VWD&血友病Aと遺伝子組み換えIL-11
論文紹介です。
参考:血友病、後天性血友病、rFVIIa、血栓止血の臨床(日本血栓止血学会HPへ)
「デスモプレシンに反応しないVWDと軽症〜中等症血友病Aに対する遺伝子組み換えIL-11の効果 」
著者名:Ragni MV, et al.
雑誌名:Thromb Haemost 109: 248-254, 2013.
<論文の要旨>
デスモプレシン(DDAVP)は、軽症von Willebrand病(VWD)に対しての治療選択肢になっていますが、20%の症例はDDAVPに反応しません。
反応のみられる80%の症例でも血管内皮貯蔵のvon Willebrand因子(VWF)が枯渇するために効果は一過性です。
著者らは、遺伝子組換えインターロイキン-11(rhIL-11、NeumegaR)の、DDAVPに不反応またはアレルギーを有するVWD、あるいは軽症〜中等症血友病A(HA)に対する安全性と有効性を検討するための単施設第II相臨床試験を行いました。
対象は9症例(VWD4例、HA5例;年齢中央値26才<22〜51才>)です。
VWDに対してrhIL-11を投与したところ、48時間後よりVWF:RCoの上昇がみられ始めて、4日間持続しました。
4日後におけるVWF:RCoは1.54倍(VWD1.30倍、HA1.73倍)でした。
同様に、FVIII:Cも48時間後より上昇がみられれ始めて、4日後におけるFVIII:Cは1.65倍(VWD1.86倍、HA1.48倍)でした。
rhIL-11投与に伴う有害事象としては、体液貯留、紅潮、結膜充血がみられました。
1例では3度の一過性低ナトリウム血症がみられましたが、糖尿病による高血糖のため過飲水したことが原因であり、水分制限により軽快しました。
以上、rhIL-11は、DDAVP不反応(またはアレルギー性)VWD4例中2例でVWF活性を上昇させ、軽症〜中等症血友病5例中4例のFVIII活性を上昇させたたため、臨床応用の可能性があると考えられました。
<リンク>
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:12
| 出血性疾患
第VII因子欠損症の補充療法
論文紹介です。
参考:血友病、後天性血友病、rFVIIa、血栓止血の臨床(日本血栓止血学会HPへ)
「第VII因子欠損症における出血エピソードに対する補充療法 」
著者名:Mariani G, et al.
雑誌名:Thromb Haemost 109: 238-247, 2013.
<論文の要旨>
先天性第VII因子欠損症患者の臨床症状は多彩です。
著者らはSeven Treatment Evaluation Registry(STER)のデータを用いて、自然出血または外傷性出血に対する治療を評価しました。
75症例(女性41例;第VII因子活性は1%未満〜20%)における101回の出血が解析されました。
出血部位は、関節内出血(n=30)、筋肉内•皮下血腫(n=16)、鼻出血(n=12)、歯肉出血(n=13)、過多月経(n=16)、中枢神経系(CNS;n=9)、腎臓出血(GI;n=2)、その他の出血(n=13)でした。
評価可能な93回出血エピソードのうち76回は遺伝子組換え活性型第VII因子(rFVIIa)、8回はFFP、7回は血漿由来FVII(pdFVII)、2回はプロトロンビン複合体製剤が使用されていました。
補充療法を1日行うことで、関節内出血は激的に改善し、筋肉内•皮下血腫、鼻出血、歯肉出血の治療にも成功しました。
過多月経に対しては複数回の補充療法で軽快した症例もありました。
血栓症の副作用はみられませんでした。
反復して補充療法の行われた症例(rFVIIaとpdFVIIの1例ずつ)ではインヒビターが出現しました。
先天性第VII因子欠損症においては、ほとんどの出血は中等量rFVIIa(中央値60μg/kg)の1日投与でコントロールされました。
最重症の出血(CNS、GI)に対しては、短期間あるいは長期間の予防投与が適切と考えられました。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:03
| 出血性疾患
後天性von Willebrand症候群に対する診断と治療
論文紹介です。
参考:血友病、後天性血友病、rFVIIa、血栓止血の臨床(日本血栓止血学会HPへ)
「後天性von Willebrand症候群に対する診断と治療」
著者名:Federici AB, et al.
雑誌名:Semin Thromb Hemost 39: 191-201, 2013.
<論文の要旨>
後天性von Willebrand症候群(AVWS)は、1968年に始めて報告された後天性出血性素因であり、臨床所見や血液検査所見は先天性のvon Willebrand病(VWD)と類似しています。
AVWSの基礎疾患としては、リンパ増殖性疾患、心血管疾患、骨髄増殖性疾患、自己免疫性疾患が知られています。
後天性血友病とは異なり、AVWSにおいては抗VWF抗体が検出感度以上になるのはまれです。
ほとんどの症例では、AVWSは出血の合併症に伴い診断されます(80%以上の症例で活動性の出血を有しています)。
AVWSの20〜30%においては出血を繰り返しています(特に大きな外傷や手術後)。
AVWSの発症機序は多岐にわたるために、急性の出血の予防や治療のためには複数の治療アプローチが必要となることが多いです。
基礎疾患の治療を行うことによって、AVWSが寛解状態となることもあります。
<リンク>
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:54
| 出血性疾患
低プロトロンビン血症ループスアンチコアグラント
論文紹介です。
参考:血友病、後天性血友病、rFVIIa、血栓止血の臨床(日本血栓止血学会HPへ)
「低プロトロンビン血症ループスアンチコアグラント症候群の1例における抗ウサギIgG抗体および抗プロトロンビン抗体の検出」
著者名:橋本祐樹、他。
雑誌名:日本検査血液学会雑誌 13: 332-337, 2012.
