金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2015年9月30日

近況報告 (1):金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)の同門会報原稿からです。


近況報告 (1)    by    飯田 恵 (平成9年入局) 

金沢を離れ水戸に来て8年になりました。

主人とともに主人の父の内科クリニックを継承いたしております。


今年で開院46周年ですので、高血圧、糖尿病、高脂血症などの慢性疾患の患者さんが圧倒的に多いですが、地域のかかりつけ医として専門にこだわらず幅広い疾患に対応しております。

第三内科で血液内科を中心に研修いたしておりましたことは、患者さんの診療において大変役に立っております。


地域の基幹病院としては、水戸済生会病院、水戸赤十字病院、茨城県立中央病院、水戸医療センター、筑波大学附属研修センター水戸協同病院、KKR水府病院と多彩であり、どの病院も非常に丁寧かつ迅速に対応して下さいます。


驚いたのは、うちをかかりつけとされている30歳代の女性患者さんが、PNHと診断され中尾教授の外来に通院されていたことです。

筑波大学から紹介されたと伺いましたが、ここ茨城でも金沢大学血液内科への信頼は厚く、非常に恵まれた環境で研修させていただいたことは本当に私の誇りであり、人生の宝であると感じております。


私は生まれも育ちも北陸ですので、金沢から約600km離れた水戸に当初は戸惑いました。

言葉もさることながら、気候の違い(冬はひたすら晴れ続けますし、朝は‐5℃くらいに冷え込み霜柱が見られます)、そして地震の多さにも驚きました。

やはり大きなエピソードとしては、東日本大震災が挙げられます。

近況報告 (2):金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)
へ続く。


 <リンク>
血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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2015年9月29日

敗血症セミナー

敗血症セミナーの御案内です。

セミナー

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血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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2015年9月28日

金沢大学血液内科 平成26年度臨床講義録

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)の同門会報原稿からです。

<平成26年度臨床講義録>

臨床講義は医学類4年生を対象に行われます。

8名前後で1のグループとなり、1グループで1人の患者さんを割り当てられます。

2週間ほどかけてグループ内で協力しながら病状を把握し、資料を作成し、そして臨床講義当日に講義形式で学生全体にプレゼンテーションするという形式で行われています。

平成26年度は6月に行われ、悪性リンパ腫、骨髄異形成症候群、多発性骨髄腫の患者さんに御協力頂きました。

主治医の先生方に患者さんの紹介や資料の準備など御協力頂き、この場を借りて御礼申し上げます。


今回は私が初めて臨床講義の手伝いをさせて頂くこととなりました。

臨床講義当日のプレゼンテーションはA3用紙1〜2枚のプロトコールとPowerPointスライドを用いて行うこととなっており、担当グループと私とで2週間程度時間をかけて準備を行いました。

グループの中で、例えば病歴担当、身体所見担当、検査所見担当、問題点・鑑別診断担当、入院後経過担当、考察担当、などというように役割分担し、それぞれの分担で準備を進めました。

担当学生にとっては実際にベッドサイドで患者さんと接する初めての機会になっており、実際に患者さんの病歴聴取や身体診察をさせたものの手順や手技などで不慣れな点が多く、こちらのサポートが必要な場面が多く見られました。

また症例検討用のプロトコールやスライドを作成することも同じく初めてであり、指導を重ねつつ臨床講義当日まで何度も修正を加えてプロトコールやスライドを完成させました。

臨床講義当日は思い通りにプレゼンテーションできたグループと思い通りにはできなかったグループとあったようですが、BSL以降での症例プレゼンテーションや医師になって以降での学会発表の予行演習にはなったと思われます。


入局希望者のリクルートは年々早まっており、最近では5年生を対象とした各医局の勧誘活動が盛んに行われていますが、臨床講義は臨床講義係および臨床講義当日の担当教官、更には入院患者を担当する若手〜中堅の医師と学生が初めて直接コンタクトを取る貴重な機会であると考えられます。

実際、平成27年4月からの第三内科入局を表明した学生のうち1人は第三内科の臨床講義がきっかけとなっております。

臨床講義を担当する4年生に対する担当教官や患者主治医の熱心な指導や面倒見が今後の第三内科入局への道となる可能性もあり、関係の方々におかれましては今後も御協力の程宜しくお願い致します。

(臨床講義係 青木剛)



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血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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2015年9月27日

メイヨークリニック留学記(インデックス)

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)の同門会報原稿からです。

「メイヨークリニック留学記」(インデックス)
Allergic Diseases Research
Mayo Clinic
大倉徳幸(平成13年度入局)

1)気道アレルギーの研究
2)ミネソタ
3)ミネソタナイス



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血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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2015年9月26日

メイヨークリニック留学記(3)

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)の同門会報原稿からです。

「メイヨークリニック留学記」(3)ミネソタナイス
Allergic Diseases Research
Mayo Clinic
大倉徳幸(平成13年度入局)
「メイヨークリニック留学記」(インデックス)

2
ミネソタ人の性格を表すのに「ミネソタナイス」という言葉があります。

ミネソタには、人当たりがよく穏やかな人が多いということですが、実際に私のような英語が下手なよそ者に対しても、気さくに対応してもらえる事が多いです。

ラボの方々もとても優しく、日本から「チャレンジ」しにきた私を「アレルゲン」と認識せず、「寛容」に受け入れていただいており、ほっとしています。

このようにミネソタの風土や人柄には、北陸で生まれ育った私にとって、どことなく親近感がわきます。

今後もミネソタツインズのファンであり続けたいと思います。

最後に、私がこのような有意義な時間を送ることができるのも、暖かく迎え入れ、ご指導いただいているラボの皆様、いつも支えてくれている友人・家族、そして中尾教授、笠原准教授をはじめ金沢大学血液・呼吸器内科教室の皆様、第三内科同門の皆様のご理解とご支援のおかげと思います。

この場を借りて深く感謝申し上げます。

(2015年10月記)

「メイヨークリニック留学記」(インデックス)

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血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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2015年9月25日

メイヨークリニック留学記(2)

