金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)病棟クリスマスコンサート3
金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)病棟クリスマスコンサート(1) へ
続いて医局のバイオリニストである先生が登場し、医学部5年生の学生さんをゲストに迎えて「パッヘルベルのカノン」をピアノを加えたアンサンブルで演奏しました。
その後、女性スタッフによる「ハナミズキ」、男性スタッフによる「サライ」の合唱があり、最後に患者様とともに「見上げてごらん夜の星を」を合唱しました。
サンタクロースに扮した教授から患者様にプレゼントが配られ、惜しまれつつもコンサートは終了しました。
このコンサートは医局では初の試みでしたが、一足早いクリスマスを満喫できて皆さんとても喜こばれていました。恒例の行事になったらいいですね。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:24
| その他
血液内科問題(汎血球減少):(兼)医師国家&専門医 試験対策
金沢大学 血液学系統講義試験の問題紹介を続けたいと思います。
今回は、汎血球減少(関連記事:汎血球減少のマネジメント:特に骨髄不全について)に関する問題(骨髄像付き)です。
13.48歳の男性。5年前から貧血を指摘されていたが放置していた。1年前から易疲労感と動悸が激しくなり近医を受診した。汎血球減少を認めたため、赤血球輸血を2単位施行された後、紹介入院となった。
血液所見:赤血球327万/μl, Hb 9.4g/dl , Ht 33.4%, 網赤血球4.0万/μl, 白血球900/μl(好中球15%,リンパ球82%, 単球3%), 血小板3.6万/μ1、LDH 220 IU/L (基準値120-214)、総ビリルビン 1.0 mg/dl.骨髄塗抹標本を上図に示す。
13-1考えられる診断はどれか。1つ選べ。
a. 再生不良性貧血
b. 骨髄異形成症候群
c. 低形成性白血病
d. 巨赤芽球性貧血
e. 血球貪食症候群
13-2 適切な治療はどれか。1つ選べ。
a. ビタミンB12投与
b. 副腎皮質ステロイド薬投与
c. インターフェロン投与
d. 無治療経過観察
e. 造血幹細胞移植
正答)
13-1:b
13-2:e
正答率)
13-1:64.6%
13-2:70.8%
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後天性血友病の発症頻度
後天性血友病は、100万人に1人の発症頻度と言われてきましたが、そうではなくもっと発症頻度が高いのではないかと思っています(後天性血友病(2):病態、疫学、発症率)。
当科での経験、または当科にご紹介いただいた症例のみでも、近年、相当数を経験させていただきました。
この疾患は、後天性血友病ではないかと疑わないと、なかなか診断に到達いたしません。血液内科のみならず、全ての臨床医にインプットしておいていただきたい重要疾患ではないかと思います(参考:クロスミキシング試験)。
今回紹介させていただく論文は、当科からのものですが、ご容赦くださいませ。
「高齢者に発症した後天性血友病の2例」
著者名:林 朋惠 ほか。
雑誌名:日本老年医学雑誌 47: 329-333, 2010.
<論文の要旨>
後天性血友病Aは凝固第VIII因子(以下FVIIIと略す)に対する自己抗体によって起こるまれな出血性疾患であり、高齢者に発症しやすいです。今回、半年の間に高齢者に発症した同疾患を2例経験したので報告します。
症例1:66歳、男性、脳出血発症後リハビリ中に筋肉内出血を認めました。APTT 100.3秒、FVIII活性<1%、FVIIIインヒビター力価42 BU/mlより後天性血友病と診断。プレドニゾロン(以下PSLと略す)50mg/日開始にて症状は改善しましたが、PSLの減量に伴いインヒビター力価が再上昇したため、PSL20mg/日にて免疫抑制療法を再開しインヒビターは消失しました。基礎疾患は特定できませんでした。
症例2:85歳、男性、進行胃癌あり、広範な皮下出血を認め当科紹介。APTT 75.1秒、FVIII活性2%、FVIIIインヒビター力価64 BU/mlより後天性血友病と診断。PSL20mg/日投与(止血治療として活性型プロトロンビン複合体製剤使用)が約8週間になる頃よりAPTTの短縮傾向、約12週でFVIII活性の上昇、インヒビターの消失がみられ、PSL継続のまま胃癌手術を施行、現在も寛解を維持しています。
同じ後天性血友病ながら2例の免疫抑制療法に対する反応は大きく異なっていました。基礎疾患の相違によると考えられますが、治療反応の悪かった症例2では患者の状態も悪く、免疫抑制療法の副作用である感染症のリスクが高い状態が続きました。
高齢者、特に基礎疾患に悪性腫瘍を有する後天性血友病A患者の診断、治療は非常に複雑であり、今後、個々の症例により柔軟な対応をすべく、さらなる症例の蓄積が重要と考えられました。
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血液内科問題(貧血の診断と治療):(兼)医師国家&専門医 試験対策
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今回は、貧血の診断と治療に関する問題(骨髄像付き)です。
68歳の女性が労作時の息切れと舌痛を訴えて来院した。
血液検査では白血球数2900/μl, 赤血球数184万/μl,ヘモグロビン7.9 g/dl,ヘマトクリット22.9%,血小板数5.5万/μl, 網状赤血球数 3.0万/μL, LDH780 IU/ L (基準値120-214)であった。
骨髄像を以下に示す。
1)診断は何か。
2)治療として適切なものは以下のうちどれか。1つ選べ.
a. ビタミンB12の皮下注
b. 免疫抑制療法
c. 赤血球輸血
d. 抗白血病化学療法
e. 副腎皮質ステロイド
正答)
1)巨赤芽球性貧血、megaloblastic anemia、悪性貧血、pernicious anemia のいずれでも可。
2)a
正答率)
1)84.4%
2)79.2%
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血液内科問題(貧血):(兼)医師国家&専門医 試験対策
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今回は、貧血などに関する問題です。
2.フェリチンに関する記載で誤りはどれか?1つ選べ。
a. 鉄の過剰状態では翻訳が亢進する。
b. 鉄欠乏状態では血清フェリチン値は低下する。
c. アポフェリチンと鉄とのcomplexである。
d. 肝炎や膵炎では増加する。
e. ヘプシジンが増える状況では血清フェリチンは低下する。
正答)e
関連記事:鉄キレート療法:MDS、再生不良性貧血 へ
正答率)54.2%
3.鉄欠乏性貧血に関する記載のうち誤りはどれか。1つ選べ.