<論文の要旨>
症例は81歳男性、十二指腸出血で入院し、著明な血液凝固能低下を認めました。
ラテックス法によるPIVKA-IIの高値(32〜64μg/mL)および第II因子活性の低値(19%)のため、ビタミンKを投与したが改善しませんでした。
一方、ループスアンチコアグラント(LA)は陽性でCLEIA法による同一検体のPIVKA-IIは基準範囲でした。
ウサギIgGを固相化した直接吸着ELISA法による抗ウサギIgG抗体の検出を試みたところ、患者血清中にIgM型の抗ウサギIgG抗体が検出されました。
よって、ラテックス法によるPIVKA-IIのデータは偽高値である可能性が示唆されました。
さらに、第II因子の性状を二次元免疫電気泳動により解析した結果、第II因子は二峰性ピークを示し、異常ピークは抗IgG抗体で吸収されました。
このことからIgG型の抗プロトロンビン抗体の存在が示されました。
本症例はLAも認められたため、LAに併発した低プロトロンビン血症が出血傾向の一因と考えられ、ステロイド治療により血液凝固能は正常化しました。
本症例では免疫学的な非特異反応が考えられ、測定原理の異なる検査法で確認することが重要でした。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:42
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血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)とリツキシマブ
論文紹介です。
参考:血友病、後天性血友病、rFVIIa、血栓止血の臨床(日本血栓止血学会HPへ)
「リツキシマブが奏効した標準治療抵抗性血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の1例-リツキシマブ投与のタイミングについての考察 」
著者名:吉井由美、他。
雑誌名:日本内科学会雑誌 102: 147-149, 2013.
<論文の要旨>
症例は36歳、女性です。
著者らはリツキシマブ投与にて寛解に至った標準療法抵抗性血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の1例を経験しました。
血漿交換開始後に抗ADAMTS13抗体およびLDの再上昇を認めた時点で難治性と判断し、リツキマブを投与しました。
その結果、第30病日に血漿交換を離脱でき、約18ヶ月にわたり寛解を維持しています。
標準療法抵抗性TTPにおいて血漿交換開始後の抗ADAMTS13抗体価およびLDの上昇が難治性の判断に有用であると考えられました。
TTPの成因はVWFの特異的切断酵素であるADAMTS13の活性低下(多くは抗体の産生による)で、超高分子量VWF多重体(UL-VWFM)がADAMTS13の欠損により切断されないことで血小板血栓を産生します。
標準療法はステロイド投与および血漿交換です。
血漿交換の目的は、以下などです。
1)ADAMTS13抗体の除去
2)ADAMTS13の補充
3)UL-VWFMの除去
4)止血に必要なサイズのVWFの補充
5)炎症性高サイトカイン血症の是正
しかし本例のように血漿交換に抵抗性示す症例が存在し、その原因の一つは過剰な抗体産生下で、血漿中に含まれるADAMTS13により抗体がboostされる(inhibitor boosting)ためと考えられています。
このような症例には血漿交換に加え、抗体を産生するB細胞を直接攻撃するリツキシマブの投与が有効であるとの報告が散見されます。
本例でもリツキシマブの投与後、速やかにLDの低下、意識状態、血小板数の改善を認め、それと同時にADAMTS13抗体価の減少、活性の上昇を認め寛解となりました。
わが国においてリツキシマブはTTPに保険適用がなく、全例に初期から投与するのは現実的ではありません。
そこで本症例のような難治例を見極め、遅滞なく投与することが重要となります。
その判断において、血漿交換開始後のADAMTS13抗体の再上昇が有用であると考えられました。
今回の症例では同時にLDも急上昇を認めており、より日常臨床に即したマーカーとしてLDも有用である可能性が示唆されました。
<リンク>
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:30
| 出血性疾患
年齢と凝固パラメーターの関係:幼少期、思春期
論文紹介です。
参考:血友病、後天性血友病、rFVIIa、血栓止血の臨床(日本血栓止血学会HPへ)
「幼少期および思春期における年齢と凝固パラメーターの関係 」
著者名:Appel IM, et al.
雑誌名:J Thromb Haemost 10: 2254-2263, 2013.
<論文の要旨>
幼少期の血栓症疾患や出血性疾患を正しく診断するためには、年齢に適合した基準値を使用する必要があります。
また、用いる試薬や機器にいよる差異もあります。
著者らはシーメンス社の試薬を用いて、Sysmex CA-1500およびBehring BCS機器での検討を行いました。
健常人小児218名、健常人52名より採血されました:1〜6ヶ月(n=29)、7〜12ヶ月(n=25)、1〜5才(n=57)、6〜10才(n=57)、11〜18才(n=50)、19才以上(n=52)。
その結果、PTとAPTTを除いて機種間の差はみられませんでした。
凝固因子活性(フィブリノゲン、II、IX、XI、XII)は最年少小児で有意に低値でした。
凝固阻止因子であるPC、PSは最も強く年齢に依存しており、幼少期、若年小児で低値でした。
最年少小児ではVWFは高値でしたが、第VIII因子活性の上昇は伴っていませんでした。
血液型O型の場合は、O型以外の血液型の場合と比較して年齢に伴うVWFの上昇傾向は不明瞭でした。
以上、12ヶ月未満の小児と、12才以上の小児または成人との間には差異がみられ、年齢とともに止血機序が発展すると考えられました。
年齢毎の基準値を設定することが必要と考えられました。
<リンク>
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:27
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小児血友病患者における頭蓋内出血
論文紹介です。
参考:血友病、後天性血友病、rFVIIa、血栓止血の臨床(日本血栓止血学会HPへ)
「小児血友病患者における頭蓋内出血の診断と治療」
著者名:Nagel K, et al.