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)の同門会報原稿からです。

「メイヨークリニック留学記」(2)ミネソタ
Allergic Diseases Research
Mayo Clinic
大倉徳幸(平成13年度入局)
「メイヨークリニック留学記」(インデックス)

メイヨークリニックは全米でも有数の大病院ですが、その起源はアメリカ南北戦争の頃からで、長い歴史も併せ持っています。

今年は創立150周年を迎え記念品の展示や式典が行われています。

またメイヨークリニックの理念を示す三つの盾が重なるロゴマークは臨床・研究・教育を表しており、各々に力を入れて活動しています。

人口約11万人の都市であるロチェスターの中心部に臨床、研究、教育施設が立ち並び、職員数が3万人以上とのことですので、ロチェスターはまさにメイヨークリニックの町ともいえます。


ミネソタ州は北米中西部の北、カナダと国境を接した州です。

州の北東に五大湖の一つ、スペリオル湖が接しており、また北部中央のアイタスカ(Itasca)には北米を縦断するミシシッピー川の源流があります。

州名はアメリカンインディアンのダコタ族の言葉「空色の水」に由来していますが、その名の通りに州内には10000以上の湖が存在し、大変水に恵まれた州です。

穏やかな丘が連なり、夏は湖での遊泳や釣り、ボート、カヌー、冬はスキーやカントリースキー、スケート、アイスフィッシング等が楽しめます。

ミネソタの気候は、大陸性気候の影響で気温の日較差と年較差が大きく、夏は気温が25℃前後で乾燥していて過ごしやすいのですが、冬は北からの寒気団が流れ込み気温がマイナス20℃から30℃まで下がり寒さが厳しく、またその期間も長いため「アメリカの冷蔵庫」と呼ばれているそうです。

また全米最大級のショッピングモール、モールオブアメリカ(Mall of America)があり観光スポットとして有名で、多くの買い物客で賑わっています。

北米4大プロスポーツもすべてそろっており(MLB; Minnesota Twins, NBA; Minnesota Timberwolves, NFL; Minnesota Vikings, NHL; Minnesota Wild)、1年中スポーツ観戦が楽しめます。

「メイヨークリニック留学記」(インデックス)

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血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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2015年9月24日

メイヨークリニック留学記(1)

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)の同門会報原稿からです。

「メイヨークリニック留学記」(1)気道アレルギーの研究
Allergic Diseases Research
Mayo Clinic
大倉徳幸(平成13年度入局)
「メイヨークリニック留学記」(インデックス)

1


2015年5月よりミネソタ州ロチェスターにあるメイヨークリニックに留学しています。

Allergic diseases research 教室では、紀太博仁先生のご指導のもと、気道アレルギーに関する多くの研究がなされています。

最近では上皮由来サイトカインや自然リンパ球などの自然免疫系と気管支喘息に関わる研究が精力的になされています。

当教室では環境真菌のひとつ、アルテルナリアを用いた喘息マウスモデルを使って研究されてきていますが、私のテーマはそのアルテルナリアのTh2反応に対するアジュバント効果の機序についてです。

とある日常診療の経験から真菌とアレルギーについて興味を持つようになった私にとって、実際にこのようなテーマで研究できることは、非常にありがたいことだと思っています。

15年間臨床医として生きてきた私には、海外で基礎研究の生活を送ることは大きなチャレンジですが、新たなことを学ぶ喜びを改めて実感しています。

また基礎医学での知見は臨床においても重要となり得ることはもちろん、問題解決のための過程、考え方は基礎も臨床も共通する部分が多く、貴重な経験となっていると思います。

「メイヨークリニック留学記」(インデックス)

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血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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2015年9月23日

近況報告:金沢大学第三内科同門ドクター(インデックス)

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)の同門会報原稿からです。


近況報告(インデックス) 
by  望月 康弘

1)同じ日本の冬とは思えん
2)静岡に能登杜氏あり
3)静岡大躍進の杜氏が能都出身
4)血液内科の患者さん
5)吉田先生
6)治療方針を一人で決めなくて済む

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血液凝固検査入門(図解シリーズ)
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2015年9月22日

近況報告:金沢大学第三内科同門ドクター(6)

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)の同門会報原稿からです。

近況報告:金沢大学第三内科同門ドクター(インデックス)

近況報告(6) by  望月 康弘

治療方針を一人で決めなくて済む

「じゃぁ何に助かっているんですか?」

「一番は治療方針を一人で決めなくて済むことだ。
初回治療で順調にいっているような患者はいいけど,途中で治療効果がなくなったり,再々発したりって言うややこしい状況になった患者さんの治療方針を自分一人だけで決めるのはさすがに胃が痛くなる」

「先生でも胃が痛くなるんですか?」

「痛くなるに決まってンだろう。
人生がかかってくるんだぞ,俺のか細い肩に。
結果が付いてこない時なんて最悪だ。
こっちが病気になりそうだよ」

「プールで泳いでいる先生の肩はいかついですけど」

「望月,お前話の腰を折るねぇ。
お前こそ秘書として性格変えることを考えた方がいいんじゃないの。
とにかく,自分だけで考えた訳ではないっていうことで安堵が得られるんだよ」

「そんなもんですか」

「そんなもん」

「吉田先生は後どれくらいいらっしゃるんでしょう」

「本人は,ここではまだ自分より歳を食ってる患者の方が多いから,後 1 年は仕事するって言ってたぞ」

「1 年して吉田先生がいなくなったら,また胃が痛くなりますね」

「そうだなぁ,自分の健康のことを考えると,その頃また誰かに来てもらうか」

「吉田先生みたいに臨床やりたいって人ばかりじゃぁ無いと思いますよぉ」

「いや,自分の体を考えるに相談役が是非必要だ。
じゃぁ望月,お前が次誰か来たくなるような環境作りに励め。
これは命令だからな」

近況報告:金沢大学第三内科同門ドクター(インデックス)

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2015年9月21日

近況報告:金沢大学第三内科同門ドクター(5)

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)の同門会報原稿からです。

近況報告:金沢大学第三内科同門ドクター(インデックス)