a. 異食症や嚥下困難はしばしばみられる症状である。
b. 多くの場合は検診で発見される。
c. 原因の検索がもっとも重要である。
d. フェリチンの正常化を目標に鉄剤を内服させる。
e. ヘリコバクター・ピロリ感染と関係がある。
正答)a
正答率)54.2%
4.特殊染色に関する次の記載のうち誤りはどれか。1つ選べ.
a. エステラーゼ染色は単球と顆粒球を染める染色である。
b. ズダンブラック染色の意義はペルオキシダーゼ染色と同じである。
c. 好中球アルカリフォスファターゼスコアは慢性骨髄性白血病や発作性夜間ヘモグロビン尿症で低値を示す。
d. 急性骨髄性白血病と診断された患者の白血病細胞は通常ほとんどがペルオキシダーゼ陽性となる。
e. 鉄染色で観察する血球は主に赤芽球である。
正答)d
正答率)66.7%
5.再生不良性貧血に関する記載の中で誤りはどれか。1つ選べ.
a. 特発性のものが大部分を占める。
b. 骨髄異形成症候群の不応性貧血との鑑別が困難なことがある。
c. 胸腰椎のMRIは骨髄細胞密度の評価に有用である。
d. HLA一致同胞ドナーがいない場合、第一選択はHLA一致非血縁ドナーからの骨髄移植である。
e. 発作性夜間ヘモグロビン尿症に移行する例がある。
正答)d
正答率)60.4%
6.溶血性貧血に関する記載の中で正しいのはどれか。1つ選べ.
a. 球状赤血球症ではほとんどの赤血球が球状化している。
b. PNH患者でGPIアンカー膜蛋白が欠損しているのは主として赤血球である。
c. 自己免疫性溶血性貧血における間接クームズ試験陽性は,特発性血小板減少性紫斑病のPAIgG陽性に相当する.
d. もっとも鋭敏な溶血のマーカーはLDHの上昇である。
e. 伝染性紅斑の流行時には貧血の進行に注意が必要である。
正答)e
正答率)45.8%
7.貧血についての結びつきのうち誤りはどれか。1つ選べ。
a. 鉄芽球性貧血 — 環状赤芽球 — 血清鉄の上昇
b. 症候性貧血 — 甲状腺機能低下症 — 血清鉄の低下
c. 骨髄異形成症候群 — 大球性貧血 — 無効造血
d. 赤芽球癆 — 網赤血球の減少 — 胸腺腫
e. PNH — LDHの上昇 — 高率に白血病に移行
正答)e
正答率)58.3%
8.治療法で正しい結びつきはどれか.1つ選べ。
(1) 発作性夜間ヘモグロビン尿症 ― C5に対するモノクローナル抗体
(2) 赤芽球癆 ― メトトレキサート
(3) サラセミアマイナー ― 同種骨髄移植
(4) 遺伝性球状赤血球症 ― 摘脾
(5) 自己免疫性溶血性貧血 ― 副腎皮質ステロイド
a (1), (2), (3) b (1), (2), (5) c (1), (4), (5) d (2), (3), (4) e (3), (4), (5)
正答)c
正答率)91.7%
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血液内科問題(悪性リンパ腫):(兼)医師国家&専門医 試験対策
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今回は、悪性リンパ腫に関する問題です。
9.リンパ腫に関する記載の中で誤りはどれか。1つ選べ。
a. 日本では非ホジキンリンパ腫のうちT細胞型の占める割合が欧米よりも高い。
b. ホジキン病では発熱や炎症反応を伴うことが多い。
c. 濾胞性リンパ腫の頻度は増加傾向にある。
d. ホジキン病は治癒させ得るが,非ホジキン病では通常治癒は望めない。
e. 免疫不全に伴うEBウイルス関連リンパ腫が増加している。
正答)d)
正答率)72.9%
10.リンパ増殖性疾患について正しい結びつきはどれか。1つ選べ。
a. ホジキンリンパ腫 — 無痛リンパ節腫大 — 多中心性
b. T細胞リンパ腫 — R-CHOP療法 — LHDの増加
c. CLL — 高齢者 — 脾腫
d. 成人T細胞性白血病/リンパ腫 — 高Ca血症 — 予後良好
e. バーキットリンパ腫 — t(14;18) — 予後不良
正答)c)
正答率)39.6%
11.びまん性大細胞型B細胞リンパ腫に関する以下の記載のうち誤りはどれか。1つ選べ。
a. 胚中心細胞(GCB)タイプの予後は非胚中心細胞(non-GCB)タイプに比べて良好である。
b. 中枢神経原発に対しては高用量メトトレキサート療法が行われる。
c. 非ホジキンリンパ腫全体の約4割を占める。
d. 早期の胃原発リンパ腫に対しては手術療法が適用される。
e. リツキシマブを併用したCHOP療法により予後が有意に改善された。
正答)d)
正答率)88.5%
12.リンパ腫の国際予後因子(international prognostic index :IPI)の項目でないものはどれか。2つ選べ.