雑誌名:Blood Coagul Fibrinolysis 24: 23-27, 2013.
<論文の要旨>
小児血友病患者において頭蓋内出血(intracranial hemorrhage: ICH)は、重篤な合併症です。
危険因子を明らかにすることは、臨床に役立つICHの診断や治療ガイドライン作成のためにも有用です。
著者らは、文献検索を行いICHの頻度、危険因子、症状、治療転帰に関するエビデンスを抽出しました。
キーワードを「intracranial hemorrhage and hemophilia」としてMEDLINEとEMBASAEによる文献検索を行いました。
また検索範囲は、過去10年間、review of RCT or Clinical Trial or Practice Guidelineとしました。
その結果、31論文が著者らの目的に見合った充分なデータを有していました。
この論文では、小児血友病(3〜18才)でICHが疑われた場合の治療に関するアルゴリズムが提示されています。
ICHに対して標準的にアプローチすれば、一部の症例では本来不要なCTに伴う放射線暴露を減らすことができます。
なお、新生児血友病に対する診断、治療アルゴリズムを提唱するエビデンスは現時点ではありません。
<リンク>
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:21
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健常人&血友病A患者における抗第VIII因子抗体
論文紹介です。
参考:血友病、後天性血友病、rFVIIa、血栓止血の臨床(日本血栓止血学会HPへ)
関連記事:クロスミキシングテスト、
「健常人および血友病A患者における第VIII因子に対する抗体の差異」
著者名:Whelan SFJ, et al.
雑誌名:Blood 121: 1039-1048, 2013.
<論文の要旨>
血友病A患者に対する補充療法の重大な合併症として第VIII因子(FVIII)に対する中和抗体の出現があげられます。
これらの抗体出現のより良い理解のために、中和抗体なのか非中和抗体なのか、アイソタイプ、IgGサブクラスなど広範囲にわたる検討が必要です。
著者らは第VIII因子結合抗体を検出する高感度ELISAを開発し、血友病A患者と健常人で測定しました。
その結果、健常人(n=600)では第VIII因子結合抗体は19%にみられました(2%の人では力価1:80以上)。
また、インヒビター非保有血友病A(n=77)では34%(5%の患者では力価1:80以上)、免疫寛容療法に成功した血友病Aでは39%(4%の症例では1:80以上)、インヒビター保有血友病A(n=20)では100%(全例で1:80以上)にみられました。
インヒビター保有血友病A患者での抗体はIgG4とIgG1が明らかに多いという結果でした。
興味あることに、第VIII因子非保有血友病Aや健常人ではIgG4は全くみられませんでした。
以上、第VIII因子に特異的なIgG4が第VIII因子インヒビターの発症に関与しているものと考えられました。
<リンク>
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:48
| 出血性疾患
後天性血友病の長期予後
論文紹介です。
参考:血友病、後天性血友病、rFVIIa、血栓止血の臨床(日本血栓止血学会HPへ)
関連記事:クロスミキシングテスト、
「後天性血友病の長期予後—単施設82症例の中間報告—」
著者名:Zeitler H, et al.
雑誌名:Atheroscler Suppl 14: 223-228, 2013.
<論文の要旨>
後天性血友病(AH)は、致命的な出血をきたし死亡率7.9〜22%のまれな疾患です。
AHの発症頻度は低いために無作為化試験を行うことはできませんが、長期間にわたる観察的研究は興味あるところです。
著者らの施設では、1994年以来AH82症例(年齢中央値63.8歳;28-89歳)の治療を行ってきました。これらの症例の臨床所見、治療法、長期予後について解析しました。
その結果、60例(73%)の症例では致命的な出血症状が初発症状でした。
これらの重症例では、Bonnプロトコール(免疫吸着療法、IVIG、免疫抑制療法、第VIII因子製剤の併用)による免疫抑制療法が行われており、治療期間中央値16日後における治療反応率は93%でした。
基礎疾患を有するAH(AHSAC)では、固形癌、リンパ腫、手術、自己免疫性疾患が多いという結果でした。
重症でないAH16症例においては、標準的免疫抑制療法により中央値3.9ヶ月後に11例では成功し、5症例では不反応でしたがBonnプロトコールによる治療に移行したところ反応しました。
いずれの治療群でも出血関連死はみられませんでした。
出血に対してバイパス製剤による追加治療が必要となった4症例で致命的な血栓症がみられました。
特発性AHは、AHSACと比較して、より重症で強力が治療が必要になる傾向にありました。
AHSACでは、基礎疾患の病態がインヒビター発症に大きく影響を与えているため、特発性AHとAHSACの鑑別は治療方法を考えていく上でも重要と考えられました。
<リンク>
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:41
| 出血性疾患
皮下血腫と後天性血友病
論文紹介です。
参考:血友病、後天性血友病、rFVIIa、血栓止血の臨床(日本血栓止血学会HPへ)
関連記事:クロスミキシングテスト、
「重度皮下血腫を契機に診断された後天性血友病の2症例 」
著者名:田中亮子、他。
雑誌名:日本検査血液学会雑誌 13: 322-331, 2012.