近況報告(5) by  望月 康弘

吉田先生

「そうか!先生が暇なだけで,吉田 喬先生が忙しいんですよね」

「俺も俺なりに忙しい」

「吉田先生はいついらしたんでしたっけ?」

「う〜ん,いつだったかな。富山県中でも一緒だったから,ず〜と一緒のような気がしちまうなぁ。
確か ・・・ 2013 年の 6 月からじゃぁなかったかな」

「じゃぁもう 2 年以上になるんですね」

「そうか,2 年経ったか ・・・ 確かに吉田先生が来てくれて助かったよ」

「先生の分の患者さんを診てくれるからでしょう?」

「違う!患者さんの受け持ちはいいの。
むしろ患者さんは一人も持たないで欲しいくらいだ」

「そうなんですか?」

「そう,わかる人にゃぁわかる」

「じゃぁ何がそんなに助かってるんですか?
飲み仲間が増えて?」

「飲み仲間だぁ?
吉田先生はあの年で,今だに飲み出すと長いから一緒に飲むのは避けてるくらいだ。
この前も 2 時,3 時だぞ」

「そりゃぁ長いっすねぇ」

「長すぎだよ」

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2015年9月20日

近況報告:金沢大学第三内科同門ドクター(4)

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)の同門会報原稿からです。

近況報告:金沢大学第三内科同門ドクター(インデックス)

近況報告(4) by  望月 康弘

血液内科の患者さん

「静岡には大井川の近くに志太 ( しだ ) 杜氏と呼ばれる人達がいたようだが,2011 年増井 浩二杜氏が亡くなられた後,現在酒を醸している志太杜氏はいないはずだ」

「それは寂しい限りですね」

「確かにな。
でも静岡が北陸に勝るとも劣らない名醸地であることは確かなんだ」

「それで飲んだくれてばかりいるんですね。
代わりに仕事はのんびりしてますよね」

「俺は飲んだくれてなんぞいない。
のんびりしているのは患者が少ないだけだ」

「確かに北陸にいた頃に比べると患者さん少ないですよね,
特に清水に来てから。
富山・福井はもちろんですが,能登にいた時も結構血液内科の患者さんいましたよねぇ。
私も書類書きが大変でしたもの」

「そうだなぁ。七尾の人口は 6 万人弱,血液内科は公立能登総合病院と恵寿総合病院の二つあったけど,結構忙しかったよなぁ。
現在の静岡市清水区は 24 万人弱で,血液内科のあるのはうちの静岡市立清水病院だけだから,相当な数の患者が来ても良さそうだが ・・・ 葵区や駿河区の病院に流れているんだろうな」

「清水のある静岡県中部の人口が 130 万人くらい,石川県は全体で 115 万人くらいでしょう?」

「そう,確かそんなもんだ」

「そんでもって静岡中部で血液内科の治療をしている病院は,うちを含めて 6 病院くらいですよね。やっぱりもっと患者さんが来てもいいんじゃないですか?
先生の態度に問題があるんじゃ ・・・」

「俺の態度に問題だぁ?
おれ様は富山でも福井でも能登でも静岡でも変わらない。
同じスタンスだ」

「そのおれ様がいけないんですよ。
スタンスを変えればいいじゃぁないですか」

「変える必要を感じない。
のんびり仕事が出来て結構なことじゃぁないか。
俺とお前の分の食い扶持以上は充分に稼いでいるし,これ以上忙しく仕事をする気はない。
出来高払いにして欲しいくらいだ」

近況報告:金沢大学第三内科同門ドクター(インデックス)

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2015年9月19日

近況報告:金沢大学第三内科同門ドクター(3)

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)の同門会報原稿からです。

近況報告:金沢大学第三内科同門ドクター(インデックス)

近況報告(3) by  望月 康弘

静岡大躍進の杜氏が能都出身

「その年に何があったんですか?」

「この 1986 年の全国新酒鑑評会に静岡から 21 蔵が出品した。
そしてなんと 10 蔵が金賞をじゅしょうしたんだ。
加えて入賞が 7 蔵。
金賞受賞酒の 1 割近くを静岡が占めたんだ」

「突然の大躍進ってわけですか」

「そう,そしてそれに大きく貢献したのが静岡吟醸酵母だ。
この吟醸酵母の実験酒蔵が土井酒造場だったんだな」

「じゃぁ,静岡大躍進に一番の貢献をした蔵の杜氏が能都出身という訳なんですね」

「そういうこと。
静岡吟醸酵母はその後 HD-1 酵母と名付けられたんだが,これは波瀬杜氏と開運の土井社長の頭文字を取ったって言われてる」

「能登出身でも先生とはエライ違いですね」

「俺は能都の出身じゃなくて静岡の出身だよ。
それに静岡で活躍している杜氏さんは能登杜氏だけじゃぁない。
『正雪』を醸している山影 純悦さんなんか 2013 年に「現代の名工」に選ばれてる」

「能登ではなく,どちらの杜氏さんなんですか?」

「山影さんは南部杜氏。
静岡にはかなり南部杜氏さんが入ってきている。
富士の裾野,朝霧高原では以前『陸奥八仙』を醸していた南部杜氏さんが来てる。
清水の銘酒『臥龍梅』を醸す菅原 富男杜氏も南部杜氏だ。
それからみんな知ってる,お前でも知ってる『磯自慢』の多田 信男杜氏も南部杜氏さんのはずだ」

「南部杜氏さんの活躍も凄いんですね。ところで静岡自体には杜氏集団ってないんですか?」

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2015年9月18日

近況報告:金沢大学第三内科同門ドクター(2)

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近況報告(2) by  望月 康弘

静岡に能登杜氏あり

「酒はどうですか?能登杜氏の美酒,御無沙汰してるでしょう?」

「望月,お前全然わかっていないね。静岡にも能登杜氏の流れを汲む酒はあるんだ。
静岡の銘酒,いや日本の銘酒と言ってもいい『開運』を醸していたのは,能登杜氏だぞ。
開運の故波瀬 正吉さんなんか能登四天王って言われた人で,俺が大学の頃『菊姫』にいた農口さんの弟子みたいなもんらしい。
現在は榛葉 農( しんば みのり ) 杜氏だが,能登杜氏ってことだ」