a. 年齢
b. 血清可溶性インターロイキン2受容体(sIL-2R)値
c. 節外病変数
d. Bulky mass(>10 cm)の有無
e. Ann Arbor分類による病期
正答)b)d)
正答率)92.7%
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:06
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血液内科問題(急性白血病):(兼)医師国家&専門医 試験対策
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今回は、急性白血病に関する問題です。
14.急性白血病の診断方法について誤っているものはどれか。1つ選べ。
a) WHO分類では芽球比率が20%以上のものを急性白血病と定義している。
b) Auer小体を認めれば急性リンパ性白血病は否定してもよい。
c) 芽球のミエロペルオキシダーゼ染色陽性率が3%未満であれば急性リンパ性白血病と診断してもよい。
d) 単球系の細胞は非特異的エステラーゼ染色に染まる。
e) 急性前骨髄球性白血病の診断には染色体検査が有用である。
正答) c)
正答率) 61.4%
15.急性白血病の治療に用いる抗がん剤と代表的な副作用の組み合わせで誤っているものはどれか。1つ選べ。
a) ダウノルビシン − 腎機能障害
b) シタラビン(大量投与) ― 小脳失調症
c) ビンクリスチン ― 末梢神経障害
d) L-アスパラギナーゼ ― アレルギー反応
e) メトトレキサート ― 口内炎
正答) a)
正答率) 44.8%
16.急性白血病の予後について誤っているものはどれか。1つ選べ。
a) Core binding factor(CBF)関連白血病は正常核型の急性骨髄性白血病に比べて予後良好である。
b) 急性前骨髄性白血病は播種性血管内凝固症候群の合併頻度が高いため予後不良である。
c) 正常核型の急性骨髄性白血病であってもFLT-3遺伝子変異を有する場合は通常予後不良である。
d) 成人の急性リンパ性白血病は再発しやすい。
e) フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病はメシル酸イマチニブの併用により治療成績が著しく向上した。
正答) b)
正答率) 59.3%
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:46
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金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)病棟クリスマスコンサート2
女性医師チームがハンドベルでドリカムの「LOVE LOVE LOVE」を美しい音色で奏で、コンサートが開始となりました。
続いて三味線による「きよしこの夜」、ピアノによるモーツアルトの小品が演奏されました。
三味線を演奏した女性医師は、習い始めて数ヶ月しか経っていないにも関わらず、ご自身で三味線用に編曲されたそうです。
ピアノ演奏ではスウェーデンからの留学生が特別ゲストとして出演してくれました。長身のため、とてもサンタの衣装が似合っていました。
(続く)
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金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)病棟クリスマスコンサート1
金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)の病棟である6階病棟で、患者様へのささやかなクリスマスプレゼントとしてクリスマスコンサートが開催されました。
開始2時間前から仕事の合間にスタッフで協力して、6階デイルームにクリスマスの飾り付けを行い、コンサートの会場作りをしました。
具体的な内容は、次回の記事になります。乞う、ご期待です。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:30
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血液内科問題(骨髄増殖性疾患&骨髄腫):(兼)医師国家&専門医 試験対策
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今回は、骨髄増殖性疾患、多発性骨髄腫などに関する問題です。
17. 疾患名と症状・合併症の組み合わせで誤っているものはどれか。1つ選べ。
a) 慢性骨髄性白血病 ― 胃潰瘍
b) 本態性血小板血症 ― 一過性脳虚血発作
c) 原発性骨髄線維症 ― 巨舌
d) 多発性骨髄腫 ― 圧迫骨折
e) 原発性マクログロブリン血症 ― 眼底のソーセージ様静脈怒張
正答)c)
正答率)81.3 %
18. 疾患名と検査所見の組み合わせで不適切なものはどれか。1つ選べ。
a) 慢性骨髄性白血病 ― JAK2遺伝子変異陽性
b) 真性多血症 ― 血清エリスロポエチン値の低下または正常
c) 本態性血小板血症 ― 巨核球の増加
d) 骨髄線維症 ― 涙滴赤血球
e) 多発性骨髄腫 ― 正常免疫グロブリン値の低下
正答)a)
参考:骨髄増殖性疾患と血栓症へ
正答率) 81.3 %
19. 初回治療としては通常選択しないものはどれか。1つ選べ。
a) 慢性期の慢性骨髄性白血病 ― イマチニブ
b) めまいを伴う真性多血症 ― 瀉血
c) 血栓症状を伴う本態性血小板血症 ― 低用量アスピリン
d) 貧血症状の強い原発性骨髄線維症 ― 蛋白同化ホルモン
e) 若年の多発性骨髄腫 ― 同種末梢血幹細胞移植
正答)e)
正答率) 57.3 %
20.多発性骨髄腫の治療に用いない薬剤はどれか。1つ選べ。
a) メルファラン
b) ハイドロキシウレア
c) サリドマイド
d) レナリドミド
e) ボルテゾミブ
正答)b)
参考:多発性骨髄腫と血栓症へ
正答率) 74.0%
21. 多発性骨髄腫に関する記述で誤っているものはどれか。1つ選べ。
a) 高齢者に多い。
b) 高カルシウム血症を伴う場合は治療を要する。
c) G-band法による染色体検査では染色体異常の検出率は高い。
d) 血清アルブミン値と血清β2-ミクログロブリン値を組み合わせることによって予後予測が可能である。
e) MGUSが進展して発症する例もある。
正答)c)
正答率) 88.5 %
22.POEMS症候群の5徴に含まれない所見はどれか。1つ選べ。
a) 中枢神経障害
b) 臓器腫大(肝脾腫など)
c) 内分泌異常(耐糖能低下・無月経など)
d) M蛋白血症
e) 皮膚症状(色素沈着・剛毛など)
正答)a)
正答率) 82.3 %
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:01
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血液内科問題(出血&血栓):(兼)医師国家&専門医 試験対策
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今回は、出血性疾患なのか、血栓性疾患のなのか、その両者がみられるのかを問う問題です。
下記の疾患のうち出血、血栓の両者がみられる疾患・病態はどれか。1つ選べ。
a) HELLP症候群
b) Bernard-Soulier症候群
c) 高ホモシステイン血症