<論文の要旨>
後天性血友病Aは従来出血傾向が認められなかったにもかかわらず、何らかの原因により血液凝固第VIII因子(FVIII)に対する自己抗体(インヒビター)が生じ、突如として重篤な出血症状をきたす疾患です。
今回、著者らは、治療が奏功した2例の後天性血友病Aを経験し報告しています。
症例1は39歳女性、第3子出産から約10ヵ月後、左上肢皮下血腫、右大腿部筋肉内出血を認めました。FVIIIインヒビター抗体価は17.6BU/mlで、妊娠を契機として生じた後天性血友病Aと診断しました。
副腎皮質ステロイドによる免疫抑制療法を施行し、約1ヶ月以内にFVIII活性軽快傾向を認めたましたが、インヒビターの消失には2年を要しました。
症例2は79歳男性、中咽頭癌、舌癌に対して放射線療法を行い、下顎骨の放射線性骨髄炎により近医通院中でした。
左上肢全体に急激に皮下血腫を発症、FVIIIインヒビター抗体価68BU/mlと高値で、後天性血友病Aと診断しました。
止血管理には難渋しましたが、遺伝子組換え活性型第VII因子製剤(rVIIa)によりコントロール可能でした。
副腎皮質ステロイドに加え、cyclophospamideのパルス療法を行い、12週間後にはインヒビター消失しFVIII活性も上昇、寛解しました。
突然の出血を認めた場合には、後天性血友病Aを鑑別診断として念頭に置く必要があります。
本疾患の診断遅延は予後不良につながるため、FVIII活性、Bethesda(B法)だけでなくクロスミキシング試験(直後および2時間後の判定)を迅速に行い、診断•治療に反映させることが重要となります。
<リンク>
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:30
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血液型(ABO型)と出血
論文紹介です。
参考:血友病、後天性血友病、rFVIIa、血栓止血の臨床(日本血栓止血学会HPへ)
関連記事:血液型O型の人はvWF活性が低い、鼻出血(鼻血が止まらない)
「血液ABO型と出血との関連 」
著者名:Dentali F, et al.
雑誌名:Semin Thromb Hemost 39: 72-82, 2013.
<論文の要旨>
血液O型以外の症例においては、静脈血栓塞栓症や動脈血栓症が多いという報告があります。
一方、血液型と出血合併症との関連は不明です。
著者らはこの点を明らかにするために文献のメタ解析を行いました。
MEDLINEおよびEmbase databasesで調査を行いました(1946年〜2012年3月)。
出血している患者の血液型の分布と、出血合併症のないコントロール群での血液型の分布を比較しました。
調査者2人が独立して論文を選択して、研究の性格、質、結果を検討しました。
その結果、臨床研究22が抽出され、出血患者9,468人、コントロール420,000人が対象となりました。
出血患者でO型であった割合は、コントロール群でO型であった割合よりも有意に高い結果でした(OR1.33)。
今回の多数例を対象としたメタ解析の結果より、血液型O型の人は、潜在的に出血しやすい遺伝性素因を有しているものと考えられました。
今回の知見を検証するためには、質の高い前向き試験が必要と考えられました。
<リンク>
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:41
| 出血性疾患
特発性血小板減少性紫斑病(ITP)とFVIIa/フィブリノゲン製剤
論文紹介です。
参考:血友病、後天性血友病、rFVIIa、血栓止血の臨床(日本血栓止血学会HPへ)
「血小板数が著減したITP患者に対するrFVIIaとフィブリノゲンの併用療法 」
著者名:Larsen OH, et al.
雑誌名:Br J Haematol 160: 228-236, 2013.
<論文の要旨>
特発性血小板減少性紫斑病(ITP)患者における重症の急性出血に対して血小板輸血に代わる止血治療が求められています。
著者らは、遺伝子組換え活性型第VII因子(rFVIIa)とフィブリノゲン製剤の併用がITP患者の全血(WB)凝固能を改善するかどうか検討しました。
ITP12症例より採血し、3.2%クエン酸ナトリウムとコーントリプシンインヒビター18.3μg/mLのはいった試験管に注入しました。
WB(平均血小板数22×109/L)が、ドナー血小板(+40×109/L)、rFVIIa(1 or 4μg/mL)、フィブリノゲン(1 or 3mg/mL)、あるいはrFVIIaとフィブリノゲンの併用のいずれかと混合されました。
凝固プロフィールは、組織因子(0.03 pmol/L)活性化のトロンボエラストメトリーで記録されました。
その結果、ITPでは、clotting time(CT)が延長し、maximum velocity (Max Vel)が低下し、maximum clot firmness CMCF)が低下していました。
これに対して、フィブリノゲンは何の効果もありませんでしたが、rFVIIaはCTを短縮しMax Velを上昇させました。
フィブリノゲンとrFVIIaの併用は有意な相乗効果を発揮し、全てのパラメーター(CT, MaxVel, MCF)を改善しました(血小板数著減状態にもかかわらず)。
以上、血小板数が著減したITP患者に対してrFVIIaとフィブリノゲンの併用は、血小板輸血に代わる治療になる可能性があると考えられました。
<リンク>
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:31
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特発性血小板減少性紫斑病(ITP)とセファランチン
論文紹介です。
参考:血友病、後天性血友病、rFVIIa、血栓止血の臨床(日本血栓止血学会HPへ)
「ITP治療におけるセファランチン大量療法の有用性-後方視的多施設共同研究-」
著者名:高畑むつみ、他。
雑誌名:臨床血液 53: 1983-1990, 2012.