「そうだったんですか,静岡に能登杜氏ありってわけですね」

「お前,尾瀬あきらが書いた『夏子の酒』って知ってるか?」

「知ってますよ。学生時代に読みました」

「夏子が目標にしたのは,作中では福井県の蔵元だが,モデルになったのは開運を醸す『土井酒造場』って言われてるんだ」

「へ〜,開運がモデルだったんですか」

「確かに昔は静岡の酒はたいしたことが無かったらしい。
その静岡の酒が日本中の注目を集めるようになったのは 1986 年,昭和 61 年からだ。」

近況報告:金沢大学第三内科同門ドクター(インデックス)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:56 | その他

2015年9月17日

近況報告:金沢大学第三内科同門ドクター(1)

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)の同門会報原稿からです。

近況報告:金沢大学第三内科同門ドクター(インデックス)

近況報告(1) by  望月 康弘( 平成 2 年入局 )

同じ日本の冬とは思えん

「先生,静岡に来てからもう随分立ちますよねェ」

「そうだなぁ,こちらに来たのはうちの小僧が小学校に入学する時だったから,2005 年か。もう 11 年目だなぁ。最初に沼津に 2 年半,その後はここ清水に 8 年。早いもんだなぁ。」

「すっかり馴染んだ感じですか?」

「すっかり馴染んだってぇ?俺は元々静岡の生まれなんだよ」

「そっ,そうでしたね」

「でも 20 年以上金沢を中心に北陸にいたからなぁ。だから馴染んだって言うより,こっちの生活を思い出したって感じだ」

「冬青空が広がって雪が降らないのが一番ですね」

「雪見酒なんて洒落たことと一切無縁になると,雪が恋しくなる時がないわけじゃぁないが,降らないと生活が楽でいいな。タイヤ交換をしなくて済むだけでも随分ありがたい。それに冬の天気が悪い北陸では,革ジャケットや革靴は怖くて身につけて外出できなかったからな。宝持ち腐れだった。こっちじゃぁ異常乾燥注意報が出るくらいだから,好きなだけ着られて楽しい」

「布団乾燥機なんてもんも いらないですもんね」

「必要なのは加湿器だもんなぁ。同じ日本の冬とは思えん」

「でも冬の美味が味わえないのは残念ですね」

「静岡の山は深くて,駿河湾も豊かな海だから,冬の幸には事欠かないが,鰤とずわい蟹がないのはやっぱりちょっと寂しいなぁ。それと鱈の白子を生ではなかなか味わえないのも悲しい」

近況報告:金沢大学第三内科同門ドクター(インデックス)

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2015年9月16日

日本血栓止血学会DIC診断基準暫定案を考える(インデックス)

日本血栓止血学会DIC診断基準暫定案を考える:インデックス

1)背景

2)基本的考え方

3)基礎疾患

4)FDP/血小板

5)フィブリノゲン/PT

6)分子マーカー/AT

7)産科・小児科・肝不全

8)アルゴリズム

9)基礎疾患

10)鑑別疾患

11)新DIC基準

12)病型分類・病態評価

13)旧&新基準の相違点


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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:36 | DIC

2015年9月15日

日本血栓止血学会DIC診断基準暫定案(13)旧&新基準の相違点

日本血栓止血学会DIC診断基準暫定案を考える(13)旧&新基準の相違点

日本血栓止血学会DIC診断基準暫定案を考える(インデックス)

詳細はこちら:http://www.jsth.org/committee/pdf/DIC_3.pdf


<新しいDIC診断基準>  旧&新基準の相違点

新基準(日本血栓止血学会DIC診断基準暫定案)では、アルゴリズムを用いて基礎病態により診断基準を使いわけることを明確にしました。

旧基準(旧厚生省DIC診断基準)においても白血病群、非白血病群でスコア法を変える工夫がなされていましたが、新基準では造血障害型のみならず感染症型でも診断基準を使い分けることを明確にしました。

造血障害型において血小板数をスコアから除く点については、旧基準の白血病群でも同様の配慮がなされていましたが、新基準ではさらに感染症でフィブリノゲンをスコアから除きました。

旧基準では基礎疾患と臨床症状でもスコアリングが行われていましたが、新しい基準では既述の理由により削除しました。

血小板数に関しては、旧基準では加点されなかった経時的減少が新基準では1点の加点項目としました。

ATに関しては、現時点では暫定的にATを組込んだ診断基準として、今後多施設での検証作業を実施することとされました。


凝固線溶系分子マーカーが、診断基準に組込まれました。

分子マーカーが組込まれた診断基準は世界的にも斬新なものです。


旧基準においても肝硬変および肝硬変に近い病態の慢性肝炎では3点減ずることになっていますが、臨床現場では必ずしも適切に行われているとは限らず、DIC誤診の原因の一つになっていました。

新基準ではこのような背景のもと、従来適用されなかった劇症肝炎症例も念頭に、肝不全で3点減じることを診断基準の表の中に組込みました。


<総括>
DIC診断基準は、患者の治療や予後に直結するために極めて重要な意義を有しています。

これまで我が国では、旧厚生省DIC診断基準が頻用されてきましたが、感染症に起因するDICの診断には感度が悪いなど多くの問題点が指摘されてきました。

急性期DIC診断基準は、感染症に合併したDICの診断には威力を発揮しますが、全ての基礎疾患に対して適応できません。

この度、「日本血栓止血学会DIC診断基準暫定案」が発表されました。

http://www.jsth.org/committee/pdf/DIC_3.pdf


この基準は、基礎疾患で診断基準を使い分けること、分子マーカーやアンチトロンビンが診断基準に組込まれていること、誤診対策がなされているなど優れた点が多く、今後の展開が期待されます。

日本血栓止血学会DIC診断基準暫定案を考える(インデックス)


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2015年9月14日

日本血栓止血学会DIC診断基準暫定案(12)病型分類・病態評価

日本血栓止血学会DIC診断基準暫定案を考える(12)病型分類・病態評価

日本血栓止血学会DIC診断基準暫定案を考える(インデックス)