d) 先天性α2プラスミンインヒビター(α2PI)欠損症
e) 高プラスミノゲンアクチベータインヒビター(PAI)血症
(正答) a)
(正答率)94.8 %
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血液内科問題(抗リン脂質抗体症候群):(兼)医師国家&専門医 試験対策
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今回は、抗リン脂質抗体症候群(APS)に関する臨床問題です。
典型的な抗リン脂質抗体症候群(APS)に関する記載内容として、正しいものはどれか。1つ選べ。
a) 抗カルジオリピン抗体が陰性であれば、APSを否定できる。
b) APS患者血漿:コントロール血漿=1:1の混合血漿で、凝固時間の延長が是正される。
c) 動脈血栓症では心筋梗塞が最も多い。
d) 習慣性流産の若年女性に対しては、妊娠判明後ワルファリンとヘパリンによる抗血栓療法を行う。
e) リン脂質依存性凝固時間が延長する。
(解説)
a)抗カルジオリピン抗体が陰性であっても、ループスアンチコアグラント(LA)が陽性であれば、APSの可能性がある。
b) APS患者血漿:コントロール血漿=1:1の混合血漿で、凝固時間の延長は是正されない。なお、凝固因子欠乏の場合には、是正される(参考:クロスミキシングテスト(混合試験))。
c)動脈血栓症では脳梗塞が最も多い(参考:抗血栓療法)。心筋梗塞は少ない。
d)ワルファリンは催奇形性の副作用があるため、挙児希望の女性には使用できない。
e)典型的なAPSでは、APTTなどのリン脂質依存性凝固時間が延長する。
(正答) e)
(正答率)77.1%
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血液内科問題(DIC):(兼)医師国家&専門医 試験対策
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今回は、播種性血管内凝固症候群(DIC)に関する臨床問題です。
管理人の予想に反して、この問題の正答率は若干低めでした。80%以上の正答率を予想していましたので、やや残念です。。。
播種性血管内凝固症候群(DIC)の記載として正しいものはどれか。1つ選べ。
a) PT、フィブリノゲン、血小板数ともに正常であれば、DICを否定できる。
b) 線溶抑制型DICでは、血中プロトロンビンフラグメント1+2(F1+2)が正常である。
c) 固形癌に合併したDICでは、血中トロンビン-アンチトロンビン複合体(TAT)が正常である。
d) 敗血症に合併したDICでは、フィブリノゲンが著減する。
e) 急性前骨髄球性白血病に合併したDICでは、血中プラスミン-α2プラスミンインヒビター複合体(PIC)が著増する。
(解説)
a) PT、フィブリノゲン、血小板数ともに正常であっても、FDPが著増していればDICである場合がある(参考:Dダイマーとは)。
b) 線溶抑制型DICであっても、あるいは他の病型のDICであっても、DICであれば、凝固活性化マーカーである血中プロトロンビンフラグメント1+2(F1+2)は上昇する。
c) DICでは、どのような基礎疾患に合併したDICであっても、血中トロンビン-アンチトロンビン複合体(TAT)は上昇する。
d) 敗血症では強い炎症反応のため、フィブリノゲンは上昇する(フィブリノゲンは炎症反応として上昇する)。DICを合併してもフィブリノゲンはあまり低下しない(参考:敗血症に合併したDICの発症機序)。
e) 急性前骨髄球性白血病(APL)は、著しい線溶活性化をきたす。線溶活性化マーカーである血中プラスミン-α2プラスミンインヒビター複合体(PIC)は著増する。
(正答) e)
(正答率)70.8%
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血液内科問題(TTP&HUS):(兼)医師国家&専門医 試験対策
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今回は、TTP&HUSに関する臨床問題です。
血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)および溶血性尿毒症症候群(HUS)の両者に共通した所見の記載として正しいはどれか。1つ選べ。
a) 血中Dダイマーの上昇
b) ク−ムス試験陽性
c) vWF切断酵素活性の著減
d) 直接ビリルビンの上昇
e) 血清LDHの上昇
(解説)
a) 血中Dダイマーの上昇は、播種性血管内凝固症候群(DIC)でみられる所見である。
b) ク−ムス試験は、TTP&HUSのいずれにおいても陰性である。
c) vWF切断酵素(ADAMTS 13)活性の著減は、典型的TTP症例においてみられる所見であるが、HUSにおいてはみられない。
d) TTP&HUSにおいては、直接ビリルビンではなく、間接ビリルビンが上昇する。
e) 正しい。
(正答) e)
(正答率)94.8%
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血液内科問題(血栓止血の臨床):(兼)医師国家&専門医 試験対策
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今回は、血栓止血の臨床に関する臨床問題です。
血栓止血関連疾患の治療に関する記載として正しいのはどれか。1つ選べ。
a) 心原性脳塞栓の再発予防としては、アスピリンによる抗血栓療法が有効である。
b) 単純性紫斑病に対しては、ビタミンCの投与が有効である。
c) アレルギー性紫斑病に対しては、アンチトロンビン製剤の投与が有効である。
d) 閉塞性黄疸を合併したビタミンK欠乏症に対しては、ビタミンKの内服が有効である。
e) 第VIII因子インヒビターの出血に対しては、遺伝子組換え活性型第VII因子製剤が有効である。
(解説)
a) 心原性脳塞栓の再発予防としては、アスピリンではなくワルファリンによる抗血栓療法が有効である。
b) 単純性紫斑病に対しては、治療の必要はない。
c) アレルギー性紫斑病は、無治療で経過観察できることが多い。アンチトロンビン製剤は播種性血管内凝固症候群(DIC)および先天性アンチトロンビン欠損症に対して用いられる。
d) 閉塞性黄疸を合併したビタミンK欠乏症においては、ビタミンK(脂溶性ビタミンであり吸収のために胆汁を必要とする)を内服しても吸収されないために、点滴による投与を行う。
e) 第VIII因子インヒビターの出血に対しては、遺伝子組換え活性型第VII因子製剤(商品名:ノボセブン)が有効である(止血剤の種類と疾患)(参考記事:後天性血友病とは)。
(正答) e)
(正答率)92.7%
(関連サイト)血栓止血の臨床(研修医のために)← 血栓止血学会HP(ID、パスワード不要、無料)
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血液内科問題(鼻出血):(兼)医師国家&専門医 試験対策
金沢大学 血液学系統講義試験の問題紹介を続けたいと思います。
今回は、出血性疾患に関する臨床問題です。
患者:
21歳女性。
頻回かつ止血困難の鼻出血の精査目的に来院した。
血液検査は下記の通りであった。
Hb 8.1 g/dL,血小板数 33.8万/μL,出血時間12分,PT 10.3秒,APTT 82.3秒,フィブリノゲン 282 mg/dL,FDP 2.3 μg/mL.