<論文の要旨>
アルカロイド製剤であるセファランチンは、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)に対して大量投与することにより血小板増多が認められる例があることが1990年前後に報告され、現在も臨床的に用いられています。
今回、著者らは北海道内の血液診療科を対象にITPに対するセファランチン大量療法の調査を行い、47症例の臨床効果と有害事象の解析を行いました。
その結果、血小板数5万/μl以上の増加を認めた症例は21例(44%)であり、主治医が有用性ありと判断した症例は36例(77%)で、有害事象は認めませんでした。
また、セファランチン単独投与群と副腎皮質ステロイド(PSL)併用投与群の比較を行ったところ、両群で投与前に比べ有意に血小板数増加を認め、群間の有意差は認めませんでした。
セファランチン大量療法は安全性が高く、単独でも血小板増多を認める例があり、PSLの治療効果が不十分であったり減量中に増悪が見られる症例にはPSLと併用をするなど、ITP治療を行う上で使用を考慮する価値があると考えられました。
<リンク>
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:17
| 出血性疾患
呼吸器グループ紹介(6)金沢大学第三内科
呼吸器グループ紹介(5)金沢大学第三内科より続く。
呼吸器グループ(6)
呼吸器内科は患者様が多く、また重症であることも加わって、肉体的にも精神的にもタフな仕事だと思います。
その分、やり甲斐のある仕事だと思っています。
社会的なニーズも多く、関連施設の先生方からはもっと医師を派遣するようにという、お叱りに近いご要望も多くいただいております。
大学のスタッフ一同はBSLに回ってくる学生(5年生)、クリニカルクラークシップ(6年生)から、初期研修医、後期研修医の指導を積極的に行い、呼吸器内科の“おもしろいところ”、“やり甲斐”をわかってもらいたい、そして将来呼吸器内科を志望するように目指しています。
これらの活動は非常に重要で、将来にわたり北陸地区の呼吸器内科診療を、我々が中心的存在として支える上では必須です。
今後もご指導ご鞭撻をお願いいたします。
(文責 笠原寿郎)
(続く)呼吸器グループ紹介(インデックス)金沢大学第三内科へ
<リンク>
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:39
| 呼吸器内科
呼吸器グループ紹介(5)金沢大学第三内科
呼吸器グループ紹介(4)金沢大学第三内科より続く。
呼吸器グループ(5) 気道疾患グループ
慢性咳嗽、気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)に関して基礎的・臨床的研究を継続しています。
特に、これまで藤村先生が取り組んでこられた「アトピー咳嗽の確立」と「慢性咳嗽診療の標準化」について、さらにそれらを進化させていく責務を感じています。
咳嗽は、最も多い症状の一つであるにもかかわらず、その発生機序については未解明な所が多く課題の多い分野です。
アトピー咳嗽に関する基礎的研究は、岡崎先生が「好酸球性気道炎症に伴う咳感受性亢進に対するピルフェニドンの影響」について行い、鎮咳効果としてのピルフェニドンの新作用を発見しました(論文投稿中)。
また咳喘息の咳嗽発生機序に関する研究では、気管支平滑筋収縮に対する咳嗽過敏反応が咳喘息の基本病態の一つであること示しました(Respirology 2012)。
さらに気管支平滑筋収縮をトリガーとする咳嗽は、気管支平滑筋収縮の程度ではなく、平滑筋収縮からの回復の程度と関連するという面白いデータも出ています。
咳喘息から典型喘息に移行する機序解明のヒントになるかもしれません。
メサコリン誘発咳嗽測定が咳喘息診断に有用であることが明らかとなり、検査としての確立を目指しています。
また基礎的研究でも咳喘息の病態解明に取り組んでいるところです。
臨床研究では、多くの先生方にご協力いただいた多施設共同研究「咳喘息維持治療におけるロイコトリエン受容体拮抗薬と吸入ステロイド薬の比較試験」が終了し、咳喘息維持治療におけるロイコトリエン受容体拮抗薬の有用性が示されました。
なお他大学との共同研究も順調に進んでいます。
今後の課題は、気管支喘息・COPDについて新たな基礎的・臨床研究を行っていくことです。
(続く)呼吸器グループ紹介(6)金沢大学第三内科へ
<リンク>
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:30
| 呼吸器内科
呼吸器グループ紹介(4)金沢大学第三内科
呼吸器グループ紹介(3)金沢大学第三内科より続く。
呼吸器グループ(4) 間質性肺炎グループ
間質性肺炎の領域は、ピルフェニドン(商品名ピレスパ)が2008年に日本より発売され、これまで治療法がなかった特発性肺線維症(IPF)の世界に大きな変化が生まれました。
2011年にはIPFのガイドラインが改訂され、画像、病理学的診断がこれまで以上に系統だったものとなりました。
ただし、その中ではIPFに対して強く推奨されている薬剤はなく、その中でもピルフェニドンは状況によっては使えるとされてはいますが、治療の分野に関してはこれからのますますの発展が期待されます。
金沢大学をはじめ北陸地区が日本の中心となって進めているIgG4関連肺疾患に関しては、早稲田がこれまでに引き続き厚生労働科学研究難治性疾患克服研究事業研究症例分野「IgG4関連疾患に関する調査研究班」の研究協力員として呼吸器分野に関する特徴の解析を行っております。
2011年10月に開催された東京びまん性肺疾患研究会ではIgG4関連疾患をテーマとし、全国から集められた症例の病理画像臨床的検討を行い、2012年の日本呼吸器学会をはじめとする学会で共同研究の形で発表しました。
高戸先生は約半数が急速進行型間質性肺炎を来すと言われ、筋炎のない皮膚筋炎の抗体である抗CADM140抗体に注目し、その臨床、画像、生理機能的特徴に関する検討を行っております。
基礎的研究では、渡辺先生は「移植後閉塞性細気管支炎(BO)に対するc-kitの役割」をテーマに研究を開始しました。