詳細はこちら:http://www.jsth.org/committee/pdf/DIC_3.pdf


<新しいDIC診断基準> 

DIC診断に関連するその他の検査と意義:

DICの診断がなされた後に、DICの病型分類、病態評価を行う上での有用なマーカーを表4に列記しました。



表4 DIC診断に関連するその他の検査と意義 

表4


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2015年9月13日

日本血栓止血学会DIC診断基準暫定案(11)新DIC基準

日本血栓止血学会DIC診断基準暫定案を考える(11)新DIC基準

日本血栓止血学会DIC診断基準暫定案を考える(インデックス)

詳細はこちら:http://www.jsth.org/committee/pdf/DIC_3.pdf


<新しいDIC診断基準>  新基準


表3 日本血栓止血学会DIC診断基準暫定案

基準

注)
・    (※1)血小板数>5万/μLでは経時的低下条件を満たせば加点する(血小板数≦5万では加点しない)。血小板数の最高スコアは3点までとする。

・    FDPを測定していない施設(Dダイマーのみ測定の施設)では、Dダイマー基準値上限2倍以上への上昇があれば1点を加える。ただし、FDPも測定して結果到着後に再評価することを原則とする。

・    プロトロンビン時間比:ISIが1.0に近ければ、INRでも良い(ただしDICの診断にPT-INRの使用が推奨されるというエビデンスはない)。

・    トロンビン-アンチトロンビン複合体(TAT)、可溶性フィブリン(SF)、プロトロンビンフラグメント1+2(F1+2):採血困難例やルート採血などでは偽高値で上昇することがあるため、FDPやD-ダイマーの上昇度に比較して、TATやSFが著増している場合は再検する。即日の結果が間に合わない場合でも確認する。

・    手術直後はDICの有無とは関係なく、TAT、SF、FDP、D-ダイマーの上昇、ATの低下などDIC類似のマーカー変動がみられるため、慎重に判断する。

・    (※2)肝不全

ウイルス性、自己免疫性、薬物性、循環障害などが原因となり「正常肝ないし肝機能が正常と考えられる肝に肝障害が生じ、初発症状出現から8週以内に、高度の肝機能障害に基づいてプロトロンビン時間活性が40%以下ないしはINR 値1.5 以上を示すもの」(急性肝不全)および慢性肝不全「肝硬変のChild-Pugh分類BまたはC(7点以上)」が相当する。

・    DICが強く疑われるが本診断基準を満たさない症例であっても、医師の判断による抗凝固療法を妨げるものではないが、繰り返しての評価を必要とする。


アルゴリズム
によってどの診断基準を適用するか決定された後に、表3を用いてDICの診断を行います。

基本型
では、血小板数、FDP、フィブリノゲン、プロトロンビン時間比、AT活性、凝固活性化関連分子マーカー(TAT、SF ないしは F1+2上昇)の結果を用いてスコアリングを行います。

造血障害型では血小板数をスコアリングしないことを明示しており、感染症型ではフィブリノゲンをスコアリングしません。

肝不全では3点減じることを表中でも明記してあります。


AT活性は旧基準では採用されていなかった検査項目ですが、新たに採用されています。

AT活性が70%以下であれば1点のスコアを与えます。

凝固線溶系分子マーカーも旧厚生省DIC診断基準(旧基準)では、スコアリング項目としては採用されていなかった検査項目ですが、新基準において新たに採用されました。
基準範囲上限の2倍以上でれば1点を与えています。


肝不全に関しては、急性肝不全と慢性肝不全を含んでいます。

急性肝不全は、厚生労働省難治性の肝・胆道疾患に関する調査研究班が「劇症肝炎」に代わる新しい「急性肝不全」の診断基準を作成しているので、それを採用しています。

日本血栓止血学会DIC診断基準暫定案を考える(インデックス)

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2015年9月12日

日本血栓止血学会DIC診断基準暫定案(10)鑑別疾患

日本血栓止血学会DIC診断基準暫定案を考える(10)鑑別疾患

日本血栓止血学会DIC診断基準暫定案を考える(インデックス)

詳細はこちら:http://www.jsth.org/committee/pdf/DIC_3.pdf


<新しいDIC診断基準>  鑑別すべき代表的疾患・病態

DICとの鑑別が必要となる代表的疾患・病態を表2に記載しました。

ただし、表2に示された疾患にDICを合併することもあるために注意が必要です。


表2 鑑別すべき代表的疾患・病態 
 

血小板数低下
 1. 血小板破壊や凝集の亢進
・    血栓性微小血管障害症(TMA):血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、溶血性尿毒症症候群(HUS)、HELLP症候群、造血幹細胞移植後TMA
・ ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)
・    特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、全身性エリテマトーデス(SLE)、抗リン脂質抗体症候群(APS)
・    体外循環 など

2. 骨髄抑制/骨髄不全をきたす病態
・    造血器悪性腫瘍(急性白血病、慢性骨髄性白血病の急性転化、骨髄異形成症候群、多発性骨髄腫、悪性リンパ腫の骨髄浸潤など)
・    血球貪食症候群
・    固形癌(骨髄浸潤あり)
・    骨髄抑制を伴う化学療法あるいは放射線療法中
・    薬物に伴う骨髄抑制
・    一部のウイルス感染症
・    造血器悪性腫瘍以外の一部の血液疾患(再生不良性貧血、発作性夜間血色素尿症、巨赤芽球性貧血など)

3. 肝不全、肝硬変、脾機能亢進症

4. 敗血症

5. Bernard-Soulier症候群、MYH9異常症(May-Hegglin異常症など)、Wiskott-Aldrich症候群

6. 希釈

・ 大量出血
・ 大量輸血、大量輸液
・ 妊娠性血小板減少症 など

7. 偽性血小板減少症


FDP上昇
1.    血栓症:深部静脈血栓症、肺塞栓症など
2.    大量胸水、大量腹水
3.    大血腫
4.    線溶療法



フィブリノゲン低下
1.    先天性無フィブリノゲン血症、先天性低フィブリノゲン血症、フィブリノゲン異常症
2.    肝不全、低栄養状態
3.    薬物性
:L-アスパラギナーゼ、副腎皮質ステロイド、線溶療法
4.    偽低下:抗トロンビン作用のある薬剤(ダビガトランなど)投与時