妹も、幼少時より鼻出血がみられやすい。
この疾患の止血治療として正しいものはどれか。1つ選べ。
a) 濃厚血小板
b) 新鮮凍結血漿
c) 副腎皮質ステロイド
d) デスモプレシン(DDAVP)
e) 遺伝子組換え第VIII因子製剤
(解説)
・妹にも出血症状がみられており、先天性出血性素因が疑わしい。
・鼻出血は粘膜出血の一つ。おそらく、鼻出血のため貧血がみられている。参考:遺伝性出血性毛細血管拡張症(オスラー病)と鼻出血
・血液検査では、APTTの延長と、出血時間の延長がみられている。
・以上より、von Willebrand病と考えられる。
・出血時には、コンファクトF(第VIII因子も含有された血漿由来第VIII因子製剤)またはデスモプレシン(DDAVP)が有効である。(参考:止血剤の種類と疾患)
(正答) d)
(正答率)80.2%
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血液内科(輸血学)問題:(兼)医師国家&専門医 試験対策
金沢大学 血液学系統講義試験が行われました。
平成22年12月14日(火)14:00〜15:00(60分)
問題紹介させていただきます。
今回は輸血学です。正答率も参考にしていただければと思います。
23.ABO型不適合赤血球輸血について正しいものはどれか。1つ選べ。
a) 死亡率は約5%である。
b) O+血をA+患者に輸血すると、ABO不適合輸血になる。
c) 起こった場合は、ショックやDIC、腎不全に備える。
d) バイタルサインを測定したのち輸血を中止する。
e) 人為的ミスが原因になることは少ない。
解説
a) 死亡率は約20%である。
b) ABO異型適合輸血である。
c) 正しい。
d) バイタルサイン測定前に輸血を中止する。
e) 人為的ミスが原因になることが多い。
正答 c)
正答率:90.6%
24.不規則抗体について正しいものはどれか。1つ選べ。
a) 「不規則抗体=血液型関連抗体」である。
b) 不規則抗体の陽性率は約20%である。
c) 妊婦には不規則抗体検査を行うべきである。
d) 自然抗体は主にIgGである。
e) 免疫抗体は主に不適切な予防接種により産生される。
解説
a) 「不規則抗体=A抗体・B抗体以外の血液型関連抗体」である。
b) 不規則抗体の陽性率は約2%である。
c) 正しい。
d) 自然抗体は主にIgMである。
e) 免疫抗体は主に輸血・妊娠・移植により産生される。
正答 c)
正答率:91.2%
25.輸血療法に関して正しいものはどれか。1つ選べ。
a) 体重40kgの患者に赤血球製剤を2単位輸血すれば、Hbは約1 g/dL増加する。
b) 輸血した血小板の約10%は脾臓に捕捉される。
c) 血清アルブミン値2.5 g/dLは、アルブミン投与の絶対適応である。
d) 新鮮凍結血漿は、融解後3時間以内に輸注する。
e) アルブミン投与後の血管回収率は通常90%である。
解説
a) Hbは約2 g/dL増加する。1単位輸血後のHb増加=40/体重。
b) 輸血した血小板の1/3が脾臓に捕捉される。
c) 低アルブミン血症だけではアルブミン製剤の適応はない。
d) 正しい。
e) アルブミン投与後の血管回収率は通常40%程度である。
正答 d)
正答率:97.9%
26.血液製剤に関して正しいものはどれか。1つ選べ。
a) 400 mL全血献血から1単位の赤血球製剤ができる。
b) 免疫グロブリン製剤は、生物由来製品感染症等被害救済制度の対象外である。
c) 凍結赤血球製剤は、まれな血液型へ対応するため用いられる。
d) 血液製剤から白血球除去を行う目的は、有効性向上である。
e) 血液製剤には、人以外の動物血を原料として製造された医薬品も含まれる。
解説
a) 200 mL全血献血から1単位の赤血球製剤ができる。
b) 免疫グロブリン製剤も、生物由来製品感染症等被害救済制度の対象である。
c) 正しい。
d) 目的は毒性予防である。
e) 血液製剤は、人血を原料として製造された医薬品である。
正答 c)
正答率:86.5%
27.血液製剤に関して誤っているものはどれか。1つ選べ
a) 赤血球製剤は2-6℃で保存する。
b) 赤血球製剤の有効期間は採血後21日間である。
c) 血漿製剤の有効期間は採血後1年間である。
d) 血小板製剤の有効期間は採血後4日である。
e) 血液製剤を生理食塩水と併用することはできない。
解説
a) 正しい。
b) 正しい。
c) 正しい。
d) 正しい。
e) 生理食塩水のみ併用可能である。
正答 e)
正答率:92.7%
28.輸血前検査に関して誤っているものはどれか。1つ選べ。
a) 主検査は交差適合試験の一種である。
b) ABO式血液型検査の原則は、2回採血・2回検査である。
c) 患者のHIV・HBV・HCV検査を行う。
d) ABO式血液型検査・RhD式血液型検査・不規則抗体検査を合わせてT&Sと呼ぶ。
e) Rh陽性とは一般にRhD・C・E抗原が全て陽性であることを指す。
解説
a) 正しい。
b) 正しい。
c) 正しい。
d) 正しい。
e) Rh陽性とは一般にRhD抗原陽性を指す。
正答 e)
正答率:90.6%
【関連記事】
・造血幹細胞移植入門(インデックス)へ
・肝障害/黄疸症例の抗がん剤治療(7回シリーズ)
・腎障害と抗がん剤治療(5回シリーズ)
・HEPAフィルターとLAF(3回シリーズ)
・造血幹細胞移植
・移植片対宿主病(GVHD)の分類と診断
・血球貪食症候群(HPS)(8回シリーズ)
・溶血性貧血(PNH、AIHAほか) (8回シリーズ)
・造血幹細胞移植後の再発(4回シリーズ)
・造血幹細胞移植前処置としてのATG(6回シリーズ)
・播種性血管内凝固症候群(DIC:図解シリーズ)
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:55
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血液内科(凝固検査)問題:(兼)医師国家&専門医 試験対策
金沢大学 血液学系統講義試験の問題紹介を続けたいと思います。
今回は、血栓止血学からです。
金沢大学の血液内科(血栓止血学)の試験問題の定番です。血液凝固検査に関する問題です。
|
出血時間 |
PT |
APTT |
Fbg |
HPT |
アスピリン内服 |
延長 |
正常 |
延長 |
正常 |
正常 |
Glanzmann病 |
延長 |
正常 |
正常 |
低下 |
正常 |
第VIII因子インヒビター |
正常 |
正常 |
延長 |
正常 |
低下 |
ワルファリン内服 |
正常 |
延長 |
延長 |
正常 |
低下 |
von Willebrand病 |
