは例外的です。
血小板数低下をきたす2疾患を有していることで、出血と血栓が共存する病態をきたすことがあります。
具体的には、ITPと抗リン脂質抗体症候群(APS)の合併です。
ITPでは4割程度の症例で、抗リン脂質抗体が出現することが知られています。
特に、ITPに対して摘脾術やトロンボポエチン受容体作動薬の治療を行うような場合にはさらに血栓症を誘発する懸念があります。
ITPの症例では、全例において抗リン脂質抗体の有無をチェックすべきと考えられます。
ITPとAPSの合併時例では、摘脾術後の抗血栓療法をどうするかなど一定の見解はありませんが、個々の症例に対応を検討することになります。
出血性疾患の種類と治療:インデックス
<リンク>
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:00
| 出血性疾患
出血性疾患の種類と治療(1)出血性素因の原因
<出血性疾患の種類と治療>(1) 出血性素因の原因
出血性疾患の種類と治療:インデックス
出血性素因は、その原因によって疾患が分類されます。
出血に対する対処法(治療)も、出血の病態によって異なってきます。
出血性素因の原因と疾患
----------------------------------------------------------------------
1) 血小板数数の低下
・ 特発性血小板減少性紫斑病(ITP)
・ 血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)
・ 造血器悪性腫瘍
・ 再生不良性貧血 など。
2) 血小板機能の低下
・ 血小板無力症(先天性)
・ Bernard-Soulier症候群(先天性)
・ von Willebrand病(先天性)
・ NSAID(非ステロイド系消炎鎮痛剤)(アスピリンなど)内服
・ 尿毒症 など。
3) 凝固異常
・ 血友病A(先天性)
・ 血友病B(先天性)
・ 後天性血友病
・ ビタミンK欠乏症など。
4) 線溶過剰亢進
・ 線溶亢進型DIC(ただし、1)3)の要素もある)など。
5) 血管壁の異常
・ アレルギー性紫斑病(Schoenlein-Henoch紫斑病)
・ 単純性紫斑
・ 老人性紫斑
・ 遺伝性出血性毛細血管拡張症(オスラー病)(先天性) など。
----------------------------------------------------------------------
(備考)
先天性出血性疾患は、括弧書き(先天性)した。その他は、後天性出血性疾患である。
出血性疾患の種類と治療:インデックス
<リンク>
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:52
| 出血性疾患
金沢大学呼吸器グループ研究室紹介(インデックス)
<リンク>
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:39
| 呼吸器内科
金沢大学呼吸器グループ研究室紹介(5)
金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会原稿(平成26年度)からです。
金沢大学呼吸器グループ研究室紹介(インデックス)
「呼吸器グループ研究室紹介」(5)
呼吸器内科は患者様が多く、また重症であることも加わって、肉体的にも精神的にもタフな仕事だと思います。
その分、やり甲斐のある仕事だと思っています。
社会的なニーズも多く、関連施設の先生方からはもっと医師を派遣するようにという、お叱りに近いご要望も多くいただいております。
大学のスタッフ一同はBSLに回ってくる学生(5年生)、クリニカルクラークシップ(6年生)から、初期研修医、後期研修医の指導を積極的に行い、呼吸器内科の“おもしろいところ”、“やり甲斐”をわかってもらいたい、そして将来呼吸器内科を志望するように目指しています。
一連の活動に加え今年は石川県内の関連施設の先生方、さらに金沢医科大学呼吸器内科と協同で呼吸器フェローシップセミナーを6月に開催しました。
医学部の学生さん、初期研修医を対象に呼吸器疾患の面白さを知ってもらおうという試みです。
まだ成果のほどはわかりませんが、継続していくことに意義があると信じています。
今後もご協力お願いいたします。
これらの活動は非常に重要で、将来にわたり北陸地区の呼吸器内科診療を、我々が中心的存在として支える上では必須です。
今後もご指導ご鞭撻をお願いいたします。
金沢大学呼吸器グループ研究室紹介(インデックス)
<リンク>
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:34
| 呼吸器内科
金沢大学呼吸器グループ研究室紹介(4)
金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会原稿(平成26年度)からです。
金沢大学呼吸器グループ研究室紹介(インデックス)
「呼吸器グループ研究室紹介」(4)
気道疾患グループ
慢性咳嗽、気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)に関して基礎的・臨床的研究を継続しています。
特に、これまで藤村先生が取り組んでこられた「アトピー咳嗽の確立」と「慢性咳嗽診療の標準化」について、さらにそれらを進化させていく責務を感じています。
咳嗽は、最も多い症状の一つであるにもかかわらず、その発生機序については未解明な所が多く課題の多い分野です。
アトピー咳嗽に関する基礎的研究は、岡崎先生が「好酸球性気道炎症に伴う咳感受性亢進に対するピルフェニドンの影響」について行い、鎮咳効果としてのピルフェニドンの新作用を発見しました(論文投稿中)。
また咳喘息の咳嗽発生機序に関する研究では、気管支平滑筋収縮に対する咳嗽過敏反応が咳喘息の基本病態の一つであること示しました(Respirology 2012)。
さらに気管支平滑筋収縮をトリガーとする咳嗽は、気管支平滑筋収縮の程度ではなく、平滑筋収縮からの回復の程度と関連するという面白いデータも出ています。
咳喘息から典型喘息に移行する機序解明のヒントになるかもしれません。
メサコリン誘発咳嗽測定が咳喘息診断に有用であることが明らかとなり、検査としての確立を目指しています。
また基礎的研究でも咳喘息の病態解明に取り組んでいるところです。
臨床研究では、多くの先生方にご協力いただいた多施設共同研究「咳喘息維持治療におけるロイコトリエン受容体拮抗薬と吸入ステロイド薬の比較試験」が終了し、咳喘息維持治療におけるロイコトリエン受容体拮抗薬の有用性が示されました。
なお他大学との共同研究も順調に進んでいます。
今後の課題は、気管支喘息・COPDについて新たな基礎的・臨床研究を行っていくことです。
金沢大学呼吸器グループ研究室紹介(インデックス)
<リンク>
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:29
| 呼吸器内科