プロトロンビン時間延長

1.    ビタミンK欠乏症、ワルファリン内服
2.    肝不全、低栄養状態
3.    外因系凝固因子の欠乏症またはインヒビター
4.    新規経口抗凝固薬内服
5.    偽延長
:採血量不十分、抗凝固剤混入


アンチトロンビン活性低下

1.    肝不全、低栄養状態
2.    炎症による血管外漏出(敗血症など)
3.    顆粒球エラスターゼによる分解(敗血症など)
4.    先天性アンチトロンビン欠乏症
5.    薬物性
:L-アスパラギナーゼなど


TAT、SF または F1+2上昇
1.    血栓症:深部静脈血栓症、肺塞栓症など
2.    心房細動の一部


注)ただし、上記疾患にDICを合併することもある。


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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:20 | DIC

2015年9月11日

日本血栓止血学会DIC診断基準暫定案(9)基礎疾患

日本血栓止血学会DIC診断基準暫定案を考える(9)基礎疾患

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詳細はこちら:http://www.jsth.org/committee/pdf/DIC_3.pdf


<新しいDIC診断基準>  DICの基礎疾患

代表的な基礎疾患を表1に示しています。

新基準は産科・新生児領域の疾患に適用しないために、表1には示していません。

 

表1 DICの基礎疾患

1.    感染症

・    敗血症
・    その他の重症感染症(呼吸器、尿路、胆道系など)

2.    造血器悪性腫瘍
・    急性前骨髄球性白血病(APL)
・    その他の急性白血病
・    悪性リンパ腫
・    その他の造血器悪性腫瘍

3.    固形癌(通常は転移を伴った進行癌)

4.    組織損傷:外傷、熱傷、熱中症、横紋筋融解

5.    手術後

6.    血管関連疾患

・    胸部および腹部大動脈瘤
・    巨大血管腫
・    血管関連腫瘍
・    膠原病(血管炎合併例)
・    その他の血管関連疾患

7.    肝障害:劇症肝炎、急性肝炎、肝硬変

8.    急性膵炎

9.    ショック

10.    溶血、血液型不適合輸血

11.    蛇咬傷

12.    低体温


13.    その他

注)
産科領域、新生児領域において、それぞれ特徴的なDICの基礎疾患があるが、両者とも本診断基準を適用しないので、ここには示していない。

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2015年9月10日

日本血栓止血学会DIC診断基準暫定案(8)アルゴリズム

日本血栓止血学会DIC診断基準暫定案を考える(8)アルゴリズム

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詳細はこちら:http://www.jsth.org/committee/pdf/DIC_3.pdf


<新しいDIC診断基準>アルゴリズム

新基準を紹介したいところが、このシリーズでは全体を紹介できません。

詳細は、是非とも血栓止血誌を参照していただければと思います。

http://www.jsth.org/committee/pdf/DIC_3.pdf


DIC診断基準適用のアルゴリズム

アルゴリズム

DIC診断基準適用のアルゴリズム

・    DIC疑い(※1):DICの基礎疾患を有する場合(表1)、説明の付かない血小板数減少・フィブリノゲン低下・FDP上昇などの検査値異常がある場合、静脈血栓塞栓症などの血栓性疾患がある場合など。

・    造血障害(※2):骨髄抑制・骨髄不全・末梢循環における血小板破壊や凝集など、DIC以外にも血小板数低下の原因が存在すると判断される場合に(+)と判断。寛解状態の造血器腫瘍は(-)と判断。

・    基礎病態を特定できない(または複数ある)あるいは「造血障害」「感染症」のいずれにも相当しない場合は基本型を使用する。例えば、固形癌に感染症を合併し基礎病態が特定できない場合には「基本型」を用いる。

・    肝不全では3点減じる(表3の注を参照)。




DICを疑った時点でこのアルゴリズムに従います。

新基準は、産科、新生児には適用しないために、これをアルゴリズムの最初のステップで示されています。

造血障害、すなわち骨髄抑制・骨髄不全・末梢循環における血小板破壊や凝集など、DIC以外にも血小板数低下の原因が存在すると判断される場合には、血小板数を用いてDICの診断をすることができませんので、「造血障害型」の診断基準を使用します。


造血障害が存在しない場合には、感染症の有無を判断します。

感染症があれば、「感染症型」の診断基準を適用します。

造血障害および感染症がともになければ、「基本型」の診断基準を使用します。

基礎病態を特定できない場合は基本型を使用します。

また、固形癌に感染症を合併した場合など、DICをきたし得る基礎疾患が複数存在するような場合には「基本型」を用います。

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:44 | DIC

2015年9月9日

日本血栓止血学会DIC診断基準暫定案(7)産科・小児科・肝不全

日本血栓止血学会DIC診断基準暫定案を考える(7)産科・小児科・肝不全

日本血栓止血学会DIC診断基準暫定案を考える(インデックス)


詳細はこちら:http://www.jsth.org/committee/pdf/DIC_3.pdf


産科では、現在産科DICスコアが使用されています。

産科DICは極めて急激な経過をとるため、基礎疾患と臨床症状で速やかに診断して治療する必要があります。

早期に治療開始を可能にするこの産科DICスコアは極めて有用で、わが国では広く使用されています(日本産婦人科・新生児血液学会 http://www.jsognh.jp/dic/)。

また、正常妊娠であっても、FDP、D-ダイマー、TAT、SF、F1+2などのDIC関連マーカーは上昇するために、これらのマーカーが高値であったとしてもDICとは言えません。


新生児の凝固・線溶活性は成人と大きく異なります。

また、凝固活性化関連マーカーは、採血が困難な症例(小児など)では試験管内凝固により偽高値になりやすいです(誤診につながります)。


旧基準では、肝不全によりPT延長、フィブリノゲン低下、血小板数低下、肝不全にさらに大量腹水を有するとFDPやD-ダイマーも上昇するような症例が誤診されやすかったと考えられます。