延長 |
延長 |
正常 |
正常 |
正常 |
PT:プロトロンビン時間
APTT:活性化部分トロンボプラスチン時間
Fbg:フィブリノゲン
HPT:ヘパプラスチンテスト
(解説)
・アスピリン内服しても、APTTは正常です。
・Glanzmann病(血小板無力症)では、フィブリノゲン(Fbg)は正常です。(参考:出血時間、血餅退縮能)
・第VIII因子インヒビターでは、HPTは正常です。
・ワルファリン内服:正しいです。
・von Willebrand病 では、PT正常、APTT延長です。
(正答)
ワルファリン内服
(正答率)84.4%
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:39
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金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)忘年会:平成22年
平成22年12月11日(土)に、金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)の忘年会が行われました(於:ANAクラウンプラザホテル金沢)
例年通り、和気あいあいと大変盛り上がった会になりました。日頃大変お世話になっていますコメディカルの皆様、関連病院の先生方、開業されている先生方にも大勢出席していただけました。ありがとうございます。
日頃、全力で診療にあたっている皆さんの、ちょっとしたレフレッシュタイムになったと思います。
特筆すべきは、医局員によるピアノ&バイオリン演奏があったことです。
管理人は大変びっくりしました。
このような趣味があるのは素晴らしいですね。
聞き入ってしまいました。
聞くところによりますと、尺八のできる医局員、三味線のできる医局員もいるそうです。
最後は、全員でサライを合唱して、一次会を終了しました。
正直なところ、サライの合唱は、まだ発展途上にあると感じました。いきなりだったので当然ではありますが。。。。近い将来、より洗練されたサライを合奏できる日が来るのではないかと、今から楽しみにしています。
金沢大学第三内科らしい、とても楽しい忘年会でした。
一枚の画像で雰囲気をお伝えすることは困難ですので、合成画像にしてみました。
<この会へ出席された皆様へ>
管理人の画像は、携帯電話のアンチョコ画像です。もっと本格的な画像をおさめられた方がおられましたら、是非とも管理人あてにお送りくださいませ。JPEG画像でお願いできればと思います。一両日中に、記事としてアップいたします。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:14
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造血幹細胞&ドナーリンパ球輸注:造血幹細胞移植入門(13)
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造血幹細胞移植入門:造血幹細胞&ドナーリンパ球の輸注
<造血幹細胞の輸注>
造血幹細胞移植は、輸血と同じように主に静脈注射で行われます。
(骨髄内にさい帯血などを直接投与する「骨髄内造血幹細胞移植」も、臨床研究として行われています)
全身麻酔下で行われる腎移植や肝移植などと異なり、造血幹細胞移植では、患者は移植が行われるのを目の前でみることができます。
<ドナーリンパ球輸注>
関連記事:免疫(抑制)療法:造血幹細胞移植後の再発(3)
ドナーリンパ球輸注とは、移植で造血幹細胞を提供したドナーのリンパ球を含む血液を輸血する治療法です。
以下のような場合に、ドナーリンパ球輸注が行われることがあります。
同種造血幹細胞移植後に、
1)がんが再発か進行する場合。
2)がんがわずかに残っている場合。
3)移植後にEBウイルスによるBリンパ球増殖性疾患を発症した場合。
4)造血幹細胞がうまく生着しなかった場合。
5)その他。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 00:21
| 血液疾患(汎血球減少、移植他)
造血幹細胞移植の適応:造血幹細胞移植入門(12)
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造血幹細胞移植入門:造血幹細胞移植の適応
造血幹細胞移植の適応と考えられる疾患を表にしてみました。
これはあくまでも目安です。
実際は、患者や病気の状態、ドナーの有無なども含めて総合的に判断することになります。
<自家造血幹細胞移植が有効な疾患>
<同種造血幹細胞移植が有効な疾患>
【関連記事】
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:43
| 血液疾患(汎血球減少、移植他)
精子・卵子保存:造血幹細胞移植入門(11)
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造血幹細胞移植入門:移植前の精子・卵子保存
造血幹細胞移植により精巣や卵巣が障害を受け、不妊になる恐れがあります。
それに備えて、移植前に精子や卵子を凍結保存することができます。
また、日本造血細胞移植学会と日本癌治療学会のウェブサイト上にある
「悪性腫瘍治療前患者の配偶子凍結保存に関する倫理委員会の見解」
http://www.jshct.com/pdf/akuseisyuyo.pdf
http://jsco.umin.ac.jp/outline/041108.html
なども参照していただければと思います。
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| 血液疾患(汎血球減少、移植他)
さい帯血移植とは:造血幹細胞移植入門(10)
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造血幹細胞移植入門:さい帯血移植
さい帯血移植の利点として、以下の点を挙げることができます。
(1) ドナーに危険性や負担がないこと。
(2) さい帯血があらかじめ凍結保存されているため、比較的速やかに移植が実施できること。
(3) GVHDが少ないこと。
(4) HLA不一致でも移植が可能であること。
といった点です。
一方、造血幹細胞が少ないため生着不全が起こりやすく、その場合、同じドナーから血液を再び採取できないことが最大の欠点です。
すなわち、ドナーリンパ球輸注は事実上不可能です。
また、造血幹細胞移植後、白血球・赤血球・血小板の回復が遅いため、重い感染症が起こりやすく、入院が長くなり、また輸血量も多くなる傾向にあります。