(続く)呼吸器グループ紹介(5)金沢大学第三内科へ
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:23
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呼吸器グループ紹介(3)金沢大学第三内科
呼吸器グループ紹介(2)金沢大学第三内科より続く。
呼吸器グループ(3) 肺癌グループ
2012年の米国臨床腫瘍学会(ASCO)ではimmune checkpointsに関わる大きな情報が発表されました。
腫瘍免疫の主体であるTリンパ球の調節因子であるPD-1という蛋白に対する抗体が特定の症例ではあるものの非常に大きな効果を発揮することです。
我々は従来腫瘍免疫についてはあまり勉強してこなかったのですが(今までは効かなかったので)、中尾教授はこの道でも先達であられますので、ご指導いただきながら研究を進めていきたいと思っています。
臨床面では数多くの臨床試験に参加できるようになりました。
前述のIPASSを含めたEFGR-TKIの臨床試験や新しい分子標的治療薬の臨床試験に参加し、症例をエントリーしています。
エントリー数ではまだトップとまではいきませんが、それでもBest 15には入るようになり、国立大学機構の中だけで数えるとトップ3には入っています。
これは病棟を担当している研修医、指導医、上級医、外来担当医がすべて一致協力してくれた賜物と思っています。ここで感謝申し上げます。
またin house(グループ主導)の臨床試験として、EGFR遺伝子変異陰性非小細胞肺癌に対するErlotinibの有用性予測因子を探索する第II相試験、高齢者非小細胞肺がんに対するPEMとPEM+ベバシズマブの無作為化第II相試験、TS-1の維持療法の第II相試験など進行してきています。
肺癌化学療法は個別化医療へと向かっていると考えられますので、我々独自のデータを発信できるように皆、頑張っています。
(続く)呼吸器グループ紹介(4)金沢大学第三内科へ
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:17
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呼吸器グループ紹介(2)金沢大学第三内科
呼吸器グループ紹介(1)金沢大学第三内科より続く。
呼吸器グループ(2) 肺癌グループ
21世紀になって肺癌の薬物療法は飛躍的な変化を遂げました。
その第一が2002年に臨床応用された上皮成長因子受容体(Epidermal Growth Factor Receptor, EGFR)阻害剤のゲフィチニブでしょう。
ゲフィチニブはEGFR遺伝子変異陽性の肺癌には著効を示すが、陰性の症例にはほとんど効果がないことが、我々のグループも参画したIPASS試験から明らかになっています。
一方で目覚ましい腫瘍縮小効果が得られても、1年前後ほどで耐性化し、次の治療法を選択しなければなりません。
酒井先生はこの問題を基礎的な観点から耐性克服に挑戦し、cMetという蛋白の過剰発現が原因でEGFR阻害剤が耐性となった肺癌細胞株を用いて、細胞障害性抗がん剤であるイリノテカンの標的分子のTopoisomerase Iが過剰発現していることを見出し、イリノテカンが高感受性になることを報告しました(Journal of Thoracic Oncology: 2012, 7. 1337–1344)。
この研究成果をもとに、現在黒川先生は、このcMet蛋白発現とTopoisomerase I蛋白発現の関連を普遍化すべく検討していて、近々結果が出てくることと思います。
イリノテカンは非小細胞肺癌のみならず、小細胞肺癌でもよく用いられています。
むしろ小細胞肺癌でこそ使用頻度が多く、cMet蛋白とTopoisomerase I蛋白発現の関連は興味深いところです。
池田先生はこの点に着目し、小細胞肺癌の生検材料を用いてcMetとTopoisomerase I蛋白発現の関連を解析しました。
この解析からcMetの活性状態(リン酸化Met)とTopoisomerase I発現の間に関連のあることを証明しました。
面白いことにcMetは小細胞肺癌の予後因子であることも同定されました。
(続く)呼吸器グループ紹介(3)金沢大学第三内科へ
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:05
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呼吸器グループ紹介(1)金沢大学第三内科
金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会報の原稿からです。
今回は、呼吸器グループの研究室報告です。
呼吸器グループ(1)
平成24年度の呼吸器グループの最大の変化は、チーフであった藤村政樹先生が国立療養所七尾病院の院長として栄転されたことでしょう。
言うまでもなく、藤村先生は当呼吸器グループを指導していただき、数多くの業績を上げてこられました。
気管支喘息の治療方針、アトピー咳嗽、咳喘息に代表される咳の診断・治療・研究は、まさに藤村先生の情熱の結晶であったと思います。改めて敬意を表し、御礼を申し上げます。
今年度は、笠原がチーフとして教官として、片山先生(講師・病棟医長)、曽根先生(特任教授)、大倉先生(助教)に加え、早稲田先生が助教に昇格して、5名の教官を中心に呼吸器グループの運営、研究、教育、診療にあたっています。
病棟担当医は谷まゆ子先生、山村健太先生、渡辺知史先生、松井知治先生の4名が中心となって活躍しています。
黒川先生、岡崎先生には学位研究をしていもらい、阿保未来先生、高戸葉月先生には外来を中心に診療してもらっています。
総勢で13名、多くはありませんが、時に楽しく、時に厳しく、忙しい日々を送っています。
それぞれに肺癌グループ、間質性肺疾患グループ、気道疾患グループに分かれ、サブスペシャリティーを発揮して活動しています。
(続く)呼吸器グループ紹介(2)金沢大学第三内科へ