肝不全症例が誤診されない工夫が必要性です。

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:37 | DIC

2015年9月8日

日本血栓止血学会DIC診断基準暫定案(6)分子マーカー/AT

日本血栓止血学会DIC診断基準暫定案を考える(6)分子マーカー/AT

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詳細はこちら:http://www.jsth.org/committee/pdf/DIC_3.pdf


DICの本態とも言える凝固活性化を反映する分子マーカーとしては、トロンビン-アンチトロンビン複合体(TAT)、可溶性フィブリン(SF)、プロトロンビンフラグメント1+2(F1+2)などが知られています。

これらの分子マーカーは、DIC診断基準の感度・特異度の両者を向上させることが期待されます。

凝固活性化に伴って鋭敏に上昇するばかりではなく、TATやSFはどちらも全く正常であればDICは否定的であるなど除外診断的な意義も有しています。

現在、これらのマーカーを院内測定していない施設の方が多いですが、診断基準に採用することで普及が期待されます。



アンチトロンビン活性(AT)
を診断基準に組込むことは、治療法選択に直結する、特に感染症において予後を評価できるなどの利点がありますが、一方で、ATはDICに特異的な指標ではないという問題点もあります。

実際、肝予備能の低下、血管外への漏出、顆粒球エラスターゼによる分解などでも低下します。


ただし、ATのみでなくほとんどのマーカーがDICに特異的な指標ではないために、DICに特異的ではないという理由のみでATを診断基準に組込まないのも問題でしょう。

今後の検討が必要と考えらます。

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:31 | DIC

2015年9月7日

日本血栓止血学会DIC診断基準暫定案(5)フィブリノゲン/PT

日本血栓止血学会DIC診断基準暫定案を考える(5)フィブリノゲン/PT

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詳細はこちら:http://www.jsth.org/committee/pdf/DIC_3.pdf


DICを診断する上において、フィブリノゲンは、特異度は高いが感度は低いマーカーです。

特に炎症性疾患では、DICと思われる症例であってもフィブリノゲンは低下せず、むしろ上昇することも少なくありません。

一方で、フィブリノゲンがマーカーとして価値が高い基礎疾患もあり、例えば、固形癌、造血器悪性腫瘍、産科合併症、頭部外傷、動脈瘤などではフィブリノゲン低下がみられやすく重要な所見です。

基礎疾患別に適用する診断基準の検査評価を変えて対応する方法が考えられます。



プロトロンビン時間(PT)は臓器障害や予後を反映しますが、一方で肝疾患やビタミンK欠乏症でも延長するために、DICに特徴的なマーカーではない点に注意が必要です。

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2015年9月6日

日本血栓止血学会DIC診断基準暫定案(4)FDP/血小板

日本血栓止血学会DIC診断基準暫定案を考える(4)FDP/血小板

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詳細はこちら:http://www.jsth.org/committee/pdf/DIC_3.pdf


DIC診断におけるFDPD-ダイマーの意義は大きく、実際ほとんどのDIC診断基準において重要検査項目として採用されています。

ただし、FDPやD-ダイマーは、感度は高いですが特異度は低い点に注意が必要であす。

例えば、深部静脈血栓症、肺塞栓、大量胸腹水、大皮下血腫などでもしばしば上昇するので注意喚起が必要です。



血小板数の低下の原因が消費性凝固障害のためではない「造血障害型」は血小板数を診断基準に用いることはできませんので、十分に注意される工夫が必要です。

造血障害型以外においては、血小板数はFDPやDダイマーと同様にDIC診断に重要な検査所見ですが、DIC以外の原因で血小板数が低下する疾患も多いために、鑑別すべき疾患に留意が必要です。

血小板数低下は、DIC診断上、感度は高いが特異度は低いと言えます。

また、血小板数の経時的変化は重要です。

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2015年9月5日

日本血栓止血学会DIC診断基準暫定案(3)基礎疾患

日本血栓止血学会DIC診断基準暫定案を考える(3)基礎疾患/臨床症状

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詳細はこちら:http://www.jsth.org/committee/pdf/DIC_3.pdf


旧厚生省DIC診断基準(旧基準)においては「基礎疾患あり」で1点加点されますが、基礎疾患のない症例は存在しないために診断には影響を与えず、この加点は意味をなしていません。

基礎疾患あるいは基礎病態ごとにDIC病態に差異が存在しますし、診断に有用な検査項目が異なっています。

基礎疾患や基礎病態を分別して、病態別の診断基準を用いる方向性が妥当と考えられます。

特に、血小板数の低下がDICのみに起因しない症例(造血障害をきたした症例など)では血小板数でスコアリングができないため、必ず区別すべきです。


DICにおける臨床症状は非特異的ですから、基礎疾患やDIC以外の合併症による症状なのか、DICによる症状なのか区別が困難です。

さらに、臨床症状が出現しないとDICと診断されないようでは、早期診断に支障をきたすことになります。

臨床症状を診断基準から削除すべきと考えられます。

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2015年9月4日

日本血栓止血学会DIC診断基準暫定案(2)基本的考え方

日本血栓止血学会DIC診断基準暫定案を考える(2)基本的考え方

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詳細はこちら:http://www.jsth.org/committee/pdf/DIC_3.pdf


旧厚生省DIC診断基準(旧基準)の修正を行う方法が良いのか、全く新規の基準を作成する方法が良いのかについては、大きな論点です。

日本においては、旧基準を用いて各種薬剤のDIC臨床試験が行われてきた長い歴史がありますんで、全く新規の基準を作成するのは不適当であり、旧基準を基本にすべきであると委員会では結論付けられました。

必然的にスコアリング法による基準とすることになりました。


次に、DIC病態は基礎疾患によって大きく異なっていることが明らかになっている現在、一つの基準で全ての基礎疾患におけるDICを診断することの限界があります。

日本血栓止血学会学術標準化委員会DIC部会:科学的根拠に基づいた感染症に伴うDIC治療のエキスパートコンセンサス.血栓止血誌20: 77-113, 2009.

Asakura H: Classifying types of disseminated intravascular coagulation: clinical and animal models. J Intensive Care 2:20, 2014.