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| 血液疾患(汎血球減少、移植他)
同種造血幹細胞移植ドナー検索:造血幹細胞移植入門(9)
造血幹細胞移植入門:同種造血幹細胞移植の検索
同種造血幹細胞移植ドナー検索のフローチャートです。
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| 血液疾患(汎血球減少、移植他)
同種造血幹細胞移植とは:造血幹細胞移植入門(8)
造血幹細胞移植入門:同種造血幹細胞移植とは
同種造血幹細胞移植を安全に行うために、通常はなるべく患者とHLAが一致したドナーから血液の提供を受けます。
患者と血液型が異なるドナーからの造血幹細胞移植は差し支えありませんが、赤血球の回復が遅れるなどの問題が生じやすいです。
患者に兄弟姉妹(= 同胞)が1人いると、患者とHLAが一致している確率は約25%です。
2人いると約44%、3人いると約58%の確率で、患者とHLAが一致する同胞が少なくとも1人は見つかる計算になります。
親子間でHLAが一致する確率は1%程度と考えられています。
血がつながっている人(血縁者)の中にドナーが見つからない場合、血がつながっていない人(非血縁者)の中からドナーを探すことになります(図:次回の記事で)。
なお、未成年をドナー候補者とする場合は注意が必要です。
血縁者をドナーとする造血幹細胞移植は「血縁者間同種造血幹細胞移植」、非血縁ドナーからの移植は「非血縁者間同種造血幹細胞移植」と呼ばれています。
国内で非血縁者ドナーを探す場合、日本骨髄バンク(日本骨髄移植推進財団)http://www.jmdp.or.jp/と日本さい帯血バンクネットワーク http://www.j-cord.gr.jp/を利用します。
利用方法や登録方法は、ウェブページに詳しく書かれています。
国内に適切なドナーがみつからない場合、海外のバンクから探すこともあります。
2010年6月現在、国内で実施される非血縁者間同種造血幹細胞移植は、原則として骨髄移植か、さい帯血移植に限られますが、2010年10月以降は非血縁者間末梢血幹細胞移植も開始される予定です。
海外の非血縁者間移植は、末梢血幹細胞移植が主流です。
患者とドナーのHLAが完全に一致していなくても、ある程度適合していれば、同種造血幹細胞移植の実施は可能です。
ただし、生着不全や重いGVHDが増える可能性があります。
また、同じHLA一致ドナーからの移植でも、一般に、非血縁者より同胞からの移植の方が移植の成功率は高くなります。
同種造血幹細胞移植後の死亡原因は、GVHD・感染症・現疾患の再発か増悪が多いです。
HLA一致同胞間造血幹細胞移植でも、一卵性双生児をドナーとする同系造血幹細胞移植では、GVHDが起こらないかわりに再発の可能性が高くなります。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:24
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造血幹細胞移植後の死因:造血幹細胞移植入門(7)
造血幹細胞移植入門:造血幹細胞移植後死因(図)
国際血液骨髄移植リサーチセンターによる
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造血幹細胞移植法の比較:造血幹細胞移植入門(6)
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造血幹細胞移植入門:造血幹細胞移植法の比較(表)
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| 血液疾患(汎血球減少、移植他)
自家造血幹細胞移植とは:造血幹細胞移植入門(5)
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造血幹細胞移植入門:自家造血幹細胞移植とは
以前は自家骨髄移植も行われていましたが、最近は患者への負担軽減を考慮(患者に全身麻酔をかけ、移植するための骨髄を採取する必要があります)し、自家末梢血幹細胞移植が中心です。
ただし、急性骨髄性白血病第1寛解期に対する自家移植では、末梢血幹細胞移植より骨髄移植は再発率が低いという報告が最近あり、自家骨髄移植を見直す動きもあります。
Gorin N-C, Labopin M, Blaise D, et al. Higher Incidence of Relapse With Peripheral Blood Rather Than Marrow As a Source of Stem Cells in Adults With Acute Myelocytic Leukemia Autografted During the First Remission. J Clin Oncol. 2009;27:3987-3993.
自家さい帯血移植はほとんど行われません。
自家移植では、患者はがんや血液細胞を壊し尽くすため、抗がん剤治療や放射線治療による移植前処置を受けます。
移植前処置でがんが無くなると同時に、正常な血液細胞も枯渇します。
それに備えるため、前処置に先立ち(通常は1〜3か月前)、あらかじめ患者自身の造血幹細胞を含む血液を凍結保存しておきます。
移植前処置終了後、凍結保存していた患者の血液を解凍して輸注します。
これが「自家造血幹細胞移植」です。
輸血した造血幹細胞が生着しますと、白血球や赤血球、血小板を再び作り始めます。
同種造血幹細胞移植と異なり、患者自身の血液を移植するため、移植後の免疫抑制療法は不要です。
ただし、造血幹細胞を採取する際、移植片に患者のがん細胞が混ざり、移植時に戻された腫瘍細胞が原因で再発が起こる恐れがあります(造血幹細胞移植法の比較)。前処置で全滅しなかった腫瘍細胞も再発の原因になり得ますが、遺伝子マーキング研究の結果、再発は主に前者の機序で起こることがわかっています。
最近、これを裏付ける報告として、自家移植後輸注幹細胞数が多いほど再発率が高まることが明らかとなりました。
Gorin NC, Labopin M, Reiffers J, et al. Higher incidence of relapse for acute myelocytic leukemia patients infused with higher doses of CD34+ cells from leukapheresis products autografted during the first remission. Blood. 2010:blood-2009-2011-252197.