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:03
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小松市民病院(インデックス):金沢大学第三内科
国民健康保険小松市民病院(4):金沢大学第三内科より続く。
国民健康保険小松市民病院(インデックス)
1)内科の現状
2)呼吸器内科の奮闘
3)救命救急センターの開設
4)魅力的な呼吸器内科
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:09
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国民健康保険小松市民病院(4):金沢大学第三内科
国民健康保険小松市民病院(3):金沢大学第三内科より続く。
国民健康保険小松市民病院(4)
1つ目のトピックは暗いものになりましたが、2つ目は明るい話題です。
当院で研修している初期研修医の寺田先生が3年目から呼吸器内科への入局を決めてもらえたことです。
もともと内科志望と聞いておりましたが、上記に述べたように、我々の姿は、他の医師と比較しても、決して楽そうには見えないはずです。
それでも呼吸器内科を選んでくれたことは、非常に大きな喜びです。
1年目のうちは「呼吸器を考えている」と言っていた研修医が、「呼吸器って大変そうですね……」と言って次々と離れていったり、看護師から「なんでこんな大変な科を選んだのですか?」と困った質問をされたり、まだまだ呼吸器内科のイメージは決して良くないのかもしれません。
しかし、大変な中でも(多少やせ我慢をしているかもしれませんが)、常に新しいことを取り入れながら、活動的に楽しく仕事をするということをモットーにしてやっています。
それを続けることで、呼吸器内科がより魅力的になると信じて日々努力しております。
写真は、呼吸器内科の所属病棟である6病棟のものですが、その他あらゆる部署で、看護師、薬剤師、ソーシャルワーカー、医療事務員など多くの力を借りて仕事をしており、非常に助かっております。
「魅力的な呼吸器内科」を目指している成果かどうかは分りませんが、非公式な調査によれば、6病棟への異動希望が最近になって増えてきているようです。
これに合わせて、呼吸器内科医を希望する医師も、さらに増えていけばいいなと祈願したところで、この病院紹介を締めさせていただきたいと思います。
(続く)小松市民病院(インデックス):金沢大学第三内科へ
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:02
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国民健康保険小松市民病院(3):金沢大学第三内科
国民健康保険小松市民病院(2):金沢大学第三内科より続く。
国民健康保険小松市民病院(3)
ここからは、当院でのトピックを2つほど。
1つ目は、2013年1月から、当院に救命救急センターが開設されることとなったことです。
2012年9月時点でまだ細かな運用は決まっておりませんが、これまでの救急体制から変わる点が二つあります。
ひとつは、内科系当直をしていた皮膚科、精神科、放射線科、小児科が救命救急センターの当直から外れることです。
そうなった場合、内科のみで当直を回すしかなく、試算のうえでは、当直回数がこれまでの倍近くとなり、本当にこれでやっていけるのか戦々恐々としております。
もうひとつは、周囲の病院に、適度に分散されていた救急車が当院に集中してしまうかもしれないということです。
これまでは、状況に応じて、ある程度救急車を断ることがあったのですが、今後は常に内科医が当直をすることとなり、他院も当院に頼ることが多くなるため、当直業務がかなり厳しくなるのではないかと恐れております。
(続く)国民健康保険小松市民病院(4):金沢大学第三内科へ
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:55
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国民健康保険小松市民病院(2):金沢大学第三内科
国民健康保険小松市民病院(1):金沢大学第三内科より続く。
国民健康保険小松市民病院(2)
当院で内科の入院患者数は100人前後といったところですが、呼吸器内科の入院患者数は約25人前後です。
医師一人当たりの患者数はほぼ常に呼吸器内科がトップなのですが、これは、他の内科の先生方に肺炎や結核の主治医をお願いしたうえでの数字です。
南加賀地区で呼吸器内科の常勤は当院のみということもあり、「呼吸器内科疾患全てをカバーしながら、一定以上の専門性も保つ」という一見相反する目標ではありますが、それが当院での呼吸器内科としての役割と考えております。
このため、比較的専門性の低い患者さんに関しては、他の内科の先生にお任せせざるを得ない、非常に心苦しい現状ではありますが、なんとか理解を示していただいております。
外来に関しては、肺癌の外来化学療法およびフォローの患者さんや、間質性肺炎、非結核性抗酸菌症の割合が周囲の病院と比較して多いように思われます。
喘息やCOPDで安定している患者さんに関しては、周囲の開業医の先生方や、やわたメディカルセンター、芳珠記念病院、加賀市民病院などの呼吸器内科非常勤の先生にお願いせざるを得ないのが現状です。
(続く)国民健康保険小松市民病院(3):金沢大学第三内科へ
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:53
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第35回日本造血細胞移植学会総会(金沢)会長:中尾眞二
多くの皆様のご参加をお待ちしています。
第35回日本造血細胞移植学会総会
フェイスブック(1):www.facebook.com/jshct35kanazawa
フェイスブック(2): www.facebook.com/kanazawa3nai
2013.3.7.〜3.9.