特に、旧基準は感染症においては診断能力が弱いことが以前から指摘されてきました。

また、旧基準では特に肝疾患に伴う凝固異常が、DICと誤診される場合が少なくないために、その対応が重要です。

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2015年9月3日

日本血栓止血学会DIC診断基準暫定案(1)背景

日本血栓止血学会DIC診断基準暫定案を考える(1)背景

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詳細はこちら:http://www.jsth.org/committee/pdf/DIC_3.pdf


播種性血管内凝固症候群(DIC)の診断基準としては、旧厚生省DIC診断基準(旧基準)、国際血栓止血学会(ISTH)DIC診断基準(ISTH基準)、日本救急医学会急性期DIC診断基準(急性期基準)が日本では良く知られてきました。

青木延雄ほか:DIC診断基準の「診断のための補助的検査成績、所見」の項の改訂について.厚生省特定疾患血液凝固異常症調査研究班,昭和62年度研究報告書: 37-41,1988.

Taylor FB Jr, et al; Scientific Subcommittee on Disseminated Intravascular Coagulation (DIC) of the International Society on Thrombosis and Haemostasis (ISTH): Towards definition, clinical and laboratory criteria, and a scoring system for disseminated intravascular coagulation. Thromb Haemost 86: 1327-1330, 2001.

丸藤哲ほか: 急性期DIC診断基準多施設共同前向き試験結果報告 . 日救急医会誌 16: 188-202, 2005.



ISTH基準は感度が悪い、急性期基準は全ての基礎疾患に対して適用できないなどの問題があるため、これまでは旧基準が最も評価の定まった基準でした。

しかし、旧基準にも数々の問題点、例えば感染症に感度が悪い、分子マーカーが採用されていない、誤診されることがあるなどが指摘されてきて、この改訂が重要課題となっていました。

DIC診断基準の改訂は、日本におけるDICの臨床と研究を向上させる上で大きな意義を有すると考えられます。

2014年10月に「日本血栓止血学会DIC診断基準暫定案」が誌上発表されました。

このシリーズではそのポイントを紹介したいと思います。

DIC診断基準作成委員会:日本血栓止血学会DIC診断基準暫定案。血栓止血誌 25: 629-646, 2014.



DIC診断基準作成委員会(委員会)が公表したこの新しい基準(新基準)は、検証作業を行う予定となっているために暫定案となっています。

従来の診断基準のいろんな問題点をクリアしており、今後の発展が期待されています。

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2015年9月2日

フィブリノゲン製剤の安全性

論文紹介です。

関連記事:APTT血友病後天性血友病第V因子インヒビター第VIII因子インヒビターPT-INR

クロスミキシングテスト


フィブリノゲン製剤の安全性:27年以上の市販後調査の解析」

著者名:Solomon C, et al.
雑誌名:Thromb Haemost 113: 759-771, 2015.


<論文の要旨>

止血剤としてのフィブリノゲン製剤の使用に関しては、その検討が増えています。

著者らは、Haemocomplettan P/RiaSTAPの市販後調査期間中に生じた薬物副作用(ADRs)の自主的な報告について評価して、また文献として報告されている安全性情報をまとめました。

CSLベーリング市販後調査データベース(1986年1月〜2013年12月)に基づいて分析されました。

同期間中に発表された臨床研究のレビューも行いました。


その結果、フィブリノゲン製剤は上記期間中2,611,294g流通したことが明らかになり、1回4gの標準量を使用したと仮定すると、652,824回投与されたことになりました。

106症例で383回のADRsが報告されました(24,600g投与につき1回、または標準量使用の場合6,200回の投与につき1回)。

特記すべき点は、過敏性反応の可能性が20例(130,600gまたは32,600回投与につき1回)、血栓塞栓症の可能性が28例(93,300gまたは23,300回投与につき1回)、ウイルス感染症が示唆された21例(124,300または31,000回投与につき1回)が報告されていたことです。


ウイルス感染症が示唆されたうち1例では不十分なデータのために解析できませんでしたが、その他の例ではPCR法などにより因果関係は否定されました。


公表された論文からも、類似した安全性のプロフィールでした。


以上、市販後調査でのADRsは過少報告されやすいことに限界があるものの、フィブリノゲン製剤は多くの疾患で使用されているもののADRsはほとんどなく、血栓塞栓症の発症率も少ないと考えられました。

フィブリノゲン製剤は、十分に安全なプロフィールを示していると考えられました。



<リンク>
血液凝固検査入門(図解シリーズ)

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:39 | 出血性疾患

2015年9月1日

ITPに対するトロンボポエチン受容体作動薬中止後の寛解維持

論文紹介です。

関連記事:APTT血友病後天性血友病第V因子インヒビター第VIII因子インヒビターPT-INR

クロスミキシングテスト


「慢性ITPに対するトロンボポエチン受容体作動薬の中止後の寛解維持」

著者名:Červinek L, et al.
雑誌名:Int J Hematol 102: 7-11, 2015.


<論文の要旨>

トロンボポエチン受容体作動薬(TPO-RAs)は、免疫性血小板減少症(ITP)に対して極めて有効です。

最近、成人ITPに対するTPO-RAの中止後にも寛解が維持されるという報告がみられています。


著者らは、TPO-RAの治療効果が持続する患者の特徴について検討しました。

TPO-RAsで治療された成人ITP患者のすべてを対象として、治療効果がみられたためにTPO-RA治療が中止された症例に焦点を当てました。


再発または難治性ITP46症例がTPO-RAsで治療されました。

これらの症例のうち11例(ロミプロスチム 7例、エルトロンボパグ 4例)において、治療効果がみられた後にTPO-RA治療が中止されました。

TPO-RAsの副作用はみられませんでした。

これらの患者は、TPO-RAの投与前に1〜3種類の治療歴があり、6例では摘脾術も行われていました。

また、中央値33ヶ月(16-54)の経過観察中、TPO-RA治療中止後の再燃はみられませんでした。


TPO-RAsによる治療を受けたITP患者の相当例において、治療中止後の寛解を維持するものと考えられました。

また、このITP寛解の持続は、以前の治療内容、摘脾術の有無、罹病期間に依存しないものと考えられました。


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