自家造血幹細胞移植後は、同種造血幹細胞移植のようなGVHDや、その予防・治療に伴う免疫不全状態になりにくいので、感染症や臓器毒性による死亡は少ないです(5%未満)。
CIBMTR. Data Resources. http://wwwcibmtrorg/. 2010.
反面、腫瘍に対する免疫学的効果は期待できません。死亡原因は圧倒的に再発が多く、死亡原因の3/4を占めます(造血幹細胞移植後の死因)。
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HLAとは:造血幹細胞移植入門(4)
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造血幹細胞移植入門:HLAとは
HLAは、自分の細胞と他人の細胞を見分ける「目印」とも言えます。
HLAは、もともと「human leukocyte antigen = ヒト白血球(型)抗原」と呼ばれていました。
しかし、その後の研究で、HLAは白血球だけでなく、赤血球を除く全ての細胞にあることがわかりました。
そこで、human leukocyte antigenの略語ではなく、最近は「HLA」という固有名詞として扱われています。
HLAには、A座(抗原)・B座・C座・DR座・DQ座・DP座などいくつかの種類があります。
1つのHLA抗原型(血清型とも呼ばれる)が、遺伝子レベルでは複数の種類に分けられることがあります。
これをHLA遺伝子型(DNA型とも呼ばれます)と言います。
同種造血幹細胞移植の成功には、なるべく患者とHLAが一致したドナーから血液の提供を受ける必要があります。
HLA抗原型だけでなくHLA遺伝子型も一致していれば、なお良いです。
患者とドナーのHLAが一部違っても(「不一致」と呼ばれます)移植は可能ですが、生着不全や重い移植片対宿主病(graft-versus-host disease: GVHD)など、困った合併症が起こりやすくなります。
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| 血液疾患(汎血球減少、移植他)
造血幹細胞とは:造血幹細胞移植入門(3)
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造血幹細胞移植入門:造血幹細胞とは
造血幹細胞とは、赤血球(体内に酸素を運ぶ細胞)・白血球(微生物からからだを守る細胞)・血小板(出血を止める細胞)のもとになる細胞のことです。
造血幹細胞は、「骨髄」と呼ばれる骨の中心部分にあります。
造血幹細胞は再生能力があり、普通は一生無くなることはありません。
肺炎を起こしたり、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)と呼ばれる薬の注射や抗がん剤治療を受けたあとなど、骨髄中の造血幹細胞が血管の中へ漏れ出し、赤血球や白血球、血小板と一緒に全身に流れてくることがあります。
これは「末梢血幹細胞」と呼ばれています。
また、さい帯血(赤ちゃんと母親を結ぶ「へその緒」と胎盤の血液)の中にも造血幹細胞が含まれています。
造血幹細胞だけを取り出すことはできませんので、「造血幹細胞移植」は、正確には、「造血幹細胞を含む血液の移植」ということになります。
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今回は、出血性疾患に関する臨床問題です。
患者:
21歳女性。
頻回かつ止血困難の鼻出血の精査目的に来院した。
血液検査は下記の通りであった。
Hb 8.1 g/dL,血小板数 33.8万/μL,出血時間12分,PT 10.3秒,APTT 82.3秒,フィブリノゲン 282 mg/dL,FDP 2.3 μg/mL.
妹も、幼少時より鼻出血がみられやすい。
この疾患の止血治療として正しいものはどれか。1つ選べ。
a) 濃厚血小板
b) 新鮮凍結血漿
c) 副腎皮質ステロイド
d) デスモプレシン(DDAVP)
e) 遺伝子組換え第VIII因子製剤
(解説)
・妹にも出血症状がみられており、先天性出血性素因が疑わしい。
・鼻出血は粘膜出血の一つ。おそらく、鼻出血のため貧血がみられている。参考:遺伝性出血性毛細血管拡張症(オスラー病)と鼻出血
・血液検査では、APTTの延長と、出血時間の延長がみられている。
・以上より、von Willebrand病と考えられる。
・出血時には、コンファクトF(第VIII因子も含有された血漿由来第VIII因子製剤)またはデスモプレシン(DDAVP)が有効である。(参考:止血剤の種類と疾患)
(正答) d)
(正答率)80.2%
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造血幹細胞移植入門:造血幹細胞移植の種類
造血幹細胞移植(hematopoietic stem cell transplantation: HSCT)とは、白血病や再生不良性貧血などの血液難病を治すため、造血幹細胞が含まれる血液を移植する治療法です。
治療法として確立しており、通常は保険診療で行われます。
なお、腎細胞癌や膵癌、乳癌といった固形腫瘍や難治性自己免疫疾患にも、行われることがあります。
・自家 (または自己) (autologous) 造血幹細胞移植:移植する血液が元々患者自身のものである場合。
・同種 (allogeneic) 造血幹細胞移植:移植する血液を他人からもらう場合。
・同系 (syngeneic) 造血幹細胞移植:同種 造血幹細胞移植でもドナーが患者の一卵性双生児の場合。
・ドナー(donor):血液の提供者
・レシピエント(recipient)またはホスト(host):血液の受取手、つまり患者。
<造血幹細胞を含む血液の種類による分類>
・骨髄移植(bone marrow transplantation: BMT)
・末梢血幹細胞移植(peripheral blood stem cell transplantation: PBSCT)
・さい (臍) 帯血移植(cord blood transplantation: CBT)
たとえば、一卵性双生児以外の兄弟姉妹の骨髄を移植しますと、同種血縁者間骨髄移植になります。
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