石川県立音楽堂
ANAクラウンプラザホテル金沢
ホテル日航金沢
金沢市アートホール
会長:中尾眞二
金沢大学医薬保健研究域医学系細胞移植学(血液・呼吸器内科)教授
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:56
| 研究会・セミナー案内
第35回 日本造血細胞移植学会総会(金沢)
好天にも恵まれ、全国から多くの皆様にご参加いただきました。
ありがとうございました。
多くの温かいお言葉をいただきました。感謝申し上げます。
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:31
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国民健康保険小松市民病院(1):金沢大学第三内科
金沢大学第三内科同門会原稿からです。
病院紹介です。
国民健康保険小松市民病院(1)
呼吸器内科 医長 丹保 裕一
当院は昭和25年11月に市立小松病院という名称で開設されました。
その後平成元年4月に現在の向本折町に移転したと同時に、現在の国民健康保険小松市民病院と名称が変更されました。
病床数は364床で、一般病床が300床、精神科病床が50床、結核病床が10床、感染症病床が4床の内訳です。
小松市民病院は南加賀地区(小松市、加賀市、能美市、川北町)の中核病院で、人口約237,000人をカバーしています。
医師数は研修医を合わせて約60人と、中核病院としての役割を果たすには決して多くない人数かもしれません。
内科に関しては、呼吸器内科が2人で、その他消化器内科5人、循環器内科5人、内分泌代謝内科2人、腎臓内科1人の内訳になっています。
血液内科、神経内科の常勤医が不在であり、非常勤の先生方には、大変ご苦労いただいております。
また、日中の救急、夜間の当直に関しても、当院のみでカバーすることがやや困難であり、第2内科の先生方が、週替わりで来ていただいておりますので、非常に助かっております。
(続く)国民健康保険小松市民病院(2):金沢大学第三内科へ
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:27
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NTT西日本金沢病院(インデックス):金沢大学第三内科
NTT西日本金沢病院(3):金沢大学第三内科関連病院より続く。
NTT西日本金沢病院(インデックス)
1)かつての逓信病院
2)常勤の内科医がすべて血液内科医
3)スタッフが丁寧で優しい
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:18
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NTT西日本金沢病院(3):金沢大学第三内科関連病院
NTT西日本金沢病院(2):金沢大学第三内科関連病院より続く。
NTT西日本金沢病院(3) by 村田了一(平成8年入局)
(検査科)
小規模な病院ゆえのゆったりとした雰囲気はスタッフの人柄にも表れ、「看護師をはじめとしたスタッフが丁寧で優しい」ことをしばしば患者様よりお褒めにあずかります。
私が当院を紹介する際に最も誇りに思うことでもあります。
単に医療を提供するだけではなく、患者様やご家族に信頼感や親近感をもってもらうということ。
それは長患いとなり「病院に命を預ける」という感覚の強い血液悪性疾患において、非常に重要な要素だと私見ではありますが思っています。
当院の問題点として、病院の規模や設備面から提供できない医療が残念ながら多々存在することがあげられます。
標榜診療科も少なく、専門医の診察が必要でありながらPS不良により他院の受診もできず、主治医が自らの判断で戦々恐々と自分の専門外の診断、治療を請け負うことも少なくありません。
すべての血液悪性疾患が完治できるわけではない以上、高度な先進医学よりあたたかな看護をより必要としている患者様はたくさんおられます。
上述の問題を抱えながらも、当院でしか提供できない医療をこれからも続けていきたいと思います。
(続く)NTT西日本金沢病院(インデックス):金沢大学第三内科へ
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:18
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NTT西日本金沢病院(2):金沢大学第三内科関連病院
NTT西日本金沢病院(1):金沢大学第三内科関連病院より続く。
NTT西日本金沢病院(2) by 村田了一(平成8年入局)
(3階ナースセンター)
佐賀院長先生を除いた常勤の内科医がすべて血液内科医という特殊な人員構成により、それぞれが独立したエコシステムを持つ総合病院とは異なり、大学病院血液内科のいわば別館のような役割を有する点が当院の最大の特徴といえます。
満床であることが多い大学病院で入院待ちをする患者様を受け入れ、一方では同種骨髄移植等の高度な医療を必要とする症例をお願いし、月に2回の中尾教授回診も行われるなど、距離的にも診療内容的にも大学と非常に近しい病院です。
内科の割り当て病床数はおよそ60床前後です。
89床のうちの60床ほどが血液悪性疾患で占められる病院は全国的にも少ないと思われます。
このため総合病院で多く見られる混合病棟とは異なり内科病棟はすべて血液内科となるため、専門性の高い看護が期待できます。
化学療法特有の副作用や免疫不全症例への対処、化学療法に関する患者様への丁寧な説明・指導、末梢血像の詳細な鏡検など、看護部、薬剤部、検査科それぞれから手厚いサポートを受け当院の診療は回っています。
(続く)NTT西日本金沢病院(3):金沢大学第三内科関連病院へ
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:53
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NTT西日本金沢病院(1):金沢大学第三内科関連病院
金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)関連病院であるNTT西日本金沢病院の紹介です。
この記事は、金沢大学第三内科同門会報からの流用です。
NTT西日本金沢病院(1) by 村田了一(平成8年入局)
(内科外来ナースセンター)
(2階ナースセンター)
東山や主計町など昔ながらの金沢が色濃く残る地区に隣接した旧尾張町(現下新町)に、かつての逓信病院であった頃から当院は存在します。
大通りから一本入った裏路地にひっそりと佇み、こんなところに病院があったのかと驚かれることもしばしばです。
病院の裏手にある緑水苑や浅野川の流れは長期入院になりがちな当院の患者様の目を楽しませ、恵まれた立地にあるといえます。
当院は89床の小規模な病院です。
常勤医を有する診療科は内科、外科、整形外科、眼科であり、循環器内科、呼吸器内科、耳鼻科、皮膚科は大学から派遣される先生方に御助力いただき外来診療を行っています。
内科に関しては第三内科より週2回の外来診療の応援も受けています。
NTT西日本の関連病院であるため、NTT職員の人間ドックも重要な収入源となっています。
(続く)NTT西日本金沢病院(2):金沢大学第三内科関連病院へ
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:45
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